フュー 『phew video』

「でもやっぱり、ダメなりに何かやりたいっていう、すごいシンプルですけど、ダメなりにがんばりたいなっていうのは」
(『phew video』より)


フュー 『phew video』
Performed by Phew, Aunt Sally, Phew Band, Big Picture, MOST
(File Under Popular 2)

発売元: boid/販売元: ロクス・ソルス v-boid 3 (VHS)
セルビデオ/60分/カラー/ステレオ/2,800円(税抜)
Produced by Yasuhito Higuchi
Construction: Shinji Aoyama, Yasuhito Higuchi
Sound: Hiroyuki Nagashima
Editing: Shinji Aoyama, Yasuhito Higuchi
Running time: 60 min.
Manufactured by boid Tokyo japan, 2001



phew video


フューさんのライブ&インタビュー映像を収録したビデオです。わたしのようなひとみしりでひきこもりでうつで感覚過敏でひねくれ者でライブ等に出向くことができない者にとっては有り難いですが、画面に映っているライブ会場の雰囲気だけで気分が悪くなってしまったのには参りました。ならんだ人の後頭部を見るとめまいがする。個人的なことを書いてしまって本当にすみません。

ビデオの作りは全体的に雑な感じでパンクな感じでよいと思いました。Phew Band のはディートリッヒみたいでかっこいいな。


収録ライブ

Aunt Sally:
1979 at Bahama (ラスト・ライブ)
・うぬぼれないで
・醒めた火事場で
・パラフィン中毒
・すべて売り物

Phew Band:
1987 at 扇町ミュージアム・スクエア
・AQUA
・MAY
・Blue Hawaii

Big Picture:
1999 at 南青山MANDALA
・子供のように
1999 at 吉祥寺MANDA-LA2
・また朝が来て
2000 at Crocodile
・bp session

MOST:
2001 at 20000V
・電流時間
・破片風景
・毎日



本ビデオ収録インタビューより:

ルーツ
「学校がいわゆるお嬢さん学校だったんですよね。で、自分の16、7歳の周囲の環境っていうのはすごくイヤだったんですよ。で、そっからとにかく出ていきたかった。自分の中にあるナイーブなもの、ちょっと文学少女臭いところとか、繊細な部分、とにかくイヤだったんですよね。これをだから何とかしたいと。」
「歌詞ってことだったらルー・リードの歌ですよね。」
「そもそも何でロンドンに行ったのかってのは、高校の時、テレビをつけて、出てきたんです、ピストルズが。UHFの番組で。でね、Tシャツを着てて、キリストのはりつけのTシャツで「Destroy」って書いてあって、それにものすごくクギづけになりましたよね。というのは、カトリックの教育を小学校から中学校2年まで受けてて、洗礼は受けませんでしたけど、カトリックにどっぷりだったんですけど、ほんとにショックでしたよね。」


バンド
「シャンソンも好きで、最初はブリジット・フォンテーヌ。ファースト・アルバムがすごく好きだった。ジュリエット・グレコが好き。ファッションがすごくパンクっぽいじゃないですか。黒ずくめで。」
「バンドっていう形が当時の私には古臭いものに思えた。」


ソロ・シングル
「PASSレコードのゴトウさんからシングルを出さないかという話があった。2日でミックスまであげたんですが、最初の1日はベーシックトラックが出来ていくのを口あけて見ていたって感じ。スタジオもすごく立派なスタジオで、「こういうもんなの?」みたいな。作業も早いし。私は記憶にないんですけど、カセットに自分のハナウタを入れて送りつけたらしいんですけど、それを坂本龍一が聴いて譜面に起してたらしいですけどね。」
「スタジオミュージシャンは軽蔑してましたよね。この感覚はきっと同世代の人間たちすごくよくわかると思うんですけど。でも結局、それに代るものはパンク、NWは出せなかったんですよね。」


コニー・プランク・スタジオ
「レコーディングはセッションみたいな感じで、私は何も準備しないで行ったんですよね、歌詞も着いてから書いているような状態で。何もないんだったら先になんかやってるね、みたいな感じで、3人(コニー・プランク/ホルガー・シューカイ/ヤキ・リーベツァイト)、スタジオで何かはじまるんですよね。それで、じゃあ私も入ろうかなって時まで待ってくれるんですよ。それを後から編集したんですよね。ミックスっていうのはこういうことだったの?って、ほんとにポカーンと口開けて見てたっていうのが正直なところですよね。」
「コニー・プランクにあの時会ってなかったら、もうあの時点でたぶん、音楽は止めてたと思うんですけど、私ってのは、たぶん日本ではエキセントリックなおねえちゃんっていう理解のされ方だったと思うんですよね、それをあのYMOの坂本龍一がプロデュースしました、みたいなノリだったと思うんですけど。それはすごくイヤだったんですよね。で、ドイツに行って、素の状態で歌って、自分は歌は下手だよっていうコンプレックスがあったんですけど、すごく認めてくれたんですよね、歌手として。それはすごく嬉しかったですよね。何の情報もないところで、歌だけ聴いて、これは面白いと思ってくれた。それはね、すごく嬉しかったですよね。」


活動再開
「コンドウさんにすごく久しぶりに再会して、私やっぱり音楽やりたいのよね、みたいな話をしたら、じゃあやろうよ、ということで、他のメンバーはコンドウさんがさがしてきてくれたんですよね。ドラムのミノワくん(イル・ボーン/キャニス・ルーパス)もそうだし、ギターの大津さんも。で、音的にどういうことをやっていったらいいのかみたいなことは、あんまり考えなかったですね。それよりもやっぱりメンバーの個人個人の資質っていうのかな、この組合せの中で自然に出てくるものでいちばん面白いこと、みたいな。」

「87年からビッグ・ピクチャー始めるまでってのは、歌手になりたかった時代なんですよ、本当に。今だから言えますけど。偉大な歌手がいるじゃないですか、プレスリーとか、ジュリエット・グレコとかね。自分はそうはなれないけれども、それに近いところまで行きたい(笑)と思っていたのが95年くらいまでですよね。それはね、どうしてわかったかというと、人の曲をカバーすると本当にわかるんですよ、こんなにダメだったの、みたいな。」


パンク
「中年になったってのはすごく大きいです。やっぱ、この歳だからパンクっていうのはすごくあります。叫ぶんだっていうのはすごくありますよね。アンチ60年代でもないんですけど、そういうものを掲げて音楽を始めて、じゃ代りに何を出せたかっていうのはあるんですけど、何も出せなかった、結局。私たちの世代からは出てこなかったし、むしろそれより若い世代から出てきましたよね。ビースティ・ボーイズとか、日本だったらメロコアとかいわれてる人たち? Hi-STANDARDなんて偉いですよね。そんな中で、私たちは売れるってことにものすごくナイーブで、メジャーの世界に斬り込んで行けた人ってのは本当に少なかったですよね。本当にダメだなって思ってたんです、ずっと。でもやっぱり、ダメなりに何かやりたいっていう、すごいシンプルですけど、ダメなりにがんばりたいなっていうのは。で、MOSTっていうのは、そういう意味で始めたっていう理由の一つですけど。」

原点
「ビッグ・ピクチャーのアイディアっていうのは、96年か7年くらいだと思うんですけど、本当、原点に帰るんですけど、自分は何者かな、みたいなことだから。歌手にはなれなかったし、やっぱりチンピラだなと。やっぱパンクやりたいっていうのはずっとあったんですよね、実は。アーント・サリーでも最初期にやってたようなこと、いわゆるもうジャカジャカいうようなパンクを意図的にやめたんですけど、ああいう音をやるのは。でも、自分の中ではああいうことをやりたいっていうのはずーっとあって、で、自分は何者かなっていうことを考えだした時に、それが最初に出てきたんですよね。で、それを、その時はバンドじゃなくて、サンプラーって楽器があるから、サンプラーを使ってダウザーとやりたいっていうので、ビッグ・ピクチャーってのは最初、そもそもハードコアバンドやるつもりで出てきたんですけどね。」


































































































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phew / NOVO-TONO 1994 フライヤー

1994年1月、「ノボ・トノ」の大阪と東京でのライブのお知らせチラシ。

novo tono concert 1994

※クリックで拡大。
















































































Phew 「MUSIC MAGAZINE」 1981年8月号 切り抜き

フュー×栗本慎一郎 対談 「深層から吹き上げる声」 より
「MUSIC MAGAZINE」(1981年8月号)所収



phew music magazine 1981 b


「栗本: ぼくは音楽は弱い方だと思ってたんだけど、どうしてそんな男とフューが話をしたいと思ったわけ?
フュー: 栗本さんの書いたものって面白いのね。人間てのは余分なものを作って、それをある時一度にこわしてしまう、その蕩尽に一番エクスタシーを感じるものなんだ、と言っているでしょ。(中略)実を言うと最初のシングルの「終曲(フィナーレ)」に栗本さんの著作からの引用を男の声でボソボソと入れたんですよね。
栗本: ヘェー、あの部分は何言ってんのかわかんなかったけど、そうなの。」

「栗本: あの人(コニー・プランク)偉い人なんだって?
フュー: そんな偉くないですよ、あんなハゲ。ただ、ミュージシャン、エンジニアとしては有能で、すごく上手ですね。でも行ってみてびっくりしたよね。というのは、一見すごくやさしそうなおじさんなのね。ところがやることがすごくて、あの人は人間の顔をした機械ですよ。」

「栗本: ぼくはね、痙攣が音に出てくるかということに興味がある。そういう意味ではパスからの最初のシングル盤の方がショック度は強かったね。というのは、現代社会で決っている言葉と違うものとして歌いたいんだよね、フューは。で、フューの“皮”はそれを阻止していない。今度のアルバムの中の「P-ADIC」の詩は、ちょっと“皮”が見えたね。“いってしまえ 消えてしまえ すっかり見えなくなってしまえ”というのは、あやうい感じがした。
フュー: よくわかりますね。この曲のレコーディングに入るちょっと前、ドイツ人の方といざこざがありまして。
栗本: だから少しあの曲は、ぼくが聞いてるほかのパンクに近かった。アルバムで好きなのは「CLOSED」だね。あれは、“皮”じゃなくて、お腹の中がグッグッと動いてる感じがしてるし、サウンドも良かったし、詩も気に入ってるでしょ。“心ある人に鞭打ち 中ぶらりんの空中ブランコ 一心不乱の離れ業”。あれ、詩がつながっていないでしょ。何かイメージでもあったの。
フュー: ある小説のイメージね。
栗本: 小説。ウィリアム・サローヤンか何か。
フュー: 違います。ドイツに行った時に、それが急に“ああそうか”と思ってできたのね。
栗本: “光と闇”とか対にしないで、全然つながってないのがいいね。“皮”ではつながってないけど、でもフューのお腹のバクテリアでは、つながってるのね。
フュー: あのレコードは、ドイツに行ってスタジオに入ってから全部考えたもんなんだけど、一応コンセプトはあったのね。そのコンセプトなり、アイデアをもとにして、わかりやすい言葉に置き換えようかと思ってた。で、そんなことをいろいろ書き溜めてた時に消費という言葉をよく使ってたんだけど、そしたら栗本さんが蕩尽て書いてて、ああ私の言いたかったのは蕩尽だったんだとわかったのね。でも、ドイツということでいろんな意見のくい違いがありまして。外国でしょ、やっぱり。
栗本: あんまりフューには関係ないんじゃない? 日本もドイツも。“皮”の外はみんな外国だからね、あなたは。そうじゃない?
フュー: そう言えばそうなんですけどね。
栗本:  だいたい(日本で)日本語はちゃんと通じてんの?
フュー: 日本語はできますよ。」

「フュー: 好き嫌いは多いね。(中略)肉は、牛肉の一番高いところ。
栗本: 家が金持ちだったのか。
フュー: いや、そういうわけじゃないんだけど……あなた40なんでしょ、もうちょっと素直に人の話を聞きなさいよ。」

「栗本: けどね、今世紀で本当の意味のデプスに彼(バタイユ)は入ってるね。(中略)「呪われた部分」とか「エロチシズム」とか「空間の虎」とかいうロック作って下さいよ。「空間の虎」というのはいい表現だね。虎なんてのは、そこにいたって絶対的存在物じゃないんだから、空間の中に相対的に虎というかっこうで安定しているだけだ、ということね。これ、どう思う?
フュー: ン? 話聞いてなかった。
栗本: フューを見てると、なんか新しい人種が、世紀末に向けて、音楽のジャンルでも出てきたようなシグナルを感じるんですよ。手触りぐらいの感じで、わりとはっきりね。ぼくの知ってる限りの分野ではみんな出てきてる。音楽も、中産階級の安定装置じゃないものが出てきてるんだろうね。彼らは、人間は“皮かむり”だということを認めて、だからといってニヒルになってるわけじゃなくて、それで“皮”が頑張らない人種なのね。それは物理学なんかでもそうで、地球全体が一個の生命であって、我々は中にいるでしょ。我々はバクテリアで、地球が“皮”なのね。だから、地球がフューでさ、ここいらへんで音をはずせ、おかしいではないかというデモをやるとね、歌ってる地球のフューの音がはずれちゃう。」
フュー: そのシグナルの方向はどこに向いてるんですか。
栗本: 広い意味で自然に戻っちゃうということでしょうね。広い意味でですよ。“自然に戻れ”という運動とか有機農業とかがあるけど、それとは全然違う。ぼくなんかむしろ、そんなのに敵意さえ持ってる。あんなのモラリストと同じだからね。もっとそのまんま自然に、はずれるところははずす、ということね。」

「フュー: 今はね、2かける2イコール4の世界だけど、5じゃないかと。絶対5だと。(中略)ただ間違ってもらいたくないのは、細野晴臣みたいに写経なんかしてさ、スタジオ・ミュージシャンでも宗教に凝ってるやつ多いでしょ。そういうのじゃないのね、その残りの1とかのシグナルは。(中略)病気でもなんでもないのね彼ら。あまりにも“正常”なのね。私のレコードなんか、できればいろんな人に聞いてもらいたいね。たくさん気違いを作るために。」



栗本さんが、バタイユの「空間の虎」がどうしたとかいってからんでいるのは、栗本さんがフューさんにバタイユをよんだことがあるか、モースをよんだことがあるか、ときいたら(「蕩尽」はもともとモース/バタイユの思想だからです)、あんなの教養書だ、あんなのくだらないと一蹴されてしまったからです。
ところで、「CLOSED」の空中ブランコのイメージのもとになった「ある小説」というのは、推測ですが、1980年に深夜叢書社から刊行された小田仁二郎作品集『触手』収録作「動物園の外」ではなかろうか。PHEWさんは歌詞に塚本邦雄(音楽は歇(や)みたり)や浜田到(一切は きこえず/一切は うたはず)を何くわぬ顔で引用する人なので、『呪われた部分』や『贈与論』はよまなくても、深夜叢書社の本はよんでいてもおかしくないです。


phew music magazine 1981 a


写真は1981年7月5日、鹿鳴館で行われた4夜連続の「パス・レコード・コンサート」の最終日(突然ダンボールとのジョイント。ギターはビッケ)に撮影されたもののようです。


phew music magazine 1981 c


写真: 桑本正士。


そして「クロス・レヴュー」欄には、PASSからのファースト・アルバムに対する、4人のレビュアーによる評がのっています。「はっきり言って全くわからない。こういうアルバムをどういう人がどういう気分の時にどんなところで聴くんだろう」「こーゆーの苦手。歌ってるフューも作ったスタッフもかなり根が暗いのではなかろうか」「それでどうした、次に何がある、と大いに自問自答したのですが、よく解らないということしか出てこず、よって採点はパスさせていただきます」。そのなかで、さすが、というか当然というか、中村とうようは対象となった7枚のアルバムのうち最高点の9点をつけている(他の人は最低点=3点が2人と採点放棄が1人)。
「フューのやってることはそれだけで音楽と呼べるのかどうかぼくにはよくわからない。ヴォーカルというよりヴォイスと言ったほうが当たっていて、だからこそ音楽が軟弱になりがちないまの時流の中ですごい強靭さを保ってるのではないか。そんなフューのヴォイスをすばらしい音楽に仕上げたのがホルガーとヤキとコニーのバッキングである。とくにぼくはA面が好きで、その美しさにハッとさせられる瞬間が何度か訪れてくる。ジャケの簡潔さもいい。」(中村とうよう)



こちらもご参照下さい:
『夜想10 特集: 怪物・畸型』  (1983年12月)

栗本慎一郎「怪物の生まれる時代」より:

「ロックでもフューのような超過激的にブレた歌手はともかく、戸川純のごとき、世間に過去の“正常”な眼が今なお生きているとすると、単に“病気”ということになるであろうような歌手が、マイナーを脱してきているのだ。彼女らの病んでいる眼差しは、いまや単なる排除の対象ではないのだ。」



その他の記事:
白川静 『文字遊心』 (平凡社ライブラリー)










































































山本精一&PHEW - 幸福のすみか (1998)

山本精一&PHEW - 幸福のすみか
Phew & Sei-ichi Yamamoto - Shi-a-wa-se no su-mi-ka
TOKUMA JAPAN COMMUNICATIONS, TKCH-71454 (1988)
定価2,800円

1.鼻
2.飛ぶひと
3.まさおの夢
4.ロボット
5.バケツの歌
6.そのうち
7.そら
8.幸福のすみか

Seiichi Yamamoto: guitar, bass, percussions, vocal
Phew: vocal

All music by Seiichi Yamamoto
All lyrics by Phew

Produced by Seiichi Yamamoto



phew shiawase no sumika


「空腹でもなく満腹でもなく
眠くもなく目覚めきってもいない
暑くもないけど寒くもない
楽しくもなく怒っているわけでもない
疲れてもいないし元気でもない
快適でもなく不快でもない
しあわせでもなくふしあわせでもなく
何もしたくないけどどうしていいのかわからない」

「夢をみたいけど見たい夢がない
もう生きていたくないけれど死にたくもない

決めた今日からわたしは鼻を見る
見つめず薄目でまっすぐ鼻を見る
決めたいまからわたしは鼻を見る
見つめず薄目でまっすぐ鼻を見る」

(「鼻」より)


「飛ぶひとはおちる
おちるひとはさらにおちる
さらにおちていつか沈む
沈んで沈んでやがて埋もれる
ごみにくずにかすに
泥にまみれそしてほろびる」

「飛ぶ人間はおちる
たとえいちど飛べたとしても

だからならばそれならば
ここでじっとしていようか
いいえそれならどうせなら
ここから誰かと逃げ出そう
それから」

「逃げて自分をどこへ運ぼう

ここをあけて銀の巨人」

(「飛ぶひと」より)


「けれど
ひとのあいだにあって人間
ならば
人間でないひとりのまさお

まさおはひとり
ひとりでうまれた
まさおはいきもの
にんげん以外の」

(「まさおの夢」より)


「昔は音楽が好きだった
いまは髪の毛が大好き」

「ロボットどんどこどん」

(「ロボット」より)


「こんな毎日もう愛もない
こんな生活もう夢もない

くらすぎる部屋で出口をさがす
病気のふりする元気もない

鉄は錆びるガラスは割れる
花は枯れるひとはこわれる
ゼロにむかって高まる旋律
くらがりの朝に死人がはびこる

はるか昔に捨てられた子供が
けさ蘇る夢よりもはやく
はるか彼方に置いてきた子供が
けさ歌う夢よりも遠くで

赤いバケツをどうぞ
青いバケツをどうぞ
黄色いバケツをどうぞ」

「頭の吐き気ひざの眩暈
息する度に遠のく天井

血と汗は塩辛い
還るべきところは海です
骨と肉は間違いだ
地中深く埋めましょう」

(「バケツの歌」より)


「うろこうろこうろこうろこうろこうろこ

うろこがはえてくるうろこがはえてくる」

(「そのうち」より)


「どこからでもはじまり
どこでもおわることができ
どこまでもひろく
どんな道もたどりつかない

どんなときにも
どんなひとのうえにも
わけもなく
ただひろがっている
そこにあるだけがすべての
けれど決してとどかない

春夏秋冬あさひるばん
さまざまに表情をかえながら
春夏秋冬あさひるばん
さまざまの出来事を照らし隠し

なに包みこまず
なにも投げださず
進むばかりの時を
はばむこともなく

空間のそと
時間のそと
見上げれば
いつもそこにあったはずが

いつでも見ることができ
けれど決してさわれない

光のなかを
歩いたのは
いつだったのか」

(「そら」より)


「花のようにわたしは愛する
まわりの空気を」

(「幸福のすみか」より)






























































ノボ・トノ 『パノラマ・パラダイス』

うらにわに わにをならべて 逃避行 


ノボ・トノ 『パノラマ・パラダイス』
NOVO TONO - PANORAMA PARADISE

creativeman disc, CMDD-00038 (1996)
定価2,800円+税
 
1.イントロダクション (phew/山本精一)
2.遠くの喝采 (phew/山本精一)
3.ここからの出発 (phew/novo tono)
4.おわらないうずまき (phew/大友良英)
5.ささえきれない暗さ (phew/novo tono)
6.ダイナマイト・サマー (phew/大友良英)
7.夢の半周 (phew/山本精一)
8.ロボット・ロンド (phew/植村昌弘)
9.白日夢 (phew/大友良英)
10.エンゼル (phew/novo tono)
11.余白のうた (phew/novo tono)
12.うみへいこう (phew/えとうなおこ)
13.もういちど眠ろう (phew/西村雄介)
 
novo tono is
山本精一: electric guitar, acoustic guitar, mandolin, vocal
大友良英: turntables, electric guitar (no.2, 7, 8), backing vocal
phew: vocal
えとうなおこ: synthesizers, piano, backing vocal
西村雄介: bass, acoustic gutiar (no. 12), backing vocal
植村昌弘: drums, percussions, backing vocal

guest musicians
藤原弘昭: banjo (no. 2)
勝井祐二: violin (no. 4, 6, 7)
長嶌寛幸: edit. (no. 2, 11)
 
recorded and mixed at GOK SOUND, May, June and July 1996
recording engineers Kondoh Yoshiaki, Akimoto Takao
mixing engineer Kondoh Yoshiaki

 
 
novo tono panorama paradise
 
 
あの人やあの人やこの人に加えて、「スターリン」の人や「P.O.N.」の人(本CDと同じく Creativeman Disc からアルバム『P.O.N.』が出ています。いわゆるレコメン・キュニ系ですが、鬼怒無月氏がロバート・フリップより凄いギターを弾いている傑作です。「ユーミン」とか「うそつき」とかというタイトルのアヴァンギャルドで美しい曲をやっています。高良久美子氏のヴィブラフォンも大活躍です)、「ボンデージフルーツ」の人なども参加して、ノボ・トノはいわゆる「スーパー・グループ」ってやつなので、このアルバムにいろんなことが結実し、いろんなことが契機していると思いますが、個人的にはこのCDのおかげで鬱なのに死なずにすんだので有り難いです。どうぶつダジャレで命拾いしました。
そういうわけでベストトラックは「イントロダクション」、「ささえきれない暗さ」そしてなにより「夢の半周」です。


「どうかしましたか
大丈夫ですか」

 
(「イントロダクション」より)
 
 
「わたしは動くものだ
だからわたしは行く
行って進むものになる
ただしどこへだかはわからない
進むために行き行くために動く
みんな忘れたいから忘れて
ここを離れたいから離れて
行って進んで決して戻らず
今までのことはなかったことにして
走りたいから今走っている
 
遠くの喝采が呼んでいる」

 
(「遠くの喝采」より)
 
 
「ここはどこどこだろう
わたしはだれだれだろう
 
捜そうとするから見つからない
捕えようとするから逃げてしまう
 
だれでもいいやどこでもいいや
走るのをやめてごろ寝しよう
なにも持たずにやすんでいよう
目覚めるまでねむってみよう
し・し・しずかだねしずかだね
耐えられないさびしさ
あらわせないこそばさ
ささえきれない暗さだ
 
届かない高さからだれかがみおろしている
届かない深さでなにかがうたっている
 
ド・ド・ドレミねこぷんのしっぽがぷんぷん
ド・ド・ドレミねこぷんのしっぽがぷんぷん」

 
(「ささえきれない暗さ」より)
 
 
「わかっちゃいるけどやめられない
やめられないけどやりきれない
やりきれないけどしょうがない
しょうがないけどものたりない
ものたりないけどやむをえない
やむをえなくてなさけない
なさけなくっておっかない
おっかなくってふがいない
やりぞこない・できそこない・しにぞこない
まじない・うらない・たまらない
バイオレント・パッション・バナナパパ
サーカス・サーキット・サマーサウンド
ダイナマイト・タンゴでタップダンス
パラダイス・パラパラパラダイス」

 
(「ダイナマイト・サマー」より)
 
 
「きょうはぷううあしたもぷうう
あさって大ぷううぷううぷううぷうう
 
なにかいいことないだろうか
きょうこそあしたこそあさってこそ
きっとなにかおこると思って
毎日顔を洗い顔をきれいにして
毎日眠り眠りながら起きて
夢のぐるりの半分まで来た
 
急がず焦らず苛立たず
求めず願わず望まず
いつかなにかおこると信じて
はてしないだらしなく疲れきった物語の
はじまりもおわりもない無限の物語の
いつもいまでもいつまでも途中にいる」

 
(「夢の半周」より)
 
 
「いるかはいるか?
 
ねこがねころぶ」

 
(「余白のうた」より)
 
 
「あしたうみにいこう きょうの手足をもぎとって
あしたうみにいこう きょうの頭をすげかえて
あしたうみにいこう あしたの顔につけかえて
あしたうみにいこう おでかけマンでとんでいこう
 
海辺の空はとってもたかいたかい
けれども空の青を泳いでいるよ
おひさままではとってもとおいとおい
けれどもその光が掌にのっている
ひとりであそぼひそかにあそぼ
お化けのように自在に自由に
うきわでスイング・スイム・スイム・スイム
波の上ですやすうやスウイスイ
 
おでかけマンが潜ると世界も慌てて一緒に沈む
 
めを閉じればうみまで続く道がひらける
めを閉じれば眠らない瞳は道をみつける」

 
(「うみへいこう」より)
 
 
「前に進めば一面曲り角
悪いゆめはまだまだ続く
角を曲がれば一面ドア
悪いゆめはまだまだ続く
 
どよおんちゅどりんこ
どよおんちゅどりんこ
やっときょうがはじまって
もうここでおわろうとしている
どよおんちゅどりんこ
どよおんちゅどりんこ
やっとはじまったいちにちが
もうすでにおわりかけている」

 
(「もういちど眠ろう」より)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー

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