『加納光於 《稲妻捕り》 Elements』

「生之死之、捕雷栖輕之墓也。」 
(『日本霊異記』)


『加納光於 《稲妻捕り》 Elements
瀧口修造 《稲妻捕り》 とともに』


書肆山田 
1978年8月15日発行
71p 
23×18cm 並装 函 
定価12,000円
装幀装本: 加納光於



元々の「《稲妻捕り》」はリトグラフ(石版画)連作ですが、本書の「《稲妻捕り》Elements」はエンコスティック連作で、本書はその「《稲妻捕り》Elements」の図版に、瀧口修造が自筆のコトバを寄せた詩画集です。

「《稲妻捕り》」(リトグラフ)カラー図版2点、「《稲妻捕り》Elements」(エンコスティック)カラー図版30点。


加納光於 稲妻捕り 01


文化遺産オンライン 加納光於


加納光於 稲妻捕り 07

本体表紙。函の内側が黒いので、表紙の擦れた部分が黒くなっています。


加納光於 稲妻捕り 02


本書奥付ページより:

「●連作「《稲妻捕り》Elements」は1977年に制作された石版画シリーズ《稲妻捕り》27点に併発されながら、7ヶ月の間135点に及んだ。I、II、IIIとこの連作は分かれ、本集はその内のNo. IIIのすべてを収録したものである。
●函に用いたのは《稲妻捕り》PF-5、リトグラフのための色彩プラン、見返しに用いたのはPF-11のための色彩プランである。
●瀧口修造「《稲妻捕り》とともに」は上記石版画・エンコスティック両連作、及びその制作過程に呼応して書かれた手稿である。
●本書に収録された作品は、制作過程に於ける両作家の作品交換両三度を経て完成されたものである。」



加納光於 稲妻捕り 03


内容:

《稲妻捕り》 Lithograph PF-5, 1977
《稲妻捕り》 Lithograph PF-11, 1977

加納光於 《稲妻捕り》Elements
瀧口修造 《稲妻捕り》とともに

beeswax-note (加納光於)

Bibliography――加納光於



加納光於 稲妻捕り 04


加納光於 稲妻捕り 05


加納光於 稲妻捕り 06


それぞれ違う種類の紙に印刷された加納光於の作品と瀧口修造の手稿が交互に出てくる構成になっています。瀧口は「稲妻」「徘徊」(ディヴァガシオン)、「避雷針」などについて書きとめています。


加納光於「beeswax-note」より:

「持続、この流動のただなかに視点をとどめ、据えられた枠組みへと馴養する選別をゆるすまいとする――これら鍛えうべき直観の効用によってなされた「素早さ」。一種のエンカゥスティック技法とよばれる素材的理由によったとしても、この連作は「描く」「描写する」という語感をためらうほど迅速に――たとえば、この世に触れる瞬息の間に消滅していく音像の一瞬一瞬を共有しようとするかの体験。即応する楽器を挟み、弾き手の業の動作と聴聞するひととのあいだにさざ波をたて、互いに自身の全一と孤独とをそのまま保ちながら同時に相互の絆を結節させて流れる、解放=捉えうることを同義とした時間の構造に由来する感覚――いわば視覚の動きが継起的な「図表」の綴りを追いそれを「聴き入る」ほどの間に進められていった、と言えようか。」









































































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『「色彩」としてのスフィンクス ― 加納光於』

「自らに棲みつく「私」を危機にさらすこと。素速いその動きに連動し、研ぎ澄ますと同時に、現前において〈視〉の範疇にとどまりながら、それを超越するもの。「言語」に結びついている意味を一瞬無にするような、いかなる色の明晰さよりもさらにその向こうにあって、揺らめき、潤う「色彩」への希求。」
(加納光於 「描くことの一瞬」 より)


「色彩」としてのスフィンクス
― 加納光於」
KANO mitsuo 1960-1992


セゾン美術館 1993年
181p 謝辞1p 
20×21cm 並装 函
編集: セゾン美術館/徳島県立美術館
デザイン: 桑畑吉伸
制作: 美術出版デザインセンター


1993年1月23日―2月21日
セゾン美術館
1993年4月3日―5月23日
徳島県立近代美術館



「ごあいさつ」より:

「1956年、古代生物の化石を思わせるようなモノクロームの版画を制作し、衝撃的なデビューを果たした加納光於は、以来日本の現代版画をリードしてきました。1980年からは、色彩をも自在に操る油彩画も制作しています。」
「今回の展覧会は、回顧展ではなく、加納光於の"今”を見ると同時に、創作の軌跡をたどり、葛藤に満ちた試行錯誤の過程もあえて世に投げかけようとするものです。(中略)版画・油彩・造本・装幀・オブジェなど幅広い創作のなかから、あえて版画と油彩画に焦点をあて構成いたしました。」



カタログ「凡例」より:

「図版については、全出品作品を収録せずに、各時代の作品を抽出し、時代を追って掲載した。また時代を大きく8つに分け、その時代に書かれた評論文を抜粋採録した。」


作品図版(カラー)168点。加納光於近影1点。


加納光於 色彩としてのスフィンクス 01


文字なしの青一色の函に、白表紙に青文字(背は青に白文字・ローマ字表記)の本。


目次:

ごあいさつ (セゾン美術館/徳島県立近代美術館)
描くことの一瞬 (加納光於)
図版/Plates
加納光於――色彩の〈揺らぎ〉とともに (谷川渥)
カタログ/Catalogue
年譜
展覧会歴
参考文献




◆本書より◆


「描くことの一瞬」(加納光於)より:

「少なからず見知っているはずの、紙や麻布、あるいは絵具という描画素材の効力に、“描き手”がどれほどの強い関わりを持ち、また、自らの意識の志向を知覚運動や手のはたらきに委ね亢進しているものか。――床に水平に置かれ、仄かな光沢を宿してしばしやすらいでいるかに見える映発する画布を前にして、常に、惑い、ためらう思いにかられるのも、ひとつの“選択”を迫られまた強いることによって、未分明なままにそれらのなごりもとどめず振りすて消えさるものの中に、もしかすると未見のすがたを胚胎したあらたな表象として、描き手の思念を奮いたたせ触発するかも知れぬからであろうか。
 自らに棲みつく「私」を危機にさらすこと。素速いその動きに連動し、研ぎ澄ますと同時に、現前において〈視〉の範疇にとどまりながら、それを超越するもの。「言語」に結びついている意味を一瞬無にするような、いかなる色の明晰さよりもさらにその向こうにあって、揺らめき、潤う「色彩」への希求。」



「加納光於――色彩の〈揺らぎ〉とともに」(谷川渥)より:

「最近行なわれたあるインタビューのなかで、加納光於は「初めての色彩体験」について語っている。敗戦直前の初夏、それは氏が13、4歳の頃だったが、麦畑のなかで喀血し、その鮮血を茫然と眺めながら、「自分の体のなかにこんなにも色鮮やかなものがあるということの不思議さ」に打たれたというのである。「その体験が――物質的な血液を超越したなにか、潤うもの、流れるもの、震えるもの、あやういものへのはたらきとして、うまく説明できないのですが――現象世界のただなかに色彩の〈揺らぎ〉とともに在る自分を、刺激し続けているのではないか、という思いがありますね」。」


「年譜」より:

「東京・神田美土代町に生まれる。」
「父は錺(かざ)り職。父方の家系には遊蕩者が多く、父は子供のころ、祖父の飲み友達であった九代目市川団十郎に、風呂上がりに肩車をしてもらったことがあるという。江戸文学、浮世絵を好み、また鏡花、風葉などの書籍が部屋に積まれていた。」
「母方の祖父は芝居の小屋主、祖父あるいは身内に、雪の朝〈桜田門外の変〉を目撃した者がいる。」
「13歳頃に(中略)転居。胸を病み、中学を中退、自宅で療養。
14歳の時、同病の姉が19歳で死亡。」
「18歳の頃、親元を離れ、(中略)間借をする。ランボーなどフランス近代詩を耽読、またジョルダーノ・ブルーノら西欧神秘思想家に惹かれる。辞書や事典類の頁を繰っては、記述に眺め入った。粗悪な印刷ゆえの、ブリューゲルのうずくまる有機体のような、一枚の乞食の素描に衝撃を受ける。」

「春頃、瀧口修造を西落合に訪ねる。持参した小品試作を長い時間かけて、丁寧に見てくれた。」

「ある時、加納の作品がなぜ好きなのかとの問いに「君の仕事の中に在る自然だね」と澁澤(引用者注: 澁澤龍彦)から思いがけない答えが返ってきた。」



加納光於 色彩としてのスフィンクス 02

「星・反芻学」(1962年)/「光へ」(1963年)。


加納光於 色彩としてのスフィンクス 03

「待つこと それゆえに I」(1983年)。


加納光於 色彩としてのスフィンクス 04

「まなざし――疼く飛沫を辿れ」(1989-90年)。


































































『葡萄彈 加納光於 オブジェ 1968-1997』

『葡萄彈 
加納光於 オブジェ 1968-1997』
 
GRAPESHOTS KANO mitsuo / objets 1968-1997

愛知県美術館 1997年
64p 
30×22.5cm 並装
編集: 愛知県美術館/牧野研一郎
撮影: 鈴木良一
制作: 印象社


1997年7月25日―9月7日 愛知県美術館



「あいさつ」より:

「大岡信氏の詩集『砂の嘴・まわる液体』を函の中央部に密封した『アララットの船あるいは空の蜜』をはじめとするオブジェ制作もまた加納光於の芸術のなかで大きな比重を占めています。しかしながら、これまでそのオブジェ作品の全貌を知る機会はありませんでした。今回のテーマ展は当初この1960年代末から70年代をとおして数多く制作されたオブジェを紹介しようと企画されました。しかし企画が進行するなかで作家は新作の制作に取組み、今回の展示では未発表作品を多く含む旧作に、オブジェにおける新たな展開を示す大型の作品が加わることになりました。」


図版93点。加納光於近影1点。


加納光於 葡萄弾 01


内容:

あいさつ
想像力の海へ乗り出す船――加納光於のオブジェ (馬場駿吉)

図版

出品目録 (1-125)
主要参考文献
加納光於略年譜



加納光於 葡萄弾 02

「アララットの船あるいは空の蜜(Ep.2)」(1971-72、共作: 大岡信)


加納光於 葡萄弾 04

「《葡萄彈》VIII」(1973年)


加納光於 葡萄弾 03

「帰還」(1981年)








































































プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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