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C・アウエハント 『鯰絵』 小松・中沢・飯島・古家 訳 (岩波文庫)

「当時の社会的情況のなかで考えてみると、鯰絵がねらっていたことの一つは、明らかに、嘲笑、下品な冗談、泣き笑いを絵の中に折り込んで、都市に住む民衆の生活にもっと潤いを与えることであった。都市の民衆にとって、地震の前の時期でさえ、もはや自分たちの生活は望ましいものとはほど遠いものになってしまったのである。」
(C・アウエハント 『鯰絵』 より)


C・アウエハント 
『鯰絵
―民俗的想像力の世界』

小松和彦・中沢新一・飯島吉晴・古家信平 訳
岩波文庫 白/34-227-1

岩波書店 
2013年6月14日 第1刷発行
606p(うちカラー図版24p) 索引33p 
文庫判 並装 カバー 
定価1,440円+税
カバー: 中野達彦
カバー図版: 「あら嬉し大安日にゆり直す」


「本書は小松和彦・中沢新一・飯島吉晴・古家信平訳『鯰絵――民俗的想像力の世界』(せりか書房、一九七九年)を文庫化したものである。今回の文庫化に際して、カラー図版やモノクロ図版を適宜変更した。」



本書「凡例」より:

「本書は Dr. Cornelius Ouwehand, NAMAZU-E AND THEIR THEMES: An Interpretative Approach to Some Aspects of Japanese Folk Religion, Leiden, E. J. Brill, 1964 の全訳である。」


カラー図版24点、本文中図版(モノクロ)49点、図表9点、地図2点。
せりか書房版に附録として収録されていた「スサノオ論覚書」は、本書では割愛されています。


アウエハント 鯰絵 01


カバーそで文:

「鯰絵
安政二年の江戸大地震直後に、ユーモアと風刺に富んだ多色摺りの鯰絵が大量に出回った。鯰絵とそこに書かれた詞書には世直しなど民衆の願望も表象されていた。日本文化の深層を構造主義的手法で鮮やかに読み解く日本民俗学の古典。カラー図版多数。」



目次:

凡例
日本語版への序文
まえがき

第一部 鯰絵への招待
 第一章 鯰絵
  1 鯰絵――一枚摺と綴本
  2 大津絵にみられる鯰表象
  3 絵馬にみられる鯰表象
 第二章 伝説
  1 地震伝説
  2 鹿島伝説
  3 要石伝説
  4 鯰伝説と民話
 第三章 破壊者-救済者としての鯰

第二部 さまざまなテーマ
 第一章 はじめに
 第二章 石と鯰
  1 鯰、雷神、弁慶
 第三章 瓢箪鯰
  1 猿と瓢箪鯰
 第四章 テーマの構造

第三部 隠れた意味
 第一章 テーマ・シンボル・構造
 第二章 危機的出来事としての地震

参考文献
解説 (宮田登)
訳者あとがき (小松和彦)

[解説] プレート上の神話的思考 (中沢新一)

地図
図版注
索引



アウエハント 鯰絵 02



◆本書より◆


「第一部第一章 鯰絵」より:

「鯰絵は、一八五五年の江戸地震直後に現われたというだけではない。この地震こそが鯰絵の現われる直接の原因であったのだ。すなわち、版画およびそこに描かれた絵画表象は、きわめてユニークな方法で災害に対する反応を表わしたもので、地震と密接な関係をもっている。というのは、(中略)ほとんど全ての場合、いろいろな形をした奇怪な魚、つまり鯰が描かれているからである。この鯰は、地震を引き起こすことができると考えられており、しばしば「地震(の)魚」とも呼ばれた。」


「第一部第三章 破壊者―救済者としての鯰」より:

「復興された新しい世の中(直り世)と待望されたこの世の楽園(弥勒世)。遠い楽土と暗い地下界の二重性をもつ常世と根の国の統一体。水界や、この水界とのつながりを表現するのにいかにもふさわしい外見をもつ水神との関係。常陸と鹿島。時に応じて虫、蛇龍、魚、鯨などの姿をとる地下の怪物を押さえつける建御雷やエビス。生死を司り、都市を破壊するとともに大判小判を流出させ、嫌悪されると同時に崇められもする、破壊者にして救済者である鯰。(中略)ここには、きわめて個性的な諸要素を構造的に組み合わせた一つの複合体が存在するのであり、各要素は、その複合体全体の中でのみその固有の価値を獲得しているのである。」


「第二部第四章 テーマの構造」より:

「鯰は、地震をひき起こすものとして版画に描かれるが、しかしそれと同時に、世界の更新者のみならず富や幸運をもたらす者としても、つまり典型的なトリックスター形象として表現されている。」


「第三部第二章 危機的出来事としての地震」より:

「災害をひき起こす者としての鯰は、社会的不正に対する復讐者であると同時に、損われた均衡の回復者としてみなされるというそれだけの理由で、人々に受容されそして賞賛されさえする。鯰という形象には、物質的な報償によってもたらされる不均衡の修正や中和という観念が擬人化されているのである。人々に金や銀を惜しみなく流出させるということがなかったならば、鯰の破壊的な行為は、ただ否定的反応を生み出しただけであろう。しかし、ここでの鯰は、天秤のバランスをとる存在であるのだ。」






























































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◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

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Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

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