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徳南晴一郎 『怪談 人間時計』

徳南晴一郎 
『怪談 人間時計』


太田出版 
1996年11月20日 印刷
1996年12月29日 第2刷発行
229p 
A5判 並装 カバー 
定価1,442円


「本書は、『人間時計』(曙出版)一九六二年八月初版発行、『猫の喪服』(曙出版)一九六二年七月初版発行、を復刻・掲載したものです。」



伝説の貸本漫画家・徳南晴一郎の幻の名作ニ篇を復刻。スラップスティック・サイケ怪談です(エロはありません)。
この復刻版は出たときに知人の家で見せてもらって、借りようと思ってうっかり忘れていたのですが、いつのまにか絶版になっていました。今回、駿河屋で半額で売られていたので買ってよんでみました。

体調がいちじるしくわるいので、五分以上作業することができません。不本意ではございますが、駆け足で紹介したいと思います。


人間時計1


興味深いのは、つげ義春の「ねじ式」以前に、本書のような、いわば「ゲージュツ」的な方法を積極的に取り入れて、独特な言語感覚を積極的に駆使した、しかも読んで面白い(かどうかは、人によるかもしれませんが)まんが作品が描かれていたことです。作風は、貸本まんが界のE・T・A・ホフマンと呼びたくなるような感じです。
あるいは貸本まんが界のフランシス・ベーコンです。


「電燈をけされては困る
蠅先生 思わず冷汗を
かいた」

(「猫の喪服」より)

「へんだな
時計屋の
むすこが
時計を
プレゼント
されるなん
て!」

(「人間時計」より)


人間時計2


カバーを外してみた。
カバーに穴がくりぬかれていて、そこから本体表紙の一部がのぞいて見えるようになっています。
天地、小口が赤く着色されています。


目次:

怪談 人間時計
猫の喪服

解説
 『人間時計』を出版する意味とは何か? (竹熊健太郎)
 こうしてボクが『人間時計』を紹介した (山崎春美)
 『人間時計』はリアルな時を刻む (椹木野衣)
 徳南作品をもっと知りたい人へ (宇田川岳夫)



人間時計3


「人間時計」は、冒頭の八頁分がカラーで再現されています(「猫の喪服」の方はモノクロ処理されています)。

ここで、約八行ほど、あらすじというか「ネタバレ」をしたいと思うので、みたくない人は次の画像まで飛ばしてくれるとありがたいです。

「人間時計」は、ある日突然、信念を持って引きこもるようになった、からくり時計(無用の機械)を愛する人間嫌いの少年「声タダシ」が、見るからに時計っぽい家庭教師に鍛えられて、高校に合格し、みずからも時計人間になって、最後はネズミに食われてしまう話です。

「猫の喪服」は、ヒロシマの原爆で「吸血鬼」になってしまった尼僧「キリコ」の話ですが、主人公の「指地図夫」は、せっかくのキリコの父親(蠅)の忠告に耳をかさずに蠅タタキで殺してしまったため、キリコの餌食となってしまうのです。黒猫はキリコが変身した姿なのです。

「声タダシ」とか「指地図夫」とか、名前の付け方が面白いです。「首猛夫」(埴谷雄高『死霊』の登場人物)もびっくりです。


人間時計4


「村小山の
幽霊玉
うてたら
コワイ」


(「猫の喪服」より)


人間時計5


「猫の喪服」より、蠅の幽霊(なぜか片眼)。


人間時計6


左は国吉康雄「彼女は廃墟を歩く(She walks among the ruins)」(1946年)。
右は本書「猫の喪服」より。


ちなみに、「人間時計」で言及されている「クリフォード・B・シマッタ」ことクリフォード・D・シマックの作品は、「Amazing Stories」1950年12月号に発表された短篇「Bathe Your Bearings in Blood!」(別題「Skirmish」)で、このサイトによると日本語訳は「SFマガジン」1962年8月号(「特集 機械が支配する?」)に「前哨戦」の邦題で掲載されていたようなので(峯岸久訳)、執筆時の最新情報だったわけです。




こちらもご参照ください:

リンド・ウォード  『狂人の太鼓』
Frankenstein - The Lynd Ward Illustrated Edition
Jim Woodring - The Frank Book
マックス・エルンスト 『百頭女』







































































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Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

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Away with the Fairies

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趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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