『ハインリッヒ・フォーゲラー展』 (2000―2001年)

「彼は絵を描いた――画家であったが故に。しかし彼の描く絵には、しばしば憂鬱の相が表れていた。天翔る夢が、それとはおよそ異なる現実に突き当たり、砕け散ったことの憂鬱。」
(ベルント・キュスター)


『ハインリッヒ・フォーゲラー展』

財団法人東日本鉄道文化財団 
2000年
204p 
29×22.5cm 並装(フランス表紙)
編集: 松田重昭/長島真里
翻訳: 川口雅子/新谷崇
撮影: Peter Elze und Ruediger Lubricht
制作: 印象社


東京ステーションギャラリー
2000年12月2日―2001年2月12日
尾道白樺美術館
2001年2月21日―3月11日
大丸ミュージアム・心斎橋(大阪)
2001年3月16日―3月27日

監修: ペーター・エルツェ/千足伸行/岩下眞好



出品作品カラー図版218点。参考図版(モノクロ)多数。
「夏の夕べ」と「メルジーネ(水の精)」は折込になっています。


フォーゲラー展 01


内容:

ごあいさつ (主催者)
ごあいさつ (ペーター・エルツェ)
Vorwort (Peter Elze)
Dank
ご挨拶 (Dr. ウーヴェ・ケストナー)
Grusswort (Dr. Uwe Kaestner)

哀れなハインリッヒの物語(メルヒェン)――ハインリッヒ・フォーゲラーの芸術と生涯 (ベルント・キュスター)
フォーゲラー:青春の画家から社会主義の画家へ (千足伸行)
ハインリッヒ・フォーゲラーとその時代――文学、思想、社会との関わりから (岩下眞好)
1910年――ハインリッヒ・フォーゲラーそして日本 (松田重昭)

図版
 油彩/素描
  1 バッカス信者たちの行進 1822年頃 油彩・カンヴァス
  2 マルタ・フォン・ヘンバルク 1894年 油彩・カンヴァス
  3 春(マルタ・シュレーダー) 1897年 油彩・カンヴァス
  4 少女の頭部(アグネス・ヴルフ) 1899年 油彩・カンヴァス
  5 白鳥のメルヒェン 1899年頃 油彩・カンヴァス
  6 あこがれ 1900年頃 油彩・カンヴァス
  7 荒れ野のはずれで 1900年 油彩・カンヴァス
  8 トイフェルスモーアの風車小屋 1901年頃 油彩・カンヴァス
  9 羊飼いたちへの誕生の告知 1902年 油彩・カンヴァス
  10 私の庭 1904年頃 油彩・カンヴァス
  11 夏の夕べ 1905年 油彩・カンヴァス
  12 窓辺のオウムと花
  13 バルケンホフ・ダイニング 1906年 油彩・カンヴァス
  14 栗の樹の下のマルタ(白衣の婦人) 1907年 油彩・カンヴァス
  15 冬のメルヒェン 1908年 油彩・板
  16 夢想(トロイメライ) 1908年 油彩・カンヴァス
  17 春 1909年 油彩・カンヴァス
  18 行きのバルケンホフ 1910年頃 油彩・カンヴァス
  19 メルジーネ(水の精) 1912年 油彩・カンヴァス
  20 マルタ・フォーゲラーの肖像 1910年 油彩・カンヴァス
  21 春(バルケンホフ池の島上のマルタ) 1913年 油彩・カンヴァス
  22 ファイツヘヒハイムの公園にてⅡ 1913年 油彩・カンヴァス
  23 自画像 1914年 油彩・カンヴァス
  24 梨の木のあるバルケンホフ 1914年 油彩・厚紙
  25 ルック(ウクライナ) 1915年 油彩・厚紙
  26 戦争の中での女性の苦しみ 1918年 油彩・カンヴァス
  27 舞踏家マルナ・グラーンの肖像 1918年頃 油彩・カンヴァス
  28 立てる裸婦(タカタカ) 1918年頃 油彩・カンヴァス
  29 石楠花(しゃくなげ)の静物 1918年 油彩・厚紙
  30 赤いマリー(マリー・グリースバッハの肖像) 1919年 油彩・厚紙
  31 ソニア・マルフレフスカ 1922年 油彩・厚紙
  32 ソビエトの土地における勤労学生たちの冬の任務 1924年 油彩・板
  33 カンダラクシャ(カレリア) 1925年頃 油彩・板
  34 カレリアとムルマンスク 1926年 油彩・カンヴァス
  35 セラフシャンの谷(サマルカンド) 1927年 油彩・カンヴァス
  36 中央アジアのソビエト連邦建設 1927年 油彩・カンヴァス
  37 バクー 1927年頃 油彩・カンヴァス
  38 スキーをする子供の頭部(息子ヤン・フォーゲラー) 1935年頃 油彩・カンヴァス
  39 女優ロッテ・レービンガーの肖像 1938年頃 油彩・カンヴァス
  40 俳優ハインリッヒ・グライフの肖像 1938年頃 油彩・カンヴァス
  41 クレムリンの見えるモスクワ 1939年 油彩・板
  42 コルホーズ「レーニン」のクルド人羊飼いたちの集まり 1940年 油彩・硬質繊維
  43 カバルディーノ=バルカールのティルニヤウス・コンビナート 1940年 油彩・カンヴァス
  44 脱穀する人たちの昼休み 1940年 油彩・カンヴァス
  45 ウズベキスタンの砂漠の月夜 1940年 油彩・硬質繊維
  46 エーリッヒ・ヴァイネルトの肖像 1940年 油彩・カンヴァス
  47 レオン・フォン・バスティネラー 1940年頃 油彩・硬質繊維
  48 人形工房 1940年 油彩・硬質繊維
  49 つた 1891年頃 チョーク
  50 男性座像 1891年 鉛筆
  51 トルフボート(泥炭を運ぶ舟) 1900年頃 ペン
  52 生けた野の花 1900年頃 ペン 
  53 踊り 1913年頃 鉛筆
  54 魔女 1912年頃 ペン
  55 「メルジーネ」のための下絵(ある狩猟館のための装飾絵画) 1912年頃 方眼紙にペン、黒インク、金
  56 『白樺』表紙絵の下絵 1912年 ペン・黒インク
  57 龍 1912年 ペン
  58 幻想的な旅路 1913年 ペン
  59 フランスの村の廃屋 1917年 色鉛筆
  60 五人の踊り子 1918年 ペン
  61 ロシアの村の教会 1924年 ペン
  62 パダナ(カレリア風景) 1925年 色鉛筆
  63 フリッツ・ヨルディの肖像 1928年 色鉛筆・水彩
  64 グンデレーンの旧モスク 1940年 水彩
 版画/蔵書票
  65 泉のほとりで 1894年 銅版画
  66 愛の夢 1894年 銅版画
  67 蛇の花嫁 1894年 銅版画
  68 魔女とふくろう 1895年 銅版画
  69 魔女Ⅰ 1895年 銅版画
  70 メルヒェン 1895年 銅版画
  71 受胎告知 1895年 銅版画
  72 死と老女 1896年 銅版画
  73 蛙の王様 1896年 銅版画
  74 愛 1896年 銅版画
  75 春 1896年 銅版画
  76 七羽のからす 1896年 銅版画
  77 五月に 1897年 銅版画
  78 春に 1897年 銅版画
  79 春の夕べ 1897年 銅版画
  80 落葉松(からまつ) 1897年 銅版画
  81 いばら姫 1897年 銅版画
  82 夜 1897年 銅版画
  83 七羽の白鳥 1898年 銅版画
  84 歌う女性たち(夏の夕べ) 1898―1902年 銅版画
  85―1 春に寄せて(ファイル) 1899年 エッチング
  85―2 春に寄せて(タイトルページ) 1899年 エッチングg
  86 ひばり(自画像) 「春に寄せて」の内 1899年 銅版画
  87 春の朝(バルケンホフ) 「春に寄せて」の内 1899年 銅版画
  88 真昼時 「春に寄せて」の内 1899年 銅版画
  89 春の花々 「春に寄せて」の内 1899年 銅版画
  90 蛙の花嫁 「春に寄せて」の内 1899年 銅版画
  91 漁師 「春に寄せて」の内 1899年 銅版画
  92 池の上のコウノトリ 「春に寄せて」の内 1899年 銅版画
  93 仕事じまいの前(バルケンホフの窓から) 「春に寄せて」の内 1899年 銅版画
  94 つぐみ 「春に寄せて」の内 1899年 銅版画
  95 三月の夜 「春に寄せて」の内 1899年 銅版画
  96 夏の夕べ 1902年 銅版画
  97 ロザムンデ 1904年 銅版画
  98 死がバラを摘む 1904年 銅版画
  99 初めての夏 1904年 銅版画
  100 妖精(ニンフ) 1907年 銅版画
  101 ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ 1907年 銅版画
  102 自画像・戯画 1909年 銅版画
  103 婦人の頭部(マルタ・フォーゲラー) 1909年 銅版画
  104 冬のメルヒェン 1909年 銅版画
  105 ベルケンホフ 1910年 銅版画
  106 ねずみの穴 1910年頃 エッチング・手刷
  107 レダ 1912年頃 エッチング・手刷
  108 メルヒェン 1912年頃 エッチング・手刷
  109 春のメルヒェン 1912年 銅版画
  110 クリスマス 1912年 銅版画
  111 幻想 1914年 銅版画
  112 怒りの七つの外貌・ヨハネ黙示録 1918年 銅版画
  113 生成 1921年 銅版画
  114 新しい朝 1922年 銅版画
  115 湿地の堀と泥炭(トルフ)ボート 1922年 銅版画
  116 蔵書票 バルケンホフ 1897年 銅版画
  117 蔵書票 バルケンホフ 1899年 銅版画
  118 蔵書票 マリー・フォーゲラー(フォーゲラーの母) 1903年 銅版画
  119 蔵書票 バルケンホフ・ヴォルプスヴェーデ 1904年 エッチング
  120 蔵書票 マルタ・フォーゲラー 1906年 銅版画
  121 蔵書票 マルタ・フォーゲラー(レターヘッド) 1908年 銅版画・透かし入和紙に印刷
 書籍装幀/装画
  122 ヴォルプスヴェーデから(銅版画ファイル) 1897年 
  123 沈鐘 ゲアハルト・ハウプトマン著 1898年
  124 我が祝いに(詩集) ライナー・マリア・リルケ著 1899年
  125 おまえに(詩集) ハインリッヒ・フォーゲラー著 1899年(1920年第5版)
  126 『インゼル』誌(第1巻4号:季刊2号) 1900年
  127 皇帝と魔女 フーゴー・フォン・ホフマンスタール著 1900年
  128 メッツァヴォーチェ(詩集) イレーネ・フォルベス=モッセ著 1901年
  129 哀れなハインリッヒ ゲアハルト・ハウプトマン著 1902年
  130 イエンス・ペーター・ヤコプセン全集 1898―1903年
  131 人生ははかない眠り リッカルダ・フーフ著 1903年
  132 バラの門 イレーネ・フォルベス=モッセ著 1905年
  133 インマーグリュンの小さな本(少女のためのドイツ抒情詩選集) グスタフ・ファルケ著 1905年
  134 子供と家庭のための童話集(グリム童話集) 1907年
  135 ドイツの女性たちの手紙 エルンスト・ヴァッサーツィーアー著 1907年
  136 オスカー・ワイルド物語集 1910年(1917年第5版) 
  137 愛の表現について、平和への道 ハインリッヒ・フォーゲラー著 1918年
  138 宇宙の生成と人間の充足 1921年
  139 統領たちに向ける矢 ジョフリー・トレーズ著 1935年
  140 皇帝と魔女(イニシアル) 1900年 ペン・3色
  141 ブリキ職人(「インゼル」誌1900年季刊2号) 1900年
  142 ベアトリックス姉妹(「インゼル」誌1900年季刊2号) 1900年
  143 タブロー
   1 東方の三王(「インゼル」誌1900年季刊2号) 1900年
   2 マルティン・ビルクの若き日 1904年 ペン
   3 マルレーネ 1904年 ペン
  144 タブロー 1903―04年 ペン
  145 インゼル年鑑 1906年 ペン
 工芸デザイン
  146 アルフレート・ヴァルター・ハイメル邸カーテンのための刺繍模様 1899年頃 絹
  147 壁取り付け式燭台 1900年頃 鋳造
  148 カトラリー「菊」 1900年頃 
  149 カトラリー「イヌサフラン」 1900年頃
  150 カトラリー「チューリップ」 1900年頃
  151 カトラリー「銀杏」 1900年頃
  152 グラスの図案 1900年頃 ペン
  153 グラス
   1 ワイングラス、ジュースグラス
   2 ビールグラス
   3 シェリーグラス
  154 ドアノブの図案 1900年頃 ペン
  155 ドアノブ 1900年頃 ブロンズ
  156 首飾りの図案 1901年頃 ペン・彩色
  157 受け皿の図案 1903年頃 ペン
  158 受け皿 1903年頃 銀
  159 スプーン・ホールダー 1905年頃 真鍮
  160 ブレーメン市庁舎 ギュルデンカンマーの革壁 1905年 赤塗羊革・金箔型押
  161 「オールド・ベルリン」バラ模様の食器 1905年
   1 盆
   2 コーヒーポット
   3 カップ、ソーサー、ケーキ皿
   4 ミルクジャグ、砂糖入
   5 ティーポット
  162 女性のための化粧室用道具 1905年
   1 燭台
   2 櫛置
   3 パウダー入
  163 バラ模様の象嵌のある木箱 1905年頃 サクラ材
  164 首飾り 1905年頃 銀・真珠
  165 樫の葉模様の皿 1906年頃
  166 花つな模様の皿 1906年頃
  167 指輪の図案 1907年頃 ペン・彩色
  168 首飾りの図案 1907年頃 ペン
  169 ブローチの図案 1907年頃 ペン
  170 ヴォルプスヴェーデ美術展のためのポスター 1910年 5色石板
  171 1911年クリスマスの絵皿の図案 1910年頃 鉛筆
  172 1911年クリスマスの絵皿 1911年
  173 バラ模様のティーカップセット 制作年不明
  174 バラ模様デザインの花器 制作年不明
  175
   1 指輪 1907年頃(1987年復製)
   2 首飾り 1907年頃(1987年復製)
   3 ブローチ 1907年頃(1987年復製)
 建築/室内/家具
  176 田舎の家 正面図 1898年 ペン・水彩
  177(1―6) 店のある田舎の家(ヴォルプスヴェーデの鉄鋼業社テオドール・ガルマンの依頼) 1905年 鉛筆スケッチ/鉛筆線画/青焼・彩色/ペン
  178 二世帯用家屋 1908年 青焼・ペン・彩色
  179 二世帯用アトリエ・ハウス 1908年 ペン・彩色
   1 通りに面した正面図
   2 側面図
   3 背面図
  180 アトリエ付き田舎の家 北東図(ヴォルプスヴェーデの画家ヴィルヘルム・バルチュ邸) 1909年 青焼・彩色
  181 厩舎が増築された二世帯用家屋 1909年 青焼・彩色
  182 ヴォルプスヴェーデの左官職人クュック邸 1909年 筆書・彩色
  183 ヴォルプスヴェーデの一世帯用家屋 1909年 ペン・水彩
  184 ヴォルプスヴェーデの旅館シュヴィーベルト正面図(現レストラン・旅館ツム・ヘムベルク) 1910年 ペン・水彩
  185 ヴォルプスヴェーデの駅舎 1910年 青焼・彩色
  186 四世帯用家屋 1911年 青焼・彩色
  187 三世帯用家屋 1911年 青焼・彩色
  188 二世帯用家屋 1911年 青焼・彩色
  189 城のような建物の設計図、スイス 1911年 青焼・彩色
   1 外観
   2 中庭
  190 ブレーメン市庁舎 ギュルデンカンマー、右横壁面のためのデザイン 1905年 鉛筆・色鉛筆
  191 象嵌のベンチ、椅子、テーブル、書き物机の図案 1905年 ペン・彩色・タブロー
  192 象嵌のための図案 1905年 ペン・彩色
  193 若い女性のための部屋 1906年 青焼・彩色
  194 椅子・肱掛椅子の図案 1906年頃 ペン・タブロー
  195 居間 1908年 青焼・彩色
  196 赤塗りベンチ 1908年頃
  197 庭用ベンチ、テーブルの図案 1908年頃 ペン
  198 「ヴォルプスヴェーデ工房」の広告 1908年頃 ペン
  199 壁鏡のための図案 1908年 ペン
  200 食堂 青焼・彩色 1909年
  201 浮世絵のある居間の図面 1910年 ペン
  202 婦人の部屋 1910年 青焼・彩色
  203 ベンチ、椅子、ソファの図案 1910年頃 ペン
  204 白塗りのベンチ 1910年頃
  205 白塗りの半円形テーブル 1910年頃
  206 白塗りの椅子 1910年頃
  207 白塗りの鏡 1910年頃
  208 鏡付きコンソールのスケッチ 1910年頃 
  209 鏡付きコンソールの図案 1910年頃 ペン
  210 金色の鏡付きコンソール 1910年頃 
  211 居間の図面 1911年 ペン
  212 タンスのある居間壁面の図面 1911年 ペン
  213 寝室 1911年 青焼・彩色
  214 シンプルな寝室 1911年 青焼・彩色
  215 鏡付きタンス、ドアと暖炉の壁構成 1911年頃 青焼・彩色
 参考作品
  216 ハインリッヒ・フォーゲラー胸像 クララ・リルケ=ウェストホフ 1901年 ブロンズ
  217 自然の中の愛の生活 ハインリッヒ・フォーゲラーと妻マルタ、4歳の娘ミーケ、パウラ・モーダーゾーン=ベッカー、オットー・モーダーゾーン、カール・ヴァイデマイヤーの共同制作 1905年 油彩・カンヴァス
  218 1900年頃の自画像の複製 アンマリー・シーストル=ホレンダー作 1926年 油彩・厚紙

ヴォルプスヴェーデ、農村から芸術家村へ (ペーター・エルツェ)
ハインリッヒ・フォーゲラーと柳宗悦の往復書簡

年譜
出品目録



フォーゲラー展 02



◆本書より◆


「哀れなハインリッヒの物語――ハインリッヒ・フォーゲラーの芸術と生涯」(ベルント・キュスター)より:

「ハインリッヒ・フォーゲラーとは何者だったのだろうか。矛盾だらけの時代、全面的大変革の時代に生み落とされるという運命に見舞われ、その時代の中で、みずからのため、そして人々のために、矛盾のない生き方・あり方を探し求めた一人の人間である。彼がその途方もない創造力をもちいてそのような調和を作り出せる見込みは、ごくわずかなものだった。だが彼は、この調和を求めて奮闘した――初めは純粋芸術を手段として、やがて応用美術・工芸をもちいて、最後には政治的行動によって、私生活上の長続きする幸福すら、天は彼に与えてくれなかった。
 彼は手のつけられないほどの理想主義者でありながら、自己批判をいとわぬ生得の資質にめぐまれた現実主義者でもあった。そのどちらの面においても、彼は比類のない一貫性と率直さの持ち主であり続けた。近代という時代の現実にさらされて、フォーゲラーは芸術的行為の倫理感(エートス)とでも言うべきものを持つにいたったのであるが、この高潔さ(エートス)が彼をして同時代の人々から遠ざけ、彼とその芸術を結局はその時代の尺度を越えた存在にまで高めてしまったのである。」



フォーゲラー展 03


フォーゲラー展 04


フォーゲラー展 05




こちらもご参照下さい:

種村季弘 『ヴォルプスヴェーデふたたび』















































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本