『定本 西脇順三郎全集 IV 詩集 4 (訳詩集)』 

『定本 西脇順三郎全集 IV 詩集 4 (訳詩集)』 
ヂオイス詩集 
エリオット 荒地・四つの四重奏曲
シェイクスピア ソネット詩集・詩篇
マラルメ詩集
ロレンス 詩篇・イタリアの薄明
その他の訳詩

筑摩書房 1994年3月20日初版第1刷発行
xii 509p 口絵i
A5判 丸背紙装上製本 貼函
定価8,200円(本体7,961円)

月報: 
1971年7月初掲/1994年3月再録 8p
Une montre sentimentale (窪田般彌)/麦畑と雲の通過(高橋新吉)/お礼(石垣りん)/“Ambarvalia”の想出(山本太郎)/図版3点(1940年 長男順一君と/1967年 ロンドンにて/1970年 大磯にて)



本書「後記」より:

「『荒地』は昭和二七年、創元社版『荒地』以来、訳文の改訳、改訂を重ねているため、本巻では新潮社版『エリオット詩集』をもって定訳本と見做し、これによった。」
「旧漢字表記はすべて新漢字表記に改めた。ただし仮名は旧表記に従った。」


本文二段組。
ロレンス「イタリアの薄明」は紀行文の抄訳(冒頭の二章)です。


西脇順三郎全集4-1


目次:

訳詩集

◆ヂォイス
ヂオイス詩集 (昭和8年 第一書房)
 室内楽
 一個一片(ペンス)の林檎
  土
  サンサバで針舟をながめて
  我が娘に与へられた花
  ラアフーンに泣く女
  粉砕されて
  フオンターナの海岸に立ちて
  薬草
  海潮
  夜景
  孤独で
  真夜中に鏡に映る旅役者の記憶
  バーンホフシュトラーセ
  一祈祷
  この少年を見よ (補遺)
 アナ・リヴィア抄

◆エリオット (世界詩人全集16 『エリオット詩集』 昭和43年 新潮社)
荒地
 I 埋葬
 II 将棋
 III 火の説教
 IV 水死
 V 雷神の言葉
 原註
 訳註
四つの四重奏曲
 バーント・ノートン
 イースト・コウカー
 ザ・ドライ・サルヴェイジィズ
 リトル・ギディング

◆シェイクスピア (『シェイクスピア全集』 8 昭和42年 筑摩書房)
ソネット詩集
詩篇
 愛人の嘆
 悲しむ巡礼者
 雑曲ソネット歌
 不死鳥と山鳩
 挽歌

◆マラルメ (世界詩人全集10 『マラルメ・ヴァレリー詩集』 昭和44年 新潮社)
詩集
 乾杯の辞
 初期の詩
  不運
  幻
  無駄な請願
  罰せられた道化役者
 『パルナス・サティリク』から
  黒人女
 『現代パルナス』から
  窓
  花
  復活
  苦悩
  あの苦い休息に厭き……
  鐘撞き人
  夏の悲しみ
  蒼天
  海の微風
  溜息
  施物
  詩の贈物
 他の詩篇
  エロディヤード
  牧神の午後――牧歌――
  髪
  聖女
  葬礼の乾杯
  讃美歌 (プローズ)
  扇
  他の扇
  扇
 アルバムの数葉
  アルバムの一葉
  ベルギーの友人達の思い出
  ソネット 「夫人よ……」
  ソネット 「おお遠くから親しい……」
  ロンデル
 俗謡
  I 靴直し
  II 芳香草を売る女
  III 道路工夫
  IV にんにくとねぎの商人
  V 労働者の細君
  VI ガラス工
  VII 刊行物の売り子
  VIII 古着屋の女
 ホイスラーへの手紙
 小曲
 小曲 (好戦的な)
 数篇のソネット
  I
  II
  III
  IV
 礼讃と墳墓
  ソネット
  エドガー・ポウの碑
  シャルル・ボオドレールの碑
  碑
  礼讃
  礼讃
  「旅人の唯一の関心に対して……」
  すべて要約された精神は……
 他の詩とソネット
  I
  II
  III
  どんな絹の……
  君の話の中へ……
  パフォスという名に……

◆ロレンス (世界文学全集 2 『D・H・ロレンス』 昭和40年 集英社)
詩篇
 最後の時間
 週日の夜の祈祷
 町からの手紙・三月の灰色の朝
 町からの手紙・アメンドウの木
 疲れきって
 幼年時代の不調和
 もう一つ別な帰郷の休暇の終り
 裸足でかける赤ん坊
 注意
 コロー
 オペラの後
 朝の仕事
 午後の最後の授業
 冬物語
 悲しみ
 きんぎょ草
 火明かりと薄明
 弔いの鐘
 ピアノ
 バルコニー
 伊太利の日曜の午後
 麦刈りの青年
 萬霊節
 めがさめると
 平和
 「ヒビスカスとサルビアの花」から
 蚊
 こうもり
 蛇
 かめのこ
 蜂鳥 (ハミング・バード)
 青かけす
 カンガルー
 サーカスの象
 生活
 人間が作ったもの
 人間になりましょう
 泡だつ波
 多くの大邸宅
 貧困
 話
 楽観主義者
 とかげ
 アルゴ船一行の英雄たち
 海はつれないという
 ババリアの竜胆(リンドウ)
 親友
 神秘
 死の舟
イタリアの薄明
 山越えのキリスト磔像
 ガルダ湖畔
  紡ぐ人と修道僧
  レモン園

◆訳詩
 ホテル広告 (シエラド・ヴァインズ)
 港のスケッチ (エドマンド・ブランデン)
 ションの囚人 (バイロン)
 無風流なお礼の言葉をいう短い詩二つ (スティーヴン・スペンダー)
 日曜の朝 (ウォレス・スティーヴンズ)
 山 (リルケ)
 カントー I (エズラ・パウンド)
 白 (マックス・ジャコブ)
 偽態 (マックス・ジャコブ)
 青春の療養 (抜粋) (ポオル・モオラン)

後記 (鍵谷幸信・新倉俊一)



西脇順三郎全集4-2

口絵 (1924年)。



◆本書より◆


エリオット『荒地』より:

「四月は残酷極まる月だ
リラの花を死んだ土から生み出し
追憶に欲情をかきまぜたり
春の雨で鈍重な草根をふるい起すのだ。
冬は人を温かくかくまってくれた。
地面を雪で忘却の中に被い
ひからびた球根で短い生命を養い。」

「河のテントはこわれた。指のような最後の葉っぱは
互いにからみあって濡れた土手に沈み、風は
音もなく鳶色の野原をすぎる。あの妖女たちも去ってしまった。
美しのテムズよ、静かに流れよ、わが歌の尽くるまで。」

「空虚の都市
冬の正午、鳶色の霧の中で
スミルナの商人、不精ひげをはやした
ユーゲニデス氏は、ポケットに一杯
乾葡萄のロンドン渡し運賃保険料込みの一覧払い手形を所持していたが
俗悪のフランス語を使って
キャノン街ホテルのランチに
それからつづいて週末はメトロポール・ホテルへ僕を誘いだした。
すみれ色の時刻」

「フィニキア人のフレバス、死んで二週間
鴎の鳴き声も、また深海のうねりも
商売の損得も忘れてしまった。
                  海底の流れは
ひそひそと死骸をバラバラにした。」

「君達の傍らにもうひとりの人がいつも歩いているがそれは誰だ?」

「数々の塔はさかさに吊られ
ミサの時間を告げる。」



エリオット「バーント・ノートン」より:

「現在と過去の時が
おそらく、ともに未来にも存在するなら
未来は過去の時の中に含まれる。
すべての時が永遠に現存するなら
すべての時はとり返しが出来ない。」



エリオット「イースト・コウカー」より:

「人間の唯一の健康は病気である」

「あの波の叫び、あの風の叫び、
あの海燕のあの海豚(いるか)の広い海原、
私の終りに私の初めがある。」



マラルメ「夏の悲しみ」:

「太陽は砂の上で、おお女の力士よ、
君の髪の黄金の中に恋に悩む水浴を温める
そして君の反撥する頬に香(こう)をたき尽し
愛の飲物に涙を混ぜるのだ

この白く燃える火焔の不変な平静は、
おお私の臆病な接吻よ、君に悲しく言わさせた
「太古の砂漠や幸いなヤシの木の下で
私達が孤独の木乃伊(みいら)にはいつまでもならないだろうよ!」

だが君の髪はなまぬるい一つの水流だ
そこで私達を悩ます心を戦慄もせず
溺れさせ、君にはわからないこの「無」を発見するのだ

私は君の眼瞼(まぶた)が涙でとかした白粉を味わってみよう
それが果して君が殴った心にも
蒼空や岩石の無感覚を与えるかどうかみるために。」



ロレンス「とかげ」:

「とかげが一匹ちょろっと岩の上に
出て来て、上を見あげ確かに
天体の音楽にききいっていた。

それはなんとしゃれた奴だ!
人にとっては正しく顎(あご)をあげて
しっぽをまくことにすぎない。

とかげがとかげであるように
人間が人間であったなら
人間は見る価値があるだろう。」



エズラ・パウンド「カントー」より:

「『エルペーノルよ、どうしてお前はこの暗い
海岸に来たのか。水夫より早く来ているが
歩いて来たのか。』
   そして彼はゆつくり話した――
『不運と多量の酒だ。私はキルケーの炉辺に
睡つた。手すりのない長い梯を降りるとき
落ちて壁にぶつかり首の神経を破壊して
魂は地獄の入口のアヴェルヌス湖へ行つた。
だが王よ、哀悼も埋葬もされない私を忘れ
ないで下さい。私の甲冑を積んで
海辺の墓をつくり、「不運の男で名は
未来に来る」と書き、私が皆といつしよに
漕いだ橈を立てて下さい』
それからアンティクレアが来たが
私はそれを打払つた。」



































































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ひとでなしの猫

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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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