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アンドレ・ブルトン 『狂気の愛』 笹本孝 訳 (新装版)

「La beauté convulsive sera érotique-voilée, explosante-fixe, magique-circonstancielle ou ne sera pas.」
(André Breton)


アンドレ・ブルトン 
『狂気の愛』 
笹本孝 訳

シュルレアリスム文庫

思潮社 
1994年7月1日 新装版第1刷発行
177p 
四六判 丸背紙装上製本 カバー
装幀: 芦澤泰偉



André Breton : L'amour fou, 1938
図版(モノクロ)8点。


ブルトン 狂気の愛 01


目次:

Ⅰ 華麗なレヴューに列をなして登場する男性のダンサー達は
Ⅱ あなたの人生で、もっとも主要な出逅いは何であったか?
Ⅲ 航海者たちが初めて新大陸を望見した瞬間から、新大陸の岸辺に
Ⅳ 包み隠さず言えば、わたしはこの種の飛躍にはためらいを覚える
Ⅴ カナリア諸島最大の島テネリフの高峯テエードの山頂は
Ⅵ 寓話は、美の女神ヴィーナスが、三美神の織りなす衣服をまとっていても
Ⅶ 一九五二年の春、おまえはやっと十六歳になったばかりだろうが

あとがき (笹本孝)



ブルトン 狂気の愛 02



◆本書より◆


「美だけが、世界を押し広げ、世界を部分的にせよ薄暗い森の上に回帰させ、世界のなかに、精神の無限の要求に応じたさまざまの異例な隠れた能力をわれわれに知らしめる。(中略)わたしは内心、舞台の袖で囁かれる会話のように、きわめて無意識裡に感受される知覚こそが、象徴的なものであろうとなかろうと、人間が自分自身に抱えこんでいる何らかの困難を解決するものと確信している。要は迷路のなかを突き進む術を心得ること、それしか解決の糸口はないのだ。妄想的なものの見方がはじまるのは、無用心にも森に迷いこんだ人間が、そうした標識の森のなかでふいに恐怖に襲われるときをおいてない。だが、わたしは、ひとりの人間にとって、彼の欲望が表面的なものに留まっていることに一時的にせよ安住していることよりも、最大限の集中力で手錠をはずしてしまうような生き方に感動するのだ。」

「痙攣的な美は、エロティックであると同時にヴェールに被われ、爆発的であると同時に静止の状態をつづけ、魔術的であると同時に状況的なものであろう。さもなくば、存在しないであろう。」

「今日でもなお、わたしは自分を待命の状態におくこと以外に、期待をよせるものは何ひとつない。またあらゆるものとの出逅いを求めてさまよう渇きの状態以外から期待すべきものなどない。わたしは確信するが、こうした出逅いの状態こそが、わたしに、やはり待命の状態にある他者との神秘的なコミュニケーションを保たせ、あたかも突然の結びつきででもあるかのように、たがいに呼応しあう事態が生じるのだ。わたしの人生は、そのような出逅いを経験したら、待伏人の鼻歌、期待を裏切るための歌のような呟きしか、あとに残さないようにしたい。それは何が起ころうと起こるまいと無関係に、待つことだけが最高に素晴らしいものだからだ。」

「現代的思考の最大のもろさは、わたしには、この先知るべく残されているものに比して、既知のものに対する異常なまでの過大評価にあるように思える。この点で、現代の思考に努力というものに対して徹底した嫌悪を抱く姿勢に従う以外何の方策もないことを納得させるには、何よりもヘーゲルの次の言葉をその証人として呼びよせる以外に有益なものはないだろう。ヘーゲルは言う。《精神は、今なお白日のもとにさらけだされない神秘的なものがオブジェのなかに残されていればいるほど、わずかにオブジェに相対したときに、精神が大きく飛躍したいという生き生きとした欲望にかられ、つねに眼ざめ、状態が保たれるのだ》と。この言葉から、次のように演繹することは可能だろう。すなわち、全的な異様性というものは、明白な確認事項から発せられるかぎり、いかなる口実をもってしても、告発されえぬものである、ということを。」

「《狂気の愛》、この言葉は、おまえの出生の神秘をおまえに解き明かすことのためだけに生まれた。そのためあるいはおまえの期待にそぐわないことがままあるかもしれない。わたしは長い間、子供を作ることを最悪の狂気と考えていたのだ。ともかく、わたしに生命というものを与えた人たちをうらみつづけていた。おまえも、ある時期には、わたしをうらむようになるかも知れないね。」
「わたしの小さな娘、まだわずか八ヶ月で、いつもにこにこ笑い、サンゴと真珠が合わさったように生れついた娘、つまりおまえは、十六歳になったとき、おまえの生誕にはいっさいの偶然がとりのけられていたこと、おまえの生誕は早すぎも遅すぎもせず、まさに産み出さるべきときに産み出されたこと、そうして、おまえの柳のゆりかごの上にはいかなる影も待ちうけていなかったことを、知るようになるだろう。」












































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プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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