「アール・ヴィヴァン」 28号 特集: レーモン・ルーセル

「アール・ヴィヴァン」 28号
特集: レーモン・ルーセル

Art Vivant : Special Report - Raymond Roussel

西武美術館 
昭和63年3月25日
95p 
25.7×18.3cm 並装 
定価1,200円
表紙デザイン: 田中一光
本文レイアウト: 東幸見



図版多数。


ルーセル アールヴィヴァン 01


表紙文:

「レーモン・ルーセルは大胆な言語実験を推しすすめて、枠組みと仕組みという方法を提出した。自らの方法を徹底することによって、自身を閉ざされた場所(ロクス・ソルス)に追い込んだすえに、比類のない空想譚を、冒険と科学と哲学とが渾然となったドラマを紡ぎ出した。ブルトンはルーセルを「最大の催眠術師」に譬えたが、その術に意識の最深部を捉えられた者たちこそが、20世紀芸術の最良の部分を享受しているといえるだろう。ルーセルは自身の作品の方法を発見したばかりでなく、今世紀芸術を通底する方法を発見してしまったのだ。」


ルーセル アールヴィヴァン 02


目次:

レーモン・ルーセルをめぐって――A-M. アミヨ、J-L. ムーニエとの対話 (ミシェル・ビュトール/訳: 岩崎力)
アントワーヌ座『アフリカの印象』――レーモン・ルーセル氏の四幕とプロローグ付きの戯曲 (「テアトル」誌1912年6月1日号より/訳: 利光哲夫)
分身とその演劇 (ローラン・ジェニイ/訳: 利光哲夫)
デュシャン賛歌、あるいは不可視の原動機論 (エリアヌ・フォルマンテリ/訳: 岩佐鉄男・松田嘉子)
ダリとアルルカン (ジョルジュ・ライヤール/訳: 北山研二)
はがれたページ (アラン・ロブ=グリエ/訳: 北山研二)
ルーセルを読む機械 (北山研二)
レーモン・ルーセルの死 (エリザベト・ルディネスコ/訳: 川竹英克)


ルーセル アールヴィヴァン 03



◆本書より◆


ミシェル・ビュトール「レーモン・ルーセルをめぐって」より:

「偉大な作家の生涯と作品を、人が精神医学的な規準にもとづいて解釈するたびに、私は反対したくなる。その点についてはボードレールの言ったことが正しいのです。とはいえ、ある種のケースではある瞬間に、現実との距離あるいはある個人と彼をとりまく社会との緊張関係が、実際に爆発をひき起こし、モーパッサン、ヘルダーリン、アルトーなどの場合にみられるように、とにもかくにも個性の一部の破壊にいたるのは事実です。しかしたとえ個性の一部がある期間破壊されていたとしても、彼が非常に強靭な理性であり続けることを妨げるわけではない。彼の周囲全体のそれよりもはるかに強靭な理性であるかもしれないのです。したがって、ルーセルの作品を病理学的図式の一例としてみるような解釈はすべて、つねに不十分なのです。
言うまでもなくルーセルの作品には繰返しのテーマがあり、しかもそれが偏在しています――明らかにそれは強迫観念です。しかしそれは完全に受け容れられた強迫観念であり、この強迫観念は彼の幸福にほかならない。しかも彼が私たちに分かち与えたいと思っている幸福なのです。
 作品を括弧に入れてルーセルの生涯と人柄を研究するというのであれば、精神病院に閉じこめられている人々に見出されるのとほぼ同一の図式が彼の生涯にも見出されることは、もちろん明示できます。それは全く明らかなことです。ただそれはルーセルに限ったことではないので、私たちのなかの誰にでもありうることです。違うのは、私たちが精神病院の外で生活するのに成功しているということ。しかも私たちのなかのあるものが精神病院に閉じこめられずにすんでいるのは、作品のおかげなのです。」

「作家はつねに危険に晒されているものですが、彼にとってその主張は城砦なのです。いくつか際立った資質を備えているのはもちろんです。そうでなければ困難な状況から抜け出すことはできないのですから。しかし彼はまたある種のもろさというか、ある種のことがらにたいする恐ろしいまでの感受性も備えています。ですから、痛みをすこしでもやわらげるために、一種の巨大な城砦を築かざるをえないのです。」



ルーセル アールヴィヴァン 04



















































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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