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小松和彦 『悪霊論 ― 異界からのメッセージ』

小松和彦 
『悪霊論
― 異界からの
メッセージ』



青土社 
1989年10月20日 第1刷発行
1992年6月15日 第3刷発行
269p 初出一覧1p  
四六判 丸背紙装上製本 カバー 
定価1,700円(本体1,650円)
装幀: 篠田昌三+土橋公政



本書「あとがき」より:

「この本は、四年前に出版した論文集『異人論』以降に書いた論文やエッセイのうち、なんらかの形で『異人論』の続稿としての性格をもっていると思われるものを選び出し、若干の加筆・修正等を行なって一冊にまとめたものである。」
「この間、私がもっとも力を注いできたのは、悪霊が人びとに祟りをなし、人に憑いて「なぜ祟るのか、なぜ憑いたのか」を自ら語るという憑霊現象についての考察であった。この問題は、「異人殺し」伝説の分析の過程で発見された。というのは、「異人殺し」伝説もまた、その生成の現場に赴いてみると、殺された異人の怨霊つまり悪霊の託宣という憑霊現象が存在していたからである。
ここで、私は「異人殺し」をめぐるフォークロアの考察をしばらく脇に置き、その分析から立ち現われてきた「悪霊」一般へ、もう少し具体的にいうと、「悪霊憑き」および「悪霊祓いの儀礼」とそこに立ち現われてくる「悪霊が自ら語る物語」へと、考察の重心を移動させることにしたのであった。つまり、悪霊たちが語る託宣=語りに、耳を澄ませてみようと考えたわけである。」



本文中図版(モノクロ)9点、図4点。
カバー中央の四角い部分はエンボス加工されています。帯は金色。見返し及び扉ページは銀紙。



小松和彦 悪霊論



帯文:

「異人と妖怪の民俗学
怨霊・悪霊そして鬼や天狗など、異形のものが跋扈する時こそ社会は乱れ秩序は危機に瀕する。錯乱するコスモロジーの蘇生をはかるために、悪霊祓いの儀礼はいかに催されるのか。モノ憑き・怨霊譚の深奥に分け入り、日本人固有の精神構造を解明する画期的視座。」



目次 (初出):

Ⅰ 異人の歴史学
異人殺し伝説の生成――民俗社会の歴史創造 (『日本民俗の伝統と創造』 弘文堂 1988年)
 はじめに
 伝説の概要
 人類学的歴史の生成
 「六部の鉦」事件の分析
 シャーマンの役割
異人殺し伝説の歴史と意味――歴史社会の民俗創造 (『日本伝説大系』 別巻I みずうみ書房 1989年)
 巨視的立場からのアプローチ
 「異人殺し」伝説の生成
 なぜ異人が殺されたのか
 異人の聖性の衰退と「異人殺し」
 御霊信仰の変質
 村落共同体の変質と「異人殺し」の発生
 「異人殺し」は「貨幣殺し」である
 変貌するフォークロア
 解体する村落共同体

Ⅱ 支配の始源学
村はちぶをめぐるフォークロア――排除の民俗の事例として (原題 「村はちぶ」/『日本民俗研究大系』 第8巻 国学院大学 1987年)
 「村はちぶ」の定義
 「村はちぶ」の実態
 “犯人”排除のシステム
 宇宙論的な秩序の乱れ
 社会的秩序の乱れ
 「排除の民俗学」に向けて
支配者と御霊信仰――天皇制との関係をめぐって (原題 「天皇と御霊信仰」/『天皇制の原像』 「現代のエスプリ」 別冊 1986年11月)
 御霊信仰の本質
 民俗社会のなかの「御霊」
 平安初期の御霊会
 政治権力者と御霊信仰
 御霊信仰と近代天皇制
天皇制以前あるいは支配者の原像――民俗における「天皇」問題 (『叢論日本天皇制』 第III巻 柘植書房 1988年)
 はじめに
 民俗文化のなかの「天皇」
 家族国家観成立の民俗的基盤
 天皇=現人神信仰の民俗的基盤
 「日和見」としての村の支配者
 「王殺し」からの照射
 天皇制以前から天皇制へ

Ⅲ 妖怪の伝承学
雨風吹きしほり、雷鳴りはためき……――妖怪出現の音 (「is」 第35号 1987年)
 民俗のなかの妖怪
 『稲生物怪録』にみる怪音
 雷雨と妖怪
 鬼の芸能――「乱声」と「つけ」
鬼の太鼓――雷神・竜神・翁のイメージから探る (「たいころじい」 第1号 1988年)
 昔話のなかの雷神のイメージ
 中世説話のなかの雷神のイメージ
 雷神と雨乞い
 鼓・笛の起源
 雨乞面の翁・猿楽の翁・大黒舞
鬼を打つ――節分の鬼をめぐって (原題 「節分の鬼」/『仏教行事歳時記・節分』 第一法規 1988年)
 「年かえ」の晩
 鬼と福の神と祖霊
 「鬼の子小綱」と鬼払い
江戸の稲荷と狐――江戸市民のトリックスター (「朝日ジャーナル」 1987年12月11日号)
 江戸の稲荷信仰ブーム
 「狐火」と「狐の嫁入り」
 狐憑きと祈祷師

Ⅳ 悪霊の人類学
悪霊憑きから悪霊物語へ――憑霊信仰の一側面 (「待兼山論叢」(日本学篇) 第22号 大阪大学文学会 1988年)
 はじめに
 託宣が伝説を創る
 悪霊憑きと悪霊祓い
 狐霊祓いの儀礼
 悪霊が語る物語
 今後の課題
悪霊祓いの儀礼、悪霊の物語――憑霊信仰の一断面 (『密儀と修行』 「仏教と日本人」 第三巻 春秋社 1989年)
 悪霊と憑霊
 江戸の悪霊憑き
 悪霊祓い儀礼のなかの悪霊物語
 密教の悪霊祓いシステム
 天狗と護法童子
 悪霊退治の物語
 悪霊語りと物語絵

あとがき
初出一覧




◆本書より◆


「異人殺し伝説の生成」より:

「「異人殺し」伝承における「異人」とは、村落共同体の外部からその共同体を訪れる旅人のことで、六部(回国聖六十六部)、山伏、高野聖、巫女、遍路(四国八十八か所巡礼)、西国や坂東などの観音の聖地を訪れる巡礼、などの遊行の宗教者であることが多い。こうした宗教者が、訪れたさきの村落で金品強奪の目的のため殺害されるというモティーフをもった伝承が、ここでいう「異人殺し」伝承である。」

「シャーマンの役割は、人類学者にとってまことに魅力に満ちた役割である。彼は「情報」あるいは出来事の意味の解読者であり、解読された「情報」つまり「物語」の語り手である。その物語が村びとには“歴史”となるのである。したがって、シャーマンは村びとの“歴史”の創り手でもあるわけである。人類学者は、運がよければ調査地においてそうした“歴史”の生成の場に立ち会うこともできる。」
「しかしまた、シャーマンは恐ろしい存在でもある。シャーマンの託宣によって「異人殺し」事件がでっち上げられ、その事件を介して村内に“殺人者”の家もでっち上げられてしまうからである。そしてその家はシャーマンの語り出した“殺人”の罪のために、私たちからみればまさにいわれなき差別や排除を受けて苦しめられることにもなったのである。
もちろん責められるべきはシャーマンだけではない。無意識のうちにであれシャーマンにそのような託宣を要求していた当時の多くの村びとたちこそ実は責められるべきなのである。」






















































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◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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