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ジョン・キーツ 『詩人の手紙』 田村英之助 訳

「ぼくの胸には燃えさかる炭火がある。人間の心がこれほどの悲惨を包含し、それに耐えることができるとは驚くべきことだ。ぼくはこういう目的のために生れてきたのだろうか?」
(ジョン・キーツ)


ジョン・キーツ 
『詩人の手紙』 
田村英之助 訳

冨山房百科文庫 5


冨山房 
昭和52年4月8日 第1刷発行
350p xvi 
17.2×11.2cm 並装 
定価700円
表紙・扉: 瀬川康男



本書「凡例」より:

「本書は Hyder E. Rollins 編 The Letters of John Keats 2 vols. (Harvard University Press, 1958) を底本とした抄訳である。」



補注・年譜は二段組。


キーツ 詩人の手紙



目次:

解題 (田村英之助)

一八一六年
1 チャールズ・C・クラーク宛
 〈ハント氏に会うことは、ぼくの人生にひとつの時代を劃すことになるでしょう〉

一八一七年
2 ジョン・H・レノルズ宛
 〈永遠の詩なしではぼくは存在できない〉
3 リー・ハント宛
 〈詩人であることによっていかに偉大なものを手にすることができるか〉
4 ベンジャミン・R・ヘイドン宛
 〈この守り神がシェイクスピアだと考えるのは大胆すぎるでしょうか〉
5 ジェイン及びメアリアン・レノルズ宛
 〈ジュリエットに従って万魔殿へ行きたいと思っているのです〉
6 ベンジャミン・ベイリー宛
 〈これが完成すればたとえ十数歩でも名声の聖堂に近づくことができるだろう〉
7 ベンジャミン・ベイリー宛
 〈想像力が美として把握したものこそ真実であるにちがいない〉
8 ジョージ及びトマス・キーツ宛
 〈ぼくは「消極的能力」のことを言ってるのだ〉

一八一八年
9 ベンジャミン・ベイリー宛
 〈確かな方法は、最初に相手の欠点を知ってしまい、そして受身になることだ〉
10 ジョージ及びトム・キーツ宛
 〈そうだ! トム! ぼくが恐れたりしたらくそくらえだ〉
11 ジョン・H・レノルズ宛
 〈ぼくら、天上の豚とでもいうようなものになって放し飼いされて〉
12 ジョン・H・レノルズ宛
 〈花のように自分の花びらを開き、受身の態度で受容することにしよう〉
13 ジョン・テイラー宛
 〈詩は奇異によってではなく美しい過剰によって驚かすべきである〉
14 ベンジャミン・ベイリー宛
 〈だから羽毛から鉄へわずか三歩ということもあるわけだ〉
15 ジョン・H・レノルズ宛
 〈大衆の前で身を屈することはぼくにはできない〉
16 ジョン・テイラー宛
 〈贅美なものに関する巧緻な感覚と、哲学に対する愛好とのあいだをさまよって〉
17 ジョン・H・レノルズ宛
 〈ぼくたちは現在その状態にいるのだ――「神秘の重荷」を感じているわけだ〉
18 ベンジャミン・ベイリー宛
 〈客にぺこぺこするよりは大地を耕してもらいたいのだ〉
19 ベンジャミン・ベイリー宛
 〈その頃ぼくの心はある美しい女性が眠るやわらかな巣だった〉
20 ジェイムズ・A・ヘッシー宛
 〈深遠なものの中にある美を愛するゆえに、自分の作品に厳しい批評をする人間に〉
21 リチャード・ウッドハウス宛
 〈詩人は明らかに神のあらゆる創造物のなかで最も非詩的なものだ〉
22 ジョージ及びジョージアナ・キーツ宛
 〈君たちの子どものひとりが最初のアメリカの詩人になってほしい〉
23 ジョージ及びジョージアナ・キーツ宛
 〈空間が消えて、その結果魂同士の交わりが互いの知性によって行なわれる〉

一八一九年
24 ファニー・キーツ宛
 〈おまえのためならどんなことでも犠牲にしていいと思う人間は〉
25 ベンジャミン・R・ヘイドン宛
 〈ぼくは、ただ書くというだけのためにものを書くことはしない〉
26 ジョージ及びジョージアナ・キーツ宛
 〈どうかこの世の中を「魂創造の谷」と呼びなさい〉
27 セアラ・ジェフリー宛
 〈英国の世間がそれらの作家を存命中は虐待し、死んでから大事にするからです〉
28 ファニー・ブローン宛
 〈美しい姿へと一途に募るぼくの気持をどのように表現したらよいかわかりません〉
29 ベンジャミン・ベイリー宛
 〈数年のうちにこの二つの野心が果せるなら死んでも満足だ〉
30 ジョン・H・レノルズ宛
 〈ぼくの心は自負心と頑固さでますます膨れていく〉
31 チャールズ・W・ディルク宛
 〈ブラックウッドに脳味噌を抵当に入れる以外のことなら何でもするつもりです〉
32 ジョージ及びジョージアナ・キーツ宛
 〈まだ若いうちは、ぼくの手に入るものの大部分を君にあげたいと思っている〉
33 ファニー・ブローン宛
 〈もうぼくの愛には限界がなくなった〉

一八二〇年
34 ファニー・ブローン宛
 〈その時にも、ぼくが考えていたのはあなたのことだけだった〉
35 ジェイムズ・ライス宛
 〈この世の中からまもなく去って行くかもしれないという思いは〉
36 ファニー・ブローン宛
 〈恍惚とそれにとって代った悲惨な思いを振り返って見る時〉
37 ファニー・ブローン宛
 〈あなた以外のありとあらゆるものに対する執着を超越して、ひたすら思索に耽って〉
38 ファニー・ブローン宛
 〈あなたの腕の中でなく土の中へもぐり込まなければならなくなるなんて〉
39 ファニー・ブローン宛
 〈ぼくは貪欲にあなたを求めている――ぼく以外のことは何も考えないでほしい〉
40 ファニー・ブローン宛
 〈愛するということがどういうことなのか、あなたにはわかっていない〉
41 ファニー・ブローン宛
 〈ハムレットの胸中は今のぼくと同じように、惨めな気持でいっぱいだったのだ〉
【パーシー・B・シェリーからキーツ宛】
 〈ただその宝が意味の曖昧な豊かさで放出されているきらいがあります〉
42 パーシー・B・シェリー宛
 〈あなたの人道主義の雅量を抑えてもっと芸術家になり〉
43 チャールズ・ブラウン宛
 〈時は差し迫っているように思えるから――今が最良の機会かもしれない〉
44 チャールズ・ブラウン宛
 〈人間の心がこれほどの悲惨を包含しそれに耐えることができるとは〉
45 チャールズ・ブラウン宛
 〈君にさよならは辛くて言えない。ぼくはいつも別れの挨拶が下手だったね〉

補註 (宛先人及び周辺人物・定期刊行物)
キーツ年譜
訳者後記




◆本書より◆


「8 ジョージ及びトマス・キーツ宛 一八一七年十二月二十一、二十七(?)日」より:

「ディルクとさまざまな問題について論争ではなく考え合いをした。いくつかのことがぼくの心の中でぴったりと適合しあい、すぐに次のことが思い浮んだ。それは特に文学において偉大な仕事を達成する人間を形成している特質、シェイクスピアがあれほど厖大に所有していた特質、それが何であるかということだ――ぼくは「消極的能力(ネガティヴ・ケイパビリティ)のことを言ってるのだが、つまり人が不確実さとか不可解さとか疑惑の中にあっても、事実や理由を求めていらいらすることが少しもなくていられる状態のことだ――たとえばコウルリッジは半解の状態に満足していることができないために、不可解さの最奥部に在って、事実や理由から孤立している素晴しい真実らしきものを見逃すだろう。この問題は(中略)たぶん、次のことに尽きるだろう。つまり偉大な詩人にあっては美の感覚が他のすべての考えを征服する、あるいはむしろ抹消するということだ。」


「30 ジョン・H・レノルズ宛 一八一九年八月二十四日」より:

「もしぼくが自由で健康で長続きのする心臓と肺の組織を(中略)もっていたら、八十年間続く生涯でもほとんど孤独のまま人生を送ることができるだろう。でもぼくの肉体は弱いから、ぼくをそれほどの高みに支えることはできないと思う。だからぼくは絶えず自分を抑制して、無になるように努力しなければならないのだ。」


「35 ジェイムズ・ライス宛 一八二〇年二月十四、十六日」より:

「この世の中からまもなく去っていくかもしれないという思いは、なんと驚異的な仕方で、この世の中の本来の美の認識を、我々の心に刻みつけてくれることであろうか。」


「44 チャールズ・ブラウン宛 一八二〇年十一月一日」より:

「ぼくの胸には燃えさかる炭火がある。人間の心がこれほどの悲惨を包含し、それに耐えることができるとは驚くべきことだ。ぼくはこういう目的のために生れてきたのだろうか?」


「45 チャールズ・ブラウン宛 一八二〇年十一月三十日」より:

「たとえ手紙でも、君にさよならは辛くて言えない。ぼくはいつも別れの挨拶が下手だったね。」























































































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うまれたときからひとでなし
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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

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好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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