荒俣宏 編著 『Fantastic Dozen 第11巻 解剖の美学』

「だが、カイヨワの指摘を俟つまでもなく、これら初期解剖画はむしろ、厳格なルールと、新しく発見された知見の枠組みに挟まれた、自由の利かない誠実な写生図として生まれでたのである。換言すれば、解剖画の怪奇さは、放縦な想像力が使えない厳密で誠実な写生図であるからこそ、発生したものといえる。(中略)それは九割が事実に由来するために、なおさら始末に悪い強烈な幻想性を帯びてしまう。」
(荒俣宏 「第二の『解体新書』をめざして」 より)


荒俣宏 編著 
『Fantastic Dozen 
第11巻 
解剖の美学』

ART OF ANATOMY

リブロポート 
1991年9月20日 発行
165p 
B5判 角背紙装上製本 カバー 
定価2.060円(本体2,000円)
装丁: 鈴木成一



荒俣宏コレクション「ファンタスティク12(ダズン)」第11巻は人体(解剖図)編であります。
カラー/モノクロ図版多数。解説中モノクロ図版10点。口絵図版(カラー)1葉。


荒俣宏 解剖の美学 01


帯文:

「ファンタスティック12(ダズン)創刊!
【第11巻】解剖の美学 解剖図譜は16世紀イタリアのヴェサリウスをもって嚆矢とする。
筋肉男や骸骨男が町を背景にポーズをとる図像は、オランダのアルビヌスに受け継がれ、
歩く死体=ゾンビが初期解剖図譜のパターンとなった。次に、同じくオランダのダコティが
彩色をほどこしたエロティシズム溢れる生体解剖図を制作したが、これら西洋の美学と、
江戸期『三之助解剖図』に見られる解体作業にも似た生々しさとを、比較鑑賞されたい。」



帯背:

「荒俣宏コレクション」


「叢書刊行の趣旨」:

「「すべては目のために、目と心の娯しみのために」
―そう書き綴ったのは、17世紀に驚異の図像を世に送りだした
イエズス会の万能学者A. キルヒャーの弟子ブオナンニである。
彼は目の喜びのために望遠鏡を、顕微鏡を、そしてさまざまな光学器械を用いつつ、
自然物の驚異を伝える銅版図を刊行しつづけた。
目の娯しみ!
たしかに、人間はこのときから叡智と娯楽と驚異とが
分かちがたく結びついた新たなエンターテインメントを開発することになった。
そして、17~19世紀に至る300年間は、図像の黄金時代となった。
目を喜ばせ、啓発し、興奮させる新しい図像の創成期であった。
しかも、さらに驚くべきは、写真や映画を通じて
リアルな映像に慣れすぎた現代人の目をも、
これらの驚異図像は、歓喜させ、啓発し、刺激する事実であろう。
記号よりも図像。
観念よりも表現。
写生よりも図解。
図像とは、目と心の結合が生み出した、
自然には絶対に存在しない大脳の内側のパノラマである。
図像のもつ、このような肥沃な表現力と想像力を、
現代に解き放つことを目的に、本コレクションは刊行される。
この本の娯しみ方はただひとつ、全身を目玉にして、
次々にあらわれる人工図像のパノラマに歓喜し、
そこからさまざまな叡智を読み解くことである。
これは目玉の大冒険である。(荒俣宏)」



目次:

第二の『解体新書』をめざして――解剖図譜を見る目とその焦点
 1 幻想の解剖図
 2 歩く死体
 3 皮膚や肉を脱ぐストリップショー
 4 解剖のエロティシズム
 5 日本の解剖図

出典解説

【第一部】 彩色解剖図譜の驚異
 理想の死体が演じるストリップショー  アルビヌス『人体筋骨構造図譜』 1749
 初の色刷り解剖図  ル・ブロン 『腸の解剖図』 1742
 解剖学的エロティシズムの極致  ゴーティエ・ダコティ 『人体構造解剖図集』 1759 ほか
 幻想画に変じた医学図譜  グランヴィル 『流産と婦人病』 1834
 バロックの奇怪な骨格解剖図譜  マイヤー 『陸海川動物細密骨格図譜』 1751
 卵の中の大宇宙  ボードリモン 『胎児および鳥類・両生類の胚発育に関する生理解剖学』 1846
 機械的感覚の横溢  リザーズ 『解剖図誌』
 苦悶の表情をうかべる解剖モデル  オルターリ 『人間の内臓解剖図譜』 1838
 手彩色石版によるやさしい解剖図  リヒテル 『解剖学雑誌』
 病変器官のファンタスティック・ワールド  クルヴェイラー 『病理解剖学』 1835-1842

【第二部】 諧謔と鮮烈の江戸腑分け図
 吊るし切りによる人体の解体作業  『三之助解剖図』
 芸用解剖図の嚆矢  河鍋暁斎 『暁斎養生鑑』
 花魁の体内遊覧  『房事養生鑑』

【第三部】 幻想の一八世紀解剖図譜
 ゾンビとして跳梁する解剖人間  カウパー 『新筋肉裁断術』 1724
 臓器博物館の名作展示物  ロイス 『人骨の盆景』 1701
 一八世紀解剖学教室の情景  ホガース 『解剖学教室』 1759
 幼児解剖の名作図譜  フォン・ハラー 『解剖図集』 1756
 科学精神の下僕へと降下した医学図譜  スカルパ 『ヘルニヤ治療法』 1823




◆本書より◆


荒俣宏 解剖の美学 02


口絵「解剖学の天使●J.-F. ゴーティエ・ダコティ『彩色筋学総論』1746より。」


荒俣宏 解剖の美学 03


ル・ブロン『腸の解剖図』。


荒俣宏 解剖の美学 04


ゴーティエ・ダコティ『人体構造解剖図集』より「〈自分の髑髏をみつめる骨格人間〉」


荒俣宏 解剖の美学 06


ゴーティエ・ダコティ『頭部解剖図』。


荒俣宏 解剖の美学 07


ゴーティエ・ダコティ『解剖学講義』より「手の解剖図」


荒俣宏 解剖の美学 08


グランヴィル『流産と婦人病』より「妊娠5ヵ月の流産例」


荒俣宏 解剖の美学 09


リザーズ『解剖図誌』より「妊娠9ヵ月の子宮内部」


荒俣宏 解剖の美学 10


クルヴェイラー『病理解剖学』より「肺の病気」


本書より:

「もはや、〈ファンタスティック〉と呼ぶほかはない光景である。それにしても病変部にあらわれるこれらの異化の印象を、どのように表現すればよいのだろうか。底辺にそら寒さを擁した異様な眺めである。」


荒俣宏 解剖の美学 11


クルヴェイラー『病理解剖学』より「腹膜妊娠」(部分)。


本書より:

「妊婦が慢性腹膜炎のため、胎児が腹膜のくぼみで育ったケース。(中略)むしろ悲劇的な図である。こうしてみると、グランヴィルの同趣旨の図にみられた光景は、胎児をとりまく環境のどこかに涅槃のイメージをあらわしていた点で、正視にたえるような工夫があったといえる。」


荒俣宏 解剖の美学 12


『三之助解剖図』より「肺そのほかの臓器」


本書より:

「まさしく吊るし切りというにふさわしい光景である。この眺めは、西洋の解剖学教室における腑分けとはちがう、あえて言えばアンコウなどの解体方法を彷彿させるイメージにあふれている。」



荒俣宏 解剖の美学 13


フォン・ハラー『解剖図集』より「幼児の解剖②」


本書より:

「幼児解体というショッキングな選択を、なぜフォン・ハラーがおこなったのか、ぜひとも知りたいものだ。」




こちらもご参照下さい:

タイモン・スクリーチ 『江戸の身体を開く』 高山宏 訳 (叢書メラヴィリア)
『ラヴクラフト全集 4』 大瀧啓裕 訳 (創元推理文庫)











































































































関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本