高津春繁・関根正雄 『古代文字の解読』

高津春繁・関根正雄 
『古代文字の解読』


岩波書店 1964年10月28日第1刷発行/1998年6月1日第16刷発行
v 302p 索引17p 巻末地図「東地中海近東世界」(折込)1葉
18.2×12.8cm 並装 機械函 定価3,000円



本書「まえがき」より:

「本書において扱ったのは、二人の著者が実際にその知識を持っている言語の文字に限られている。従ってそれは、スメル・アッカド系の楔形文字とエジプト文字の系統のもの、及びミュケーナイとヒッタイトの特殊な文字の解読の歴史だけであるが、(中略)漢字以外の重要な文字はこれで十分に論じられることとなる。
 二人の著者の中、印欧語族を専門とする高津が序論、ヒッタイト文書、ミュケーナイ文書の解読の、セム語族を専門とする関根がスメル・アッカドその他の楔形文字文書とエジプト文字の解読の歴史を受け持った。」


本文中図版(モノクロ)多数。


古代文字の解読1


目次:

まえがき (高津春繁・関根正雄)

第一章 言語と文字 (高津春繁)
第二章 エジプト聖刻文字の解読 (関根正雄)
第三章 楔形文字の解読 (関根正雄)
第四章 ヒッタイト文書の解読 (高津春繁)
第五章 ウガリット文書の解読 (関根正雄)
第六章 ミュケーナイ文書の解読 (高津春繁)

索引
地図



古代文字の解読2



◆本書より◆


「エジプト聖刻文字の解読」より:

「少年シャンポリオンは早くから特別な才幹を示し、古代に対しては異常なまでの興味を示した。書籍商を父に持ち、書物の間で育った彼にはごく小さい時から学習意欲が目覚めていたらしく、五歳になるかならないうちに全く独力で読み書きを覚えてしまった、という。」
「学校では退屈して、多くの教師にとっては「いやな生徒」 élève détestable だった、といわれている。(中略)彼の才能はかなり片よったもので、算数の出来が非常に悪く、わけても暗算は一番の苦手であった。この弱点は生涯彼につきまとった。学校教育がうまくゆかないので、両親は彼を退学させ、僧侶の手に託したが、一八〇一年には、(中略)グルノーブルに移っていた兄の所に連れていかれた。この兄(中略)は自分より秀れている弟の特別な才能に期待をかけ、その生涯を自分のためよりも、弟のために生きた、といってもよい程である。」
「一八〇四年ナポレオンがグルノーブルに軍事教育をかねた寄宿舎つきの学校をつくり、シャンポリオンもそれに入れられたことは、彼にとって大打撃であった。彼はその初志を貫徹するために山程したいことをかかえていた。コプト語と古代エジプト語の比較対照がドゥ・ギーニュらによって公表されていることを知ったシャンポリオンは聖刻文字の解読のためにぜひコプト語を研究しなければならない、と考えるようになった。同時にアラビア語の勉強にも力を入れる必要を感じていた。しかし自分のなすべき勉強を充分になす時間は彼には与えられておらず、学課はきちんとしたプランによって行われ、生徒の行動はいちいち監督されていた。シャンポリオンは時折深い絶望を感じ、この「監獄」――兄への手紙の中でシャンポリオンは学校を監獄とよんでいる――からの脱獄を考えることもあった。」



「ヒッタイト文書の解読」より:

「ヒッタイトは考古学と文献学が近年全くの忘却から呼び起した偉大な民族である。十九世紀の後半も半ば以上を過ぎるまでは、このかつてエジプトと強を競った、アナトリア奥地の大帝国の存在を誰一人夢想だにしなかった。」

「このようにして楔形文字によるヒッタイト文書の解読は急速に進捗したが、ヒッタイト特有の文字による碑文の解読は遅々として進まなかった。
そしてここにも、外の未知の文字と言語の解読に際して、しばしば認められるように、一人の学者の悲劇的な頑固と失敗の例を見出すのである。それはマールブルク大學のアッシリア学の教授ペーター・イェンゼン Peter Jensen である。彼は片意地な偏狭な学者であった。彼は旧約も新約の物語もギリシア神話もローマの初代諸王伝説も、いやモハメッド、仏陀、北方神話、インドの英雄叙事詩までも、すべてメソポタミアの英雄ギルガメシュ伝説に源を有する変形であるとかたく信じていた。」
「彼の勝手極まる符号の読み方には何らの文字としての組織がなかった。彼は刻文そのものよりは、先ず内容を恣意的にこうと推測して、それを無理矢理に刻文から掴み出そうとしたのである。」
「その後の彼の辿った道はますますひどいものであった。(中略)そして折角自分が正しく読んだカルケミシュを表わす音節文字まで自分で後で否認してしまった。」



古代文字の解読3



こちらもご参照下さい:
ジョルジュ・ジャン 著/矢島文夫 監修 『文字の歴史』 (「知の再発見」双書)
中野美代子 『砂漠に埋もれた文字 ― パスパ文字のはなし』 (ちくま学芸文庫)



























































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