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ジャン・レー 『新カンタベリー物語』 篠田知和基 訳 (創元推理文庫)

ジャン・レー 
『新カンタベリー物語』 
篠田知和基 訳

創元推理文庫 539-1

東京創元社 
1986年4月18日 初版
267p 
文庫判 並装 カバー 
定価360円
カバー絵: ジェームズ・アンソール 「亀を眺める仮面」



Jean Ray: Les derniers contes de Canterbury, 1944


レー 新カンタベリー物語


カバー裏文:

「たったの十ペンスで、おいしい肉料理を食べさせる怪しい料理屋の話、オウムと結婚したオールドミスの話、牡猫ムルが語る、けちな四人姉妹に殺された猫の話、フォルスタッフが居合わせた恐ろしい宴会の話等々……チョーサーの旅籠(はたご)《陣羽織》ならぬ、薄暗い料理屋《陣羽織》で亡霊たちがかわるがわる聞かせる奇怪な物語の数々。鬼才J・レーの傑作」


目次:

幻想風前口上

クプフェルグルン氏が語りだす
 アイリッシュ・シチュー

カニヴェ博士が語る
 ボンヴォワザン嬢の婚礼

女学者が話す
 タイバーン

ミスター・ガラハーのオデュッセイア
 ガラハー氏、家へ帰る

不思議な女が叫びだす
 あたくし、ヘル・ハーゼンフラッツを捜してます!

ミスター・チップスが生涯を語る
 タイバーン続話

操り人形の物語
 マイユー親爺

船乗りが語る……
 バラ色の恐怖

狂人の物語
 ユユー

ラム=ロウの男が三つの物語を読む
 世界一美しい女の子
 サロメの踊り
 セプチマス・カミンの被昇天

クプフェルグルン氏、ふたたび語りだす
 フリンダーズ河

太った男が語る
 フォルスタッフ、昔を思い出す

牡猫ムルの番
 殺された猫

夜の終わり
 リード・アンサンク
 揣摩臆測(しまおくそく)のために

訳者あとがき




◆本書より◆


「タイバーン」より:

「ウィンターセットは怖れ気もなく台上へ上ってゆき、ひざまずきました。首斬役の広刃の刀がその首筋に打ち下ろされました。
 「チャリン!」と、刃が高らかに鳴りました。首は板の上に転がりました。
 でも、まさにそのとき、処刑人と二人の従僕はけたたましい叫び声をあげたのです。ウィンターセットは相変らずひざまずいています……頭はちゃんと首の上にのっているのです!!
 幸いなことに、刑に立ちあっていた判事はたいそう常識的な男でした。
 「魔術じゃ!」と彼は叫んだのです……「首がまた生えてきおった! 首斬役、お役目でござる! この多頭蛇(ヒュドラー)を片づけられい!」
 ふたたび剣が打ち下ろされ、ふたたび首が首斬台の傍らに転がりました。
 「魔……」判事はしゃっくりのような声を発しました。
 でもそれ以上は言うことができません。何しろ三つ目の頭がウィンターセットの首の上に生えてくるのを見て肝をつぶしてしまったからです。
 「チャリン!」その首も前のふたつの首と同じように斬り落とされました。
 次の瞬間には、首斬役も従僕も判事も一目散(いちもくさん)に台の下へ飛び下りていました。一方、ウィンターセットは四番目の頭を生やして、立ち上がりながらこう言いました。
 「もうたくさんだ!」」



「ユユー」より:

「夜の窓は恐ろしい。闇の中から悪夢のような妖怪が現われて、その顔を窓ガラスにはりつけるのではないかと、ただそれだけの脅(おび)えから気が狂ってしまった人たちを知っている。」

「雲だった、煙だった、霧だった、夜の闇の最後の揺曳だったと、できることなら信じたい。かなたの地平線をそいつがすっかり占めていて、そこに恐ろしい仮面が沈んでゆくところだった……まるで悪夢の中でこそ沼が塀から目だけ出して中を覗き込んでいるかのように、ふたつの動かぬ目が荒地の上を見つめていたのだ……」
































































































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プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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