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ジョスリン・ゴドウィン 『キルヒャーの世界図鑑』 川島昭夫 訳

ジョスリン・ゴドウィン
『キルヒャーの世界図鑑
― よみがえる普遍の夢』
川島昭夫 訳

澁澤龍彦/中野美代子/荒俣宏 解説

工作舎 
1986年4月5日 第1刷
1986年5月5日 第2刷
ix 311p 著者・訳者紹介1p
21.6×14.4cm 
丸背紙装上製本 カバー 
定価2,900円
エディトリアル・デザイン: 祖父江慎



本書「訳者あとがき」より:

「本書は Joscelyn Godwin, Athanasius Kircher: A Renaissance Man and the Quest for Lost Knowledge, 1979, Thames and Hudson, London の翻訳である。」


キルヒャーの世界図鑑 01


帯文:

「「ダ・ヴィンチ
以上
なのです。」
――荒俣宏
ルネサンス最大の
綺想科学者の全貌
幻燈器、自動演奏器、作曲器、盗聴器、
中国文明エジプト起源説、自然発生説、
ノアの方舟、バベルの塔、地下世界……」



カバーそで文:

「ルネサンス最大の幻想科学者アタナシウス・キルヒャー。その独創的な業績の数々は、
今もヨーロッパ知識人たちの間に、巨大な影響を与えつづけている。
本書は、キルヒャーの著作に残された奇怪なイラストレーション群の紹介を通じて、
その奔放な想像力の世界を、現代に再生させる試みである。」



帯裏:

「本書解説より

――アタナシウス・キルヒャーは、マニエリスム後期のもっとも風変りな知識人であり……彼の博物館を訪れた著名人をびっくりさせるような特別な仕掛けを、いつも用意していた。――
澁澤龍彦

――読み書きもできぬ漢字を図像的に捉え、こじつけにせよ、それに一つの解釈を与えようとしたキルヒャーの精神は、実証主義にこりかたまって面白さを欠如した今日のシノロジーに、時空を超えた力を投げかけている。――
中野美代子

――キルヒャーに関心を持ってからというもの、十七世紀の科学書、博物学書に、また新しい魅力を感じるようになった。彼の書物は、第一に「ビジュアルの勝利」として世界を驚愕させたのだった。――
荒俣宏」



カバー裏そで文:

「アタナシウス・キルヒャー――Athanasius Kircher [1602-80]
フルダの近くで生まれたイエズス会士アタナシウス・キルヒャーは、万象に首を突っこんだ奇人であり、珍奇なものの蒐集家であり、「驚異博物館」の所有者であり、そして韜晦趣味のある一級の学者であった。彼の厖大な著作は古代エジプトとその言語、その象形文字、エジプト起源の文明を有するという支那、磁気学と磁石、音楽、天上界・地下界、光と影、暗号の秘密などに及んでいた。それは純粋科学とオカルト学、正しい判断力と非常識、百科全書的構成と奇事異聞との混淆であった。彼の評判を聞いたデカルトは、なんとかして彼と親交を結ぼうとした。――
ユルギス・バルトルシャイティス」



目次:

PART I 失われた知識の探求
 第一章 遅れてきたルネサンス人
  科学と神学の断層
  想像力の復活
  『忘我の旅』と『大いなる知識の術』
 第二章 綺想者の生涯
  奇蹟の時代
  ローマへの道
  冒険、研究、そして信仰
 第三章 古代神学と比較宗教
  偶像崇拝の起源
  シンボルの体系
  異端への密やかな憧憬
  キルヒャーからライプニッツへ

PART II 万物遊覧 
 第一章 ノアの方舟――空想動物と分類学のこころみ
 第二章 バベルの塔――巨大建築と言語の史学
 第三章 ラティウム――ラテン民族の原風景を訪ねて
 第四章 中国――中国文明エジプト起源説
 第五章 エジプトのオイディプス――神聖文字の解読と秘教の系譜
 第六章 音楽――自動演奏機とコンピュータの初歩
 第七章 普遍的魔術師――宇宙の磁石としての神
 第八章 地下世界――火成論、自然発生説、反錬金術

PART III アタナシウス・キルヒャー頌
 第一章 略伝と驚異博物館 (澁澤龍彦)
  デカルトが気にした男
  祭壇の下の心臓
  博物館の行方
 第二章 『シナ図説』の想像力 (中野美代子)
  大秦景教流行中国碑
  漢字と菩薩
  海馬の謎をめぐって
  飛翔する亀
 第三章 三人のキルヒャリアン――キルヒャー自然学の継承 (荒俣宏)
  視覚の勝利――ガスパール・ショットの場合
  珍奇の学――ガスパール・ショットの場合
  自然発生――フィリッポ・ブオナンニの場合
  音と真空――ガスパロ・ベルティの場合

資料: アタナシウス・キルヒャーをめぐる参考文献一覧 (ジョスリン・ゴドウィン 編)

訳者あとがき (川島昭夫)




◆本書より◆


「キルヒャーの時代の科学は、なかば魔術的なものをとどめていた。「神意」がいかにはたらくかを見ぬくことだけが科学の目的であったのだ。キルヒャーを駆りたてたのはこのような壮図であったし、それはキルヒャーの同時代を生きたケプラーからニュートンにいたるまでの科学者たちに、ひとしく共通する到達目標であった。」
「キルヒャーの関心と研究の投網は、とほうもない広がりを示す主題群を覆った。この人物をひとつのカテゴリーにおしこめるのは不可能である。初期バロック時代の音楽にかんする偉大なエンサイクロペディスト? 地質学の父? それとも発生について記述した最初の一人? 貴族や枢機卿たちに供覧するための幻燈や磁石玩具の設計者? エジプトの神聖文字(ヒエログリフ)の解読者? あるいは極東から寄せられる報告の編纂者? 論理体系と記号言語の発案者? 最古の博物館の設立者? キルヒャーはそのすべてであったし、しかもそれらがかれのすべてというわけでもない。レオナルド・ダ・ヴィンチ以後、これほど広範な分野に通暁した人物はいない。だが、レオナルドの時代がイタリア・ルネサンスの盛時であったのにひきかえ、キルヒャーはその生存中に、ルネサンスのエンサイクロペディズムが近代的な特殊専門化に屈して道を譲るのを見ることになった。伝統的な思考の基盤が、自然科学による攻撃の砲火を浴びていたのである。
 キルヒャーの登場は遅きに――もしくは早きに――失したようだ。というのはその全体論的(ホリスティック)な世界観ゆえに、科学の世界から忌避されるのが時代の趨勢であったからである。キルヒャーにはただひとつの画期的発見もない。そのような発見こそケプラーやロバート・ボイル、そしてニュートンの名声を揺ぎないものにしたし、その発見ゆえに現代の学問の世界は、ケプラーが宇宙の和声に関心を示し、ボイルとニュートンが錬金術に本気で関心を抱いていても、それを不問に付しているのである。ところがキルヒャーは、のちに俗信とみなされることになるかずかずのものを、時代遅れにも信じているという理由で誹毀されてきたのだ。」



キルヒャーの世界図鑑 02


「方舟内部の配置 正典どおりに三層構造になっており、各階は中央の廊下で区分されている。上層には鳥類が積まれ、人間用の船室がある。中層は食糧その他の物資貯蔵庫にあてられている。四足獣は下層に収容された。」


キルヒャーの世界図鑑 03


「波羅密樹 “波羅密”はクワ科の植物“パンのき”の一種。インド無花果。果実は食用とされる。」
「パパイヤの樹 漢字では“反椰樹”と表記されている。」



キルヒャーの世界図鑑 04


「機械じかけのオルガン」
「水力で回転する円筒がミニアチュアのオルガンを奏し、自動人形の動きと声をおこさせる。」



キルヒャーの世界図鑑 05


「地下水流 海水は風の作用によって、地表下につづく水路に流れ落ち、高山地帯の地下にある貯水池を満たす。水はそこから地上の泉・川・湖に湧出し、最後には海へ還流するのである。」




こちらもご参照下さい:

荒俣宏 編著  『Fantastic Dozen  第10巻  バロック科学の驚異』
R・ウィトカウアー 『アレゴリーとシンボル ― 図像の東西交渉史』 大野芳材・西野嘉章 訳
J・バルトルシャイティス 『幻想の中世 ― ゴシック美術における古代と異国趣味』 西野嘉章訳 (平凡社ライブラリー)















































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将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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