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"The John Collier Reader"

2011年8月23日。


「人間でないものを愛する人間の
秋の髪をかすかに吹きあげる風は
音もなく流れて去ってしまう」
(西脇順三郎 「山樝の実」より)



The John Collier Reader
47 rapier-pointed tales of fate, evil and retribution from one of the finest storytellers of our time, together with the full text of his incomparable novel, His Monkey Wife
Introduction by Anthony Burgess

Alfred A. Knopf, New York, 1972, 3rd printing March 1973
xv, 571pp, 24.5x16.5cm, hardcover (clothbound), dust jacket


 
「雑学王」を見ていたら、爆笑問題の太田光さんが、子どもの頃、マネキン人形を好きになって、毎日会いに通っていたというような、たいへん感動的な話をしているのを小耳に挟みました。江戸川乱歩(「人でなしの恋」「押絵と旅する男」)というか、たしかジョン・コリアにもそんな短篇があったなーと思い、本書を引っぱり出してきました。
序文はアンソニー・バージェスが書いています。古本を紀伊国屋書店BOOK/WEBで買いました。2,528円でした(定価は10ドル)。カバーにややスレ、ヤケ、ヨレ等あるものの、本体は美品でした。 


john collier reader 1


john collier reader 2


赤クロス装、背文字金押し。


john collier reader 5
 
 
天は黒く塗られています。ご覧のように、小口が不揃いになっていますが、これについては、紀伊国屋書店から「発送商品についてのご案内」が同封されてきました。
 
「この度、ご注文頂きました書籍でございますが、ご覧のような裁断となっております。
これは「Deckle Edge」というハンドメイド風味に裁断されているもので、不良品ではございません。
どうぞご了解のうえお納めくださいませ。」

 
わたしなんかは、落丁乱丁があっても、そういう仕掛けの本なのかなーとか勘ぐってしまうタイプですが、ずっと前に中古レコード店でビートルズのLPを手に「歌が片方からしかきこえない。不良品だから取り替えてくれ」とねばっている人をみたことがあるので、世の中には思い込みの強い人が多いようです。
それはともかく、豆知識まで仕込んでくれるとは有難いです。ちなみに最近出た本では Robin Kelley 著 Thelonious Monk : The Life and Times of an American Original が deckle edge でした。
古本を買うと勉強になります。


john collier reader 3


ジョン・コリア近影。本体表紙にはイニシャル「JC」が空押しされています。

詩人の西脇順三郎がロンドン留学中にジョン・コリアと友達になりました。ジョン・コリアは筆不精で、日本に帰ってから手紙を出しても返事をくれない、というようなことを西脇順三郎は書いていて、だから「面白い男だ」といっていたと思います。
西脇順三郎を偲ぶ会・編『幻影の人 西脇順三郎を語る』所収の英文学者・新倉俊一による講演「ロンドン時代の西脇順三郎」に、新倉氏のジョン・コリア訪問記があります。

「(前略)本屋に手紙を書きました。西脇先生という旧友があなたのことを懐かしがっているけれど、思い出さないか、といってかなり詳しいことを書いてやった。
そしたらやっぱり手紙というのは出すと返事がくるもんですね。私も五十年前の人に手紙を出して返事がくるとは思わなかったんですけども、やはりちゃんと出版社からジョン・コリアにまわしてくれまして。(中略)「私の年来の旧友であったジュンザブロウ・ニシワキの近況を教えてくれて本当に嬉しい。あの人は私に、文学的な影響を与えた」と、書いてありました。ジョン・コリアって方も偉い人ですからね、謙虚なんです。(中略)当時ジョン・コリア二十歳、西脇先生二十八歳です。「彼は十七、八歳のイガ栗頭の少年だった」と言われるんですけども、先生は若く見すぎたんじゃないでしょうか。確かに童顔のイガ栗頭なんですが、私が会った人はおじいさんでした。(中略)現在の、数年前の西脇先生の写真を出しましたら、「オー! アイ・リメンバー・ヒム・ヴェリー・ウェル」って言う。(中略)そして、パーティをわざわざ開いてくれまして、夜おそくまで歓待してくれました。
ジョン・コリアという人は、昼間働いている人で、西脇先生は遊んでもらえないわけですね。(中略)夜になると彼が帰ってくるのを待って、先生はパブに一緒に出かけて、(中略)文学的文学論を闘わしたわけです。
西脇先生も、すこし気性の激しい所がおありですけども、ジョン・コリアっていう人は、もっと気性の激しい人です。私が会っても、年をとっていても、かなりそういうことがわかる人でした。昔はもう相当の毒舌家で、他の文学者なんてのはこきおろした。それを西脇先生が全部レッスンを受けたわけです。」


本書には長編代表作「His Monkey Wife」(全)と、「Defy the Foul Fiend」から第八章と第九章、そして短篇小説四十七編が収録されています。


john collier reader 4


Contents:

Introduction by Anthony Burgess

His Monkey Wife, or, Married to a Chimp

Chapter 8 and 9 from Defy the Foul Fiend, or The Misadventures of a Heart

Bottle Party
Evening Primrose
Witch's Money
Are You Too Late or Was I Too Early?
Fallen Star
Three Bears Cottage
Pictures in the Fire
Wet Saturday
Squirrels Have Bright Eyes
Halfway to Hell
The Lady on the Gray
Incident on a Lake
Over Insurance
The Frog Prince
Season of Mists
Without Benefit of Galsworthy
The Devil George and Rosie
Ah, the University!
Back for Christmas
Another American Tragedy
Collaboration
Gavin O'Leary
If youth Knew, If Age Could
Thus I Refuse Beelzy
Dpecial Delivery
Rope Enough
Green Thoughts
Romance Ligners, Adventures Lives
Bird of Prey
Variation on a Theme
Night! Youth! Paris! and the Moon!
The Steel Cat
Sleeping Beauty
Interpretation of a Dream
Mary
Hell Hath No Fury
In the Cards
Spring Fever
Youth from Vienna
Possession of Angela Bradshaw
The Chaser
Mademoiselle Kiki
Son of Kiki
A Matter of Taste
A Dog's a Dog
Man Overboard
The Tender Age



ジョン・コリアの短篇では、植物への変身譚「Green Thoughts」(「緑の思想」「みどりの想い」)が、アンソロジー等に収録される機会も多く、人口に膾炙しています。
マネキン人形に恋する話は「Special Delivery」です。ちくま文庫のジョン・コリア傑作集にも入っていたと思います。
デパートから盗み出したマネキン人形と駆け落ちする話ですが、わたしは『シベールの日曜日』や『ブレードランナー』の系列に属する純愛ものとしてよみました。
 
"A few minutes later the men were gone. The sun poured down on the glinting common, scorching everywhere except in the cool bottom of the chalk pit, where Eva and Albert lay unsought and undisturbed. His head lay limp on her neck; her stiff arm was arched over him. In the autumn, when the overhang crumbled down on them, it pressed him close to her forever."
 
「ネタバレ」してしまうと申しわけないので、原文だけあげておきますが、これはハッピーエンドです。わたしはそう思います。













































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

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Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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