小栗虫太郎 『人外魔境』 (角川文庫)

小栗虫太郎 
『人外魔境』
 
角川文庫 4097/緑 四五三-1 

角川書店
昭和53年6月10日 初版発行
昭和55年5月30日 再版発行
535p 「小栗虫太郎」1p
文庫判 並装 カバー
定価540円
装幀: 杉浦康平
カバー: 篠原勝之



片付けをしていたらでてきたのでよんでみました。カバー絵がすきなのでとっておいたのですが、虫太郎の魔境ものはたいくつであります。なぜなら魔境から無事に帰ってきちゃうからであります。
本書は青空文庫でもよめるのでよむとよいです。


小栗虫太郎 人外魔境 01


カバーそで文:

「人外(じんがい)魔境

 「人外魔境」――それは精密な世界地図にさえ、まだ空白のまま残されている人跡未踏の秘境である。
 赤道中央アフリカのコンゴ北東部に、秘境中の秘境「悪魔の尿溜(ムラムブウェジ)」がある。過去に一度、勇猛な英国人の飛行士が、この探検を空から試みた。絶壁下にひろがる湿林地帯は、濃密な蒸気に覆(おお)われて全(まった)く見通しが利(き)かない。思い切って下降した彼は、恐怖から探検を中止した。今まで濃霧とばかり思っていたその蒸気は、恐ろしい病原蚊や毒蚋(ぶゆ)の大群だったのである! (第一話より)
 日本のSFが産声(うぶごえ)をあげる遙か以前に、驚嘆すべき空想力で描かれたユニークな魔境小説、全十三話。」



目次:

第一話 有尾人(ホモ・コウダツス)
第二話 大暗黒(ラ・オスクリダット・グランデ)
第三話 天母峰(ハーモ・サムバ・チョウ)
第四話 「太平洋漏水孔(ダブックウ)」漂流記
第五話 水棲人(インコラ・パルストリス)
第六話 畸獣楽園(デーザ・バリモー)
第七話 火礁海(アーラン・アーラン)
第八話 遊魂境(セル・ミク・シュア)
第九話 第五 類人猿(アンソロポイド)
第十話 地軸二万哩(カラ・ジルナガン)
第十一話 死の番卒(セレーノ・デ・モルト)
第十二話 伽羅絶境(ヤト・ジャン)
第十三話 アメリカ鉄仮面(クク・エー・キングワ)

解説 (中島河太郎)



小栗虫太郎 人外魔境 02



◆本書より◆


「第五話 水棲人」より:

「そこは一面、細芽(サベジニヨス)、といっても腕ほどもあるのが疎生(そせい)していて、ところどころに大蕨(フェート・ジガンデ)がぬっと拳をあげている。そして、下は腐敗と醗酵(はっこう)のどろどろの沼土。すると、ジメネス教授が立っているところから百メートルばかり向うに、髪をながく垂らした女のようなものが、水の中からぬっくと立ちあがったのである。教授は驚いた。――よく見ればいかにも女だ。しかし、すぐ浴(ゆあ)みをするように跼(かが)んだかと思うと、その姿が水中に消えてしまったのだ。
 女だ。あくまで人間であって外の生き物ではない。しかし泥中で生き水底で呼吸(いき)のできる、人間というのがあるべき訳はない。と、半ば信じ半ば疑いながら、まったくその一日は夢のように送ってしまったのだ。すると翌日、顔をまっ蒼(さお)にした二人の隊員が、教授の天幕(テント)へバタバタと駆けこんできた。
 聴くと、「蕨の切り株(トッコ・ダ・フェート)へいって蝦(えび)類を採集していると、ふいに泥のなかへ男の顔が現われた。それは、まるで日本の能面にあるような顔で……びっくり仰天した私たちの様をみるや、たちまち泥をみだして水底に没してしまったというのだ。これでいよいよ、水棲人の存在が確認された。教授はそれに、沼底棲息人(インコラ・パルストリス)と学名さえつけたのだが、あまりに、想像を絶するような途方もないことなので、かえって世界の学会から笑殺されてしまったのである。」



小栗虫太郎 人外魔境 03






































































































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小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 (ハヤカワ・ミステリ)

2012年7月23日。



小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 
(ハヤカワ・ミステリ)


早川書房/HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS No. 240
昭和51年10月10日3版印刷/同15日3版発行
338p 18.4×10.6cm 並装 ビニールカバー 定価680円
装幀: 濱田稔
正字・正かな



小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、ハヤカワ・ミステリ版。

ポケミスは紙質もあまりよくないしニ段組でよみにくかったりするのに、なんか趣きがあってよいです。


ハヤカワポケットミステリ 黒死館殺人事件1


目次:

序篇 降矢木一族釋義
第一篇 死體と二つの扉を繞つて
第二篇 ファウストの呪文
第三篇 黒死館精神病理學
第四篇 詩と甲冑と幻影造型
第五篇 第三の惨劇
第六篇 算哲埋葬の夜
第七篇 法水は遂に逸せり!?
第八篇 降矢木家の壊崩

解説 中島河太郎 (昭和30年12月11日)



ハヤカワポケットミステリ 黒死館殺人事件3


本書より:

「『Mass(彌撒(ミサ))とacre(英町(エーカー))だよ。續けて讀んで見給へ。信仰と富貴が、Massacre(マッサカー)―虐殺に化けてしまふぜ。』
と法水は檢事が唖然としたのを見て、『だが、恐らくそれだけの意味ぢやあるまい。いづれこの甲冑武者の位置から、僕はもつと形に現はれたものを發見(みつ)け出す積りだよ。』」




















































































































プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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