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Ben Watson 『Derek Bailey and the Story of Free Improvisation』

「The joy of Free Improvisation ( . . . ) is hearing people talk of universals in unrepressed local dialects,」
(Ben Watson 『Derek Bailey and the Story of Free Improviastion』 より)


Ben Watson 
『Derek Bailey
and the Story of
Free Improvisation』



Verso, London, New York, 2004, paperback edition 2013
xi, 459pp, 21x14cm
Printed in the US by Maple Vail
Cover design: Dan Mogford



本文中図版(モノクロ)27点。

ベン・ワトソンによるデレク・ベイリー(ギタリスト)評伝。
デレク・ベイリーのCDは子どものころから大好物なので、遅ればせながら本書もよんでみました。日本語版も出ていますが英語版が安かったのでそっちでよんでみました。


watson - derek bailey 01


Contents:

Preface to the Paperback Edition
Introduction: On Freedom
1. Child and Teenager, 1930-1951
2. Working Guitarist, 1950-1963
3. Joseph Holbrooke Trio, 1963-1966
4. Soloism and Freedom, 1966-1977
5. Company Weeks, 1977-1994
6. Improv International
Conclution: On Improvisation

Appendix 1: A Derek Bailey Discography
Appendix 2: An Incus Discography
Appendix 3: Derek Bailey's Complete Invisible Jukebox
Books Cited
Index



watson - derek bailey 02



◆本書より◆


「2. Working Guitarist, 1950-1963」より、チャーリー・アップルヤード(ベイリーの別人格)の発言:

「I think my main sexual activity was masturbation.」


「3. Joseph Holbrooke Trio, 1963-1966」より、アンドリュー・ショーン(Andrew Shone、フリー・インプロヴィゼーション・グループ「ジョゼフ・ホルブルック・トリオ」のメンバーだったギャヴィン・ブライアーズの大学の後輩)の発言:

「I heard Derek Bailey do feedback before Hendrix. I remember it because he started waving his guitar around in front of the amp. I was thinking - and I know other people were because I talked to them afterwards - what the fuck's Derek doing here, there's an awful noise coming out! He knew exactly what he was doing. It had happend by accident at home or whatever and he was going to use it.」

(ジミ・ヘンドリックス以前にデレク・ベイリーはフィードバックをやっていた。ギターアンプの前でギターを振り動かしていたので記憶に残っている。「なにしてるんだろう、雑音が出てるじゃないか」と思ったものだが、もちろんデレクは意図的にやっていたのだ。)


同じく、デレク・ベイリーの発言:

「This thing I talk about, the necessity of doing music full-time, is not just a question of earning a living. Earning a living is essential because I've got no other way of living I can contemplate. By the time I got to my mid-twenties, I felt I'd had enough of the real world [of commercial work]. After my mid-twenties it was OK, I didn't seem to have to do it anymore, but it's always seemed to me to be necessary with music - either thinking about it or doing it - to do it exclusively. I can do this one thing, possibly, whatever it is, but not in combination with something else. You mentioned dilettantism. I've got nothing against dilettantes, because I've found, with the people I assume to be dilettantes that I've known, that they are totally involved. It's just that after a while they fuck off and become totally involved with something totally different. There's nothing wrong with their involvement. What I don't understand, and I can't bring myself to admire in any form, is hobbyism. Something that was rife in commercial music. Many commercial musicians were part-timers, and it was even worse in British Jazz. The 'full-timeness', the complete absorption, I'm trying to describe is nothing to do with professionalism, which is a really suspect concept. The patron saint of professionals is Adolf Eichmann: 'I was only doing my job, guv.' The ultimate excuse for anything. That's why these contradictions arise, where, in fact, I can walk out on earning a living. The Show Must Go On is something I do not subscribe to.」

(音楽以外でお金を稼ぐ能力はないけれど、音楽一本でやっていくというのは生活のためばかりではなくて、音楽について考えたり音楽をやったりするには片手間ではダメなんだ。ディレッタンティズムはわるいことではない。というのはディレッタントというのはものごとに熱中できる連中だから。私がイヤなのは趣味人というやつで、商業音楽の世界にはそういうのがいっぱいいる。片手間仕事だ。一つのことだけに完全に没頭すること、それはプロであることなどとは無関係だ。プロ意識というのは胡散臭い。プロ仕事人たちの守護聖者はアドルフ・アイヒマンだ。「自分は自分の任務を果たしただけであります」そう言えば何をしたって許されると思っているんだろう。そんなことをするくらいなら生計なんか立たなくなってもいい。「ショウ・マスト・ゴー・オン(任務は遂行されねばならない)」精神には私は同意できない。)


「Appendix 3: Derek Bailey's Complete Invisible Jukebox」より:

「When I was a kid my mother always had a piano. She'd often change them. At one time she bought this huge player piano, big iron frame, great sound. Coming with it were a bundle of rolls, I can remember for years behind one of the easy chairs in the front room there were these long boxes. I used to play these things and pedal them, but I got bored with it so I'd put holes in them, make things. ( . . . ) I found that by just sticking little holes in the thing at random, it was amazing - it let a bit of air in. I did that with lots of them, my mother didn't care because she only played the piano anyway, nobody used these rolls except me. 」

(子どものころ、母がピアノをとっかえひっかえしていて、あるとき自動ピアノを買ったことがあった。私はそれでよく遊んだが、飽きてしまったので、ピアノロールに適当に穴を開けてみたら、それだけで効果絶大で、音楽の風通しが良くなったものだ。)



◆感想◆


本書にも名前が出てくる阿部薫がデレク・ベイリーについて、「彼と演奏して、私はいままで誰とやっても感じて来た、自分の演奏が罪なのではないか、方向が間違っているのではないか、という疑問の答えを得られたと思った。デレクと演奏して罪ではないとはっきり確信できた。それが本当にうれしかった」と発言しているのは(間章「〈なしくずしの死〉への後書」)、たいへん感動的です。わたしなども自閉症なので普通の人のような人づきあいができないので日々罪悪感に苛まれがちですが、本書にも名前が出てくる間章はユングを敷衍しつつ、「自分をあるがままに自らの固有性において高めることによって」人は普遍性に、「非人称の愛」に達する、と書いていて(「アナーキズム遊星群」)、それもたいへん感動的です。本書の著者の言い方だと「方言まるだしで普遍について語る(talk of universals in unrepressed local dialects)」となりますが、わたしなどがデレク・ベイリーに関心を抱くのはひとえに自閉症的観点からに他ならないので、実をいうと音楽がどうしたとか即興演奏がどうこうとかはどうでもいいです。あきらかに自閉症的な(とわたしには思われる)演奏に固執するデレク・ベイリーが、それにもかかわらず(というか、それゆえに)軽々とジャンルの壁を越えて(ジャズ/クラシック/ロック/ファンク/民俗音楽/ターンテーブル/舞踏/タップダンス)さまざまな他者と共演することが可能であるという、フリー・インプロヴィゼーション特有の逆説的な自閉=自開性にこそエスポワールがあるので、職業訓練(公的な音楽教育)やソーシャルスキル(イディオム)の獲得によって得られる社会的評価や生活の安定などファッキンブルシットです。
本書所収「めかくしジュークボックス(Invisible Jukebox)でデレク・ベイリーが「演奏していると誰が自分で誰が他人なのかわからなくなるような音楽が好きだ(I'm attracted to that kind of music where when you're playing it ( . . . ) where you can hardly tell who's you and who's somebody else.)」と言っているのも、一糸乱れぬ集団行動のようなおぞましいファシズム的自己喪失のことではもちろんなくて、「自分をあるがままに自らの固有性において高めることによって」得られる「非人称の愛」の境地について語っているのに他ならないです。
それはそれとして、本書前半のベイリーや関係者へのインタビューはたいへん興味深いですが、後半になると著者自身の意見の開陳やレコード評の再録などが目立ってくるので、そういうのはあまり興味がないです。それとたとえば索引の「T」の項目をみると、「Takagi, Mototeru/Takayanagi, Masayuki/Takeda, Kenichi/Tanaka, Min/Tatsuya, Yoshida」とあって、なぜ吉田達也だけ「達也」が苗字扱いなのか謎です。増田隆一も「Ryuichi, Masuda」になっているので、ルインズだけ特別扱いなのでしょうか。そのへんはCDの記載――たとえば本書にレビューが再録されているデレク・アンド・ザ・ルインズ「Saisoro」では「Derek Bailey/Yoshida Tatsuya/Masuda Ryuichi」と表記されているので、よく確めもせずに「Tatsuya」が苗字だと思い込んでしまったのでしょう。音楽ジャーナリストとしてあるまじき怠慢です。それと灰野敬二をニセモノ扱いしてディスるのは音楽ジャーナリストとしてはともかくデレク・ベイリー研究家としては致命的ではなかろうか。著者はフランク・ザッパを尊敬しているようで(ザッパに関する本も出しているようです)、デレク・ベイリー評伝である本書でも、デレク・ベイリー自身がザッパに対する無関心を表明しているにもかかわらず、ザッパの名前をことあるごとに引き合いに出してくるのはいかがなものかとおもいます。わたしがザッパ Zappa とジョン・ゾーン Zorn が苦手だというのもありますが(もっともこの二人のCDは1990年代に山ほど購入しましたが)、いちいちうざいです。
あと本書で興味深いのは前述の「Invisible Jukebox」(演奏者や曲名を伏せていろんな曲を聞かせて誰かを当てさせたり反応をみたりする雑誌企画)で、たとえばレコード好きのスティーヴ・レイシーなどは(レイシーの回は『Steve Lacy: Conversations』に収録されています)ほとんど即答で演奏者や作曲家を特定していてさすがですが、レコード嫌いの(というか他人にあまり興味がない)デレク・ベイリーはチャーリー・クリスチャン以外まったく当てられない、というか当てる気すらないです。空気をよんで行動する気がまったくないわけで、それがデレク・ベイリーのよいところです。




こちらもご参照ください:

Colin Harper 『Dazzling Stranger: Bert Jansch and the British Folk and Blues Revival』
A. B. Spellman 『Four Jazz Lives』


















































































































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Derek Bailey 『Improvisation』 (revised edition)

Derek Bailey 
『Improvisation:
Its Nature
and Practice
in Music』


Da Capo Press, 1993
xiii, 148pp, paperback

Originally published: Ashbourne, England: Moorland Pub. in association with Incus Records, c1980



フリージャズギタリスト、デレク・ベイリーによる「即興演奏」(インプロヴィゼーション)理論書の改訂版です。『インプロヴィゼーション―即興演奏の彼方へ』(1981年、工作舎)として旧版の日本語版が出ていました。基本的な部分は同じですが、新しい情報が追加されています。
様々なジャンルの音楽家へのインタビューが本書の目玉ですが、ロックからはイエスのスティーヴ・ハウとグレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアが選ばれています。

「インプロヴィゼーションはつねに変化し適応し、固定化することがない。正確に記述したり解釈したりすることがむずかしい、本質的に非・アカデミックなものだ。そしてなによりも、インプロヴィゼーションを記述しようとする試みは、ある意味、不当表示(misrepresentation)となることを免れない。自発的なインプロヴィゼーションの根本精神は、文書化(documentation)の概念を否定し、文書化の目論見に対立するものだからだ。」(本書序文より)


derek bailey - improvisation 01


Contents:

Introduction
Introduction to revised edition

PART ONE
Indian music (1)
Indian music (2)
flamenco
PART TWO
Baroque (1)
Baroque (2)
Organ (1)
Organ (2)
PART THREE
Rock
Audience
Jazz (1)
Jazz (2)
PART FOUR
The composer
The composer and the mon-improvisor
The composer - in practice (1)
The composer - in practice (2)
The composer - in question
PART FIVE
Free
Joseph Holbrooke
The Music Improvisation Company
The MIC - the instrument
The MIC - recording
Solo
PART SIX
Objections
Classroom improvisation
PART SEVEN
The long distance improvisor
Company
Limits and freedom

Bibliography
Index



derek bailey - improvisation 02


デレク・ベイリー。





























































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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