FC2ブログ

アロイジウス・ベルトラン 『夜のガスパール』 (岩波文庫)

「そして私、――熱に錯乱し! ――顔に皺寄(しわよ)せた月が、私に向って舌をつき出している首吊(くびつ)り人のように見えた!」
(アロイジウズ・ベルトラン 「月の光」 より)


アロイジウス・ベルトラン 
『夜のガスパール
― レンブラント、
カロー風の幻想曲』
及川茂 訳

岩波文庫 赤/31-589-1


岩波書店 
1991年11月18日 第1刷発行
253p 
文庫判 並装 カバー 
定価520円(本体505円)
カバー: 中野達彦



「岩波文庫版の訳者後記」より:

「拙訳は、一九八三年に書肆風の薔薇より出版されたものである。(中略)岩波文庫に収めるにあたり、旧訳にあったやや固い表現、少しばかり文語的だった部分を、かみくだいて読み易くした。」


Aloysius Bertrand: Gaspard de la Nuit, 1842
口絵: ディジョンのノートルダム寺院の怪人の彫像 (外池庄治 画)


ベルトラン 夜のガスパール 01


カバーそで文:

「深い闇の彼方から現れては消えてゆく幻想の数々……。ベルトラン(一八〇七-四一)は、貧困と不幸に苛まれながら「散文詩」という新しい様式を創造し、幽玄な美しさに満ちた芸術至上主義的な詩を残した。ラヴェルによる同名のピアノ曲の題材としても知られる。」


目次:

夜のガスパール

ヴィクトル・ユーゴー氏へ

夜のガスパールの幻想曲
 フランドル派
  一 ハルレム
  二 石工
  三 ラザール隊長
  四 尖った顎髯
  五 チューリップ売り
  六 五本の指
  七 ヴィオラ・ダ・ガンバ
  八 錬金術師
  九 魔宴への出発
 古きパリ
  一 二人のユダヤ人
  二 夜の乞食
  三 角灯
  四 ネールの塔
  五 伊達男
  六 夕べの祈り
  七 セレナード
  八 ジャン殿
  九 真夜中のミサ
  十 愛書家
 夜とその魅惑
  一 ゴチック部屋
  二 スカルボ
  三 狂者
  四 小人
  五 月の光
  六 鐘楼下の輪舞
  七 夢
  八 我が曽祖父
  九 オンディーヌ
  十 火蜥蜴
  十一 魔宴の時
 年代記
  一 オジエ殿(一四〇七年)
  二 ルーヴルの潜り戸
  三 フランドル人
  四 狩猟(一四一二年)
  五 ドイツ騎兵
  六 大部隊(一三六四年)
  七 癩者
  八 愛書家へ
 スペインとイタリア
  一 僧房
  二 騾馬引き
  三 アロカ侯爵
  四 ヘンリケス
  五 警報
  六 教父プグナチオ
  七 仮面の歌
 雑詠
  一 わが藁家
  二 ジャン・デ・ティーユ
  三 十月
  四 シェーヴルモルトの岩の上にて
  五 いまひとたびの春
  六 第二の人
  七 シャルル・ノディエ氏へ
 作者の草稿より抜粋したる断章
  美わしのアルカーデ
  天使と妖精
  雨
  二人の天使
  水上の宵
  モンパゾン夫人
  ジャン・ド・ヴィトーの魔法の旋律
  戦いの終った夜
  ウォルガストの要塞
  死んだ馬
  絞首台
  スカルボ
  彫像家ダヴィッド氏へ

訳註
ベルトラン略年譜
訳者後記
岩波文庫版の訳者後記



ベルトラン 夜のガスパール 02



◆本書より◆


「狂者」より:

「月が黒檀(こくたん)の櫛(くし)で髪を梳(す)いていた。丘を、野原を、木々を、蛍(ほたる)の雨で銀色にしていた。

     *

 宝の山に埋れた悪夢の精スカルボが、風見がきしめく屋根の上で、デュカやフロリンの金貨を振りわけていた。金貨は調子よく飛び上り、贋金(にせがね)が路上へ撒(ま)き捨てられる。

 毎夜、人の途絶えた街を彷徨(さまよ)い歩く気狂いが冷たく笑った。片目は月を見上げ、もう片方の目は、――刳(えぐ)られている!

 ――《月など糞喰(くそくら)え!》 悪魔の金貨を拾い集めながら彼はぶつぶつ呟(つぶや)いた。《俺は絞(しば)り首の台を買って、日向(ひなた)ぼっこをするのだ!》

 ――しかしこちらはいつもながらの月、沈もうとしている月。――そしてスカルボは、我家の穴倉で機械を動かしてはデュカやフロリンを、声も出さずに造っていた。

 その時、二本の角を振り立てた蝸牛(かたつむり)が夜道に迷い、明りの洩(も)れる窓ガラスの上に道を探してやって来た。」





こちらもご参照ください:

K・G・ボーン 『レンブラント エッチング全集』 嘉門安雄 監修/加藤しをり 訳
谷口江里也 編 『画集 ジャック・カロ』























































































































関連記事
スポンサーサイト



プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

最近の記事
カテゴリー
ブログ内検索
リンク
フリーエリア
netakiri nekotaroの最近読んだ本