山宮允 訳 『イエイツ詩抄』 (岩波文庫)

「長き斑(まだら)の草葉の中をあゆみて、
この世のかぎり摘まなむ、
月の銀の林檎を、
陽(ひ)の金の林檎を。」

(イエイツ 「さすらひのインガスが歌」 より)


山宮允 訳 
『イエイツ詩抄』
 
岩波文庫 赤 32-251-1

岩波書店 
1946年11月10日 第1刷発行
1988年10月6日 第2刷発行
166p 
文庫判 並装 
定価350円



本書「あとがき」より:

「イエイツの抒情小詩五十二篇の邦訳に小註とイエイツに関する文章二篇を添へて本書を編んだ。」


イエイツ詩抄


目次:

『やちまた』 より
 牧人懐古
 牧人哀歌
 被衣(かつぎ)と小舟と靴と
 神の歌
 木の葉の秋
 蜉蝣(かげろふ)
 スルース・ウードの岩の山
 みづうみの島に
 古謡再誦
 漁夫(れふし)のおもひ
『薔薇(うばら)の巻』 より
 此世の薔薇(うばら)
 平和の薔薇(うばら)
 妖精の歌
 イニスフリイの湖島
 戀の悲哀(あはれ)
 君年老いて
 白き鳥
 雙樹
 夢
『蘆間の風』 より
 群れ飛ぶ妖精(シイ)
 久遠の美音(よきね)
 こころ
 心の薔薇(うばら)
 魚
 黄昏(たそがれ)に
 さすらひのインガスが歌
 老母の歌
 女ごころ
 戀人のなげき
 柄杓鴫にかこつ
 忘られし美を憶ふ
 詩人より戀人に
 戀人に詩をささぐ
 心に寄せて、恐るる勿れといふ
 風の音
 舊友
 もしわれに
 ドウニの胡弓ひき
『七つの森』 より
 我聞きぬ
 長くな戀ひそ
『緑の兜そのほか』 より
 酒の歌
 時と偕に智慧はきたる
 ある詩人に寄せて
『責任』 より
 上衣
『クール湖上の白鳥』 より
 クール湖上の白鳥
 人は年と偕に進む
 學者達
 少女に
『塔(あららぎ)』 より
 輪廻(りんね)
 昔と今
『廻梯(まはりはしご)そのほか』 より
 死
 十九世紀及びそののち
小註

附録
 イエイツ評傳
 詩人イエイツに見ゆるの記
小註

あとがき




◆本書より◆


「イニスフリイの湖島」:

「いざ立ち行かむ、行かむイニスフリイに、
粘土(つち)と簀垣(すがき)の小(ち)さき庵(いほり)をそこに結ばむ。
そこに九畝(こゝのうね)豌豆(まめ)をうゑ、一凾の蜜蜂(はち)を飼ひ
たゞひとり棲(すま)はむ蜜蜂(はち)うなる林間(このま)に。

かくて我そこにそこばくの靖和(やすらぎ)を得む、すなはち靖和は静に雫し、
雫して落つ朝霧の罩(こ)むるほとりゆ蟋蟀の歌ふあたりへ、
そこは夜半(さよなか)微光(うすあかり)匂ひおぼめき、晝は赤光(しやくくわう)耀きわたり、
さてまた夕(ゆうべ)は紅雀(べにすずめ)あまた翔(と)びかふ。

いざ立ち行かむ、夜も日も別(わ)かずをやみなく
我は聞く湖の水ひたひたと岸打つ低き音、
道の央(まなか)に立つ時も、また灰色の舗石(しきいし)の上に立つ時も
我は聞くそをば心の奥ふかく。」



「我聞きぬ」:

「我聞きぬ老人達(としよりたち)の云ふことを、
『ものみな變(かは)り、
追ひ追ひに我等は死にゆく。』
彼等には鍵爪(つめ)なす手あり、かつその膝は
水際(みぎは)なる
荊(いばら)の如く縒(よ)れてありき。
我聞きぬ老人達の云ふことを、
『美しきものはみな水の如くに
流れ去る。』」


















































































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ひとでなしの猫

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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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