Peter Blegvad 『Kew. Rhone.』

「A net, a gem at every node, in each all others shining show - whole kit and kaboodle lit by an apricot's golden glow.」
(Peter Blegvad 「Apricot」 より)


Peter Blegvad 
『Kew. Rhone.』


Uniformbooks, Devon, 2014
191pp, 23.4x14.2cm, paperback
Printed and bound by T J International, Padstow, Cornwall



本書はしばらく在庫切れになっていたのが今年の初めにアマゾンで取り扱いを再開していたので購入してみました。

これはどういう本かというと、ピーター・ブレグヴァド(作詞/元スラップ・ハッピー)とジョン・グリーヴス(作曲/元ヘンリー・カウ)が女性歌手のリザ・ハーマンを加えたトリオ(カーラ・ブレイ、マイク・マントラー、アンドリュー・シリル等ジャズ界の大御所がゲスト参加しています)で1977年にヴァージン・レーベルからリリースした『キュー・ローン』というレコードについての、たいへん興味深い本であります。第一部がブレグヴァドさんによる全曲解説およびグリーヴスさんとハーマンさんによるメモワール、第二部が諸家による『キュー・ローン』論と関係者によるコメントで構成されています。
第一部のみアート紙。並装フランス表紙、本文中図版(カラー/モノクロ)多数であります。


peter blegvad - kew rhone 01


Contents:

By Peter Blegvad
 1. Eleven Thoughts re Kew. Rhone.
Good Evening
Twenty-Two International Proverbs
 2. Proverbs, Perverbs, Emblems, *Koans*
Seven Scenes From the Painting 'Exhuming the First American Mastodon' by C.W. Peale
 3. On Charles Willson Peale
 4. Excavating Mastodon
 5. Excerpt from 'Nomenclator or The Big Wheel'
Kew. Rhone.
 6. Spiritual Skyscraper
 7. Anagrams and Palindromes
Pipeline
 8. "This is not a pipe" - on the vacancy of *Pipeline*
 9. On the lyrics to *Pipeline*
Catalogue of Fifteen Objects and Their Titles
 10. A Song in Two Halves
 11. Numinous Objects and Their Manufacture
 12. On Numinosity
One Footnote (to Kew. Rhone.)
 13. The Unconscious of the Text
Three Tenses Onanism
 14. Remembered
Nine Mineral Emblems
 15. Lapidary Longings
Apricot
 16. Taking Apricot Apart
gegenstand
 17. What tips an ever wider wake

Recording
 18. John Greaves
 19. Lisa Herman

Contributors
 20. Publisher's Note (Colin Sackett)
 21. Andrew Joron "The Curiosity Cabinet of Kew. Rhone."
 22. Benjamin Piekut "The Bovine/Blegvad Backstory"
 23. Doug Harvey / Jane Colling "Twenty-Two Pork Rebuses"
 24. Frank Key "Kew. Turge."
 25. Franklin Bruno "Kew. Rhone. "We mean it, man""
 26. Glenn Kenny "The Kew. Rhone. Club"
 27. Jonathan Coe
 28. Margit Rosen
 29. Philip Tagney "Thoughts upon first listening to Kew. Rhone."
 30. Rafi Zabor
 31. Siegfried Zielinski "Getting Down from the Cross: The Kew. Rhone. Feeling - A Minimal Glossary"
 32. Simon Lucas

Furthermore
 33. Carla Bley
 34. Andrew Cyrille
 35. Robert Wyatt
 36. Archival Documents
 37. Notes on Contributors



peter blegvad - kew rhone 02



◆本書より◆


「Mingus did indeed drop by and we all got to shake his enormous hand. John Greaves recalls it was on "the day we recorded Lisa's vocal on the track *Kew. Rhone*. She had a thick cold. My image (probably refocused over the years) is of the great man wadding down the studio stairs supported by two women, one black one white. Him listening to the track and saying 'Mmm mmm' and leaving. A divine benediction."」




peter blegvad - kew rhone 03


こちらは『キュー・ローン』日本盤LPであります。

『キュー・ローン』のCDは三通りありまして、①収録内容がオリジナルと同じもの(Virgin/ReR/ベルアンティーク)、②マルチメディア「Kew. ROM.」入りの Voiceprint 盤(1997年、このROMの内容は本書にも活用されています)、③Le Chant du Monde から2004年に出たボーナストラック入りのもの(ピーター、ジョン、リザの三人がピアノ伴奏でスラップ・ハッピー/ヘンリー・カウの「Bad Alchemy」をリハーサルする様子がきけます)であります。























































































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Peter Blegvad & Andy Partridge 『Gonwards』

Peter Blegvad & Andy Partridge
『Gonwards』

Autographed limited edition of 2,000, box set includes bonus tracks, videos, card game, lyric book.

Ape House, APECD046/APECD046B
22 October 2012
(CD+DVD-A)



これはなにかというと、元スラップ・ハッピーのピーター・ブレグヴァドと元XTCのアンディ・パートリッジのコラボ最新作です。ディスクユニオンにボックス入り(DVD及特製カードゲーム付)のがあったので、5,000円もするのでたいへん迷ったものの、せっかくなので購入してみました。DVDには全曲分の音源(CDより音質が良いらしいです)及ボーナストラック二曲、PV、さらに「ミックスキット」なるものが入っています。


peter blegvad - gonwards 01


収録内容:

The Devil's Lexicon
Sacred Objects
Looking At The Sun
St. Augustine Says
The Cryonic Trombone
The Impeccable Dandy in White
What A Car You Are
The Dope On Perelman
From Germ to Gem
Worse on the Way

DVD-A 収録ボーナストラック:
You Broke It
Zombie Tots



peter blegvad - gonwards 04


わりと厚みのある箱入り。
新品なのに手摺れ感のあるデザインになっています。


peter blegvad - gonwards 03


ピーター・ブレグヴァド&アンディ・パートリッジ&スチュー・ロウ(Stuart Rowe)のボールペン直筆サイン入りカード。アンディは「A」の字を力強く書きはじめたもののインクが出なかったらしく二度書きしています。


peter blegvad - gonwards 02


そして付録カードゲーム。
メキシコのビンゴ・ゲーム「ロテリア」のブレグヴァド版です。カード54枚と台紙10枚。カードには本CD収録曲の歌詞に登場するモノたちが描かれています。プレイヤーはそれぞれ台紙を選んで、めくられたカードと同じ絵があったら目印になるものを置いていって、角が揃ったりタテ・ヨコ一列が揃ったりX字型に揃ったりしたら勝ちになるらしいですが、わたしはたいへん孤独な生活をしているのでいっしょに遊んでくれる人がいないので残念です。

DVD には THE GONWARDS MIX KITS というのが入っているのですが、それは何かというと、フォルダを開くと「The Devil's Lexicon」「The Dope On Perelman」「From Germ to Gem」の三曲分の、ヴォーカル、ベース、ドラム等それぞれのパートに分かれた flac ファイルがでてくるので、それらを自由に使って曲をリミックスしたりして、YouTube にアップロードしたりするらしいです。



参考サイト:

XTC Reel by Real: Peter Blegvad & Andy Partridge: Gonwards

Ape House の YouTube チャンネル





























































































Peter Blegvad - The Book of Leviathan

Peter Blegvad - The Book of Leviathan

Sort Of Books, 2000
160p, 17x26cm, hardcover, no dust jacket as issued

 
ピータ・ブレグヴァド『ザ・ブック・オブ・リヴァイアサン』。
 
「スラップ・ハッピー」や「ヘンリー・カウ」、「キュー・ローン」や「ザ・ロッジ」、あるいは「ゴールデン・パロミノス」など、知る人ぞ知るバンドで活躍した、知る人ぞ知る系シンガー・ソングライターの第一人者ピーター・ブレグヴァドが、新聞「インディペンデント・オン・サンデー」に1991年から1999年にかけて掲載したグノーシス主義カートゥーン「リヴァイアサン」シリーズから、よりぬき(crème de la crème/crumb de la crumb)を一冊にまとめた絵本。
 
「たしかに現実逃避的ではあるが、賢者たちも喝破したように、「逃避」(エスケープ。脱出)を悪い意味に捉えるのは牢獄の番人だけである」 (本書宣伝文より)。
 
 
blegvad levi 1
 
ハードカバーの本。ただしカバー(ダストジャケット)は付いていないタイプ。表紙の円中ののっぺらぼうの赤ん坊が主人公のリヴァイアサン。ピンク色のはぬいぐるみのウサギ。後ろのネコがリーヴァイ(リヴァイアサン)と絡んで、形而上学的な問題を論じたり、一緒に死後の世界に行ったり、地獄めぐりをしたりする。
 
 
blegvad levi 2
 
「ピーター・ブレグヴァドのコミックは、私が今まで見たもののなかで、最もすばらしい、最も変なものの一つだ。」
―マット・グレイニング (「ザ・シンプソンズ」製作者)
 
 
blegvad levi 3
 
著者紹介。
 
 
blegvad levi 4
 
「全てのことはやり尽されてしまった。生れてくるのが遅すぎた」と嘆くリヴァイアサン。
 
 
目次:
 
Introduction by Rati Zabor
I - Lost & Founding
II - Milk
III - Dep
IV - Surely You Jest
V - Terra Incognita
VI - Schema Things
VII - Nameless Dread
VIII - Words Enough & Time
IX - Wilds, Woods & Gas
X - I Got a Million of 'em
XI - Hell
XII - Escape
XIII - Tell Me a Story
XIV - Songs
XV - This Way Up
XVI - A Problem Aired
XVII - The Truck is Stuck

 
 
内容見本 その一:
 
blegvad leviathan wrinkles
 
「日がな一日、腕を曲げては、袖にできる複雑なシワの体系を研究するリヴァイアサン。
「シワ」は自然における他の諸形態と「ライム(押韻)」する(※1)。
ところで、
◆信じようと信じまいと◆ 1984年、ウェールズ出身の作曲家ジョン・グリーヴスが何気なく上着を椅子に投げると、シワが図のような顔を形作った。
『力学的皺及襞』(1992)の著者で芸術家のバーン・ホガースは、衣服における「皺と襞のカテゴリー体系」を成立せしめる運動力を定義した。
メスカリン服用実験を行なったオルダス・ハックスリーは、「フラノのズボンの襞に「絶対」を」見たと主張した(※2)。」

 
※1 樹木。稲妻。バスの路線図。ライム(押韻)フェティシストであるピーター・ブレグヴァドのホームページ(amateur.org.uk)には、違うけれど似ているモノ(visual rhyme)の画像が紹介されている。
※2 「フラノのズボンの襞に見る<絶対>と私とだけにして放っておいてほしいと私はどんなに望んだことか」(河村錠一郎訳『知覚の扉』、朝日出版社・エピステーメー叢書、1978年、より)。
 
 
内容見本 その二:
  
blegvad levi -blank pages
 
「ジェイムズ・ケルマン(James Kelman、イギリスの作家、1946年生)は、1994年度ブッカー賞(Booker Prize)受賞スピーチで「白紙を白紙のままにしておきたいという気持があるなら、白紙のままにしておこうではないか」と語った。すばらしい。触発されたので、文学におけるベスト白紙ページ賞を提案したい。
賞品は白紙の小切手。それでは候補作を見てみよう。
1 なによりもまずローレンス・スターンの『トリストラム・シャンディ』の空白の二章を顕彰したい。スターンは言う「私は中に何も文字が書いてない、つまり中身ゼロという章には敬意を抱きます。世の中(略)には、ゼロ以下のものがどんなに多いかを考えるとき―」そしてスターンは「「人にはその人その人のすきなやり方で話を進めさせるがよい」という教訓が、世の人々に受け入れられること」を願っている(引用は朱牟田夏雄訳・岩波文庫版による)。
2 ジャン・コクトーの映画で、オルフェは、全ページが白紙の文芸誌「裸体主義」を見せられて「馬鹿げてる」と嘲笑するが、「馬鹿げた文章が詰まってるよりマシだろう」と言い返される。
3 「吹雪の中、白いポニーの群れを率いて、バーデン・バーデンからカールスバッドまで白いパジャマを纏っての徒歩旅行。頭上には先導するかのような神秘的な一羽の白い海鳥の姿が見える」と題するブラザー・バルナバス作の絵画。(アイルランドの作家フラン・オブライエンによる)
4 ステファヌ・マラルメほど熱意をもって白紙のページについて書いた者はいない。シャルル・モーロンによれば、「穢れなき紙片の白さ、靜かさ、空ろさが至高の理想となった」。
5 エルヴィス・プレスリー著『パーカー大佐が教えてくれたことの全て』。エルヴィスがふざけて作った白紙の本。最近サザビーズで競売にかけられた。」

 
※補足。「白紙の賛」について、壽岳文章『和紙落葉抄』(湯川書房、昭和51年)より引用:
「何の変哲もないすき立ての白紙を、これにむかう者が何かの絵、何かの形に見立て、詩なり、歌なり、あるいは俳句なり標語なりを書きつけたのが、白紙の賛である。賛を読む者は自分自身の想像力を働かして、空白の世界に何とでもすきなように(略)こころの筆でえがく。
(略)小堀遠州の子と伝えられる大徳寺第八十四世江雲和尚の白紙賛に
看々普賢銀世界
というのがある。白紙を一面の銀世界に見立て、花下、四頭の白象に乗る普賢菩薩を拈(ねん)じたイメージであろう。(略)白紙は語らず、無碍自在な世界なのである。白紙を一条の滝と見立てて、「涼しさはたくひも更に夏山の峯よりおつる音無しの滝」と賛した大綱和尚その他、さすがに禅家には白紙の賛が多い。」

なお、オルネラ・ヴォルタ監修『エリック・サティ展』図録には、風刺作家アルフォンス・アレーによる白紙の絵画「雪の日に執り行われた萎黄病患者の少女たちの初聖体拝領」が掲載されている。
 
 
内容見本 その三:
 
blegvad leviathan 3
 
両親が居なくなって悲しむリヴァイアサン。
作者「そろそろ真実を知る時が来たようだ、リーヴァイ。あの人たちは君の本当の親ではないんだ」
「技術的に言えば君の生みの親は私なんだが、それはともかく、君のご先祖様の系図を辿ってみよう」
・ウォルター・バーンド「スミッティ」
・カール・アンダーソン「ヘンリー」
・クロケット・ジョンソン「バーナビー」
・フェアリー・リキッド(洗剤)の商標の赤ん坊
・「ナッシング」ヨンソン(チェスター・グールド作「ディック・トレーシー」より)
・ジョーン・ウォルシュ・アングルンドの作品より
「僕は漫画になった夢を見ているリヴァイアサンなのか、それともリヴァイアサンになった夢を見ている漫画なのか」

 
※補足。「混沌」の子。諸星大二郎・作「無面目」(1989)より。
 
諸星大二郎 無面目 より
 
 
フロイトやバタイユ、チェスタートンを引用しつつ、シュレーディンガーの猫ギャグや、ヘーゲルの幽霊がゲスト司会者(※)で登場したりする高踏的コミック。作者ブレグヴァドの懸命の防御にもかかわらず二次元の世界にまで浸透してきた現実世界の臭気に耐えかねたリヴァイアサンが、真の民主主義社会を実現するために「独裁者殲滅ガス」を発明して撒布したところ、作者もリヴァイアサン本人も灰になってしまうという厭世的にして爽快なギャグもあるが、いかんせん赤塚不二夫から吾妻ひでお、諸星大二郎からねこぢるに至る世界に誇るべきギャグマンガの伝統を持つわれわれ日本人にとっては、むしろ微笑ましく慎ましい内容である。
※ GUEST+HOST=GHOST(デュシャンの言葉遊び)。ガイスト(精神/幽霊)。
 
 
ピーター・ブレグヴァド「リヴァイアサン」ホームページ:
Peter Blegvad's Leviathan
http://www.leviathan.co.uk/menu.html
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  

  

 
 
 
 
 
  
 
 

 
  

 
 
 
 
 
 
 
 
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー

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