谷川健一 『日本の地名』 (岩波新書)

「地名の改竄(かいざん)は歴史の改竄につながる。それは地名を通じて長年培われた日本人の共同感情の抹殺であり、日本の伝統に対する挑戦である。」
(谷川健一 『日本の地名』 より)


谷川健一 
『日本の地名』

岩波新書 495

岩波書店 1997年4月21日第1刷発行/同年12月5日第8刷発行
x 226p 
新書判 並装 カバー 
定価640円+税



図版(地図)8点。


谷川健一 日本の地名


カバーそで文:

「楠船を操り黒潮の流れに乗ってやって来た海人族。白鳥伝説とともに移り住んだ夷たち。山深い中央構造線に沿ってたどる鍛冶神の足跡。各地に残された地名こそ弥生の時代から近代まで、名もなき人々の暮らしの記憶を伝えてきたものであった。これら小さな神々のあとを丹念にたどりながら、文書に記されないもう一つの日本の歴史を読み解く。」


目次:

はじめに

第一章 地名の旅――黒潮のながれに沿って
 一 日和山とアイの風
 二 楠船と楠神
 三 古代多氏の足跡
 四 沖縄の青の島
 五 本土の青の伝承
 六 ツツとスム
 七 ソリコ舟の航海
 八 紀州漁民の東国移住
 九 海上からの指呼
 十 ゆいが浜となごの浦
第二章 地名と風土――中央構造線に沿って
 一 難渋する谷のムラ
 二 姥にちなむ地名
 三 大河原と鹿塩
 四 御所平と木地屋
 五 遠山という地名
 六 峠と焼畑
 七 吉野と後南朝の皇子
 八 丹生通り
第三章 地名を推理する――白鳥伝説の足跡をたずねて
 一 こふの原
 二 物言わぬ皇子
 三 足を痛めた英雄
 四 金屋子神のゆくえ
 五 鳥取という地名
 六 北の白鳥伝説
第四章 固有地名と外来地名――「波照間」論争をめぐって
 一 「波照間」の地名の由来
 二 隼人の説話
結語
 一 アイヌ語の地名
 二 「いと小さき」地名
 三 地名の呪力




◆本書より◆


「はじめに」より:

「各地のさまざまな呼称をもつ小集落地名は、数戸から数十戸単位の集落がかつての日本の社会の基底を形成していたことをまざまざと物語っている。それが日本列島の端から端まで隙間もないほど埋め尽している。(中略)地名はこのように「いと小さきもの」であるが、一方、それは大きな世界とつながっている。ここに地名の逆説があり、それこそが地名の最大の魅力である。
 本書は、その具体例として、日本列島をとりまく自然環境の中で、もっとも大きな特徴を示す黒潮の流れと、日本列島を横断する中央構造線(メディアン・ライン)に地名がどのように関わっているかを見ることにした。
 黒潮はフィリピン群島付近に端を発し、台湾の東側を流れて、琉球列島を北上し、奄美大島の北で二手に分かれ、日本列島の太平洋側と日本海側の近海を洗う暖流である。(中略)幾千年も前からやすむことなく流れつづけている黒潮は、柳田国男の『海上の道』に見るように、日本人の意識と文化の形成に絶大な影響を及ぼしてきた。
 また、地球の外から人工衛星で日本列島を見ると、もっとも遠距離から確認できる皺のような陰影は中央構造線とフォッサマグナであるとされる。(中略)日本列島の中央部から九州にいたるこの自然の大断層は自然の道として先史時代から利用されたが、そればかりでなく日本文化に寄与した点は大きい。
 第一章と第二章は黒潮と中央構造線、フォッサマグナに沿って地名がどのように展開してきたかを取り上げた。
 第三章は、魂のかたどりとして古代日本人の精神構造の深奥部に根を下してきた白鳥の姿がいかに地名に投影されているかを探った。
 第四章は、日本人の単一民族国家、あるいは多民族国家思想と地名がどのように関わりあっているかを追求した。それは今日の問題となっているアイヌ民族や南島社会をどう理解するか、ということとつながっている。
 私にとっては地名はたんなる標識の符号ではない。(中略)私もここ三十年間、地名という土地の精霊に招かれて各地を旅してきた。そうしたことから本書を「土地の精霊との対話」と受け取っていただいて差し支えない。」

































































































































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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

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