『南方熊楠全集 別巻第二 日記・年譜・著述目録・総索引』

「それより余又のみ、ハムかい帰り、へど吐き臥す。」
(南方熊楠 「ロンドン日記」 より)


『南方熊楠全集 別巻第二 
日記・年譜・著述目録・総索引』

監修: 岩村忍/入矢義高/岡本清造
校訂: 飯倉照平

平凡社 昭和50年8月30日初版第1刷発行
288p+235p v 口絵(モノクロ)4p
A5判 丸背布装上製本 貼函
定価3,800円
装幀: 原弘

月報 12(8p):
追想(岡本文枝)/「ロンドン日記」について(岩村忍)/校訂をおわって(飯倉照平)/多屋たか宛葉書解読(編集部)/書簡解題追補/訂正/南方熊楠全集正誤



本書「凡例」より:

「本全集は、南方熊楠が公表した論考、随筆、英文著述、ならびに未公表の論考、手稿類などを集大成することを期した。」
「国内で、著書として、あるいは雑誌に発表された文章は、内容がはなはだしく重複する一、二の例外を除き、すべて収録する。また新聞に掲載された文章も、主要なものは収録する。」
「外国の刊行物に発表された英文著述および未公表の英文論考は原文で収録する。」
「書簡は、学術的および伝記的に重要な内容をもつものを、入手しうる限り、完全な形で収録する。」
「その他、未公表の論考、手稿類、日記の一部、年譜、著述目録索引を付載する。」
「表記は原則として「現代かなづかい」に改め、送りがなも(中略)読解の便をはかって付加し、大部分の接続詞、副詞、助詞なども、漢字をかな書きに改めた。」
「漢字は、当用漢字、同補正案、人名用別表にある字体は、これを使用し、また一部の俗字、同字などで現在常用されないものは、通用のものに改めた。」
「引用文は、(中略)可能な限り原典と照合、校訂した。また漢文の引用文は「読み下し文」に改め(中略)た。読み下しには飯倉照平が当たり、(中略)入矢義高が校閲した。」

「本書(別巻第二)は、ロンドン日記・論考補遺のほか、年譜・著述目録・総索引(付 収録著述索引)を収録する。」
「総索引、著述目録ならびに論考補遺中の英文のページは、横組、左開きとした。」



目次:

凡例

ロンドン日記

論考補遺
 英国滞在中の徳川頼倫侯
 小篇
  鉄という名の古意
  自ら鳴る鐘
  箱根の幽霊屋
  ちかぼし
  童話桃太郎
  「むすび考」補
 The Traces of Cannibalism in the Japanese Records
 
年譜

総索引
 収録著述索引

著述目録




◆本書より◆


「ロンドン日記」より:

「新規という字を書写すに、不思(おもわず)親規とかく。」

「今日より以後決して茶を不用。」

「明日より厳に茶を止む。」

「今日より厳に厳に茶を飲むことを禁ず。」

「茶を不可飲。」

「茶二度のむ。」

「ライブニッツの如くなるべし。」

「ゲスネルの如くなるべし。」

「フェンチャール街よりカノン街に至る途上、女の嘲弄するにあい、予乱暴し、巡査四人来り最寄警署に拘さる。又乱暴数回。夜二時に至りかえる(巡査予の為に閉口す)。」

「夜、ハイドパークにて無神論演舌をきく。」

「午下、博物館にあり、ハイドパーク演舌家一人握手に来る。夕、ハイドパークに之き、其人の演説きく。一寸話しかえる。」

「歩してケンシングトン園に至り、五人斗りと打合い、帽砕かれ傘おられ鼻血出てかえる。」

「(朝、羽山蕃とやる夢を初て見る。)」

「午後、博物館書籍室に入りさま毛唐人一人ぶちのめす。これは積年予に軽侮を加しやつ也。」

「予ウェーターを叱り付、一同大あきれ。」

「近頃家に宿なしの猫来る。老婆及予、余食を与う。一昨日頃より家に宿せしめしに、昨夜近処の牡猫三疋よびに来り大にさわぎ、宿の悴眠られざりし由。」

「博物館に之。
帰途、ハイドパークにて演舌きく。ロシヤ人演舌、国状を述べ泣くに至る。又、別に耶蘇教演舌を無神論者打ち争闘。又、大酩酊のもの唄いおどけ演舌。巡査来り去しむ。帰れば十二時半。」

「此日、猫三疋見る。一はワラムグリーン停車場近処の酒屋のもの、(中略)二は博物館、これは往来の人を観ることを楽む。三はテンプラ屋の猫、甚大にして常に店に座す。」

「夕、パークにて演舌きく。ペック不相変(あいかわらず)滑稽、去る時鼻ごえの男に鼻声にて返事し、一同大笑い。」

「夜、帰途、レドクリフ辺の酒屋にて酒のみしに、dirty とよばる。盃打つけやらんと思しが、忍び帰る。」

「美術館に之。館の入口に十四才と十二才斗りの唖児、手まねにて咄しする見る。」

「クインス・ロードの酒店に、去年チェルセア・ステーション辺の酒店にありし女、羽山繁太郎によく似たるもの、予の声をきき知り声かくる。」

「近地の子供五才なるもの、川におちいり、去る金曜日死す。昨日葬式。」

「それよりハイドパークに歩、池に群児泳ぐを見る。女二人来り見、児共に詈(ののし)らる。」

「朝、早起。九時前、門辺へ楽人(女三人、男児二人)来り、ルート及鼓弓(こきゅう)ひく。内女一人、甚美人にて美声也。独逸人なりと。」

「帰途、彼酒店にてのむ。羽山に似たる別嬪来り、手握んとす。予不答、別嬪怒り去る。」

「タバコかいに行んとするに銭なく、ストーヴの隅より拾い、屑をのむ。」


































































































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『南方熊楠全集 別巻第一 書簡補遺・論考補遺』

「小生等小児のとき子守どもが小児に教えたる「ちんわん猫にゃんちう、金魚に放し亀牛もうもう」という唄あり。これを一つ注釈してその出処来歴を弁明しても厚き一冊が出来るなり。」
(南方熊楠 「山田栄太郎宛書簡」 より)


『南方熊楠全集 別巻第一 
書簡補遺・論考補遺』

監修: 岩村忍/入矢義高/岡本清造
校訂: 飯倉照平

平凡社 昭和49年3月12日初版第1刷発行
627p+28p viii 口絵(モノクロ)4p
A5判 丸背布装上製本 貼函
定価3,500円
装幀: 原弘

月報 11(8p):
南方と柳田(宮田登)/安藤蜜柑について(太田耕二郎)/大いなる科学者(清水崑)/南方熊楠先生追想記(七)(雑賀貞次郎)/編集部より



本書「凡例」より:

「本全集は、南方熊楠が公表した論考、随筆、英文著述、ならびに未公表の論考、手稿類などを集大成することを期した。」
「国内で、著書として、あるいは雑誌に発表された文章は、内容がはなはだしく重複する一、二の例外を除き、すべて収録する。また新聞に掲載された文章も、主要なものは収録する。」
「外国の刊行物に発表された英文著述および未公表の英文論考は原文で収録する。」
「書簡は、学術的および伝記的に重要な内容をもつものを、入手しうる限り、完全な形で収録する。」
「その他、未公表の論考、手稿類、日記の一部、年譜、著述目録索引を付載する。」
「表記は原則として「現代かなづかい」に改め、送りがなも(中略)読解の便をはかって付加し、大部分の接続詞、副詞、助詞なども、漢字をかな書きに改めた。」
「漢字は、当用漢字、同補正案、人名用別表にある字体は、これを使用し、また一部の俗字、同字などで現在常用されないものは、通用のものに改めた。」
「引用文は、(中略)可能な限り原典と照合、校訂した。また漢文の引用文は「読み下し文」に改め(中略)た。読み下しには飯倉照平が当たり、(中略)入矢義高が校閲した。」

「本書(別巻第一)は、第一巻から第十巻に至る全集本巻に収録できなかった書簡および論考を(中略)補遺として収録した。」



目次:

凡例

書簡補遺
 上松蓊宛書簡
  大正三年―十五年
  昭和二年―十六年
 山田栄太郎宛書簡
 山田信恵宛書簡
 羽山芳樹宛書簡
 雑賀貞次郎宛書簡
 須川寛得宛書簡
 宇井縫蔵宛書簡
 中井秀弥宛書簡
 多屋謙吉宛書簡
 和中金助宛書簡
 喜多幅武三郎宛書簡
 田中敬忠宛書簡
 西面欽一郎宛書簡
 西面賢輔・松本勝宛書簡
 楠本秀男宛書簡
 中瀬三児宛書簡
 大江喜一郎宛書簡
 前川正司宛書簡
 田所四郎宛書簡
 藤岡長和宛書簡
 森口奈良吉宛書簡
 西川瀁宛書簡
 三田村玄竜宛書簡
 宮武外骨宛書簡
 中山太郎宛書簡
 岡茂雄宛書簡
 岡田桑三宛書簡

論考補遺
 鳥を食うて王になった話
 「孕石」の訳語について
 本草会

書簡解題

THE ORIGIN OF THE SWALLOW-STONE MYTH

英文『燕石考』について (岩村忍)




◆本書より◆


「The Origin of the Swallow-Stone Myth」より:

「Thus far I have pursued this very intricate myth of the swallow-stone to its varied and interwoven causes. Now, it seems to me, that even in these days when the growth of causes is fully recognised as essentially to have influenced the growth of every institutional feature of mankind, however trifling, there are not a few students of mythology, who persist upon assigning to every myth they meet with an isolated fact or fancy as its sole monopolizing origin. But in its deed, the myth only vies with the dream in its causes, often too multifarious and too complicated for entitling us to disentangle whatever antecedent from what were super-added to them later on; whilst some of these causes have acted and reacted repeatedly upon one another as a cause and effect; and the others now have entirely lost visible traces in their combined resultant.」



◆感想文◆

「The Origin of the Swallow-Stone Myth」は岩村忍監修ということで、同氏による解説「英文『燕石考』について」が付されていますが、その結語として、

「驚くべき記憶力と明晰な頭脳をもつ南方がこの論考の末尾にギリシアの哲学者に対して忠告した老婆のつぎのことばを引用しているのは、南方自身が知識と学問の限界を何よりもよく知っていたということを示すものではなかろうか。
 「地上の伝承を相当に(いくらかでも)直接的に結びつけうる原因は見出されるが、わたくしたちはその間接的で模糊とした起源は、遠い遠い天上に求めなければなりません。」」

と書かれているのは、いちじるしく違和感があります。南方の原文は、

「Lastly, to those explainers of the myth who claim to have traced its origin in certain astronomical or meteorological phenomenon, I would, as an old woman's advice to a Grecian philosophor, like to ask, "While there exist so (comparatively) directly traceable causes of the myth on the earth, must we seek for its indirect and vague origin in the very remote heavens?"」

なので、「神話の直接的な原因が地上に存在するのに、間接的な起源を遠い天上に求める必要があるだろうか」です。
南方はこの論文を「アストロノミカル・ミソロジスト」(神話を天文現象と結びつけて解釈する神話学者)を嘲弄するために書いたと土宜法竜宛書簡にあります。
これは、監修者が当時直面していたであろう自身の「知識と学問の限界」を安易に対象に投影してしまったゆえの誤りであろうと思われます。のちに刊行された平凡社版『南方熊楠選集』には岩村氏による「燕石考」の日本語訳が収録されているようですが(未見)、そちらでは訂正されているのではないでしょうか。
空ばかり見上げていて井戸に落ちてしまい、老婆に「足もとのこともわからない人に天上のことがわかるのかしら」と忠告、というか嘲弄されてしまったギリシアの哲学者はタレスです。
























































































『南方熊楠全集 第十巻 英訳方丈記・英文論考・初期文集 他』

「The great man grows avaricious, the solitary man is disliked by the world.」
(南方熊楠訳 「HOJOKI」 より)


『南方熊楠全集 第十巻 
英訳方丈記・英文論考・初期文集 他』

監修: 岩村忍/入矢義高/岡本清造
校訂: 飯倉照平

平凡社 昭和48年11月12日初版第1刷発行
139p+424p vii 口絵(モノクロ)4p
A5判 丸背布装上製本 貼函
定価2,800円
装幀: 原弘

月報 10(8p):
南方熊楠翁の菌類図譜について(小林義雄)/『信貴山縁起絵巻』と南方熊楠(杉山二郎)/南方熊楠先生追想記(六)(雑賀貞次郎)/英文・和文論考対照表



本書「凡例」より:

「本全集は、南方熊楠が公表した論考、随筆、英文著述、ならびに未公表の論考、手稿類などを集大成することを期した。」
「国内で、著書として、あるいは雑誌に発表された文章は、内容がはなはだしく重複する一、二の例外を除き、すべて収録する。また新聞に掲載された文章も、主要なものは収録する。」
「外国の刊行物に発表された英文著述および未公表の英文論考は原文で収録する。」
「書簡は、学術的および伝記的に重要な内容をもつものを、入手しうる限り、完全な形で収録する。」
「その他、未公表の論考、手稿類、日記の一部、年譜、著述目録索引を付載する。」
「表記は原則として「現代かなづかい」に改め、送りがなも(中略)読解の便をはかって付加し、大部分の接続詞、副詞、助詞なども、漢字をかな書きに改めた。」
「漢字は、当用漢字、同補正案、人名用別表にある字体は、これを使用し、また一部の俗字、同字などで現在常用されないものは、通用のものに改めた。」
「引用文は、(中略)可能な限り原典と照合、校訂した。また漢文の引用文は「読み下し文」に改め(中略)た。読み下しには飯倉照平が当たり、(中略)入矢義高が校閲した。」

「本書(第十巻)は、初期文集・上京日記・神島の調査報告・鷲石考のほか、英訳方丈記・英文論考を収録する。」
「当初収録を予定していた未刊稿“The Origin of the Swallow-Stone Myth”(いわゆる「燕石考」)は、(中略)別巻第一に譲ることにした。」
「なお、これらの英文関係のページは、横組、左開きとした。」



目次:

凡例

初期文集
 作文三題
  祝文
  火ヲ慎ム文
  教育ヲ主トスル文
江島記行
日光山記行
日高郡記行
明治十九年十月二十三日松寿亭送別会上演説草稿
上京日記
神島の調査報告
鷲石考

英文論考/Works in English by Kumagusu Minakata 1893-1933
 A Japanese Thoreau of the Twelfth Century (HOJOKI) 1905
 Nature 1893-1914
  The Constellations of the Far East
  Early Chinese Observations on Colour Adaptations
  Some Oriental Beliefs about Bees and Wasps
  The Earliest Mention of Dietyophora
  An Intelligence of the Frog
  On Chinese Beliefs about the North
  Chinese Beliefs about Caves
  The Antiquity of the "Finger-Print" Method
  "Finger-Print" Method
  Chinese Theories of the Origin of Amber
  Hesper and Phosphor
  The Mandrake
  The Invention of the Net
  The Story of the "Wandering Jew"
  The Antiquity of the "Finger-Print" Method
  Remarkable Sounds
  Remarkable Sounds
  Remarkable Sounds
  Remarkable Sounds
  The Mandrake
  Marriage of the Dead
  On Augury from Combat of Shell-fish
  The Centipede-Whale
  Acquired Immunity from Insect Stings
  The Mandrake
  Oat Smut as an Artist's Pigment
  Notes on the Bugonia-Superstitions - The Occurrence of Eristalis Tenax in India
  The Centipede-Whale
  The Invention of the Gimbal
  Plague in China
  The Natural Prey of the Lion
  Walrus
  Indian Corn
  Crab Ravages in China
  Indian Corn
  Illogicality concerning Ghosts
  Artificial Deformations of Heads, and Some Customs connected with Polyandry
  Pithophora Oedogonia
  Distribution of Pithophora
  The Discovery of Japan
  Distribution of Calostoma
  The Earliest Mention of Hydrodictyon
  Early Chinese Description of the Leaf-Insects
  Polypus Vinegar - Sea-blubber Arrack
  An Alga growing on Fish
  Baskets used in Repelling Demons
  Colours of Plasmodia of Some Mycetozoa
  A Singular Mammal called "Orocoma"
  Colours of Plasmodia of Some Mycetozoa
  Trepanning among Ancient Peoples
 Notes and Queries 1899-1933
 Vragen en Mededeelingen 1910
 Title Index

南方熊楠の英文著作 (岩村忍)
英文著作解題




◆本書より◆


「HOJOKI」より:

「Of the flowing river the flood ever changeth, on the still pool the foam gathering, vanishing, stayeth not. Such too is the lot of men and of the dwellings of men in this world of ours. Within City-Royal, paved as it were with precious stones, the mansions and houses of high and low, rivalling in length of beam and height of tiled roof, seem builded to last for ever, yet if you search few indeed are those that can boast of their antiquity. One year a house is burnt down, the next it is rebuilded, a lordly mansion falls into ruin, and a mere cottage replaces it. The fate of the occupants is like that of their abodes. Where they lived folk are still numerous, but out of any twenty or thirty you may have known scarce two or three survive. Death in the morning, birth in the evening. Such is man's life - a fleck of foam on the surface of the pool. Man is born and dieth; whence cometh he, whither goeth he? For whose sake do we endure, whence do we draw pleasure? Dweller and dwelling are rivals in impermanence, both are fleeting as the dewdrop that hangs on the petals of the morning-glory. If the dew vanish the flower may stay, but only to wither under the day's sun; the petal may fade while the dew delayeth, but only to perish ere evening.」








































































『南方熊楠全集 第九巻 書簡 III』

「小生は生来脳力がへんな男なるも、いろいろとみずから修練して発狂には至らざりし。」
(南方熊楠 「白井光太郎宛書簡」 より)


『南方熊楠全集 第九巻 
書簡 III』

監修: 岩村忍/入矢義高/岡本清造
校訂: 飯倉照平

平凡社 昭和48年3月1日初版第1刷発行
630p viii 口絵(モノクロ)4p
A5判 丸背布装上製本 貼函
定価2,800円
装幀: 原弘

月報 8(8p):
ダイダラ坊の足跡(花田清輝)/南方熊楠先生追想記(四)(雑賀貞次郎)/資料11 南方先生訪問記(下)(酒井潔)



本書「凡例」より:

「本全集は、南方熊楠が公表した論考、随筆、英文著述、ならびに未公表の論考、手稿類などを集大成することを期した。」
「国内で、著書として、あるいは雑誌に発表された文章は、内容がはなはだしく重複する一、二の例外を除き、すべて収録する。また新聞に掲載された文章も、主要なものは収録する。」
「外国の刊行物に発表された英文著述および未公表の英文論考は原文で収録する。」
「書簡は、学術的および伝記的に重要な内容をもつものを、入手しうる限り、完全な形で収録する。」
「その他、未公表の論考、手稿類、日記の一部、年譜、著述目録索引を付載する。」
「表記は原則として「現代かなづかい」に改め、送りがなも(中略)読解の便をはかって付加し、大部分の接続詞、副詞、助詞なども、漢字をかな書きに改めた。」
「漢字は、当用漢字、同補正案、人名用別表にある字体は、これを使用し、また一部の俗字、同字などで現在常用されないものは、通用のものに改めた。」
「引用文は、(中略)可能な限り原典と照合、校訂した。また漢文の引用文は「読み下し文」に改め(中略)た。読み下しには飯倉照平が当たり、(中略)入矢義高が校閲した。」

「本書(第九巻)は、「書簡 III」とし、第七巻、第八巻に収録できなかった多方面にわたる南方熊楠の書簡を(中略)収録した。」
「原則として著者肉筆の原手簡を解読し、乾元社版『南方熊楠全集』に収録されているものについては、これを参照した。」



目次:

凡例

岩田準一宛書簡
 昭和六年
 昭和七年
 昭和八年
 昭和九年
 昭和十年
 昭和十一年
 昭和十二年
 昭和十三年
 昭和十四年
 昭和十五年
 昭和十六年

寺石正路宛書簡
宮武省三宛書簡
杉田定一宛書簡
藤江義応宛書簡
水原堯栄宛書簡
谷井保宛書簡
宇野脩平宛書簡
六鵜保宛書簡

進献進講関係書簡
 大正十五年
  上松蓊宛
  平沼大三郎宛
  上松蓊宛
  平沼大三郎宛
  服部広太郎宛
 昭和四年
  服部広太郎宛
  山田栄太郎宛
  小畔四郎宛
  山田栄太郎宛
  上松蓊宛
  小笠原誉至夫宛
  山田信恵宛
  上松蓊宛
  山田信恵宛
  古田幸吉宛
  上松蓊宛
  山田信恵宛

白井光太郎宛書簡

植物学関係書簡
 六鵜保宛
 平沼大三郎宛
 岡田要之助宛
 渡辺篤宛
 小畔四郎宛
 服部広太郎宛
 上松蓊宛
 今井三子宛
 伊藤誠哉宛
 北島脩一郎宛
 江本義数宛
 樫山嘉一宛

男色考余談 (稲垣足穂)

書簡解題




◆本書より◆


「岩田準一宛書簡」より:

「およそ男色と一概にいうものの、浄と不浄とあり。古ギリシアなどにはこれを別つことすこぶる至れり。(浄とは東洋で五倫の一とせる友道の極致に過ぎず。)」

「故に、人が見て原形体といい、無形のつまらぬ痰(たん)様の半流動体と蔑視さるるその原形体が活物で、後日蕃殖の胞子を護るだけの粘菌は実は死物なり。死物を見て粘菌が生えたと言って活物と見、活物を見て何の分職もなきゆえ、原形体は死物同然と思う人間の見解がまるで間違いおる。すなわち人が鏡下にながめて、それ原形体が胞子を生じた、それ胞壁を生じた、それ茎を生じたと悦ぶは、実は活動する原形体が死んで胞子や胞壁に固まり化するので、一旦、胞子、胞壁に固まらんとしかけた原形体が、またお流れとなって原形体に戻るは、粘菌が死んだと見えて実は原形体となって活動を始めたのだ。」

「テーンはその世の人となり、その世の世間に入って、その世の心をもってするにあらざれば、むかしのことを写出するは望むべからずと主張せり。一概に不潔とか非倫とか(男道すなわち真の友道は五倫の一たり)忌むべきとか穢らわしいとか非理とかいうて世俗に媚びるようでは、このことのみならず、何の研究も成らぬもので一生凡俗に随順してその口まねをするものなり。」



「白井光太郎宛書簡」より:

「小生は生来脳力がへんな男なるも、いろいろとみずから修練して発狂には至らざりし。また霊智の不思儀のということは一向信ぜず。ただ科学的にこんなことを何とか研究して些少なりとも物心関係の次第の端緒を知りたく思う。」


酒井潔「南方先生訪問記(下)」(月報)より:

「それ等の標本図の中には、先生の令息の描かれたものがある。それを暗然と見て、わしの忰は高等学校の試験を勉強して病気になったので、今でも病院へ入れてある。(中略)あれを学校なんかへやらねばよかった。わしの手元で標本でも描かしていたら、今ごろは一ッぱしの植物学者になっていただろうに……。」




























































































『南方熊楠全集 第八巻 書簡 II』

「小生はずいぶん酒を飲みたる男なり、これを飲みしには飲むべき理由がありたるなり、このことはゆくゆく世間に分かり申すべし」
(南方熊楠 「柳田国男宛書簡」 より)


『南方熊楠全集 第八巻 
書簡 II』

監修: 岩村忍/入矢義高/岡本清造
校訂: 飯倉照平

平凡社 1972年4月20日初版第1刷発行/1991年3月20日初版第11刷発行
643p vii 口絵(モノクロ)4p
A5判 丸背布装上製本 貼函
定価6,000円(本体5,825円)
装幀: 原弘



本書「凡例」より:

「本全集は、南方熊楠が公表した論考、随筆、英文著述、ならびに未公表の論考、手稿類などを集大成することを期した。」
「国内で、著書として、あるいは雑誌に発表された文章は、内容がはなはだしく重複する一、二の例外を除き、すべて収録する。また新聞に掲載された文章も、主要なものは収録する。」
「外国の刊行物に発表された英文著述および未公表の英文論考は原文で収録する。」
「書簡は、学術的および伝記的に重要な内容をもつものを、入手しうる限り、完全な形で収録する。」
「その他、未公表の論考、手稿類、日記の一部、年譜、著述目録索引を付載する。」
「表記は原則として「現代かなづかい」に改め、送りがなも(中略)読解の便をはかって付加し、大部分の接続詞、副詞、助詞なども、漢字をかな書きに改めた。」
「漢字は、当用漢字、同補正案、人名用別表にある字体は、これを使用し、また一部の俗字、同字などで現在常用されないものは、通用のものに改めた。」
「引用文は、(中略)可能な限り原典と照合、校訂した。また漢文の引用文は「読み下し文」に改め(中略)た。読み下しには飯倉照平が当たり、(中略)入矢義高が校閲した。」

「本書(第八巻)は、「書簡 II」とし、柳田国男、高木敏雄、その他民俗学関係の人々に宛てた書簡を収録した。」
「原則として著者肉筆の原手簡を解読し、乾元社版『南方熊楠全集』に収録されているものについては、これを参照した。」



目次:

凡例

柳田国男宛
 明治四十四年
 明治四十五年(大正元年)
 大正二年
 大正三年
 大正五年
 大正十五年

高木敏雄宛
 明治四十五年(大正元年)
 大正二年

佐々木繁宛
胡桃沢勘内宛
中道等宛
沼田頼輔宛
出口米吉宛
矢吹義夫宛
西村真次宛
後藤捷一宛

「縛られた巨人」のまなざし (谷川健一)

書簡解題




◆本書より◆


「柳田国男宛書簡」より:

「また貴下願わくは山男を原始の人間とのみ見ることなかれ。古え経済上の準備不整なる世には、通常の人間なりとも飢荒等にて山居野処し、社会と距りすまば、堕落して二、三代の後には純然たる山男となりし例は多からん。」

「神罰などいうこと、あるかなきか知れず。しかし、あるとしても差し閊(つか)えなき限りは、あまりに迷信迷信迷信と神木を伐ることをまで恐れぬように世間を開け切らしむるも如何あるべきやと疑われ申し候。(中略)合祀励行以来、小生ごとき神仏を拝せず科学のみ修め来たりしものが、反って古いことをさえずり一種の御幣をかつぎまわり、神で糊口する神官、祠職、宮世話人、氏子総代等が一切神を怖るるを迷信と卑瞥する、さかさまの世と相成りたるに候。」

「一八七二年インドの諸新聞にあらわれしセカンドラ孤児院の報告によるに、十歳ばかりの小児、狼群の窠中よりくすべ出されたり。永きあいだ狼群中に育ちし証には、この児四つ這いを常とし、また生肉を好む。
 小生七年前十月五日、那智より小口という所(西行の歌ある処)へ行くとて大雲取山を踰(こ)ゆるに、地蔵という所あり。地蔵堂とも覚しきものあり。はなはださびしき所にて、ジャコウソウおびただしく生え、生きながら冥途にあるかと思うほどなり。その辺を歩む人に聞きしは、前年ある人ここを歩みしに、篠生えたる中より嬰児這い出で獣のごとく歩む。気味悪くて何とも致し方なく一散に走り過ぎぬ。後日そこを人伴い歩みしに、件(くだん)の嬰児の首斬られて胴のみありしとか、首のみ存せしとか、たしかに記せぬがいずれかのこりありしという。」

「一国の文化風俗の変遷を見るに、由来正しき実話のみならず、虚構依様(いよう)の書もその前後のことを見るに便りあるもの多し。
 今の『旧事記』は偽作なり。しかし、古い偽作ゆえ自然古い伝話も多く入れあり。『先代旧事本記』などは丸うそで、その本人の名も分かりあり。それすらうそ話はどれほどまで作り得るという研究になるなり。(中略)台湾が世界中に名高くなりしは、ザルモナッサルという蘭人(?)、百虚無一実の書を作り、台湾の実在譚を述べ、言語文法ことごとく虚構して世を紿(あざむ)き、死するに臨み慚罪せしより名高くなりしなり。水戸の鵜飼信興の『古今珍書考』、小生も写しを持つが、うその書目のみ引けり。(中略)しかるに、小生詳しくしらべしに、その内に実事一つあり、まるでうそばかりはいえぬものなり。またうそをいうにいかに骨折れるかが知れる。」

「貴下や佐々木が、山男山男ともてはやすを読むに、(中略)真の山男でも何でもなく、ただ特種の事情より止むを得ず山に住み、至って時勢おくれのくらしをなし、世間に遠ざかりおる男(または女)というほどのことなり。それならば、小生なども毎度山男なりしことあり。」
「そんなものが山男山女ならば、当国の日高郡山路村から熊野十津川には、山男が数百人もあるなり。(中略)今は知らず、十年ばかり前まで、北山から本宮まで川舟で下るに、川端に裸居または襦袢裸で危坐して、水の踊るを見て笑いおるもの、睨みおるものなど、必ず二、三人はありたり。これに話しかけても、言語も通ぜず、何やら分からず、真に地仙かと思うばかりなり。さてよくよく聞くと、山居久しくして気が狂いしもの、毎度かかる行いありという。」



「西村真次宛書簡」より:

「いずれの邦民も、今の世にありて、自国にそんな野蛮なことがありそうなはずなしと思うようなことが、実は以前世間に普通なりしこと多し。以前どこやらでなく、今も路次、小路にすむ辟民中には、われわれが考えも及ばぬようなことのみ信ぜられ、行なわれおるなり。例せば、この田辺町は小さな町なるが、その大部分を占むる(中略)陋巷に、密棲する人々の言い行なうところを見聞するに、なにか少しく奇異なことあればこれを神怪に帰し、その手当てとして巫祝、狐狸、生霊(いきりょう)にたよるが普通に御座候。」




























































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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