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吉田敦彦 『昔話の考古学』 (中公新書)

吉田敦彦 
『昔話の考古学
― 山姥と縄文の女神』

中公新書 1068

中央公論社 
1992年4月25日 初版
1992年5月30日 再版
viii 226p 
新書判 並装 カバー 
定価640円(本体621円)



本文中図版(モノクロ)19点。


吉田敦彦 昔話の考古学


帯文:

「山姥は人をとって食う鬼なのか、豊穣をもたらす女神なのか」


帯裏・カバーそで文:

「昔話の山姥は人をとって食う妖怪として恐れられてきたが、『古事記』や『日本書紀』に登場するイザナミやコノハナノサクヤビメのように豊穣をもたらす女神、ひいては縄文時代から崇められてきた母神を思わせる一面をも持っている。神話や、縄文時代の遺物などと照らし合わせながら、山姥の登場する昔話の意味を考え、それら昔話や神話の比較により、土偶や土器、石棒などに対して古代の人が抱いたと思われる宗教的意義を考察する。」


目次:

はしがき

第一章 妖怪でも女神でもある山姥
 人を取って食う山姥
 福を授ける山姥
 作物が増える奇跡
 焼畑を加護する女神
第二章 苦しんでたくさんの子を生む山姥と山の神
 一度にたくさんの子を生む
 猟師と山の神の昔話
 各地に残る難産と多産の昔話
第三章 イザナミともコノハナノサクヤビメ=イハナガヒメともそっくりな山姥
 火中の出産
 神話の女神の二面性
 女神イザナミと山姥
 昔話「食わず女房」
第四章 惨死した死体からもいろいろなよいものが発生する山姥
 昔話「牛方山姥」
 焼死してよいものを残す
 作物の起源譚
第五章 排泄したり分泌したりしてよいものを出すオホゲツヒメ=ウケモチと山姥
 身体からよいものを発生させる
 昔話「姥皮」
 糸を産出する奇跡
 姥皮をかぶる娘
第六章 古栽培民のハイヌウェレ型神話と殺害の儀礼
 殺害されたハイヌウェレ
 国外の作物起源神話
 血腥い殺害の儀礼
 成年式の祭り
第七章 縄文時代中期の土偶と土器によって表わされた母神
 砕かれた土偶
 土器に表わされた女神
 火の起源神話
 縄文の女神と酒
第八章 石棒とメラネシア原住民の男性器および精液崇拝
 石棒の祭り
 精液信仰
 縄文宗教の継承




◆本書より◆


「はしがき」より:

「わが国の津々浦々で語られてきた、だれの胸にも郷愁を呼び起こす懐しい昔話の中には、「食わず女房」であるとか「牛方山姥」、また「三枚の護符」や「天道さん金の鎖」など、山姥と呼ばれる不気味な妖怪の登場する話が数多くある。ところでこの山姥というのは、調べてみると実はとても複雑で不思議な存在で、一筋縄ではなかなか正体を掴めそうにないのだ。」
「山姥は田畑の作物を自然に生え出させたり、異常なほど豊かに実らせる。また食物や糸、またさまざまな財宝などを、いくらでも出したり増やせるなど、不思議な生産の力を持っている。狩人に猟の獲物を授けることもできれば、なんと自分の身体から大便として、宝の布を大量に排泄することすらできる。また死ねば死体が、金銀財宝や妙薬、あるいは作物などにも変る。老婆とは打って変った妙齢の美女の姿でも、昔話の中に登場するし、また人を取って食うのとはまるで反対に、いろいろな奇跡を起こして、人助けをすることもしばしばあるとされているのだ。
 山姥にはこのように、おぞましい妖怪である反面でまた、まるで有り難い女神と思えるような性質がある。そして昔話を『古事記』や『日本書紀』に記された神話と比較してみると、山姥は事実、イザナミやコノハナサクヤビメ、イハナガヒメ、オホゲツヒメ、ウケモチなど、神話に出てくる女神たちと、いろいろな点で本当にびっくりするほどよく似たところがある。それでこのことからも、妖怪だとされている山姥の背後にどうやら、広大な力を持つ女神であるらしいその隠れた正体が仄見えるということが、確かめられると思われるのだ。
 この本では、その山姥の正体にほかならぬ女神が、実はわが国で縄文時代から信仰されてきた、きわめて古い母神だということを、明らかにしようとした。」
「縄文時代にはまた、男性器をリアルに象った、石棒と呼ばれている石製品が、数多く作られたことがよく知られている。そしてこの石棒を使ってされた当時の祭りもやはり、土偶や土器によって表わされたその母神の信仰と、密接な関わりを持っていたと想像できるのだ。
 つまりこの本で筆者は一方では、『古事記』と『日本書紀』の神話や、土偶、石棒などの考古学的な遺物などと照らし合わせながら、山姥の登場する昔話の意味を考えた。そしてそれと共にまた他方では、それらの昔話や神話と照らし合わせてみることで、土偶やいろいろな形の土器、また石棒などが、縄文時代の人たちにとってどのような宗教的意味を持ったかを考えてみようとしたわけだ。」





















































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ひとでなしの猫

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◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

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Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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