FC2ブログ

小松和彦 『憑霊信仰論』 (ありな書房 新装増補)

小松和彦 
『憑霊信仰論 ― 妖怪研究への試み』


ありな書房 1984年8月1日新装増補第1版第1刷発行/1989年12月15日第5刷発行
259p 口絵(モノクロ)3p 
A5判 丸背紙装上製本 カバー 定価2,750円
ブック・デザイン: 工藤強勝
表紙・カバー絵: 百鬼夜行絵巻 京都・真珠庵 室町時代



「収録論文解題」より:

「本書は、一九八二年に伝統と現代社より刊行した同題の論文集に新たに二篇の論文を加えたものである。それぞれの論文は一冊の本を編むという予定で構想・執筆したわけではないので、重複した内容を含むものもあり、一冊の本として首尾一貫したものとは言えない。しかし、過去十年あまりの間、理論的関心の変化や具体的な研究対象の多様化などがありつつも、私がつねに憑霊現象というものを強く意識し、その解明を目指してきたこと、そしてそうした営みの中から、妖怪をいかに日本文化史の中に位置づけるべきなのかという現在の私の重要な課題の一つが浮かび上がってきたことを、ある程度まで理解していただけるのではないかと考え、あえて一書を編んでみた。」


小松和彦1


帯文:

「日本人の精神の奥底に潜む
神と人と妖怪の宇宙
イメージ豊かな情念のコスモロジー」



小松和彦3


帯裏:

「従来の民俗学の動物霊を中心とした憑きもの概念を乗り超え、事物に憑く精霊、異界の神霊から、鬼、山姥、式神、護法童子など人間のもつ邪悪な精神領域へと下降し、日本の神々の一属性である憑依という宗教現象をめぐるさまざまな概念と行為の体系を介して、〈意味するもの〉としての憑霊信仰から、〈意味されるもの〉としての民衆の精神構造=宇宙観を明示する。
◎増補=器物の妖怪 他」



小松和彦2


目次:

はしがき

「憑きもの」と民俗社会 ― 聖痕としての家筋と富の移動
 一 はじめに
 二 民俗学的研究の若干の問題点
 三 「つき」の基礎的概念
 四 「つき」と「憑依」
 五 聖痕としてみた「憑きもの」
 六 聖性(異常性)の形象化としての「憑きもの」
 七 「憑きもの筋」と「限定された富」
 八 総括と今後の問題

説明体系としての「憑きもの」 ― 病気・家の盛衰・民間宗教者
 一 はじめに
 二 高知県物部村の事例
 三 説明体系としての信仰
  (1) 病気の説明体系と憑霊
  (2) 家の盛衰と神霊
  (3) 民間の宗教的職能者とその使役霊
 四 まとめ

《呪詛》あるいは妖術と邪術 ― 「いざなぎ流」の因縁調伏・生霊憑き・犬神憑き
 一 はじめに
 二 「障り」の病
 三 因縁調伏
 四 生霊憑き
 五 犬神憑き(四足憑き)
 六 式王子と式法
 七 若干の考察とまとめ

式神と呪い ― いざなぎ流陰陽道と古代陰陽道
 一 はじめに
 二 土佐のいざなぎ流陰陽道
 三 「呪詛」のための祭文と儀礼
 四 いざなぎ流の「式神」
 五 呪禁道と陰陽道の伝来
 六 陰陽師の活躍
 七 陰陽道の「呪い」と「式神」
 八 おわりに

護法信仰論覚書 ― 治療儀礼における「物怪」と「護法」
 一 はじめに
 二 『枕草子』からの事例
 三 調伏儀礼
 四 「護法」 ― 験者の呪力の形象
 五 憑霊としての「物怪」と「護法」
 六 「憑坐」と「夢」
 七 おわりに

山姥をめぐって ― 新しい妖怪論に向けて
 一 はじめに
 二 柳田国男の妖怪論
 三 妖怪 ― 祀られぬ神々
 四 《神》と《鬼》
 五 土佐の「山女郎」
 六 「山女郎」の両義性
 七 昔話の中の「山姥」
 八 今後の課題

熊野の本地 ― 呪詛の構造的意味
 一 呪詛・占い・殺害
 二 陰謀の構造的意味
 三 「うわなり打ち」の視点

器物の妖怪 ― 付喪神をめぐって
 一 怨霊・河童・付喪神
 二 器物の精の妖怪化
 三 御伽草子『付喪神記』
 四 中世における“もの”と“人間”

収録論文解題 ― あとがきにかえて



小松和彦5

呪い人形。


本書より:

「ところで、いざなぎ流祈祷師たちが行なう「呪い調伏」や「呪詛返し」は、祭文に描かれているように、ひとがた人形を作って行なうのが主体であったらしい。(中略)写真の人形は、ある祈祷師が私のために作ってくれた稲わら製のひとがた人形である。「呪詛の祓い」の儀礼において読み唱える「呪詛の祭文」とは性格を異にする一種の呪文、すなわち「呪詛の読み分け」の中には、一年の月々でそれぞれ人形の材料が異なっていたらしいことが記されている。正月は松人形、二月は茅萱人形、三月は桃花人形、四月は麦わら人形、五月は青葉人形、六月は卯の花人形、七月はそおはぎ人形、八月は稲葉人形、九月は菊の花人形、十月はからしな人形、十一月は白紙人形、十二月は氷の人形。そしてこのような人形を作って、「呪い調伏」の場合では、「我は良かれ、人を悪(あ)しかれ、その子孫は絶え行け」と地に伏し天を仰いで因縁調伏するというのである。この人形を責める方法にもいろいろあり、「杣(そま)法」という墨壺を使う方法、「天神法」という金床と金槌を使う方法、「針法」という釘や針を使う方法などがもっともよく聞く方法である。」


小松和彦6

左: 呪い人形。
下: 丑の時参り (鳥山石燕著『百鬼夜行図』)。


本書より:

「平城京跡の発掘調査が行なわれた際に、古井戸の底から長さ一五センチほどの木製のひとがた人形が発見された。その人形の両眼と心臓の部分にそれぞれ約一センチの木釘が打ち込まれていたので、誰かを呪い殺すために作られたものであることは明らかである。」






















































































関連記事
スポンサーサイト



プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本