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ヨウーン・アウトナソン 編 『アイスランドの昔話』 菅原邦城 訳 (世界民間文芸叢書)

ヨウーン・アウトナソン 編 
『アイスランドの昔話』 
菅原邦城 訳

世界民間文芸叢書 第9巻

三弥井書店 
昭和54年5月20日 初版発行 
422p 口絵(モノクロ)2p 
アイスランド略図・県名2p 
18.2×13cm 
並装(フランス表紙) 機械函 
定価2,500円

付録「世界民間文芸通信」第9巻 (4p):
アイスランド断想(山室静)/世界民間文芸叢書



本書「訳者あとがき」より:

「今回の訳は一見して明らかなように、昔話よりもはるかに多く伝説を含み、また訳された昔話は相当に長文のものばかりとなっている。これは、翻訳に先立って採用すべき話の選択が、企画編集方針にしたがって、訳者自身によってではなくて、アイスランド人専門家に依頼して行なわれた結果である。」


第10回配本。別丁口絵図版4点、本文中図版9点。


アウトナソン アイスランドの昔話 01


目次:

 写真・地図

神話物語
 一 妖精の起り
 二 難産の女妖精
 三 トゥンガの崖
 四 妖精の国の十八人の子供の父親
 五 レイーニルの教会大工
 六 放牧場の家事係
 七 セール島の妖精王
 八 妖精の王妃ヒルドゥル
 九 「脂身をまっ先にもらおう」
 一〇 作男と水妖たち
 一一 マルベンディトルのはなし
 一二 バルズの墓地
 一三 浄められたドラウング島
 一四 ギェトリヴェル
 一五 羊飼い娘
 一六 ギーリトルット
 一七 ロッパとロッパの養い子ヨウーン
 一八 ヨウーンと女トロル
 一九 夜のトロル
 二〇 ドラウング島の起り
 二一 「アイスランドの澪は深い」

幽霊物語
 二二 「羊小屋の、羊小屋のおっかあ」
 二三 「おまえは糸を針からかみ切るのを忘れてるぞ」
 二四 グラインモウルのお百姓
 二五 幽霊と金いれ箱
 二六 ミルカウの教会執事
 二七 フェイーキスホウーラルの幽霊
 二八 ヴェストマンナエイーヤルの魔法使い
 二九 ミーヴァトンのスコッタ
 三〇 ティルベリ
 三一 ヌープルの岩棚

魔法物語
 三二 悪魔の学校
 三三 学者サイームンドゥルのオッディ獲得
 三四 干し草片づけ
 三五 小悪魔の笛
 三六 小悪魔と羊飼い
 三七 木ずりの箱で水を汲む悪魔
 三八 マウルム島の女主人
 三九 魔法のロフトゥル

自然物語
 四〇 顕現日の夜の牝牛
 四一 あざらしの皮
 四二 ラーガルフリョウートの蛇
 四三 盗っ人と月

宗教物語
 四四 フルーニのダンス
 四五 貧乏人のお婆さん
 四六 コルベイトンと悪魔
 四七 「亭主のヨウーンの魂」

史実物語
 四八 ヘクラ溶岩台地の下の教会
 四九 エクスルのビョトンの物語

盗賊物語
 五〇 エイーヤフィヨルドの太陽シグリーズル
 五一 百姓娘キェーティルリーズルの物語
 五二 フラズハマルのアウトニの物語断片
 五三 洞窟の盗賊の物語

昔話
 五四 マウーニの娘ミャズヴェイグの物語
 五五 リーネイクとレウーヴェイの物語
 五六 利口なフィンナの物語
 五七 ヴィルフリーズル・ヴェールフェグリの物語
 五八 フリーニ王子の物語
 五九 おじいさんの息子、リーティトル、トリーティトルと小鳥たち
 六〇 ブーコトラと小僧っこ
 六一 ブリャウムの物語

笑話
 六二 バッキの兄弟たち

原典編者序文 (ヨウーン・アウトナソン)
アイスランドの昔話 (エイーナル・スヴェインスソン)
話者・分布地域(採話地)・出典・話型一覧表
訳者解説
訳者あとがき
原語対訳 BUKOLLA OG STRAKURINN (ブーコトラと小僧っこ)

世界民間文芸叢書の刊行にあたって



アウトナソン アイスランドの昔話 02



◆本書より◆


「一 妖精の起り

 むかし、全能の神さまがアダムとエバのところにおいでになった。
 かれらは神さまを喜んでお迎えして、じぶんたちが家のなかに持っているものを全部見せた。自分たちの子供も見せたが、神さまには、その子供たちは末の見込みがあるように想われた。神さまはエバに、二人にはいま自分に見せてくれた子供のほかにもう子供はいないのかと尋ねた。ありません、と彼女は言った。しかし本当は、エバはまだ幾人かの子供の体を洗ってやっておらず、その子供たちを神さまに見せるのは恥ずかしいと思ったのだ。それで、その子供たちを外に出してやっていた。これを神さまは知っていて言った
 「わたしに隠さなければならないものは、人間たちにも隠すようにする」
 こうして、子供たちは人間の目には見えなくなり、森や山、丘や石の中に住んだ。これから妖精がきているが、人間は、エバが神さまに見せた子供たちからきている。
 妖精は人間を見ることも自分を人間に見せることも出来るけれども、もし彼らが自分で自分を人間に見せたいと思わない限り、人間は妖精たちを見ることは出来ない。」


「四一 あざらしの皮

 むかし、東部地方のミルダールルで或る男が朝早く起床時刻のまえに海に面した崖にそって歩いていた。
 男は一つの洞穴の入口にやってきた。その洞穴のなかから、陽気な騒ぎとダンスのにぎやかな音がきこえてきたが、外にはあざらしの皮がとっても沢山あるのが見えた。男はその皮の一枚をもって家に帰り、長持にいれて鍵をかけた。昼すこし遅くなったころ、男は洞穴のところに戻ってきたが、すると若くてきれいな女がそこに坐っていた。女はまっ裸で、ひどく泣いていた。これは、男が奪った皮の持ち主のあざらしだったのだ。男は娘に着物をやってなぐさめ、家につれて帰った。娘は、この男を慕いはしたが、他の人たちとはそれほどに打ち解けなかった。そして彼女はよく坐りこんでは海の方をみつめていた。しばらく経ってから男は娘をおかみさんにし、ふたりの間はうまくいって子供がさずかった。皮をお百姓はいつも鍵をかけて長持の底に隠しておき、どこに行くにも鍵を身につけていた。何年もたった或る時、お百姓は漁に出かけ、その鍵は家の自分の枕の端の下に隠しておいた。他の人たちの話では、お百姓は使用人たちと一緒にクリスマス礼拝に出かけたが、おかみさんは具合が悪くて一緒にいけなかったそうだ。着換えをしたとき、お百姓はふだん着のかくし(引用者注: 「かくし」に傍点)から鍵をとるのを忘れたというんだ。そうしてお百姓が家に戻ってくると、長持は開いていて、おかみさんと皮が消えていた。彼女は鍵をとって長持の中をしらべて、その皮を見つけたのだった。そのとき誘惑にさからうことが出来ずに、わが子に別れを告げ、皮を着て海にとび込んだ。おかみさんは海にとび込む前に、ひとり言でこう言ったということだ
 「あたしゃどうすりゃいいのやら、
 子どもが七人海にあり
 子どもが七人陸(おか)にある」
 男は、このことを大変悲しんだということだ。
 その後お百姓が漁に出ると、一頭のあざらしがしばしばお百姓の舟のぐるりを泳ぎまわり、その目からは涙が流れでているようだった。お百姓はこれ以来とても漁にめぐまれ、様ざまな幸運がお百姓の前浜で起った。よく人びとは、この夫婦の子どもたちが海辺にそって歩いている時、子どもたちが陸を歩いている時でも前浜を歩いている時でも、一頭のあざらしが海のなかで、子どもたちの前を泳いで、様ざまの魚や美しい貝を子どもたちの方に投げてよこすのを見た。
 でも、子どもたちの母親が陸に戻ってくることは全くなかった。」








































































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プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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