FC2ブログ

瀧口修造 『瀧口修造の詩的実験 1927―1937』 (縮刷版)

「記憶はけむりの猫を生み」
(瀧口修造 「岩石は笑った」 より)


瀧口修造 
『瀧口修造の詩的実験
1927―1937』
縮刷版


思潮社 
1971年12月15日 第1刷
1991年3月25日 第4刷
229p 目次5p 
18×13cm 
フランス装 本体セロファンカバー 
機械函 函カバー 函プラカバー
定価2,980円



初版は1967年12月1日、限定1,500部刊行。本書はその縮刷版です。付録(添え書き)は紛失しました。


瀧口修造の詩的実験 01


目次:

LINES
ÉTAMINES NARRATIVES
amphibia
basse élégie
断片
地球創造説
仙人掌兄弟
クレオパトラの娘の悪事
花籠に充満せる人間の死
TEXTE ÉVANGÉLIQUE
ポール エリュアールに
DOCUMENT D'OISEAUX 鳥たちの記録
MIROIR DE MIROIR 鏡の鏡
TEXTES
実験室における太陽氏への公開状
絶対への接吻
地上の星
岩石は笑った
五月のスフィンクス

七つの詩
 サルバドール ダリ
 マックス エルンスト
 ルネ マグリット
 ホアン ミロ
 パブロ ピカソ
 マン レイ
 イヴ タンギー

白の上の千一夜

妖精の距離
 蝸牛の劇場
 レダ
 魚の慾望
 瞬間撮影
 遮られない休息
 木魂の薔薇
 反応
 睡魔
 影の通路
 妖精の距離
 風の受胎
 夜曲

   ★

夢の王族 一つの宣言あるいは先天的夢について
詩と実在



瀧口修造の詩的実験 02


プラカバーに「内容」と瀧口修造のポートレイトが印刷されています。



◆本書より◆


「ポール エリュアールに」より:

「天使よ、この海岸では透明な悪魔が薔薇を抱いている。 薔薇の頭髪の薔薇色は悪魔の奇蹟。 珊瑚のダイナモに倚りかかりおまえの立っているのは砂浜である。 神が貝殻に隠れたまうとき破風に悪魔のばら色の影がある。 それは正午である。」


「DOCUMENT D'OISEAUX 鳥たちの記録」より:

「あの白い世界は島でもなく鳥でもなかった。 その唯一の記憶がぼくを鬼にするだろう。」


「地上の星」より:

「眞紅の鳥と眞紅の星は闘い
ぼくの皮膚を傷つける
ぼくの声は裂けるだろう
ぼくは発狂する
ぼくは熟睡する。

鳥の卵に孵った蝶のように
ぼくは土の上に虹を書く
脈膊が星から聴こえるように
ぼくは恋人の胸に頬を埋める。」

「忘れられた星
ぼくはそれを呼ぶことができない
或る晴れた日に
ぼくは女にそれをたずねるだろう
闇のなかから新しい星が
ぼくにそれを約束する。」

「闇のように青空は刻々に近づく
ぼくは彼女の眞珠をひとつひとつ離してゆく
ぼくたちは飛行機のように興奮し
魚のように悲しむ
ぼくたちは地上のひとつの星のように
ひとつである。」

「ぼくは詩を書く
ぼくは詩を書く
そしてそれを八つ裂きにする
それは赤いバラのように匂った
それはガソリンのように匂った。」

「そして鳥たちは永遠に
風のなかに住むだろう
狂った岩石のように。

盲目の鳥たちは光の網を潜る。」



「レダ」より:

「ひとりあるきは薔薇の匂いがする」


「遮られない休息」:

「跡絶えない翅の

幼い蛾は夜の巨大な瓶の重さに堪えている

かりそめの白い胸像は雪の記憶に凍えている

風たちは痩せた小枝にとまって貧しい光に慣れている

すべて

ことりともしない丘の上の球形の鏡」



「睡魔」:

「ランプの中の噴水、噴水の中の仔牛、仔牛の中の蠟燭、蠟燭の中の噴水、噴水の中のランプ

私は寝床の中で奇妙な昆虫の軌跡を追っていた
そして瞼の近くで深い記憶の淵に落ちこんだ
忘れ難い顔のような
眞珠母の地獄の中へ
私は手をかざしさえすればいい
小鳥は歌い出しさえすればいい
地下には澄んだ水が流れている

卵形の車輪は
遠い森の紫の小筐に眠っていた
夢は小石の中に隠れた」



「妖精の距離」:

「うつくしい歯は樹がくれに歌った
形のいい耳は雲間にあった
玉虫色の爪は水にまじった
脱ぎすてた小石
すべてが足跡のように
そよ風さえ
傾いた椅子の中に失われた
麦畑の中の扉の発狂
空気のラビリンス
そこには一枚のカードもない
そこには一つのコップもない
慾望の楽器のように
ひとすじの奇妙な線で貫かれていた
それは辛うじて小鳥の表情に似ていた
それは死の浮標のように
春の風に棲まるだろう
それは辛うじて小鳥の均衡に似ていた」



「夜曲」より:

「赤い唇の永遠の休暇
太陽はコップの底に沈殿している
眠れない小鳥と一緒に」



「詩と実在」より:

「ぼくはこのような断言がなんらの哲理的な思想にも達しないことを知っている。 またぼくはいまそれを欲している。 太陽に噛みつかれたようなアフリカ蕃人の特殊な黥に、ぼくの現在の文章が比較されるとしても、ぼくはすこしも不満を抱かないだろう。 ぼくの意図はむしろ太陽に噛みつかれて置くことだ。 反省と称するものはどのような種類のものにしろ、現実と一致することがないということを日まわりの花とともにぼくが力説するとしても、ぼくはプラトニックなトリックを用意しているのではない。 物質の世界ではなく、また感覚の世界ではなく、ぼくには特異な、或る無秩序から出発しなければならなかった。」

「純粋な物語、不可能の原理、ぼくが純粋な告白を信ずるとき、ぼくの原理は無際限に許されているだろう。 行為は主観的現実にすぎない。分秒にも眞珠を磨いている貝殻の意識ほどにぼくは鮮明でありうるだろうか。 しかし確かにありうるだろう。」

「透明な夢よ。 透明な運動よ。 透明なメカニズム。 それは科学的ですらない。 新しさ以外には生存しない神秘體。 人々は夢をみるだろう。 人々は夢をみるだろう。 人々は抱擁するとき、抱擁されるだろう。」

「詩は絶対を方向したように見えた。」

「詩は信仰ではない。 論理ではない。 詩は行為である。 行為は行為を拒絶する。 夢の影が詩の影に似たのはこの瞬間であった。」



瀧口修造の詩的実験 04 (2)


瀧口修造の詩的実験 04 (1)


瀧口修造の詩的実験 05





























































































関連記事
スポンサーサイト



プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本