ギョーム・ド・ロリス/ジャン・ド・マン 作 『薔薇物語』 篠田勝英 訳

「夢で見るのは絵空事や嘘偽りばかりと言う人がいる。けれども偽りどころか、あとになって真実とわかる、そんな夢を見ることがある。」
(ギョーム・ド・ロリス 「薔薇物語前篇」 より)


ギョーム・ド・ロリス
ジャン・ド・マン 
『薔薇物語』
篠田勝英 訳


平凡社 
1996年6月17日 初版第1刷発行
699p 口絵(カラー)viii 
A5判 丸背紙装上製本 カバー 
定価9,880円(本体9,592円)
装丁: 中島かほる



本書「凡例」より:

「翻訳の底本はパリ国立図書館フランス語写本一五七三番、ラングロワの分類によるH写本である。原文は八音綴平韻の韻文であるが、(中略)いわゆる散文訳を行なった。」
「他の写本からの補充、行数表示は全面的にルコワ版に依拠した。」
「本文中の挿画は一五世紀のジャン・デュ・プレ版の木版画である。」



「訳註」中にモノクロ参考図版32点。


薔薇物語 01


帯文:

「中世ヨーロッパの代表的古典、
写本を底本とした初の原典訳決定版。
カラー細密画15点、本文挿図(15世紀木版画)83点を収録。」



帯背:

「愛のアレゴリー
初の原典訳」



帯裏:

「薔薇の蕾に心を奪われた
若者の愛の寓意物語――
天上界、地上界、現世を
めぐる知の遍歴、言説に
よる中世の百科全書。」



薔薇物語 02


目次:

カラー口絵
凡例

薔薇物語前篇
Ⅰ 〈悦楽〉の園
 夢と現実――わたしの夢
 五月の朝
 壁の肖像
 〈憎悪〉と〈悪意〉
 〈下賎〉
 〈貪婪〉
 〈強欲〉
 〈羨望〉
 〈悲哀〉
 〈老い〉
 〈偽信心〉
 〈貧困〉
 壁の中の庭園
 〈閑暇〉
 〈悦楽〉の園
 庭園のなかへ
 カロールを踊る人々
 〈歓喜〉
 〈礼節〉、〈悦楽〉と〈歓喜〉
 〈愛の神〉
 〈優しい姿〉――二本の弓と十本の矢
 〈美〉
 〈冨〉
 〈鷹揚〉
 〈気高さ〉
 〈礼節〉
 〈閑暇〉
 〈若さ〉
Ⅱ ナルシスの泉――〈愛の神〉の教え
 庭園の奥へ
 ナルシスの泉
 二顆の水晶
 薔薇の蕾
 矢を放つ〈愛の神〉
 降伏――臣下の誓い
 心の鍵
 〈愛の神〉の掟
 第一の掟
 第二の掟
 第三の掟
 第四の掟
 第五の掟
 第六の掟
 第七の掟
 第八の掟
 第九の掟
 第十の掟
 愛の苦しみ
 〈愛の神〉の贈物
Ⅲ 薔薇の蕾をめぐって
 〈歓待〉登場
 〈拒絶〉登場 
 〈理性〉の説得
 〈友〉の忠告
 〈気高さ〉と〈憐憫〉
 〈歓待〉との再会
 〈ウェヌス〉の力
 接吻
 急展開
 〈中傷〉
 〈羞恥〉
 〈嫉妬〉
 〈羞恥〉と〈小心〉、〈拒絶〉を叱責
 〈嫉妬〉の城
 城の防備
 塔のなかの〈歓待〉と〈老婆〉
 恋する人の嘆き

薔薇物語後篇
Ⅳ 〈理性〉の勧告
 恋する人の嘆き(承前)
 〈理性〉の教え
 〈愛〉とは何か
 〈わたし〉の反論
 〈愛〉の定義――〈自然〉の奸計
 〈若さ〉と〈老い〉
 愛・快楽・金銭
 〈わたし〉の反問
 さまざまな愛
 〈友情〉
 うわべだけの愛
 〈運命〉について
 富と貧困
 〈わたし〉の反論
 〈愛〉と〈正義〉
 アッピウスとウィルギニア
 愛の放棄・憎しみ
 「わたしを愛せよ」
 〈運命〉の住処
 〈運命〉の本性――ネロの例
 〈運命〉の恵み
 運命に弄ばれる人々――ネロの例
 運命に弄ばれる人々――クロイソスの例
 運命に弄ばれる人々――シチリア王マンフレディの例
 ホメロスの教え
 「言葉と物」論争
Ⅴ 〈友〉の忠告
 〈友〉
 〈中傷〉
 〈老婆〉と〈嫉妬〉
 付け届け、泣き落とし
 嘆願
 〈歓待〉との接し方
 〈わたし〉の抗議
 もうひとつの道――〈冨〉と〈貧困〉
 〈友〉の体験
 贈物の効能
 黄金時代
 嫉妬深い夫
 結婚の不幸
 美の虚しさ
 女の狡さ、貪欲
 主従関係
 黄金時代
 富と貧困――人類の堕落
 女性との付き合い方
Ⅵ 〈愛の神〉の軍勢――〈見せかけ〉の弁明
 〈冨〉の守る道
 〈愛の神〉再登場――叱責
 〈愛〉の軍勢の結集
 ギヨーム・ド・ロリス
 ジャン・ド・マン
 攻城計画
 〈見せかけ〉の参加
 〈見せかけ〉の演説――偽善と托鉢修道会
 衣服と中身
 貧困と生きる糧
 物乞いについて
 物乞いの禁止
 物乞いをめぐる論争
 蓄財の実際
 〈見せかけ〉のたくらみ
 『永遠の福音書』事件
 この世を支配するもの
 攻撃準備
 〈見せかけ〉〈強制禁欲〉対〈中傷〉
 〈禁欲〉の説教
 〈見せかけ〉の説教
 〈中傷〉の告解――殺害
Ⅶ 〈老婆〉の忠告
 〈老婆〉登場
 〈見せかけ〉の独白
 〈歓待〉への贈物
 〈老婆〉の半生――悔恨
 〈老婆〉の忠告
 男の裏切り
 女のたしなみ、手練手管
 女の自由
 牡と牝、男と女
 駆け引きの実際
 わたしの恋人
 〈歓待〉の心境
 〈歓待〉の決心
Ⅷ 攻撃開始
 〈老婆〉の手引き
 〈歓待〉との再会
 〈拒絶〉再登場――〈歓待〉再幽閉
 〈わたし〉の嘆願
 〈愛〉の軍勢の進撃
 読者への呼びかけ
 総攻撃
 〈ウェヌス〉召喚
 〈ウェヌス〉とアドニス
 〈ウェヌス〉出陣
 〈ウェヌス〉と〈愛〉の誓約
Ⅸ 〈自然〉の告解
 〈自然〉の鍛冶場―種の存続
 〈死〉の追跡
 フェニックス
 〈技芸〉の働き
 錬金術
 〈自然〉の肖像
 ただひとつの過ち
 聴罪司祭〈ゲニウス〉
 〈ゲニウス〉の慰め
 秘密保持の大切さ
 〈自然〉の告解
 黄金の鎖
 天体の運行
 天体・体液・運命
 運命と自由意志
 自由意志と神の予知
 運命と天体
 偶然と意志
 肉体と魂
 宿命と自由意志
 悟性について
 天空と気象
 虹と光学
 鏡について
 幻影について
 夢について
 彗星について
 気高さについて
 天体について
 〈自然〉に従うものたち
 〈自然〉に逆らう唯一のもの
 〈自然〉の嘆き
 〈愛の神〉への共感
Ⅹ 〈ゲニウス〉の説教
 〈ゲニウス〉、〈愛の神〉の軍勢のもとへ
 〈ゲニウス〉の説教
 家系の存続
 悪徳との闘い
 「美しい庭園」――群を導く仔羊
 ユピテルのしたこと
 もうひとつの庭園
 ふたつの庭園
 〈自然〉を敬え
XI 総攻撃――巡礼
 〈ウェヌス〉の指揮
 ピュグマリオンの挿話
 巡礼の誓い
 〈ウェヌス〉の松明
 巡礼の旅
 年取った女との愛
 巡礼の成就

訳註
『薔薇物語』解説
訳者あとがき
図版出典
書誌
索引
 Ⅱ 固有名詞(人名・作品名・地名・団体名等)
 Ⅰ アレゴリックな登場人物・名称



薔薇物語 03



◆本書より◆


「薔薇物語前篇」より:

「わたしは泉に近づいた。縁に寄ると身をかがめて、溢れる水と、底の方で純銀よりもきらきらと湧きたつように動く砂を見た。この泉についてはこれ以上うまくは語れない。世界中にかくもみごとな泉はなかった。水はいつも新鮮で、夜も昼もふたつの深く澄んだ水口からふんだんに湧き出ている。周囲全体に細い草が育ち、水のおかげで密生して生えていて、冬になっても枯れないし、水も干上がったり涸れたりしない。泉の底深く、二顆の水晶があった。わたしはこれを注意深く見つめた。」
「あらゆるものを見つめている太陽がその光を泉に投げかけて、輝きが泉の底に達すると、水晶の表には百以上の色彩が現われる。水晶は太陽のおかげで藍色や黄色や真紅になる。このように不思議な水晶なのだ。しかもそこには周囲の場所や木々や花々、そして庭園を飾るすべてのものがありのままに現われ出るのである。(中略)鏡が向かいにあるものを映し出して、その色や形を隠さずに見せるように、(中略)水晶は庭園にあるすべてのものを、水のなかに見入る者にありのままに見せてくれるのだ。なぜならどの場所にいても必ず庭園の半分が見え、泉のまわりを歩くとすぐに残り半分が見えるからだ。どんな小さなものでも、隠されていても、何かに囲まれていても、映し出されないものはない。まるで水晶の表に描き出されているようだった。」



































































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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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