「別冊現代詩手帖第二号 ルイス・キャロル」

「子供のすばらしい経験分野を多かれ少なかれ威圧的に制限して、子供を型に嵌め、やがて子供を小さく固まらせようとする傾向のある大人たちに対して、子供はつねに徹底的な抵抗をもって応ずるにちがいない。」
(A・ブルトン 「ルイス・キャロル」 より)


「別冊現代詩手帖第二号 
ルイス・キャロル」

アリスの不思議な国あるいはノンセンスの迷宮

思潮社 
1972年6月1日発行
1975年4月10日再版発行
324p 
22×14.8cm 並装 
定価980円
編集人: 桑原茂夫



別冊現代詩手帖 ルイスキャロル 01


「編集ノート」より:

「ひとりルイス・キャロル個性にとどまらぬ無名の闇から我れらに迫り来る何ものかに敢えて挑むべくこの特集号は出発した。そして今、高橋康也氏からの全面的なご助言、ご助力をえて、一冊のかたちをとり、言い得べくばひとつの結節点をつくり、読者諸兄にお届けすることができた。」


別冊現代詩手帖 ルイスキャロル 02


目次: 

キャロル・ワンダーランド
 高橋康也 「不思議な鏡の国のキャロル」
 種村季弘 「遊戯の規則――キャロル再訪」
 瀧口修造 「「笑い猫」夢話」 (きき手: 種村季弘)
 野中ユリ 「to and from Olive Flower, WHITE」 (コラージュ)
 植草甚一 「Boutade on reading LEWIS CARROLL」 (コラージュ)
 
キャロル論叢
 今井邦彦 「Carrollinguistics 三題」
 平野敬一 「アリスの世界とマザー・グースの世界」
 大森荘蔵 「ナンセンス・その詩と真実――キャロルとヴィトゲンシュタイン」
 土岐恒二 「ルイス・キャロルと言語遊戯・私見」
 紀田順一郎 「反世界とその圏域――キャロルとチェスタトン」
 岩成達也 「アリスあるいはその二つの国」
 宮本忠雄 「アリス・キャロル・ドジソン」
 大澤正佳 「キャロルとジョイス――遅れて来た男の話」
 
アリスの不思議な国めぐり
 天沢退二郎 「宮沢賢治と『鏡の国のアリス』」
 宮川淳 「G・ドゥールーズの余白に」
 加藤郁乎 「アリス元年」
 吉岡実 「キャロルを探す方法」
 竹内健 「有栖乙女」
 別役実 「叛乱・アリス風の」
 鈴木志郎康 「極私的「不思議の国」潜り」
 矢川澄子 「不滅の少女」
 
キャロルノンセンスワールド 高橋康也 編
 牧童としての子供 (W・エムプソン/訳: 高橋康也)
 ルイス・キャロル (A・ブルトン/訳: 澁澤龍彦)
 ノンセンスの擁護 (G・K・チェスタトン/訳: 高橋康也)
 ノンセンス詩人としてのキャロルとエリオット (E・シューエル/訳: 柴田稔彦)
 不思議な国再訪 (H・レヴィン/訳: 出淵博)
 夢の力 (J・ガッテーニョ/訳: 巖谷國士)

キャロル原風景
 気違いティーパーティー (訳・註解: 高橋康也)
 ジャバウォックの歌 (訳・註解: 高橋康也)
 スナーク狩り  (訳・註: 沢崎順之助) 
 「スナーク」狩りへの試み (沢崎順之助)
 シルヴィーとブルーノ (小池滋)
 キャロル拾遺
 キャロル年譜・書誌 (高橋康也 編)

表紙
 撮影: ルイス・キャロル
 少女: アリス・リッデル
 人工着色: 野中ユリ
 構成: 田辺輝男
口絵
 撮影: ルイス・キャロル
 少女: アリス・リッデル
 署名: ルイス・キャロル
 構成: 田辺輝男
本文レイアウト: 田辺輝男
目次
 図案・構成: 野中ユリ
 構成: 田辺輝男
中扉 構成: 田辺輝男
 ルイス・キャロル自画像
 マックス・エルンスト
 ジョン・テニエル挿画合成
 『アリスの地下の冒険』原稿
 キャロルによる鏡文字
挿画
 ルイス・キャロル
 ジョン・テニエル
 マックス・エルンスト



別冊現代詩手帖 ルイスキャロル 08


野中ユリによるコラージュ作品。


別冊現代詩手帖 ルイスキャロル 09


植草甚一によるコラージュ作品。


別冊 現代詩手帖 ルイスキャロル 04


加藤郁乎「アリス元年」より:

「見ないでも壮観な
引越し先が引越している
君は寄生観念で
つかまえにくいマノフイカ
縄のれんの竹輪の穴に
アルファベット・ペパー時代を
思い出し入れしてみよう
煮豆を摘まみながら
いつまでも少女すぎるのは
理婦人すぎるね」



別冊現代詩手帖 ルイスキャロル 05


吉岡実「ルイス・キャロルを探す方法」より:

「ああアイリーン・ウィルソン・トッドよ 風に吹かれたあの長い髪が庭の木を巻く 恐ろしいことに木の幹がつるつるしている 死んでいる木 生きている木 叩くなら木の股を 大梯子へあがって兄の首を吊すこと」

「窓から見えるエフィー・ミレエス 父と母と妹がこの窓から飛びおりるのを上からのぞいたような気がする」

「C・バーカー牧師の娘メイは椅子の上へ立っている 靴のまま この狼藉の恍惚 十二才になったら飛びおりる」



別冊現代詩手帖 ルイスキャロル 06




































































































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Helmut Gernsheim 『Lewis Carroll - Photographer』

"I am fond of children, except boys."
- Lewis Carroll


Helmut Gernsheim
『Lewis Carroll - Photographer』

With 63 photographs by Lewis Carroll

Dover Publications, Inc., New York, 1969
x, 127pp, 23.3x15.5cm, paperback

This Dover edition, first published in 1969, is an unabridged and revised republication of the work originally published by Max Parrish & Co., Limited, London, in 1949. A new preface has been written by the author for this edition.



写真史家ヘルムット・ガーンズハイム(ヘルムート・ゲルンシャイム)著『写真家ルイス・キャロル』。
図版(モノクロ)63点。


gernsheim - lewis carroll photographer 01


表紙は中国人に扮したクシー(アレクサンドラ)・キッチン(Xie Kitchin as "A Chinaman")。


Contents:

Preface to the Dover Edition (1969)
Preface to the First Edition (1949)

1. THE PROGRESS OF PHOTOGRAPHY IN ENGLAND
 Photography - the New Art
 Photography for the Million
 Portrait Photography - a New Industry
 The Painter-Photographer
 The High Priests of Photographic Art

2. LEWIS CARROLL - PHOTOGRAPHER
 Sitters
 Gift for Entertaining Children
 Costume Pictures
 Photographic Glasshouse
 Exposures
 Photographic Outfit
 The Technique of the Wet-Plate Process
 Photographic Societies
 Retouching and Colouring
 Composition.

3. LEWIS CARROLL'S DIARY ENTRIES:
 1855-59
 1860-64
 1865-69
 1870-74
 1875-80

PLATES

4. NOTES ON THE SITTERS AND PLATES

CHRONOLOGY
LEWIS CARROLL'S PHOTOGRAPH ALBUMS
DISTINGUISHED MEN AND WOMEN PHOTOGRAPHED BY LEWIS CARROLL
BIBLIOGRAPHY

LEWIS CARROLL'S WRITINGS ON PHOTOGRAPHY:
 I. Photography Extraordinary
 II. Hiawatha's Photographing
 III. The Ladye's History
 IV. A Photographer's Day Out
 V. Photographs

ACKNOWLEDGMNENTS



gernsheim - lewis carroll photographer 02



◆本書より◆


「Some of Lewis Carroll's rules were rather one-sided affairs. We come across many contradictory traits in his character: he had a horror of being photographed but never tired of pressing others to sit to him; he was fond of collecting *cartes* but to have his own portrait collected by others was distasteful to him; he was a lion-hunter who hated to be lionised himself; he was a great autograph collector but when he suspected others of writing to him only in order to get his signature he would use script or a typewriter and ask a friend to sign for him. Caricatures went only one way too, as the incident with Isa Bowman shows. When Lewis Carroll saw a caricature which she had attempted of him, he went red in the face, snatched it from her and tore it up. Another incongruity was that in spite of his dislike of receiving surprise visits he often dropped in on people unexpectedly himself.」

(ルイス・キャロルの人との関わり方は一方的で、矛盾したものだった。本人は写真恐怖症で自分が被写体となることを避けたが、他人の写真を撮りまくった。他人の写真をコレクションするのを好んだが自分の写真を他人に与えるのは嫌った。有名人が好きだったが自分が有名人になるのは厭だった。サインの収集家だったがサイン欲しさに手紙を書いてくる者に対しては署名にタイプライターを使ったり代書させたりした。似顔絵も、描くのは好きだが描かれるのは嫌いで、アイザ・ボウマンが描いた自分の似顔絵を奪い取って破り捨てた。突然訪問されるのを嫌ったが、自分は他人の家に予告なしに押しかけた。)



gernsheim - lewis carroll photographer 03

「赤頭巾」に扮したアグネス・グレイス・ウェルド (Agnes Grace Weld as "Little Red Riding-Hood")。


gernsheim - lewis carroll photographer 04

詩人クリスティーナ・ロセッティとその母親 (Christina Rossetti and her mother)。


gernsheim - lewis carroll photographer 05

画家アーサー・ヒューズとその娘アグネス (Arthur Hughes, the Artist, and his daughter Agnes)。


gernsheim - lewis carroll photographer 06

C・バーカー牧師と娘のメイ (Rev. C. Barker and his daughter May)。


gernsheim - lewis carroll photographer 07

画家ミレイの娘メアリー (Mary Millais, daughter of John Millais)。





























































































Lewis Carroll / Martin Gardner - The Annotated Alice, The Definitive Edition

The Annotated Alice
The Definitive Edition

Alice's Adventures in Wonderland
& Through the Looking-Grass
by Lewis Carroll
Original Illustrations by John Tenniel
Introduction and Notes
by Martin Gardner


W.W. Norton & Company, New York, 2000
xxviii, 312pp, 26x22cm, hardcover, dust jacket



マーティン・ガードナーによる定本「注釈版アリス」。1960年の「The Annotated Alice」と1990年の「More Annotated Alice」を一冊にまとめ、さらに増補改訂した決定版。

ガードナーの「The Annotated Alice」を買うのは今回で三冊目。最初に買ったのは旧版のペンギン・ブックス版ペーパーバックで、これはすぐページがバラバラになってしまったので廃棄し、同じ内容のハードカバー版を購入。今回さんざん迷った挙句に「Definitive Edition」を注文してみたが、確かに面目一新、これだけ立派な本が2千数百円で買えるのは有り難い。


annotated alice 01


カバーは模様と文字が金。さらに文字にはエンボス加工が施された豪華版。


annotated alice 02


カバーを外してみた。紙装上製本、金箔押し。


annotated alice 03


巻末資料としてテニエルによる挿絵の鉛筆下書きが掲載されている。


annotated alice 04


左が本書、右が旧版。サイズは、ヨコは同じだが、タテは旧版より2cmほど縮小されている。本書は旧版より活字が小さくなっているので、内容は大幅に増補されているが、ページ数は旧版より少なくなっている。

テニエルの挿絵も、本書では旧版より鮮明になっているのが上の画像からもわかっていただけるものと思う。ただ、紙質のせいでやや裏写りして(裏のページの文字などが透けて)しまうのが残念。


内容:

Preface to the Definitive Edition of The Annotated Alice
Introduction to The Annotated Alice
Introduction to More Annotated Alice

Alice's Adventures in Wonderland
Through the Looking-Glass and What Alice Found There
The Wasp in a Wig

Original pencil sketches by Tenniel
A note about Lewis Carroll societies
Selected references
Alice on the screen, by David Schaefer


「The Wasp in a Wig」は、「鏡の国」のために執筆されたものの、テニエルに挿絵化を拒否されたためお蔵入りになっていた挿話。1974年にオークションに出され、1977年にガードナーの序文入りで刊行、1990年「More Annotated Alice」に収録された。




















































































































高橋康也・沢崎順之助 訳 『原典対照 ルイス・キャロル詩集』

'You shouldn't make jokes,' Alice said, 'if it makes you so unhappy.'
(「冗談を言ってそんな辛い気持ちになるなら、冗談なんか言わなければいいのに」とアリスは言いました。)


高橋康也・沢崎順之助 訳 
『原典対照 ルイス・キャロル詩集
―不思議の国の言葉たち』

ちくま文庫 1989年4月25日第1刷発行
408p 文庫判 カバー 定価740円
「この作品は一九七七年一二月一五日、筑摩書房より刊行したものを改訂、増補した。」

 
文庫版ルイス・キャロル詩集。
単行本は銀色の函入りで、本体はクリーム色の表紙のソフトカバー本だったと思う。
訳文は首を傾げたくなる個所もあるが、原文が併載されているので安心だ。
 
 
ルイスキャロル詩集 ちくま文庫1
 
カバー裏文:
 
「チャールズ・ラトウィジ・ドジソン少年が13歳の時に書いた詩から始めて、二つの『アリス』物語、『スナーク狩り』、『シルヴィーとブルーノ』など主要作品から<詩>を摘みとって編み上げた“不思議の国”のアンソロジー。
訳文・原文・脚註を読みくらべながら、まじめとあそび、センスとノンセンスの間をさまよって行くと、あなたは突然ウサギ穴にドスン……。
ルイス・キャロル撮影の少女たちなど写真や絵がいっぱい。」

 
 
ルイスキャロル詩集 ちくま文庫2
 
本文はこんな感じ。
 
 
ルイスキャロル詩集 ちくま文庫3
 
図版。ルイス・キャロルによるイラスト。
 
 
目次:
 
・『アリス』のほうへ 高橋康也訳
・アクロスティック 高橋康也訳
・『アリス』より 高橋康也訳
・スナーク狩り 沢崎順之助訳
  「スナーク」狩り 沢崎順之助
・『シルヴィーとブルーノ』より 高橋康也訳
・そしてまたあるときは…… 高橋康也訳
 
あとがき 高橋康也

 
 
それにしても出版社の宣伝文とはうらはらに、楽しいというよりは痛ましい詩集。
自分が将来どのような人間になるかは、だいたい子供の頃に明瞭にわかってしまうものだが、ルイス・キャロルが少年時代に作った手書きの雑誌「牧師館の雨傘」の巻頭には「雨傘をひろげて横たわった詩人が描かれている。少女のごとく女装した長髪で髭ぼうぼうの老人としての自画像(略)。キャロルの嫌いな男の子の形をした小鬼たちが「悲しみ」「不機嫌」「退屈」「悪意」などの石つぶてを投げつけるが、詩人は「物語」「詩」「なぞなぞ」「冗談」と書きつけた雨傘でそれを防いでいる。「上機嫌」「笑い」などを表わす少女天使たちは、それぞれの贈物を詩人に捧げる」「巻末には、傘をたたんで立ち上った老人=少女=詩人としての自画像が描かれている」(本書より)。変わり者として生れてきたゆえに理不尽にも我が身に降りかかるこの世の悪意や辛酸を、詩作や言葉遊びへの没入によって追い払おうとし、不可能と知りつつも生きることを楽しもうと願う著者の真摯な姿には同情を禁じえない。チェスタトンは「いつも冗談を言っているような人間は、いつ自殺してもおかしくないのだ」と説いたが、むべなるかなである。ルイス・キャロルもよく自殺せずに生きのびたものだ。
 
 
rectory umbrella
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Lewis Carroll / Martin Gardner - The Annotated Alice (1960)

The Annotated Alice
Alice's Adventures in Wonderland
& Through the Looking-Glass
by Lewis Carroll
Illustrated by John Tenniel
With an Introduction and Notes by
Martin Gardner

Bramhall House, New York, 1960, reprinted (n.d.)
352pp, 28x22cm, quarter cloth binding, dust jacket
Jacket design by Sydney Butchkes

 
マーティン・ガードナーによる注釈版「アリス」(1960年)。本書はのちペンギン・ブックスから普及版(1970年)が出ている。本書以降に著者が書きためた注釈は1990年に『More Annotated Alice』として刊行され、さらに両者の内容を一冊に収め改訂を施した定本『The Annotated Alice: The Definitive Edition』(1999年)が出ている。
 
 
the annotated alice bramhall house 1
 
表紙。
 
 
the annotated alice bramhall house 2
 
裏表紙。ニューヨークのセントラル・パークのアリス像の前のガードナー。
 
 
the annotated alice bramhall house 3
 
カバーを外してみた。背の部分が布装。
 
 
the annotated alice bramhall house 4
 
見返し。
 
 
the annotated alice bramhall house 5
 
本文。










































































プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー

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