ジャン・コクトー 『映画について』 梁木靖弘 訳

「そのとおり、またしても私だ。
自分にさよならを言おうとすると
いつまでたってもきりがない」

(ジャン・コクトー 『オルフェの遺言』 より)


ジャン・コクトー 
『映画について』
梁木靖弘 訳


フィルムアート社 
1981年10月31日 発行
1989年1月30日 第7刷
292p 
四六判 並装 カバー 
定価1,800円+税
装幀: 粟津潔



本書は、コクトー生前の単行本には未収録だった映画に関する文章を集成した没後刊行本(1973年)の日本語訳です。原書は『シネマトグラフをめぐる対話』と二冊セットで刊行されたようです。

Jean Cocteau: Du Cinématographe
本文中図版(モノクロ)24点。


コクトー 映画について 01


コクトー 映画について 03


目次:

編者序文 (アンドレ・ベルナール/クロード・ゴトゥール)

Ⅰ章 シネマトグラフと詩
 演劇とシネマトグラフ
 詩人たちの手に危険ですごい武器ひとつ
 映画、詩の媒体
 映画は勇気を持つ必要がある
 詩と映画
 映画における詩
 映画の美
 ヴェネチア・ビエンナーレのこと
 呪われた映画について
 映画祭の教訓
 カンヌの待合せ
 十六ミリの想像力

Ⅱ章 オマージュ
 ブリジット・バルドー
 アンドレ・バザン
 ジャック・ベッケル
 チャーリー・チャップリン
 ジェイムズ・ディーン
 マルレーネ・ディートリッヒ
 セルゲイ・M・エイゼンシュテイン
 ジャン・エプスタン
 ジョー・アマン
 ローレルとハーディ
 マルセル・マルソー
 ジェラール・フィリップ
 フランソワ・レシャンパック
 ジャン・ルノワール
 イルジー・トルンカ
 オースン・ウェルズ
 ロベルト・ヴィーネ
 詩と観客
 映画の原典
 ある回想の続き
 ある回想の終わり
 肉体の悪魔
 ピカソの秘密
 砂の結婚
 オセロ
 裁かるるジャンヌ
 野獣の血
 顔のない眼

Ⅲ章 わが映画への註
 詩人の血
 美女と野獣
 双頭の鷲
 恐るべき親たち
 オルフェ
 オルフェの遺言
 声
 ルイ・ブラス
 悲恋
 クレーヴの奥方

Ⅳ章 未発表シノプシス
 オルフェ
 コリオランの生涯からの一挿話、あるいは自明の理
 コリオラン
 運のつき
 ガス灯、一大ギャグ・コメディ
 呪われた町
 イールのヴィーナス

Ⅴ章 ジャン・コクトー フィルモグラフィ (編・解説: 高橋洋一)

訳者あとがき



コクトー 映画について 02



◆本書より◆


「呪われた映画について」より:

「映画プロダクションなどはない。それはお笑い草だ。文学や、絵画や、音楽のプロダクションがないのと同じことである。いい葡萄酒のできる年があるという言い方にならえば、いい映画のできる年などない。美しい映画は一つの偶発事件(アクシデント)であり、ドグマの足をひっかけてやることだ。規則を軽蔑する映画、異端の映画、“呪われた”映画の何本かはシネマテーク・フランセーズの宝物であって、それらをこそ擁護するとわれわれは主張するものである。」


「映画祭の教訓」より:

「観客に野次られる映画を上演するのが主眼ではない。運悪く観客にめぐり逢えないでいた映画や、本当はずっと感受性があるのにそうではないと思われている観客を懸念して、封切りをためらっているような映画を上映するのが本意である。」


「十六ミリの想像力」より:

「フランスの魅力を形づくっているのは誰か? と私は聞きたい。政治家でないことは確かである。それは、ヴィヨンであり、ランボーであり、ロートレアモンであり、ヴェルレーヌであり、ド・ネルヴァルであり、ボードレールである。フランスは彼らを軽蔑し、追放した。飢えで苦しめた。自殺か、さもなくば病院での死に追いやった。
 われわれはこの神秘的な共有財産を保護しなければならない。」

「若者が自由に参加できないような芸術は、前もって有罪の判決を受ける。カメラが万年筆になるようでなければいけないし、誰もが自分の魂を視覚的文体に翻訳できるようでなくてはいけない。各人がフィルムを切り、撮影し、編集し、音をつけることを学ぶのが大事なのであって、この実に厳しいメチエの一部門に専門分化することを学ぶべきではない。すなわち、工場内の一機関のそのまたなかの一細胞になることでなく、水に飛び込めば自己流の泳ぎ方を発明するような、自由な肉体になるということだ。」



「ジャック・ベッケル」より:

「ジャック・ベッケルはおずおずと不明瞭に話すので、しまいにはある種の沈黙、曖昧な口ごもりへと、もつれてしまったように私には見えたものだ。そういうときの彼のうまく言えないもどかしさは、子供たちが自分の宝物を分けてあげようとするときの優美さにも比すべきものになった。
 それは彼が、子供の魂の、あのあらがえぬ魅力、くどくど弁解しないという魅力を持っていたからだ。彼を失ったことが私はつらい。しかし、私はそうとは信じられないのだ。なぜなら彼の映画が忠実に生を引き延ばしているのだから。」



「ジェイムズ・ディーン」より:

「ジェイムズ・ディーンは、私の眼には、習慣に対する不服従の一種の大天使と映る。そして彼の最高に美しい不服従の行為とは、約束された栄光に対して彼の死がつきつけた恐るべき拒絶のことではないか? 彼はいわば教師たちに舌を出して、教室の窓から逃げだす小学生のように、この世から出ていった。」


「ジャン・エプスタン」より:

「ジャン・エプスタンは規則に従わずに生きるという手本を、また、ただ魂と心の力だけをたよりに生きるという手本をあたえてくれました。」


「オルフェ」より:

「『オルフェ』はリアリズムの映画である、というか、ゲーテが現実と真実のあいだに設けた区別を守って、もっと正確に言うと、私に固有の真実を表現した映画である。この真実が観客のものと違えば、また私の個性の表現を観客の個性が拒否すれば、私は嘘つきよばわりされる。それにしても、この個人主義の国でいまだに多くの人が他人の考えにあいかわらずすぐ染まるということが、私には驚きである。」


「オルフェの遺言」より:

「私の映画を見る観客のほとんどが、これはくだらないとか、てんで理解できないとか言うのは目に見えている。彼らはまったく間違っているわけではない。なぜなら、私自身まったく理解していないので、ほとんどあきらめかけ、私を信じてくれた人々にお詫びをしようとまで思ったことがあるからだ。だが経験は私に教えてくれていた。一見意味がないように見えて実は意味のあるものを、どんな口実があるにせよ放棄してはいけないと。」

「難破ほど、死せる規則への不服従ほど、偶発事故ほど、まちがいほど美しいものはない。ただし人間がそれを聖化し、模範にしてしまうほど強ければの話だが。もしまちがいを犯した者が、それをボードレールの言う「美の最も新しい表現」へ変えるならば、まちがいはまちがいでなくなる。」



コクトー 映画について 04


















































































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ジャン・コクトー 『阿片』 (堀口大學 訳)

「子供たちは自分の中に自然の麻薬を持っている。」
「すべて子供たちは、彼らのなりたく思うものになれる不可思議な能力を持っている。詩人たちの心の中には子供らしさが残っているが、詩人たちにはこの能力を失うのが辛い。ともするとこれが、詩人を駆って阿片に走らせる理由の一つかも知れない。」

(ジャン・コクトー 『阿片』 より)


ジャン・コクトー 
『阿片』 
堀口大學 訳


求龍堂 
1972年11月13日 初版
1975年3月28日 再版
158p  
27.5×21cm 並装 
本体カバー 機械函 
定価2,300円



本書「訳者あとがき」より:

「ジャン・コクトーが初めて阿片を試したのは、一九二四年六月二日。前の年十二月十二日、腸チフスで失った最愛の若い友、レーモン・ラディゲの死後、悶々悲歎から立ち直れずに、意気消沈、生ける屍さながらの状態を続けているコクトーの姿を、見るに見かねた友人たちが、彼を南フランス紺碧海岸へ連れ出し、阿片窟へ案内したのだった。」
「今度、求龍堂に、久しく絶版になっている『阿片』出版の希望があるを幸い、四十年前第一書房の時の訳文に、完膚なきまでの加朱改訂をほどこした新訳を、ここにこうして新しい読者に贈ることになったもの、どうぞご愛読を!」



デッサン40点収録。


コクトー 阿片 01


函裏文: 

「コクトーの全著作中最も特異な芸術論と目される「阿片」 本書は、阿片に魅入られ常用するようになったコクトーが阿片中毒治療のための禁断症状の中で書き綴ったノートとデッサンを一冊の本としてまとめたものである
そのアフォリズムは 真実の存在をあらためて高貴で精緻な観念におきかえ 無数にひかれた線は 不可思議なデッサンとなり コクトーの思索の横糸として重要なカギをにぎっている
サガン・ビュッフェの「毒物」の原型とも目される本書は 今回堀口大學が完璧を期した彫琢の新訳であり 「阿片」の定本である」



コクトー 阿片 02


内容:

阿片
訳者あとがき



コクトー 阿片 03



◆本書より◆


「これらのデッサンとこれらのノートは、一九二八年十二月十六日から一九二九年四月に至る季刊、サン・クルー療養院に入院中のものだ。
 それは全部、世の阿片喫煙者、病人たち、書くことの唯一の言訳、著作が招く未知の友人たちに捧げられる。」

「もしかすると、人は行儀がわるいと云って僕を責めるかも知れない。実は僕、無作法でありたいのだ。だがそれはなかなかむずかしい。由来、無作法は偉人のしるしだもの。」

「僕は、上手に書くとか、下手に書くとかいうことを、今後まるで考えないようにしたいと思う。僕は数字で文章が書きたいのだ。」

「僕は自分が経験した失敗にも拘らず、阿片はいいものであり、またそれを愛らしいものにするかしないかさえ、専ら僕らの腕一つだとの確信を失わずにいる。要は阿片の用法を知るにある。それなのにこの点に関して僕らの不器用さは無類だ。」

「夢の活語は現(うつつ)の死語だ……。通訳と翻訳が必要になる。」



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Jean Cocteau "Anthologie" (CD)

Jean Cocteau
"Anthologie:
Oeuvre enregistrée
- Nombreux textes inédits"


Frémeaux & Assocciés, 1997 / FA 064 (4CD)



ジャン・コクトーによる自作朗読や、オーリックとプーランクの連弾による「パラード」の音楽、ジャンヌ・モローとジャン・マレーによる「地獄の機械」(抜粋)、ベルト・ボヴィによる「声」(抜粋)、マリアンヌ・オスヴァルドやエディット・ピアフその他による朗読と歌唱、アカデミー・フランセーズ入会演説などの音源を収録した4枚組CD。
48ページ解説ブックレット(本文中図版18点)付。


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CD No. 1

1. Musique 2:00
Prélude du Rideau Rouge
extrait du ballet Parade - Argument de Jean Cocteau - Musique d'Eric Satie, interprétée au piano à quatre mains par Georges Auric et Francis Poulenc.
15 et 16 Juillet 1937

バレエ「パラード」より
ピアノ: ジョルジュ・オーリック、フランシス・プーランク

Jean Cocteau - Trois Poèmes dits par l'auteur.
2. Le Buste 1:06
3. No Man's Land 0:35
4. Le Théâtre Grec
Mai 1929

詩集「オペラ」より、「胸像」「No man's land」「ギリシャ劇」
朗読: ジャン・コクトー

Le Musee Secret de Jean Cocteau
Trois Poemes dits par l'auteur.
5. Nuit Blanche ou Pigeon Terreur 1:05
6. A l'Encre Bleue 0:42
7. Martingale 0:58
Mai 1929

詩集「オペラ」より、「不眠の夜或いは恐怖鳩」「青い錨亭」「マルタンガル」
朗読: ジャン・コクトー

8. Musique 2:17
Le Prestidigitateur Chinois
extrait du ballet Parade
Argument de Jean Cocteau - Musique d'Eric Satie
interprétée au piano à quatre mains par Georges Auric et Francis Poulenc.
15 et 16 Juillet 1937

バレエ「パラード」より
ピアノ: ジョルジュ・オーリック、フランシス・プーランク

Trois Poèmes de Jean Cocteau dits par l'auteur
9. Les Mauvais Élèves 1:17
10. Le Modèle des Dormeurs 0:42
11. Le Camarade 0:52
Déc. 1929

詩集「オペラ」より、「悪い生徒」「睡眠者のモデル」「同志」
朗読: ジャン・コクトー

12. Musique 0:38
La Petite Fille Américaine
extrait du ballet Parade
Argument de Jean Cocteau - Musique d'Eric Satie
interprétée au piano à quatre mains par Georges Auric et Francis Poulenc.
15 et 16 Juillet 1937

バレエ「パラード」より
ピアノ: ジョルジュ・オーリック、フランシス・プーランク

13. Le Théâtre de Jean Cocteau 3:26
Poèmes d'Opéra dits par l'auteur.
Décembre 1926

詩集「オペラ」より、「ジャン・コクトーの劇」
朗読: ジャン・コクトー

14. Poèmes d'Opéra 3:43
Les Voleurs d'Enfants, dit par l'auteur, avec l'orchestre de Dan Parrish exécutant : "Pourquoi j'ai regretté" (Vance Lowry)
1 - 3 Décembre 1929

詩集「オペラ」より、「人勾引」
朗読: ジャン・コクトー

15. Poèmes d'Opéra 2:49
La Toison d'Or, dit par l'auteur, avec l'orchestre de Dan Parrish
exécutant : "Holidays"
1 -3 Décembre 1929

詩集「オペラ」より、「金羊毛」
朗読: ジャン・コクトー

16. Le Fils de l'Air 3:19
Poéme de Jean Cocteau dit par l'auteur.
Novembre 1934

詩「空気息子」
朗読: ジャン・コクトー

17. Musique 2:09
Ragtime du Paquebot
extrait du ballet Parade
Argument de Jean Cocteau - Musique d'Eric Satie
interprétée au piano à quatre mains par Georges Auric et Francis Poulenc.
15 et 16 Juillet 1937

バレエ「パラード」より
ピアノ: ジョルジュ・オーリック、フランシス・プーランク

18. La Machine Infernale 3:22
Pièce en 4 actes - Extrait de l'acte 2
Scène du Sphinx avec Jean Cocteau, le Sphinx et Jean Pierre Aumont, Oedipe.
Avril 1935

劇「地獄の機械」(抜粋)
ジャン・コクトー、ジャン・ピエール・オーモン

19. Musique 2:27
Les Acrobates
extrait du ballet Parade
Argument de Jean Cocteau - Musique d'Eric Satie
interprétée au piano à quatre mains par Georges Auric et Francis Poulenc.
15 et 16 Juillet 1937

バレエ「パラード」より
ピアノ: ジョルジュ・オーリック、フランシス・プーランク

20. Anna la Bonne - Paroles et Musique de Jean Cocteau 5:14
Chanson Parlée interprétée par Marianne Oswald
Présentation de Jean Cocteau
13 Mars 1934

モノローグ「女中アンナ」
マリアンヌ・オスヴァルド

21. Musique 2:35
Suite au Prélude du Rideau Rouge
extrait du ballet Parade
Argument de Jean Cocteau - Musique d'Eric Satie
interprétée au piano à quatre mains par Georges Auric et Francis Poulenc.
15 et 16 Juillet 1937

バレエ「パラード」より
ピアノ: ジョルジュ・オーリック、フランシス・プーランク

22. Attendre 1:02
Poème de Jean Cocteau, interprété par Suzy Solidor
Décembre 1937

詩「待つ」
シュジー・ソリドール

23. Mensonge 1:06
Poeme de Jean Cocteau, interprété par Suzy Solidor
Décembre 1937

詩「嘘」
シュジー・ソリドール

24. Mes Soeurs, N'Aimez Pas Les Marins 3:12
Paroles et Musique de Jean Cocteau,
interprété par Marianne Oswald
Orchestre sous la direction de Wal Berg
17 Décembre 1935

シャンソン「水夫を愛してはいけない」
歌: マリアンヌ・オスヴァルド

25. Arbre de Noël 1946 7:58
Texte de Jean Cocteau dir par l'auteur.

「クリスマスツリー」
朗読: ジャン・コクトー

26. La Dame de Monte Carlo 6:12
Poeme de Jean Cocteau interprété par Marianne Oswald
17 Décembre 1935

モノローグ「モンテ・カルロの貴婦人」
マリアンヌ・オスヴァルド


CD No. 2

1. Valse Langoureuse extrait du film Le Lit à Colonnes 3:08
Paroles de Jean Cocteau - Musique de Jean Françaix
Chantée par Jacques Jansen
17 Février 1943

「物憂げなワルツ」
作詞: ジャン・コクトー
作曲: ジャン・フランセ
歌: ジャック・ジャンセン

2. Mon Premier Voyage Autour du Monde en 80 Jours 5:20
Texte de Jean Cocteau dit par l'auteur, enregistré en 1955
Enregistrement privé

「僕の初旅・世界一周」
朗読: ジャン・コクトー

3. Crucifixion 12:12
Poème de Jean Cocteau dit par l'auteur
Enregistrement original inédit - 1952
Prise de Son et Réalisation Sonore : Fred Kiriloff - Collection Fred Kiriloff

詩「はりつけ」
朗読: ジャン・コクトー

4. La Voix Humaine ou Solo pour une Actrice. 15:40
Pièce en 1 acte, interprétée par Madame Berthe Bovy, Sociétaire de la Comédie Française
Juin 1930

「声」
ベルト・ボヴィ

5. Nuit de Noël 6:50
Poème de Jean Cocteau dit par l'auteur
Enregistrement original inédit - 1952
Prise de Son et Réalisation Sonore : Fred Kiriloff - Collection Fred Kiriloff

詩「クリスマスの夜」
朗読: ジャン・コクトー

6. Jean Cocteau présente Edith Piaf 0:12
Enregistrement privé - 1946

「ジャン・コクトーがエディット・ピアフを紹介する」

7. Le Bel Indifférent 27:28
Pièce en 1 acte, créée par Edith Piaf
Enregistrée le 28 Mai 1953 au Théâtre Marigny à Paris

一幕劇「美男薄情」
エディット・ピアフ


CD No. 3

1. Jean Cocteau Vous Parle 4:04
Novembre 1950

「ジャン・コクトーは語る」

2, Poèmes extraits de Plain-Chant dits par Jean Cocteau 4:08
Novembre 1950

詩集「平調曲」(抜粋)
朗読: ジャン・コクトー

3. La Difficulté d'Être (Du Travail et De la Légende) 4:26
Texte de Jean Cocteau dit par Raymond Rouleau
Novembre 1950

「存在困難」より「仕事と伝説とについて」
朗読: レイモン・ルーロー

4. Les Parents Terribles 4:18
Pièce en trois actes (Extrait) interprétée par Yvonne De Bray et Jean Marais
Novembre 1950

劇「恐るべき親たち」(抜粋)
イヴォンヌ・ド・ブレー、ジャン・マレー

5. La Machine Infernale 14:46
Pièce en 3 actes - Extrait de l'Acte 2
Jeanne Moreau, le Sphynx - Jean Marais, Oedipe
Fin 1955

劇「地獄の機械」
ジャンヌ・モロー、ジャン・マレー

6. Préface des Mariés de la Tour Eiffel 5:35
Texte de Jean Cocteau dit par l'auteur
Prise de Son : Fred Kiriloff - Enregistrement inédit

「エッフェル塔の花嫁花婿」序
ジャン・コクトー

7. Les Mariés de la Tour Eiffel 16:33
Argument et Texte de Jean Cocteau -
Musique originale de Pierre Philippe
Phono 1: Jean Le Poulain
Phono 2: Jacques Charon
La Voix: Jean Cocteau
Prises de Son et Réalisation Sonore : Fred Kiriloff
Avril 1955

劇「エッフェル塔の花嫁花婿」
ジャン・ル・プーラン、ジャック・シャロン、ジャン・コクトー
音楽: ピエール・フィリップ

8. Présentation du Groupe des Six 5:46
Texte inédit Jean Cocteau dit par l'auteur
Prise de Son : Fred Kiriloff
Avril 1953

「六人組の紹介」
ジャン・コクトー


CD No. 4

1. Discours de Réception a l'Académie Française 57:27
Jean Cocteau
Prise de Son et Réalisation Sonore : Fred Kiriloff
Enregistré du 20 au 23 Août 1955

「アカデミー・フランセーズ入会演説」
ジャン・コクトー


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ブックレット。


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ブックレット裏。


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ケース横。
右はコクトーのナレーションによるストラヴィンスキー「兵士の物語」(指揮はマルケヴィッチ)。


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Jean Cocteau Les Voleurs d'Enfants
















































『ジャン・コクトー全集 第三巻 小説』

「君のなかで世間が非難するところのものを、十分に手を入れて育てあげたまえ、それがほかならぬ君なのだから。」
(ジャン・コクトー 『ポトマック』 より)


『ジャン・コクトー全集 第三巻 小説』

監修: 堀口大學・佐藤朔
編集: 曽根元吉

東京創元社 昭和55年6月30日初版/平成元年7月25日4版
637p 目次2p 口絵i 
A5判 丸背バクラム装上製本 貼函
定価7,300円(本体7,087円)
装釘: 曽根元吉

月報1 (8p):
コクトーと六代目菊五郎(戸板康二)/コクトーとサルトル(白井浩司)/監修のことば(堀口大學・佐藤朔)/推薦のことば(安岡章太郎/大岡信)/編集後記/図版3点・カット1点



著者による挿絵(「ポトマック」)64点。


コクトー全集3-1


本書「解題」より:

「ジャン・コクトーの小説は『ポトマック 1913―1914』に始まり、『ポトマックの最後』で環を閉じる。その環のなかに『大胯びらき』『山師トマ』『白書』『恐るべき子供たち』『マルセーユの幻影』がふくまれ、あわせて七篇の小説が作者いうところのポエジー・ド・ロマン(小説の詩)のすべてである。」


内容:

ポトマック (澁澤龍彦 訳)
大胯びらき (澁澤龍彦 訳)
山師トマ (河盛好蔵 訳)
白書 (曽根元吉 訳)
恐るべき子供たち (佐藤朔 訳)
マルセーユの幻影 (佐藤朔 訳)
ポトマックの最後 (牛場暁夫 訳)

訳註
解題 (曽根元吉)



コクトー全集3-3

口絵: 「ジャン・コクトー (油彩、キャンバス) 1916 モディリアニ」



◆本書より◆


「ポトマック」より:

「こういうわけで僕は病気だった。ワクチンの結果みたいな病気だったが、とにかく病気にはちがいなかった。僕には熱があった。自分が狂人になるのではないかと思った。そして、こう考えて僕はみずから慰めていた。僕のいちばん大事な詩人たちと狂人とを隔てているのは、一枚のガラスにすぎない。もしも狂人の頭のなかで糸が切れたとすれば、切れる前に極度の緊張を強いられたからだろう、と。ほんのちょっとのことで、狂人の滑稽な分裂は感動的になるかもしれないし、ほんのちょっとのことで、詩人の感動的な分裂は滑稽になるかもしれないのだということを、僕は承知していた。」

「君のなかで世間が非難するところのものを、十分に手を入れて育てあげたまえ、それがほかならぬ君なのだから。」



「大胯びらき」より:

「われわれの人生の地図は折りたたまれているので、中をつらぬく一本の大きな道は、われわれには見ることができない。だから、地図が開かれてゆくにつれて、いつも新しい小さな道が現われてくるような気がする。われわれはその都度道を選んでいるつもりなのだが、本当は選択の余地などあろうはずがないのである。

ある若いペルシアの園丁が、王子にこう言った、
「王子様、今朝私は死神に出遭いました。死神は私に向って、何か悪いことの起りそうな仕草をして見せました。どうかお助け下さい。今晩までに、何とかしてイスパハンに逃げのびたいのですが」
親切な王子は自分の馬を貸してやった。午後、王子が死神に出遭った。
「なぜお前は」と王子が訊いた、「今朝、うちの園丁をおどかすような真似をしたのかね?」
「おどかすような真似だって?」と死神が答えた、「どんでもない、驚いた仕草をして見せたまでだ。だってあの男、今朝はイスパハンからこんな遠いところにいたのに、今晩はそのイスパハンでおれにつかまる運命なんじゃないか」」



「山師トマ」より:

「「弾丸だ」と彼は思った。「死んだ真似をしなけりゃ殺られてしまうぞ」」


「恐るべき子供たち」より:

「モンティエ広場は、アムステルダム街とクリシー街にはさまれている。クリシー街からは、格子門を通って、アムステルダム街からは、いつも開いている大門と、建物のアーチを突き抜けて、そこに入れる。建物の中庭が広場というわけで、細長い中庭には、独立した小さなアトリエがあって、それが家々の高い平壁の下に隠れている。小さなアトリエには、写真屋のような暗幕附きのガラス屋根があるが、それは画家たちの住居にちがいない。そこはおそらく武器や金襴や籠に入った猫とか、ボリヴィアの閣僚の家族とかを描いた画布で一杯だろう。そしてアトリエの持ち主のなかには無名も有名もいて、註文が多すぎるとか、政府の褒賞がうるさいとか文句をいいながら、ここの田舎ふうの広場の静けさのおかげで、世間の荒波からまもられて、暮している。」

「この部屋には、二つの小さなベッド、箪笥、暖炉、それに三つの椅子があった。二つのベッドのあいだには台所兼化粧室に通じるドアがあり、そこへは玄関からも入れた。部屋を初めて見た者は、びっくりする。ベッドがなかったら物置部屋だと思うだろう。箱、下着、タオルなどが床に散らかっていた。絨毯から織糸がはみ出していた。暖炉の中央には、石膏像があり、それにはインキで眼やひげが書き加えてあった。あちこちに、映画スター、拳闘家、殺人犯などの写真ののった雑誌、新聞、プログラムの切抜きが鋲でとめてあった。
エリザベートは、箱を勢いよく蹴とばして、通り道をつけた。彼女は罵っていた。ようやくのことで、本で埋もれたベッドの上に病人を寝かせた。」

「エリザベートとポールは、母親からその蒼白い容貌を受けついでいた。父親からは、無秩序と、優雅と、とんでもない気紛れをもらっていた。
どうして生きつづけなくてはいけないのか、と彼女は考えていた。」

「エリザベートは泥だらけの靴を石膏像の傍において、台所に姿を消した。ガスに火をつける音が聞えた。それから、戻って来て、ポールの着物をぬがしはじめた。ポールはぶつぶついっていたが、されるままでいた。彼の協力が必要になると、エリザベートはいった「頭を上げて」とか、「足をあげて」とか、また「あんたが死んだまねなんかしていると、袖が引っぱれないわ」などと。
つぎつぎに、彼女はポールのポケットをからにして行った。インキのしみのついたハンカチーフ、雷管、ポケットの毛くずがくっついている菱形のなつめ菓子などを床の上に投げ出した。それから箪笥の抽きだしをあけて、残りものを、象牙の小さい手、瑪瑙のビー玉、万年筆のキャップなどをしまった。
それは宝物だった。説明不可能な宝物で、本来の用途からまるで逸れて、象徴的な意味があったので、俗人から見れば、がらくた――イギリス製の鍵、アスピリンのチューブ、アルミの指輪、ヘアピンなど――にしか思えなかった。」

「ポールの病気の再発は長びき、危険な病状になった。看護婦のマリエットは、献身的に仕事に励んだ。」
「公正な人間が判断すれば、エリザベートとポールを複雑だと思い、狂人の叔母と、アルコール中毒の父親の遺伝が見られるといって抗弁するだろう。たしかに複雑だが、バラのように複雑なのであり、そう判断する人と同じように複雑なのである。マリエットのほうは、単純そのもののように単純で、眼に見えないものを見とおしてしまった。容易に子供の世界に入り込んだ。他に何も求めなかった。子供の部屋の空気は、空気そのものより軽いと感じた。ある種の細菌は高いところでは死んでしまうように、悪徳はここでは生きられなかった。純粋で、軽やかな空気、そこには重いもの、下品なもの、卑しいものは、入り込めない。マリエットは、世間が天才を認めて、その仕事を保護するように、子供たちを認め、保護していた。ところで、単純さのゆえに、彼女はこの部屋の創造的な天才を尊敬できる、天才的な理解力が与えられたのである。この子供たちが創造したものは、まさしく傑作であり、彼らはありのままで傑作であり、知性は何の役にも立たず、何の自負も、何の目的もないところが驚異であるような傑作であった。」

「一年前には、エリザベートが、横顔をギリシアふうにするのだといって、物干しばさみで鼻をはさんで寝ることを考えたりした。ポールのほうは、気の毒にゴム紐で首をしめつけたので、赤い痕がついてしまった。そこで、顔を正面か四分の三くらい他人に向けるように決めた。
二人ともこうやって誰かに気に入られたいと思ったわけではない。これは自分たちだけのための試みで、誰にもかかわりのないことだった。」

「その楽しみというのは、万引だった。(中略)この万引は、盗みそのものが目的だった。利益とか、禁断の実に対する欲望などはまじっていなかった、死ぬほどの恐怖があれば十分だった。子供たちは、叔父と一緒に入った店から、何の値打ちもない、何の役にも立たないものでポケットを一杯にして出てきた。役に立つものを盗むことは、規則で禁じられていた。ある日、エリザベートとポールは、フランス語で書かれているという理由で、一冊の本を返してくるようにジェラールに厳命した。」

「将来の計画、勉強、地位、就職運動などには、(中略)彼らは無関心だった。新聞では犯罪記事だけを読んだ。」



コクトー全集3-2





































































『ジャン・コクトー全集 第七巻 戯曲』

「エディプ: わたしの言いたいのは、わたしはいつもこの種の愛を夢みてきたということだ。ほとんど母親の愛のような。」
(ジャン・コクトー 「地獄の機械」 より)


『ジャン・コクトー全集 第七巻 戯曲』

監修: 堀口大學・佐藤朔
編集: 曽根元吉

東京創元社 昭和58年7月5日印刷/同20日発行
603p 目次3p 口絵i 
A5判 丸背バクラム装上製本 貼函
定価7,300円(本体7,087円)
装釘: 曽根元吉

月報5 (8p):
コクトーの「モデルニスム」(本庄桂輔)/コクトー劇断想(伊藤海彦)/図版8点



本文二段組。挿図3点。


コクトー全集7-1


本書「解題」より:

「この巻には作者がポエジー・ド・テアトルと呼んだ戯曲のうちコクトーの資質をもっともよく伝える長短十四の作品をおさめた。配列の順は、ほぼ制作年代を追ったものの必ずしも執筆、上演の時期の順に従ってはいない。コクトーの劇作は、ほかに出版権の関係で収録しなかった三篇をはじめ、初期の習作に属するものや純粋にバレエ台本として書かれた筋書き、音楽を活用した脚本、英米の翻案劇、放送用の小品等々多種多様の作品があるが、そのうちの重要な小品、バレエの類は本全集第八巻に収録する予定である。」


内容:

エッフェル塔の花嫁花婿 (一幕) (堀口大學 訳)
オルフェ――一幕と中入りとから成る悲劇 (堀口大學 訳)
オイディープス王――ソポクレースからの自由な翻案 (澁澤龍彦 訳)
アンティゴネー――ソポクレースによる (三好郁朗 訳)
声 (一羽昌子 訳)
地獄の機械 (四幕) (渡辺守章 訳)
怖るべき親たち (三幕) (鈴木力衞・大久保輝臣 訳)
ルノーとアルミード (三幕) (諏訪正 訳)
双頭の鷲 (中村真一郎 訳)
バッカス (渡辺一夫・山崎庸一郎 訳)
パレ=ロワイヤル即興劇 (余興) (三好郁朗 訳)
哀れな水夫――ダリウス・ミヨーの音楽による三幕の哀歌 (澁澤龍彦 訳)
美男薄情――エディット・ピアフのために書かれた一幕劇 (澁澤龍彦 訳)
未亡人学校――ペトロニウスの短篇『エペソスの寡婦』により、アルレッティ嬢のために書かれた一幕劇 (澁澤龍彦 訳)

解題 (曽根元吉)

 

コクトー全集7-2



◆本書より◆


「エッフェル塔の花嫁花婿」より:

「蓄音機二: 演説が終ると、今度は陸軍大将が、昔、自分がアフリカで、実地に出逢った不思議な出来事の話を始めます。
蓄音機一: わしはその時、ドーマール公爵と一緒にサンドイッチを食べていたものです。見ると、そのサンドイッチに蜂がいっぱいについているのです。わしら二人はしきりに追ってみたのですが、蜂はどうしても逃げないのです。よく見ると、それはタイガーでした。
蓄音機二: 何ですって?
蓄音機一: タイガーですよ。タイガーは数マイル先のところをうろついているのです。ところが幻影現象が作用して、タイガーの影が小さくわしらが食べているサンドイッチに映ったのを、わしらが蜂だと見誤っていたのでした。
蓄音機二: 誰がこのお方を七十四歳の老人だなぞと思うでしょう。
蓄音機一: それはそうと、そこにいるショート・パンツ姿の美しい自転車乗りの女は何者でしょう?
(自転車に乗った女が現われる。舞台へ入ると、彼女は乗りものからおりる)
蓄音機二: (自転車に乗った女の声色)皆さん、ごめん下さい。
蓄音機一: 奥さん、何ぞご用ですか?
蓄音機二: シャツーウへ参るにはこの道でよろしいでしょうか?
蓄音機一: そうです、電車の線路にさえついておいでになれば大丈夫です。
蓄音機二: 自転車に乗った女に返事をしたのは陸軍大将です。というわけは、大将が目ざとくも、彼女もやはり一つの幻影現象だと見やぶったからです。
(女はまた自転車に飛び乗って退場)
蓄音機一: 淑女ならびに紳士諸君、私たちは只今、はからずも一つの幻影現象に際会いたしました。エッフェル塔の上ではこれはしばしばある現象です。実は只今ここに姿を見せた女も、本当はシャツーウ街道を自転車で走っている女なのです。」



「地獄の機械」より:

「弟は、背の高い、それは大変な金髪美人の、北国の方のご婦人と結婚しましてね。ある晩のこと、ふと目を覚ましてみると、そこに何があったと思し召す? 弟の家内が横になってはいるが、頭も臓腑(はらわた)もない。吸血鬼だったんですよ、あなた。そりゃ初めはびっくりしましてね。でもすぐ落ち着きをとりもどすと、弟はすぐさま卵を一つ取って来て枕の上に置いた、家内の頭の所ですよ。吸血鬼が自分の体に戻るのを防ぐ一番確かなやり方でしてね。すると突然、弟の耳に叫び声が聞こえた。逆上した頭と臓腑(はらわた)が、部屋の中を飛びまわって、どうか卵をどけてくれとたのんでおりますのさ。」


この吸血鬼は、駕籠真太郎さんのグロ漫画「抜首哀歌」(『夢のおもちゃ工場』所収)でもお馴染ですが、オリジナルはマレー半島のペナンガランです。
Vampires in Malaysia


コクトー全集7-3



こちらもご参照下さい:

シモーヌ・ヴェーユ 『ギリシアの泉』 (冨原眞弓 訳/みすずライブラリー)








































プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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