窪田般彌 訳 『フランス現代詩29人集』

「私は死ぬまで、そこにじっとしているだろう。」
(アンリ・ミショー 「迷える人間」 より)


窪田般彌 訳 
『フランス現代詩29人集』

Anthologie des vingt-neuf poètes français contemporains

思潮社 
1984年7月1日 増補第1刷
1986年6月1日 第2刷発行
335p 目次12p 
21×14cm 並装 カバー
定価2,400円



本書「あとがき」より:

「訳詩集『フランス現代詩十九人集』を最初に出したのは一九六五年であったが、のちに改訂増補版として『フランス現代詩二十六人集』(一九七六)を刊行した。
このたび、(中略)新たに三人の詩人(ファルグ、サティ、アポリネール)を加え、プレヴェールとクノーを増補して三たびフランス現代詩の訳詩集を世に送ることにした。
番外として、西脇順三郎『Une Montre Sentimentale』から三篇を選んだ。」



フランス現代詩29人集


帯背:

「音楽と思想を包みこむ
美しいポエジイの宇宙」



内容:

ジャック・プレヴェール
 花と花冠
 家族のもの
 恋人よ お前のために
 花束
 庭園
 春の大舞踏会(抄)
ルネ・シャール
 にぎりしめた拳
 森が……であるためには
 笊屋の恋びと
 ピレネー
 A***
 変らぬこころ
 細心な女
 アントナン・アルトー
 きみはよく出かけた、アルチュール・ランボーよ
 アルベルト・ジャコメッティ
 美しい建物と予感
 高麗鶯
 眠りの神の書
 恋をするとかげの哀歌
 雨燕(マルチネ)
 マルト
レイモン・クノー
 詩法のために
 もしも人生去るものならば
 厳かな歌
 もしもお前が思うなら
ジャン・フォラン
 十月の思い
ポール・エリュアール
 花
 魚
 貧しいもの
ロベール・ドラエ
 夜会服をきた夜
クロード・ヴィジェ
 希望の石
マルセル・ベアリュ
 金魚鉢
アラン・ボルヌ
 ぼくには如何なる視線も……
アンリ・ミショー
 海
 犬の生活
 ぼろ屑
 占領
 簡素なこと
 迫害
 眠る
 怠惰
 コンクリートで固められた者
 幸福
 内部の小心者
 慎重な男
 怒り
 迷える人間
 わが領土
 呪い
 さらに変化を
 ベッドにて
 桟橋
 叫ぶ
 病人たちへの助言
 呪われた者
 魔術
 聖者
 病人の気晴らし
 意志の力
 また一人の不幸者が
 射影
 干渉
ジャン・ブルトン
 街のなかで
ピエール・オステル
 第一の詩篇
アンドレ・デュ・ブーシェ
 氷河
ジャック・オーディベルティ
 突風の歌
 シャンソン
 三本マスト
ロベール・デスノス
 サン・マルタン街の唄
 ペリカン
 最後の詩篇
 愛なき夜ごとの夜
イヴ・ボンヌフォワ
 庭園
 いま一つの死の岸辺
 見張をする者
 神明審判
 聖なる女(ヴェネランダ)
 一晩中
 真の名前
アラン・ボスケ
 主人オブジェ
 ジャン・タルディユ
 三段論法
 変形譚
 会話
 ムッシュウ私
フランシス・ポンジュ
 雨
 秋の終り
 蝋燭
 牡蛎
 もやに包まれ樹木は解体する
 季節循環
 かたつむり
トリスタン・ツァラ
 シャンソン・ダダ
 接近
 わが闇の偉大なる嘆きぶし(III)
アンドレ・ブルトン
 麦わらのシルエット
 ひまわり
 いつもはじめて
ジャン・コクトー
 青の神秘
 天使の髪の毛
 海の底の春
 楽しみを味わいすぎると……
 僕は海をながめる
ピエール・ジャン・ジューヴ
 エレーヌ
 一枚の絹に
サン・ジョン・ペルス
 いまは構わないでほしい
 鐘
 三つの大きな季節の上に
 歌
ピエール・ルヴェルディ
 風と精神
 いつもひとりで
 線と形象
 露天のもと
 パリのクリスマス
 厳しい生活
 待っているもの
 眼の前の世界
ジャン・ポール・サルトル
 ブラン=マントー通り
レオン・ポール・ファルグ
 潜水人形
 ブロンズの彫像
エリック・サティ
 三つの恋愛詩
ギヨーム・アポリネール
 僕は思うお前のことを
 お前の眼の
 僕がかなたで戦死したなら
 ある
 とてもいとおしい僕のルウよ
 僕のいとしい心よ
 恋に悩んだ一羽の鶯
 牡丹の花びら
 ルウ 僕の薔薇
 最も魅力的なあの場所に
 やがて八月も
 あめがふる
 刺し殺された鳩と噴水
西脇順三郎
 生誕の日
 旅人
 哀歌

詩人たち
あとがき




◆本書より◆


アラン・ボルヌ
「ぼくには如何なる視線も……」より:

「ぼくには如何なる視線も注がれないことが好ましい
どんな眼もぼくの傷を手当できないのだから。」



アンリ・ミショー
「ぼろ屑」より:

「人はもはや私を世の中に招いてはくれない。」
「私のような人間は、隠者として生きなければならない。その方がいいのだ。」


「迷える人間」より:

「私は死ぬまで、そこにじっとしているだろう。」

「わが領土」より:

「この領土はわが唯一の領土で、私はそこに幼年時代から住んでいる。私はこう言うことができる、これ以上に貧しい領土の持主はまずおるまいと。」

「さらに変化を」より:

「この世には多くの動物、植物、鉱物がある。私はすでに、何回となくそのすべてになった。しかし、経験は私に役立ちはしない。私は三十二回もアンモニウムの水塩化物になったが、いまもなお砒素のように振舞う傾向がある。犬にも何度かなったが、夜鳥の仕草がつねに突入してくる。
私が何かものを見るとき、あの極めて特殊な感情を味わわないことは稀だ……《ああ、そうだ、私はあれだったんだな……》と。私は正確には思い出さないが、感じるのだ。(そんなわけだから、私は絵入りの百科辞典が大好きだ。私はページをめくり、さらにめくる。そして、しばしば満足感を味わう。というのは、そこには私がまだならなかった数多くの存在物の写真があるからだ。それらは私を休ませる。何とも快い。私は呟く。《私はこれにもなれたはずだ。これは、こいつは私をいたわってくれた。》私は慰みの溜息をつく。おお! 休息よ!)」


「聖者」より:

「確かに、私には生きる可能性があったはずだ! だが、あんなところに追いつめられて生きるのは、それこそ耐えられないことだ。」


フランシス・ポンジュ
「かたつむり」より:

「ひとりぽっち。そう、かたつむりは勿論ひとりぽっちである。(中略)だが、かれの幸せには友などは必要でない。かれは自然に、じつにぴったりと貼りついている。全く申し分ないほど、身近に自然を享受している。かれは、己の全身をもって接吻する地面の友であり、葉っぱの友なのだ。また、あんなにも感情的な眼の玉を輝かせ、あんなにも誇らかに昂然と頭をむける、あの大空の友なのだ。気高さ、のろさ、賢こさ、誇り、虚栄、尊大。」
「このように、かれらはすべて、悔いることのない全く主観的なやり方で自己表現をするものたちである。そして、ただ痕跡を残すだけで満足し、あれこれと見積りをした堅固な住居のような自分の表現を、構築したり、形づくったりしようなどと少しも思っていない。自分たちより恒久的な表現のことなどは考えてもいないのだ。
恐らくかれらは、その必要を感じないのだろう。かれは芸術家、つまり芸術作品の製造者――というよりは、むしろ主人公、その存在そのものが芸術作品である生きものなのだ。」
「だが、一体どういうわけで聖者なのか。それは、自分たちの自然にきちんと従っているということに他ならない。だから、先ずお前自身を知れ。そして、あるがままのお前を認めよ。お前の欠点と和合せよ。お前の尺度と釣合いをとれ。」



西脇順三郎
「哀歌」より:

「人間は最も惨めなものである」
































































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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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