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ルドルフ・ベルヌーリ/種村季弘 訳論 『錬金術とタロット』 (河出文庫)

「愚者は参加しない。おのれの周りをめぐるきらめく回転木馬を無関心にながめやる。彼は中心に、車輪の轂(こしき)に、回転のさなかにも静止していることができる地点に微動だにせずとどまるのである。彼は世俗の栄誉をことごとく放棄している。」
(ルドルフ・ベルヌーリ 「タロット体系の象徴」 より)

「愚者は地上を通過の場としか見ない。(中略)彼は断じてこの地上を定住すべき土地とは考えない。(中略)世界の終末の後に愚者はそのかりそめの卑賤な姿をかなぐり捨てて、彼岸の王子の光輝燦然たる素顔をはじめて明かすのだ。」
(種村季弘 「愚者の旅」 より)


ルドルフ・ベルヌーリ
『錬金術とタロット』
種村季弘 訳論
  
河出文庫 へ 2-1

河出書房新社 1992年5月25日初版印刷/同年6月4日発行
230p 口絵(カラー)8p
文庫判 並装 カバー 定価540円(本体524円)
デザイン: 粟津潔
カバーデザイン: BISE



本書「あとがき」より:

「本書は、ルドルフ・ベルヌーリの錬金術(第I、II章)および数の魔術(第III、IV章)に関する二論文の翻訳と、これとの密接な関連を念頭に置いた種村(第V章)のエッセイからなっている。このうち翻訳に際して参照したのは次のテクストである。
Rudolf Bernoulli : Seelische Entwickelung im Spiegel der Alchemie. (「錬金術の鏡に照らした魂の発展」)
Rudolf Bernoulli : Zur Symbolik geometrischer Figuren und Zahlen. (「幾何学的形像ならびに数の象徴表現のために」)
両テクストともに、C・G・ユングの主催する「エラノス会議」の年報「エラノス年報」の、前者は一九三五年次号(「東西を結ぶ魂の導き」)、後者は一九三四年次号(「東西の象徴表現の導き」)に掲載された。」
「本書の原形は、一九七二年に青土社から『錬金術――タロットと愚者の旅』のタイトルのもとに刊行された。文庫化に際してとりわけ第1章、第II章を全面的に改訳し、また邦訳表題を『錬金術とタロット』と改題した。なお第V章の種村のエッセイ「愚者の旅」は、のちに単行本『薔薇十字の魔法』に採録したことをお断りしておく。」


本文中図版多数。


錬金術とタロット1


帯文:

「魔術的思考の復原
錬金術の体系と原=書物としてのタロットの謎を残された図像から解読する!!」



カバー裏文:

「C・G・ユング主宰の『エラノス年報』に発表された錬金術とタロットに関するルドルフ・ベルヌーリの声名高い二論文に編者種村季弘の関連エッセイを付したオカルティズム論集。
錬金術とタロットの豊富な図像を読み解きながら、錬金思想の体系を解明。また一方で密接な関係のあったタロットの忘れさられた世界を考察し、原=書物としての原像を再生する。」



錬金術とタロット2


目次:

第I章 錬金術の基本要素
第II章 図像表現における錬金術の体系
第III章 幾何学図形と数の象徴学のために
第IV章 タロット体系の象徴
第V章 愚者の旅 (種村季弘)

あとがき (種村季弘)



錬金術とタロット3



◆本書より◆


ベルヌーリ「タロット体系の象徴」より:

「0
愚者、無、零(ゼロ)、円。しかもいずくんぞ知らん、愚者が背負っている頭陀袋にはこれまで明示され獲得されたすべてのものが包含されているのだ。究極の叡智、究極の充溢とこのうえなく哀れな真二つに引き裂かれた象徴! かくて愚者は円、おのれみずからのうちへと立ち帰ってゆく空虚な線であるが、同時に円の内容である付属のダイアグラムにヘブライ文字アルファベットの順に配列されている二十二のタロットの象徴すべてでもある。
この愚者をタロットの幾何学図形で表わす方法がもうひとつある。すなわち、壮大な円をなしつつ1から21までの数が絡みあって円陣を象(かたど)っている図形である。たえまなく次つぎに他の数に変身する運動のなかで、これらの数は進歩と発展の予兆となる。世界現象。千紫万紅の火花を発する循環! 愚者は参加しない。おのれの周りをめぐるきらめく回転木馬を無関心にながめやる。彼は中心に、車輪の轂(こしき)に、回転のさなかにも静止していることができる地点に微動だにせずとどまるのである。彼は世俗の栄誉をことごとく放棄している。人びとは王冠やありとある知恵の宝を誇示するがよい。彼はそんなものには関心がない。彼は愚かな獣が自分の着古したズボンを引き裂いていることにすら気がつかない。彼は貧しく、裸に近い風体である。それでいてもはやなにものをも望まない。おそらく彼はもはや世界現象の舞踏をあきるほど味わいつくしてしまったのだ。もはやこのような糧を求めることはない。彼は回転と変身を解脱しているのだ。彼は果敢に激浪に身を投じ、その浪は古くからなじんでいたもの、あの故郷と家族のもとに親しげに庇護されていた状態から彼を引き離したのである。彼は故郷を喪失し、智者たちの嘲笑の的となり、彼を愛した人びとの悲痛の種となったのである。かくて彼は寄る辺なく、頼る人とてもなく孤独の身であった。そしていま彼は、他人ならば誘惑されかねないすべてのものからひとしく距離をおいている。タロットでは彼はその名も「車輪の穴」という。別の言い方では、「彼は彼岸の故郷に帰った」ともいう。」



種村季弘「愚者の旅」より:

「愚者もまたかつては「彼岸の王子」であった。
 「彼はこの世を旅しつつある彼岸の王子である――朝の輝きのさなか、身を切るような清爽な大気のなかで。」(A・E・ウェイト)
愚者は地上を通過の場としか見ない。(中略)彼は断じてこの地上を定住すべき土地とは考えない。これが愚者(0)の位置をカード・ナンバーのどこに置くべきかをめぐって起ったタロット研究家たちの論争の原因である。アーサー・エドワード・ウェイトは、0を20と21の間に置いた。すなわち最後の審判(20)とその後につづく至福千年王国である世界(21)との間に。一方、エリファス・レヴィとアレイスター・クロウリーは0を21の後に置くべきであると主張する。すなわち世界の終末の後に愚者はそのかりそめの卑賤な姿をかなぐり捨てて、彼岸の王子の光輝燦然たる素顔をはじめて明かすのだ。私には疑いもなく後者の説が正しいように思われる。のみならずこの貴種流離譚は美しい。」



錬金術とタロット4


こちらもご参照下さい:
西脇順三郎 『壤歌』


The Beatles - Fool on the Hill




"Day after day, alone on the hill
The man with the foolish grin is keeping perfectly still
But nobody wants to know him
They can see that he's just a fool
And he never gives an answer

But the fool on the hill
Sees the sun going down
And the eyes in his head
See the world spinning around

Well on the way, head in a cloud
The man of a thousand voices talking perfectly loud
But nobody ever hears him
Or the sound he appears to make
And he never seems to notice

But the fool on the hill
Sees the sun going down
And the eyes in his head
See the world spinning around

And nobody seems to like him
They can tell what he wants to do
And he never shows his feelings

But the fool on the hill
Sees the sun going down
And the eyes in his head
See the world spinning around

He never listens to them
He knows that they're the fools
They don't like him

The fool on the hill
Sees the sun going down
And the eyes in his head
See the world spinning around"








































































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Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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