宮澤賢治 『注文の多い料理店 杜陵出版部版』 (復刻)

「ほんたうに、かしはばやしの靑(おを)い夕方(ゆふがた)を、ひとりで通(とほ)りかかつたり、十一月(ぐわつ)の山(やま)の風(かぜ)のなかに、ふるえながら立(た)つたりしますと、もうどうしてもこんな氣(き)がしてしかたないのです。ほんたうにもう、どうしてもこんなことがあるやうでしかたないといふことを、わたくしはそのとほり書(か)いたまでです」
(宮澤賢治 『注文の多い料理店』「序」 より)


宮澤賢治 
『注文の多い料理店 
杜陵出版部版』 
(復刻)
新選 名著複刻全集 

刊行: 日本近代文学館
発売: ほるぷ
昭和57年2月20日 印刷
昭和57年3月1日 発行 (第22刷)
236p
四六判 角背紙装上製本 機械函



宮澤賢治著・菊池武雄挿画装幀『イーハトヴ童話 注文の多い料理店』(発行者: 近森善一、大正13年)の復刻版です。
挿画20点(本体表紙にカラー装画1点貼付、扉ページ装画1点、各篇に扉絵1点と挿絵1点)。


宮沢賢治 注文の多い料理店 01


目次:



どんぐりと山猫
狼森と笊森、盗森
注文の多い料理店
烏の北斗七星
水仙月の四日
山男の四月
かしはばやしの夜
月夜のでんしんばしら
鹿踊のはじまり



宮沢賢治 注文の多い料理店 05


本体背(左)と復刻版函背(右)。


宮沢賢治 注文の多い料理店 02


扉ページ。


宮沢賢治 注文の多い料理店 03


「どんぐりと山猫」扉絵。


宮沢賢治 注文の多い料理店 04


「狼森と笊森、盗森」挿絵。


宮沢賢治 注文の多い料理店 06


巻末広告ページ。

「蠅と蚊と蚤 近森善一著

屡々吾等の生命をさへ奪ふこれ等の昆虫は、其の形の小なるが為めとそれに関する智識の欠乏とから等閑視する傾きがある。
著者は先づ第一編に於て昆虫学の何ものたるかを教え次に、蠅、蚊、蚤、虱、南京虫及び、ゴキブリの各論に及び最後に之等屋内昆虫の防除法を親切に説けり。説述詳密正確で決して売らんかなの一夜漬本でない事を断って置く。」




























































































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クラフト・エヴィング商會 『すぐそこの遠い場所』

「ただし、人は本当に眠りたい時は、ぐっすりと眠ってしまうのが一番である。
 「魂」なんて、くれてやってもいいのだから……」

(クラフト・エヴィング商會 「睡魔」 より)


クラフト・エヴィング商會 
『すぐそこの遠い場所』
Craft Ebbing & Co. : The Dictionary of Azoth

晶文社
1998年12月25日 初版
2002年6月30日 10刷
126p
19.2×12.6cm
丸背紙装上製本 カバー
定価1,800円+税
装幀・レイアウト: 吉田篤弘/吉田浩美
写真: 坂本真典



そういうわけで『クラウド・コレクター』の姉妹編である本書も出てきたのでよんでみました。
本文中図版多数です。


クラフトエヴィング商会 すぐそこの遠い場所 01


帯文:

「この事典はね、
見るたびに中身が変わってゆくのだよ。

クラフト・エヴィング商會の先代が遺した、
不思議な場所「アゾット」の永遠に未完の事典。本邦初訳!

[サブ・カルチャー]」



帯背:

「世にも不思議な空想図鑑」


帯裏:

「人々は夜毎、蒸留酒を飲み、
遊星オペラ劇場に出かけ、筆談を交しては、水葉書を買う。
紙石鹸には、6Hペンシルで詩が刻まれ、
空飛ぶじゅうたんの上には、ものすごく太った猫が眠り続ける。
師匠王様も姿が見えない。
そして夕方の果てから、誰にも知られずに、あの小さな列車が現われる……。
見知らぬ懐かしさに充ちた世界〈アゾット〉
そのすべては、今も、この本の中を生き続けている。」



カバーそで文:

「「この事典はね。見るたびに中身が変わってゆくのだよ」
 クラフト・エヴィング商會の先代、吉田傳次郎がそう言い残した一冊の書物「アゾット事典」。傳次郎の孫であり、現在のクラフト・エヴィング商會の主人が、書棚の隅から、この不思議な書物を見つけてきた。
 遊星オペラ劇場、星屑膏薬、夕方だけに走る小さな列車、エコー・ハンティング、ガルガンチュワの涙という蒸溜酒、雲母でできた本、忘却事象閲覧塔……。アゾットには、謂れも始まりもわからないたくさんの事や物がつまっている。
 茫洋とした霧のなかにあるかのような、なつかしい場所アゾットの、永遠に未完の事典。つづきは読者の方それぞれに書いてほしくて、まずは一冊、お届けします。」



目次:

読むことのできなかった事典のこと

アゾット事典
 本事典の編集にあたって
 AZOTHという名前について
 アゾットの「21のエリア」について
 世界の回転について
 アゾットの言語
 過客
 地図と楽譜
 回覧板
 忘却事象閲覧塔
 雲母印書房
 21の天使の分け前
 長き夜の筆談と、句読点としてのオードヴル
 星屑膏薬[スター・ダスト・リップ・クリーム]
 夜肆
 睡魔
 ヘヴンリィ・ハット
 雨師
 検問官
 6Hの詩人
 残像保管庫/残響音保管庫
 回転木馬の中から発見されたコックの記録
 夕方にだけ走る小さな列車
 卓球詩人・ピングとポング
 ドラゴン
 イプシロンと[書肆イプシロン]
 ホルン製造工房の伝説
 見えない師匠と、その職人たち
 ガルガンチュワの涙
 哲学サーカス団
 人工降雨機に関する手稿
 セスピアン
 蝙蝠的手品師
 紙肆
 手袋製造人
 空飛ぶじゅうたんの上のものすごく太った猫の話
 BAR[死神としての床屋]
 BER[うずまき研究者としての床屋]
 ツブラディ/ツブラダ
 薄い眉
 エコー・ハンティング
 空耳
 太陽王の予言暦
 遊星オペラ劇場
 かなでるものたち
 忘れな草[FORGET-ME-NOT]
 ブヴァールとペキュシェ帽子研究所
 夏の本/冬の本
 夏の図書館/冬の図書館
 紙石鹸に記されたD氏の肖像
 ドクター・スコットのクラウド・コレクション
 幻の蒸留酒[ゴールデン・スランバー]
 クラウド・シュガー[雲砂糖]
 ゴジと校正士
 イヴたちの耳
 路地裏の剥製工場
 観光
 沙翁
 ショーヨー・ツボウチ
 プロンプター[影としての黒子について]
 エラノス・カフェ
 デンジロウ・ヨシダ

それでも、読むことのできなかった事典のこと



クラフトエヴィング商会 すぐそこの遠い場所 03



◆本書より◆


「夕方にだけ走る小さな列車」より:

「なんというか、このエリアで流れる時間のほとんどは「ひき伸ばされた夕方」のように感じられるのだ。」
「この時間の中では、誰もが輪郭を失い、人のみならず、語られる言葉すらも、ぼんやりとして、すべてが長い影をひいている――このエリアでは、このような、いつでも10月であるような時間たちのことを、いつからか「彼(か)は誰(たれ)の刻」と呼びならわしてきた。
 実際、ここでは、そんな夕方的憂愁の力に丸めこまれ、誰ひとりとして「彼方の人物」の正体を見極められなくなる。「彼は誰か?」といぶかしむ時間さえ、どこまでも長い影をひいているような気がするのだ。
 ……このエリアには「夕方にだけ走る小さな列車」(正式名称はダンテズ・イヴニング・レイルロード)の停車場がある。」

「しかし、そうあわてることもない。ここには夜は来ないし、もちろん朝だって来ないのだ。ここでは、ただひたすら夕方が、永遠に繰り返されているだけである。
 永遠の夕方の中で、永遠に乗り遅れるがよろしい。それは、ほとんど天国に来てしまったかのような、心地よくも憂鬱な解放感なのだから……」



クラフトエヴィング商会 すぐそこの遠い場所 02






Landberk - I Nattens Timma












































































































クラフト・エヴィング商會 『クラウド・コレクター|雲をつかむような話』

「私はどうも、こういう「裏側」とか「もうひとつの」みたいなものに、訳もなく魅かれるのです。」
(クラフト・エヴィング商會 『クラウド・コレクター』 より)


クラフト・エヴィング商會 
『クラウド・コレクター 
雲をつかむような話』
写真: 坂本真典


筑摩書房
1998年11月25日 初版第1刷発行
2002年12月20日 初版第6刷発行
190p
A5判 角背紙装上製本 カバー
定価2,500円+税



さいきんは物忘れがひどくて自分の名前もうろおぼえです。というか、うるおぼえです。
そういうわけで、まえに買っておいたクラフト・エヴィング商会さんの本が出てきたのでよんでみました。
「クラフト・エヴィング商會」先代が残した遠国「アゾット」旅日記です。
本文中図版(カラー/モノクロ)多数。


クラフトエヴィング商会 クラウドコレクター 01


目次:

雲を売ろうとした男のはなし

[第1の手帳]
 ふたつの白い手袋
 雲の母の書物
 沙翁世界の逍遥
 見えない師匠
 もの忘れのひどい書記官
 ブヴァールとペキュシェ帽子研究所
 すべて・ありのままに・羽根あるもの

パスポート・ナンバーの謎を解く

[第2の手帳]
 サラマンドルのしっぽ
 いま、ここにだけ降る雨
 光を観るための旅
 すばらしい耳
 哲学サーカス団
 不吉なる理髪師
 青い涙を集めるひと

ゴンベン先生と一緒に読み解く[アゾット行商旅日記]第1の手帳と第2の手帳

[第3の手帳]
 小さな赤い悪魔
 雨の降る中庭
 星をめぐらせる劇場
 静かなる晩餐
 太陽王はかく語りき
 かなでるものたち
 クラウド・コレクター

バッカスに導かれて
バッカスのタロット全21枚解説

びん博士・庄司太一さんとクラウド・コレクションをつくる

あとがき



クラフトエヴィング商会 クラウドコレクター 02



◆本書より◆


「〈さかさまに降る雨は、私たちの記憶を少しずつ削りとるようにして、天に運んでゆく。そして、それは雲に結する……雲とは忘却の結晶である。雲とはわれわれの失われた夢であり、見知らぬ懐かしさなのだ〉」


「きっと、傳次郎さんは、自ら封印した物語たちの中に、毎夜そっと降りていっては、こっそり様子を窺いたかったのだよ。これは、その記録なんだろうね。それはつまり自分の内面を測量するようなことだったろうと思われるけれど、それを架空旅行記のスタイルで綴ったのだろう……それで思うのは、22枚目のタロット、すなわち0番のカードのことだけれど、このカードは〈愚者の旅〉と呼ばれていて、カードには、文字どおり愚かなる男の旅姿が描かれている。この愚かなる男が、私には〈素晴しい忘却人〉にならんとした傳次郎そのものに見えるのだ。」



クラフトエヴィング商会 クラウドコレクター 03




こちらもご参照ください:

ルドルフ・ベルヌーリ 『錬金術とタロット』 種村季弘 訳論 (河出文庫)


Anthony Moore - Pieces from the Cloudland Ballroom





















































































プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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