吉岡実 『夏の宴』

「濡れたり乾いたり
それは外側から縮小してゆき
やがて草むらに
蛇のごとく消える」

(吉岡実 「部屋」 より)


吉岡実 
『夏の宴』


青土社 
1979年10月20日印刷
1979年10月30日発行
165p 初出誌紙一覧1p 
22.5×14.8cm 
丸背紙装(背布)上製本 貼函 
定価1,800円
装画: 西脇順三郎



吉岡実「西脇順三郎アラベスク」(『「死児」という絵』所収)より:

「この秋、私は新しい詩集《夏の宴》を出した。この本は、西脇順三郎先生の軽妙な二枚の絵で飾られている。友人・知己の礼状の多くは、詩のことには触れずに、装幀のよさばかり讃えているので、私は苦笑した。
 今度の詩集の題名には、少しばかり迷ったが最終的には《夏の宴》と決めた。これは西脇先生に捧げた詩であり、自信作であったからでもある。それを口実に、私は西脇先生に装画をお願いした。
 ある一日、私は絵の具、紙、筆を持って中目黒の仮寓へ行った。代々木上原のお宅は、改築中なので、夏以来親類のこの家で、西脇先生は暮されているのだった。日本画の筆を使われ、私の目の前で、三人の女神が裸で踊っている絵を描かれた。それはまさに、私の詩にふさわしいエロチックな風情があった。
 《夏の宴》――西脇先生はこれは〈えん〉かね、それとも〈うたげ〉かねと言われた。私は自然に〈うたげ〉ですと答えた。〈えん〉が良いよと断定された。だからこの詩集は〈なつのえん〉ということになる。」



吉岡実 夏の宴 01


帯文:

「聖なる猥褻や厳粛なる人間喜劇の彼方に、死とエロスの混淆する暗黒の祝祭空間を凝視め、自他の声を溶暗する新しい言語関係を創出して、現代詩に未踏の新領土を拓いた問題の新詩集。」


吉岡実 夏の宴 02


帯背:

「《サフラン摘み》以後の
最新詩篇」



吉岡実 夏の宴 03


吉岡実 夏の宴 04


目次:

楽園
部屋

子供の儀礼
異邦
水鏡
晩夏

草の迷宮
螺旋形
形は不安の鋭角を持ち……
父・あるいは夏
幻場
雷雨の姿を見よ

織物の三つの端布
金柑譚
使者
悪趣味な春の旅
夏の宴

夢のアステリスク
詠歌
この世の夏
裸子植物
謎の絵
「青と発音する」
円筒の内側



吉岡実 夏の宴 05



◆本書より◆


「楽園」より:

「私はそれを引用する
他人の言葉でも引用されたものは
すでに黄金化す」



「子供の儀礼」より:

「わたしは複雑なものは嫌いだ
単純なものは
月の光を浴びてよく見える」



「晩夏」より:

「夏きたりなば
母親はプリーツのスカートを
ひらひら波うたせつつ
水玉を産む
ごつごつした岩棚の下に
次に美しい息子を産む
緑の海草の中に
これこそ人間が行う遊戯の一つ」



「螺旋形」より:

「ある種の娘は股の間から
赤い腸や紐を垂らし
人の子を誘惑するんだ」



「使者」より:

「ひとつの人格が崩れ
百合の花は開花し
両性具有の霊を受胎する」



「野」より:

「自己か他者
「いずれかが幽霊である」」




































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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