アンドレ・ブルトン 『シュルレアリスムと絵画』

「眼は野生の状態で存在する。」
L'œil existe à l'état sauvage

(アンドレ・ブルトン)


アンドレ・ブルトン 
『シュルレアリスムと絵画』 
瀧口修造・巖谷國士 監修

粟津則雄・巖谷國士・大岡信・松浦寿輝・宮川淳 訳

人文書院 
1997年5月25日初版 第1刷印刷
1997年5月30日初版 第1刷発行
584p 
A5判 丸背布装上製本 カバー 
定価9,500円+税
装幀: 中島かほる



本書「解題」より:

「本訳書の底本は計三百四十六点の図版(うち色刷のもの三十六点)をふくむ高価な大型豪華本だが、定価を低く設定したいという人文書院編集部の意向により、今回はモノクロ図版で二百六点のみを本文共刷にし、判型もA5判サイズに縮小してある。」


アンドレ・ブルトン『シュルレアリスムと絵画――増補改訂新版、一九二八―一九六五』。
André Breton : Le Surréalisme et la peinture, nouvelle édition revue et corrigée première parution en 1928, Edition Gallimard, 1965


ブルトン シュルレアリスムと絵画 01


帯文:

「今世紀最高の「美」と「生」の書
眼は野生の状態で存在する
綿密な解題、訳注、人名解説を付す
30年におよぶ訳業、ついに完成!」



帯背:

「歴史的名著
待望の完訳」



帯裏:

「この大著は、今世紀にあらわれたもっとも重要な美術書のひとつである。それはシュルレアリスムという大規模な運動に加わった多くの芸術家たちや、その前後あるいは周辺にあった多くの芸術家たちの作品を、当の運動の指揮者・体現者として愛しつつ語り、鮮烈な言葉でたたえつつ位置づけているからだけではない。現実社会とのかかわりにおいて画家の生きかたを探りながら、またときには新しい「眼」で歴史を読みかえながら、二十世紀芸術そのものの方向を鮮明に示している書物だからでもある。
――巖谷國士「解題」」



目次:

刊行者のノート

Ⅰ シュルレアリスムと絵画 (一九二八)

Ⅱ シュルレアリスム芸術の発生と展望 (一九四一)

Ⅲ 断章 (一九三三―一九六一)
 マルセル・デュシャン
  「花嫁」の灯台 (一九三四)
 パブロ・ピカソ
  ピカソ――その生の棲み処 (一九三三)
  アンケート回答 (一九五五)
  80カラットの……だが瑕が (一九六一)
 ヴィクトル・ブローネル
  束、白い薔薇 (一九三四)
  犬と狼のあいだに…… (一九四六・七・一四)
 オスカル・ドミンゲス
  あらかじめ対象を想定しないデカルコマニーについて (一九三六)
 サルバドール・ダリ
  ダリの「症例」 (一九三六)
 ヴォルフガング・パーレン
  帽子についたダイヤモンドではもはやなく…… (一九三八)
  大道の交叉点にいる男 (一九五〇)
 フリーダ・カーロ・デ・リベラ (一九三八)
 シュルレアリスム絵画の最近の諸傾向 (一九三九)
 アンドレ・マッソン
  アンドレ・マッソンの幻惑 (一九三九)
 マックス・エルンスト
  マックス・エルンストの伝説的生涯 (一九四二)
  グラフィック作品 (一九五〇)
 ヴィフレド・ラム
  詩人たちの久しい郷愁と…… (一九四一)
  ハイチの夜…… (一九四六)
 イヴ・タンギー
  プロローグ (一九三八)
  タンギーの隠すもの、顕わすもの (一九四二)
 マッタ
  真珠は私の見るところ、そこなわれて…… (一九四四)
  三年前のこと…… (一九四七)
 エンリコ・ドナーティ (一九四四)
 アーシル・ゴーキー (一九四五)
 ジャック・エロルド (一九四七)
 トワイヤン
  トワイヤンの作品への序 (一九五三)
  「夢遊病の女」 (一九五八)
 エドガー・イェネ (一九四八)
 リオペル
  ひそひそ話 (一九四九)
 フランシス・ピカビア
  目隠しをした目のためのオペラグラス (一九五〇)
  手紙 (一九五二)
 ジェローム・カムロウスキ (一九五〇)
 ルフィノ・タマヨ (一九五〇)
 わが友セーグル (一九五一)
 シモン・ハンタイ (一九五三)
 ユディト・レーグル (一九五四)
 マックス・ワルター・スワーンベリ
  ヴァイキングの女 (一九五五)
  私は大きな出会いのひとつに数え…… (一九六一)
 ピエール・モリニエ (一九五六)
 エンドレ・ロジュダ (一九五七)
 ヤーヌ・ル・トゥームラン (一九五七)
 イヴ・ラロワ (一九五八)
 ジョアン・ミロ
  「星座」 (一九五八)
 ル・マレシャル (一九六〇)
 ルネ・マグリット (一九六一)

Ⅳ 周辺
 オブジェの危機 (一九三六)
 シュルレアリスムのオブジェ展 (一九三六)
 ポエム - オブジェについて (一九四二)
 カンディンスキー (一九三八)
 甘美な死骸、その顕揚 (一九四八)
 「素朴派」と呼ばれる独学者たち (一九四二)
 デモンシー (一九四九)
 ミゲル・G・ビバンコス (一九五〇)
 ジョゼフ・クレパン (一九五四)
 エクトール・イポリット (一九四七)
 狂人の芸術、野をひらく鍵 (一九四八)
 マリア (一九四七)
 アグスティン・カルデナス (一九五九)
 ガリア芸術の勝利 (一九五四)
 ガリアからの贈り物 (一九五五)
 十月の教え (一九五四)
 引き綱をかけるデュヴィリエ (一九五五)
 雲のなかの剣、ドゴテクス (一九五五)
 マルセル・ルブシャンスキー (一九五六)
 打倒、悲惨主義! (一九五六)
 近代美術館における百二十五点の傑作 (一九五二)
 アロイス・ツェートル (一九五六)
 象徴主義について (一九五八)
 ギュスターヴ・モロー (一九六一)
 彫刻家アンリ・ルソー? (一九六一)
 シュルレアリスム国際展への序文 (一九五九)
 ジャン・ブノワ、ついに大いなる儀式をはたす (一九六二)
 ミミ・パラン (一九六〇)

Ⅴ 他の流入、接近 (一九六三―一九六五)
 エンリコ・バイ (一九六三)
 ルネ・マグリットの全幅 (一九六四)
 熱帯林に立ちむかうカマチョ (一九六四)
 シルベルマン、「この代価を払えばこそ」 (一九六四)
 ウーゴ・ステルピーニとファビオ・デ・サンクティス (一九六四)
 コンラート・クラフェック (一九六五)

訳注 (巖谷國士)
解題 (巖谷國士)
図版目録 (巖谷國士)
人名解説 - 索引 (巖谷國士)

監修者・訳者略歴



ブルトン シュルレアリスムと絵画 02



◆本書より◆


「シュルレアリスムと絵画」より:

「眼は野生の状態で存在する。地上三十メートルの高さの〈不思議〉も、海中三十メートルの深さの〈不思議〉も、すべてを色彩として虹と関係づけてしまうこの猛々しい眼のほかには、ほとんど目撃者をもっていない。それは精神の航海に欠かせぬものらしい信号の慣習的な交換を司っている。だが、だれが見ることの階梯を立てるのだろうか? 私がすでにいくども見たもの、他の人々もまた見ると私にいったものがあり、気にかけるにせよかけないにせよ、私が見わけられると思っているもの、たとえばパリのオペラ座の正面とか、あるいは一頭の馬とか、あるいは地平線とかいうようなものがある。私がごく稀にしか見たことのないもの、いつも忘れるようにきめていたわけではないもの、また場合によっては、忘れないようにきめていたわけではないものがある。私がいくら目をむけても、あえて見ることはけっしてできないもの、私の愛するすべてのもの(その前では、私は他のものもまた見ない)がある。他の人々が見たもの、見たというもの、他の人々が私に暗示して見せることに成功するもの、成功しないものがある。さらに、私が他のどんな人々ともちがったふうに見るもの、それどころか、私が見はじめる目に見えないものまである。以上がすべてではない。」


「ヴィクトル・ブローネル」より:

「犬と狼のあいだに(夕暮れどきに)という表現は、これ以上ないかたちで、私たちが幼年期にはじめてそれを耳にしたときとかわらぬ恐怖感をおいたまま、戦争の直前にヴィクトル・ブローネルの達成した作品に、感情の境界をあたえていたものだ。」

「そうした関心はドイツ・ロマン派において頂点に達しており(たとえばモーリッツが確言するように、「それを見ることによってわれわれの生活全体の、否おそらくわれわれの人生全体の漠とした展望を得られるような、ある種の物質的な対象が存在する」)、その発展の過程を説明できるわけではないにしても、少なくとも古代以来、原始人以来、こんにちまでつづいていることを確証できるものである。こうした関心、この懸念、この心配は、魔法道士たち、異端者たち、すべての教団の「秘儀体得者」たち、偉大な反抗者たち、偉大な恋人たちだけでなく、その名にふさわしい者にかぎられた詩人たち、芸術家たちをへてきている。人がいわゆる普遍的同意に抗して、あらゆる領域にひろまっている批判にまず専心することを望まず、この世界をおおむね考えうる、住みうる、あるいは安直に改良しうるものとして理解しているかぎり、つくられたものにもつくるべきものにもならないこの世界に叛逆するようなすべての者たちに、こうした関心の刻印がのこされているわけだ。ためらわずいうが、この点で、私の考えはいつも、シャルル・フーリエのそれに支えられている。彼は一八〇八年にはじめて、絶対的懐疑(幾世紀ものあいだ人間が獲得したつもりでいる適合性に対しての)と、絶対的隔離(彼以前に教えこまれてきたすべてのものからの)とを、自分の法則として宣言したのである。」






















































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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