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『現代日本美人画全集 8 竹久夢二』 

「彦乃なき後の夢二の人生は余生であった。」
(木村重圭 「竹久夢二」 より)


『現代日本
美人画全集 
8 
竹久夢二』 
(愛蔵普及版)


執筆: 木村重圭
監修: 高橋誠一郎・河北倫明
編集: 座右宝刊行会


集英社 
昭和54年3月10日 初版印刷
昭和54年3月26日 初版発行
127p(うちカラー図版8p・別丁カラー図版64p)
28×21.5cm 丸背紙装上製本 
本体カバー 貼函 函プラカバー
定価1,600円



第2回配本(全12巻)。
作品図版(カラー)75点、本文中参考図版(モノクロ)43点、「作品解説」図版(モノクロ)75点。



竹久夢二 現代日本美人画全集 01



竹久夢二 現代日本美人画全集 02



目次:

図版
 1 紅衣扇舞
 2 初秋之香
 3 ギヤマン問屋の夏
 4 君ゆえに
 5 加茂川
 6 壷屋の夏
 7 紀国屋
 8 紅燈夜話
 9 切支丹波天連渡来之図
 10 江戸呉服橋之図
 11 平戸懐古
 12 九連環
 13 室之津
 14 室之津懐古
 15 生ける屍
 16 一力
 17 こたつ
 18 りんどう
 19 春
 20 桜下五美人
 21 螢
 22 山の茶亭
 23 まぼろしの女
 24 道行
 25 からふねや
 26 秋のいこい
 27 黒船屋
 28 稲荷山
 29 長崎十二景
 30 逢状
 31 稲荷詣で
 32 小春・時雨の炬燵
 33 砂時計
 34 桐下別離
 35 七夕
 36 灯ともし頃・秋の丘
 37 春まつ人
 38 南枝早春・立春大吉
 39 女十題
 40 四季の女
 41 春娘図
 42 星まつ里
 43 白夜
 44 秋の夜
 45 寝たかねなんだか
 46 遠山に寄す
 47 蛙
 48 夏深み
 49 青衣の女
 50 湘南風光
 51 曠野の娘
 52 憩い
 53 榛名山賦
 54 忘れ団扇
 55 秘薬紫雪
 56 晩春感傷
 57 庭石に
 58 さのや
 59 みちゆき
 60 立田姫
 61 旅
 62 日本之雨
 63 五月之朝
 64 カフェーの女
 65 山の娘
 66 黄八丈

竹久夢二 (木村重圭)

版画・挿絵その他
 Ⅰ 小春(版画)
 Ⅱ 宝船(版画)
 Ⅲ 港屋絵草紙店(版画)
 Ⅳ 雪の夜の伝説(『婦人グラフ』口絵・版画)
 Ⅴ 化粧の秋(『婦人グラフ』表紙絵・版画)
 Ⅵ 麻利耶観音(『婦人グラフ』挿絵・版画)
 Ⅶ 愛の総勘定(『婦人グラフ』挿絵・版画)
 Ⅷ 松原(セノオ楽譜表紙)
 Ⅸ 一座の花形(版画)

作品解説 (木村重圭)
年譜
参考文献




◆本書より◆



竹久夢二 現代日本美人画全集 03


「15 生ける屍 1917~18年(大6~7)」



竹久夢二 現代日本美人画全集 04


「43 白夜 1922年(大11)頃」



竹久夢二 現代日本美人画全集 05


「49 青衣の女 1930年(昭5)頃」



竹久夢二 現代日本美人画全集 06


「52 憩い (右隻) 1926年(大15)頃 2曲1双屏風」



竹久夢二 現代日本美人画全集 07


「61 旅 1931年(昭6) 2曲1隻屏風」



竹久夢二 現代日本美人画全集 08


「Ⅸ 一座の花形 (版画) 1916年(大5)」







こちらもご参照ください:

竹久夢二 『どんたく』 (中公文庫)
































































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『名所江戸百景』 画: 一立斎広重/文: 宮尾しげを

『名所江戸百景』
画: 一立斎広重
文: 宮尾しげを



集英社
1992年4月8日 第1刷発行
187p 
30.4×20.4cm 
丸背紙装上製本 カバー
定価4,500円(本体4,369円)
装丁: 榎本了壱/アタマトテ・インターナショナル
レイアウト: 後藤市三



本書「凡例」より:

「本巻は、魚屋栄吉板元・一立斎広重画の「名所江戸百景」全百十九点を、目録の順序にしたがって、原色図版で紹介する。」
「原色図版は、原画の保存状態を尊重して、色彩の復元などはあえて行なわなかった。」
「総説及び解説は、集英社刊「浮世絵大系 第16巻 名所江戸百景(一)・第17巻 名所江戸百景(二)」収載の宮尾しげを氏の文を再録した普及版である。」



『名所江戸百景』はなんといっても、ありふれた風景を素材としてこの上なき奇想(コンシート)をくりひろげる未曾有のマニエリスム画集でありまして、トリミングの妙、アングルの妙、トリックの妙、細部に宿る神、鳥に猫に水、たいへんすばらしいですが、じつをいうと本を持っていなかったのでアマゾンマケプレで最安値(送料込880円)の本書を注文しておいたのが届いたのでよんでみました。



名所江戸百景 01



目次:

凡例

原色図版

広重と名所江戸百景
江戸の年中暦
図版解説
地図(名所江戸百景収録図)




◆本書より◆


名所江戸百景 02



「48-1 赤坂桐畑(あかさかきりはた)」

「今の赤坂見附から虎ノ門に通じる外堀通りは、明治初めまで溜池といって、池状になっていた。麹町山王台からの水がこの窪地に落ちて川状になるので、それをこの一帯にためて新橋、芝桜川から品川の海へ流した。(中略)濠の土手に補強もかねて桐の木を植えた。享保年間(一七一六~三五)のことだという。」




名所江戸百景 04



名所江戸百景 04a



「81 高輪(たかなわ)うしまち」

「東海道筋の旅立ちで、高輪は第一宿品川の手前であるので、旅の見送りはここまでとなっていた。(中略)増上寺建立のとき、京都から多くの牛車が江戸にはいってきて、その牛の宿がここにあったので、牛町ともいった。本当の名は車町。すぐ前は品川の海であった。」
「広重の絵にある車は、牛車である。西瓜(すいか)の残欠でまだ暑さを思わせている。一雨降ったあとに出る虹の美しさと、まだ濡れた土の乾かぬ色調が見事に摺られている。」




名所江戸百景 05



名所江戸百景 05a



「90 猿(さる)わか町(ちょう)よるの景(けい)」

「猿若町は台東区浅草六丁目にあった。天保十三年(一八四二)に水野越前守が幕府の政治改革の際に、廃滅させるつもりで市中にあった芝居小屋と役者を辺鄙(へんぴ)なこの地に移した。ところが、前に浅草寺観世音があり、後方に吉原という花街があったので、滅びるどころか繁盛してしまった。」
「この絵は西洋風の影を描いているのが珍しい。」




名所江戸百景 06



「115 高田(たかだ)の馬場(ばば)」

「高田馬場というと、忠臣蔵に出てくる堀部安兵衛が、叔父さんの仇討をした場所として知られている。」
「馬場の外側は馬乗り、内側は弓の練習に使われていた。図左に、大きな輪に皮を張ったものが的であって、矢の先は布で包んであるものを使用しているので、これを射ても破れることはない。」




名所江戸百景 07



「117 湯(ゆ)しま天神(てんじん)坂上(さかうえ)眺望(ちょうぼう)」

「文京区の本郷台を、台東区の上野へ下ろうとする際に、湯島天神はある。」
「絵は神社横の女坂から、台東区の不忍池を望んだ構図で、左側の角に茶屋が見えるが、いまは無い。」




名所江戸百景 08



名所江戸百景 08a



「118 王子(おうじ)装束(しょうぞく)ゑの木(き)大晦日(おおみそか)の狐火(きつねび)」

「北区王子二丁目辺が畑であった時分、そこに大きな榎(えのき)の木があった。王子稲荷と向き合っていて、毎年大晦日になると、関東中の狐が、この榎の下に集まって、装束を着替え、正月の挨拶に、関東の稲荷総取締役の王子稲荷社に参籠(さんろう)したという。そのとき、狐火という光を放った。その火の数を見て、人間は翌年の豊作を占ったものだった。」
「大正時代に、王子に町屋が順次できて、名物の大榎も切られることになった。切った人が病気になったり、気が狂ったりしたので、狐のたたりだろうと、人々は恐れて、その榎の切株の上に稲荷神を勧請して、装束稲荷大明神とあがめて社を作った。」










こちらもご参照ください:

田中優子 『江戸百夢 ― 近世図像学の楽しみ』
マックス・エルンスト 『百頭女』 巌谷国士 訳 (眼は未開の状態にある叢書)









































































『駒井哲郎 1920―1976』 (2011年)

「白い紙の上に影を落した一条の糸屑とか、レースの切れ端、あるいは毀れた古時計のゼンマイから、未だ生れぬ昔の記憶が忽然と浮び上ることがある。僕は僕の心の中心でその記憶に獅嚙みつき現実では果し得ない素晴しい未見の世界を希求するのだが。それは『奥深き暗きひとつの統一』にも似て、音楽のようで夜のようで又朝のようでさえある。そしてなんでもなかった色々の形体が段々と意味を持って来て微生物のように魚のように又光のように動きだす。人間は大昔には水棲動物ででもあったのか」
(駒井哲郎 「銅版画について」 より)


『駒井哲郎 
1920―1976』

Tetsuro Komaï Retrospective


編集: 町田市立国際版画美術館/山口県立萩美術館・浦上記念館/伊丹市立美術館/郡山市立美術館/新潟市美術館/世田谷美術館/東京新聞
執筆: 福原義春/清水真砂/滝沢恭司/藤村忠範/岡本梓/杉原聡/永山多貴子/石垣雅美/野田吉郎
デザイン: 桑畑吉伸
制作: コギト
発行: 東京新聞
2011年
304p 
20.6×20.6cm
角背紙装上製本(継ぎ表紙)


2011年4月9日―6月12日
町田市立国際版画美術館
2011年7月5日―8月7日
山口県立萩美術館・浦上記念館
2011年10月29日―12月18日
伊丹市立美術館
2012年1月5日―2月12日
郡山市立美術館
2012年2月18日―4月15日
新潟市美術館
2012年4月28日―7月1日
世田谷美術館



図録。作品図版386点。解説中参考図版(モノクロ)8点、年譜中写真図版(モノクロ)9点。その他写真図版(モノクロ)2点(「アトリエにて、1967年」「世田谷のアトリエ」)。



駒井哲郎 1920-1976 01



内容:

ごあいさつ (主催者)
謝辞

「駒井哲郎 1920―1976」展に寄せて (福原義春)
版の迷宮――駒井哲郎福原コレクション (清水真砂)
イメージの探索者 駒井哲郎 (滝沢恭司)

図版
 Ⅰ 銅版画への道 1935―1948頃
 Ⅱ 夢の開花 1948―1953
 Ⅲ 夢の瓦解そして再生 1954―1958
 Ⅳ 充実する制作: 詩画集『からんどりえ』まで 1959―1960
 Ⅴ 新たな表現を求めて 1961―1966
 Ⅵ 充実の刻 1967―1970
 Ⅶ 未だ見果てぬ夢、色彩の開花 1971―1973
 Ⅷ 白と黒の心象風景と乱舞する色彩 1974―1976

作品目録・解説
駒井哲郎の銅版画技法について (滝沢恭司)
年譜 (杉原聡 編)
文献目録 (杉原聡 編)




◆本書より◆


「ごあいさつ」より:

「駒井哲郎(1920―1976)は、銅版画という目に見える「かたち」を通して、目に見えない「こころ」の内を表現した画家でした。夢と現実の織り成すその表現は、おそらく見る者を空想の世界へと誘ってくれることでしょう。しかし、駒井が銅版画に描き出したイメージは、決して非現実的なものだったわけではありません。その表現世界は、人生への懐疑や日常の憂鬱感、ひそやかな期待や心の高揚感といった、きわめて切実で真摯な、内なるこころから生まれました。目を閉じた時に瞼の裏に微かに浮かぶ光の造形や、日常の中で目にした現実としての幻影。駒井はそういったこころの眼で見た現象や現実を、鋭い感性と熟達した技術によって銅版画へと移し変えることに成功した、稀に見る才能豊かな芸術家でした。
 本展では、そうした駒井芸術の全貌を、資生堂名誉会長の福原義春氏が蒐集した約500点という大コレクションでご紹介します。」




駒井哲郎 1920-1976 05



「果実の受胎 1953年」



駒井哲郎 1920-1976 07


「ある空虚 1957年」



駒井哲郎 1920-1976 03


「海の中の静物 1968年」「大樹を見あげる魚 1968年」



駒井哲郎 1920-1976 04


「銅版画集『九つの夢から』」(1970年)より。



駒井哲郎 1920-1976 06


「花 1974年」





こちらもご参照ください:

駒井哲郎 『白と黒の造形』 (新装版)
駒井哲郎 『増補新版 銅版画のマチエール』
河田清史 『ラーマーヤナ ― インド古典物語』 (レグルス文庫) 全二冊
『埴谷雄高作品集 2 短篇小説集』




























『クエイ兄弟  ファントム・ミュージアム』

「そして、この周縁の立ち位置が、いかに不完全であっても僕たちのものであったし、現在も僕たちの立ち位置なのです。」
(『クエイ兄弟  ファントム・ミュージアム』 より)


『クエイ兄弟 
ファントム・ミュージアム』

The Quay Brothers Phantom Musæums
編集: 籾山昌夫/清水恭子/柴田勢津子


求龍堂
2016年7月23日
173p+2p
26.5×19.8cm
角背紙装上製本 カバー
定価3,000円+税
装幀: 島田薫


2016年7月23日(土)―10月10日(月・祝)
神奈川県立近代美術館 葉山



本書「あとがきに代えて」より:

「本書は、「クエイ兄弟――ファントム・ミュージアム――」展の図録であるのみならず、日本ではアニメーション制作者、映像作家として語られることの多いクエイ兄弟が、今日の欧米ではより広い分野で活躍し、評価されていることを紹介する意図で編まれた。」


求龍堂オンラインストア
https://www.kyuryudo.co.jp/shopdetail/000000001281/



クエイ兄弟 01



目次:

メッセージ (クエイ兄弟 訳: 籾山昌夫/三木はるか)
虚実皮膜の間――クエイ兄弟の魔術的世界への誘い (水沢勉)

クエイ兄弟の世界 (解説: 籾山昌夫)
Ⅰ ノーリスタウンからロンドンへ
 ポーランド・ポスター
 黒の素描
 学生時代の映画
Ⅱ 映画
Ⅲ ミュージック・ヴィデオ&コマーシャル
Ⅳ 舞台芸術&サイトスペシフィック・プロジェクト
Ⅴ インスタレーション&展覧会

資料
 クエイ兄弟略年譜
 主要参考文献
 作品リスト
 あとがきに代えて (籾山昌夫)




◆本書より◆


「メッセージ」(クエイ兄弟):

「... If for the most part of some 37 years we have worked at the miniature scale of the tabletop with objects and puppets, it was in the firm belief that this realm had given the two of us a tiny door already slightly ajar but continuously opening upon the marvellous and onto a reality of unseen worlds and onto as Julio Cortazar has said: another order, more secret and less communicable; that the true study of reality did not rest on laws, but the exception to those laws. And that this position in the margins, however imperfect, was ours and is ours; and that this has given us an approach to apprehending life, even in its most fragmentary of forms. To have believed fully in Bruno Schulz's notion of what is to be done with events that have no place of their own in time; events that have occurred too late or gone unregistered; that there were branch lines of time, somewhat suspect, onto which one could shunt these illegal events. This inherently has become a credo for us; one that we have revered again and again and at different levels in the work.」

「僕たちが37年間の大半、オブジェやパペットを用いて、卓上写真のミニチュア・サイズで制作してきたのは、以下のことを強く信じていたからです。この領域が、僕たちふたりに、すでに僅かに開いていた小さな扉を与えてくれたということ。その扉は、不可思議なものや見えない世界の現実、フリオ・コルタサルが言うところの「より秘密の多い、より伝え難い、もうひとつの秩序」に対して開かれていました。また、現実を真に把握するには、法則によるのではなく、その法則の例外によるということ。そして、この周縁の立ち位置が、いかに不完全であっても僕たちのものであったし、現在も僕たちの立ち位置なのです。また、このことが、きわめて断片的なかたちであるにしても、人生を理解する手がかりを僕たちに与えてきたのです。僕たちは、ブルーノ・シュルツの概念を深く信じてきました。それは、時間のなかに自らの場をもたない出来事、遅すぎたか、あるいは、記録されることなく過ぎ去った出来事に対してなすべきことについての概念、また、やや疑わしいものの、こうした法則から外れた出来事の進路を変更できたかもしれない、枝分かれした時間の流れがあったという概念です。これが、本質的に僕たちの信条になり、作品のなかで繰り返し、多様なレベルで尊重してきました。」




クエイ兄弟 02



「In Absentia 不在」より:

「不気味な風景、ベランダと開いた窓、ベランダから垂れた両足、マクロレンズで接写した鉛筆削り、テーブルの上で跳ねる鉛筆、塗装の剥げた柱時計、反時計回りの文字盤、折れた鉛筆の芯、鬼のようなパペット、書き重ねられた細かい文字。マルレーヌ・カミンスキーが演じる女性は、書き終えた手紙を柱時計に投函する。「精神病院から夫に『あなた、来て』と書いた E. H. へ」というエンドロールの献辞から、ハイデルベルクの精神病院から手紙を出していたエンマ・ハウク(1878―1920)の物語と知れる。このテーマは1996年にヘイワード・ギャラリーで開催された、ドイツの精神科医、美術史家ハンス・プリンツホルン(1888―1933)が収集した精神病患者の芸術作品を展示した「ビヨンド・リーズン:芸術と精神病」をヒントにしている。」




Quay Brothers - Street of Crocodiles






こちらもご参照下さい:

コルタサル 『秘密の武器』 木村榮一 訳 (岩波文庫)
『ブルーノ・シュルツ全集』 【全二巻】 工藤幸雄 訳
ハンス・プリンツホルン 『精神病者はなにを創造したのか ― アウトサイダー・アート/アール・ブリュットの原点』 林晶/ティル・ファンゴア 訳
ヤン・シュヴァンクマイエル 『シュヴァンクマイエルの世界』
































































『バルチュス展 カタログ』 (1984年)

「それと言うのも、猫は「たしかに」猫であることは決してないからである。飼い馴らされることをずっと拒否して来たその長い歴史、長い間人間の傍らで演じて来たその際立った役割、今日でもなお人が信じ続けているその神秘的な魔力等は、猫をすべての被造物のなかでも特別の動物たらしめている。それがわれわれのそばに居るということは、今でもひとつの謎なのである。」
(ジャン・クレール 「エロスの変貌」 より)


『バルチュス展 
カタログ』

監修: 高階秀爾
編集: 京都国立近代美術館/朝日新聞社
制作: 美術出版デザインセンター

朝日新聞社 
1984
125p 
27×22.8cm 並装


1984年6月17日―7月22日
京都市美術館



本文セピア色印刷。
出品作図版55点、部分拡大図15点。巻頭にバルテュス肖像(1956年、シャッシーで)1点、「エロスの変貌」に参考図版(モノクロ)42点、「年譜」に写真図版(モノクロ)2点。


バルチュス展 01


内容:

あいさつ (京都国立近代美術館/ポンピドー・センター国立近代美術館/朝日新聞社)
Remerciments
Message des organisateurs (Musée National d'Art Moderne de Kyoto / Centre national d'art et de culture Georges Pompidou, Musée national d'art moderne, Paris / Asahi Shimbun)

バルチュス、または存在の神秘 (高階秀爾)
バルチュスの教え (フェデリコ・フェリーニ/訳: 太田泰人)
エロスの変貌 (ジャン・クレール/訳: 高階秀爾)

カタログ
 1 河岸 1929年 油彩 
 2 山(夏) 1937年 油彩 
 3 白いスカート 1937 油彩
 4 子供たち 1937 油彩
 5 ホアン・ミロとその娘ドロレス 1937―38 油彩
 6 ラルシャン 1939 油彩
 7 おやつの時間 1940 油彩
 8 客間 1941―43 油彩
 9 シャンプロヴァンの風景 1941―45 油彩
 10 美しい日々 1945―46 油彩 
 11 ローランス・Bの肖像 1947 油彩 
 12 金魚 1948 油彩 
 13 「コメルス・サンタンドレ小路」のための習作 1950 油彩 
 14 コメルス・サンタンドレ小路 1952―54 油彩
 15 部屋 1952―54 油彩
 16 樹木のある大きな風景(三角の畑) 1955 油彩 
 17 パシアンス遊び 1954―55 油彩 
 18 白い部屋着の少女 1955 油彩 
 19 夢Ⅰ 1955 油彩 
 20 黄金の午後 1956 油彩 
 21 読書する少女 1957 油彩 
 22 青いバスローブの少女 1958 カゼイン・テンペラ
 23 昼寝 1958 油彩 
 24 アトリエの静物 1958 油彩 
 25 ランプのある静物 1958 油彩 
 26 シャッシーの農家の中庭 1960 油彩
 27 樹のある大きな風景 1960 油彩 
 28 蛾 1959―60 油彩 
 29 三人の姉妹 1959―64 油彩
 30 モンテ・カルヴェルロの風景 1977―80 カゼイン・テンペラ
 31 画家とモデル 1980―81 カゼイン・テンペラ
 32 スカーフを持つ裸婦 1981―82 油彩
 33 鏡を持つ裸婦 1982―83 油彩
 34 『嵐が丘』のための習作 1932―33 ペン・墨
 35 アントナン・アルトー 1935 ペン・墨
 36 『チェンチ一族』のためのエスキース 1935 ペン・墨
 37 樹の習作(シャンプロヴァン) 1939 ペン・淡彩
 38 Aの肖像 1943 鉛筆
 39 ジャネットの肖像(眠る女) 1943 鉛筆
 40 自画像 1943 鉛筆
 41 「部屋」のための習作 1949 鉛筆
 42 暖炉の前の裸婦 1954 鉛筆
 43 夢 1956 鉛筆
 44 「モルヴァン」のための習作 1955 水彩
 45 「夢Ⅰ」のための習作 1955 水彩
 46 静物(マルメロと梨) 1956頃 水彩
 47 静物(四つのリンゴ) 1956頃 水彩
 48 「海辺の少女」のための習作 1957 水彩
 49 果物のある静物 1963 水彩
 50 少女の習作 1963 鉛筆
 51 座る少女 1972 鉛筆
 52 モンテ・カルヴェルロの風景 1972 水彩
 53 ミケリーナⅠ  1973 鉛筆・木炭
 54 ふたつの薔薇 1974頃 鉛筆・木炭
 55 籠のある静物 水彩

出品作品一覧
略年譜
Expositions personnelles
Expositions collectives
Bibliographie

Les métamorphoses d'Eros (Jean Clair)



バルチュス展 02



◆本書より◆


「エロスの変貌」(ジャン・クレール)より:

「なぜなら、彼らの場合、「世界は終末を迎えるだろう」という予感は、きわめて緊急な、そして最も内面的な表現として捉えるべきだからである。特にバルチュスは、大部分の人ならずっと後になってからようやく感じるような、あるいは生涯まったく感じないですませるようなこの予感を、きわめて早くから個人の問題として感じていた。つまり、世界が終末を迎えるであろうということは、「幼年時代が終末を迎えるであろう」ということである。終末を迎えようとしているが故に、幼年時代は、永遠に未完成のままで終らざるを得ない。それは、哲学で語られているあの「未完成の投企」として永遠に人間のなかに残っているような幼年時代である。それは、人が生きている間に具体的にその傷口の痛みを感じることの出来る唯一の未完成であり、また、芸術家が作品制作の源泉とすることの出来る唯一のものである。すなわち、幼年時代が予感させるだけで終ってしまったものを、作品は現実に実現して見せる。世界が終りに近づいており、自己の内部の精神的なものが時とともに次第に失われて行くという感覚は、それ故、はかない喜びに満たされたこの無垢の楽園もやがては閉ざされて、もはやそこに立ち戻る術は何もないということを、自己の内部の奥深いところから、それも時にきわめて早い時期に予告してくれたあの個人の魂の囁きを、人類一般にまで拡げたものに他ならないのである。だがそこに立ち戻る術は何もないのだろうか? あるとすれば、芸術のもたらす幻影だけである。

 このようにして、幼年時代の無限の未完成に向けられた作品は、この未完成を郷愁をこめて自己の内部で育てること、すなわち憂鬱のなかに、単に作品としてのみならず、本質的に「芸術」作品として自己を実現するための活力を見出すことになる。つまりそれは、この芸術がわれわれにとって「過去のもの」となってしまったという事実にもかかわらず(引用者注: 「にもかかわらず」に傍点)そうなるのではなく、「芸術」がもはや「過去のもの」として以外のあり方では存在し得なくなったが故にそうならざるを得ないのであり、逆説的な言い方ながら、そこにこそ近代の条件が、そしてその悲惨と栄光が、その深淵と活力があるのである。

 このような事情から、近代の憂鬱は、ルネッサンス期の憂鬱とは違って、きわめて急進的な憂鬱であって、単に創造者の気質に関するものではなく、今や創造行為に内在する本質的なものとなったのである。」




バルチュス展 05


「美しい日々」


バルチュス展 03


「コメルス・サンタンドレ小路」


バルチュス展 04


「画家とモデル」




こちらもご参照ください:

阿部良雄・與謝野文子 編 『バルテュス』 (新装復刊)
ピエール・クロソフスキー 『ディアーナの水浴』 宮川淳・豊崎光一 訳



































































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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