『南方熊楠全集 第四巻 雑誌論考 II』

「予十四歳の時前歯一枚かけ、追い追い腐って四枚を失うたを、そのまま入れ歯しないで五十歳まで押し通した。」
(南方熊楠 「読『一代男輪講』」 より)


『南方熊楠全集 第四巻 
雑誌論考 II』

監修: 岩村忍/入矢義高/岡本清造
校訂: 飯倉照平

平凡社 1972年7月25日初版第1刷発行/1991年3月20日初版第11刷発行
614p xi 口絵(モノクロ)4p
A5判 丸背布装上製本 貼函
定価6,000円(本体5,825円)
装幀: 原弘



本書「凡例」より:

「本全集は、南方熊楠が公表した論考、随筆、英文著述、ならびに未公表の論考、手稿類などを集大成することを期した。」
「国内で、著書として、あるいは雑誌に発表された文章は、内容がはなはだしく重複する一、二の例外を除き、すべて収録する。また新聞に掲載された文章も、主要なものは収録する。」
「外国の刊行物に発表された英文著述および未公表の英文論考は原文で収録する。」
「書簡は、学術的および伝記的に重要な内容をもつものを、入手しうる限り、完全な形で収録する。」
「その他、未公表の論考、手稿類、日記の一部、年譜、著述目録索引を付載する。」
「表記は原則として「現代かなづかい」に改め、送りがなも(中略)読解の便をはかって付加し、大部分の接続詞、副詞、助詞なども、漢字をかな書きに改めた。」
「漢字は、当用漢字、同補正案、人名用別表にある字体は、これを使用し、また一部の俗字、同字などで現在常用されないものは、通用のものに改めた。」
「引用文は、(中略)可能な限り原典と照合、校訂した。また漢文の引用文は「読み下し文」に改め(中略)た。読み下しには飯倉照平が当たり、(中略)入矢義高が校閲した。」

「本書(第四巻)は、既刊の第三巻、続刊の第五巻とともに、諸雑誌に掲載された論考(英文論考を除く)を収録する。」
「テキストは原則として著者手沢の初出雑誌を用い、著者の「書きこみ」をなるべく生かした。」



目次:

凡例

「彗星」
 読『一代男輪講』
 小鳥狩に梟が出る
 お寺小姓
 読『一代女輪講』
 読「五人女輪講巻二」
 読「心中二ツ腹帯輪講」
 読「世間猿輪講」
 読「夢想兵衛輪講」
 性画の流出入
 蚊帳の雁金
 女順礼ならびにサンヤレのこと
 金魚
 小篇
  一寸法師と打出の小槌
  松茸
  鉄漿
  豆腐
  焼蟹食い合う中
  売女の名歌
  かげろう
  〔失題〕
  チンプンカン
  チチンプイプイゴヨノ御宝
  赤い物
  読「誹語堀之内詣」
  鍔屋
  相似た東西笑話
  『新著聞集』の著者
  信長、秀吉、家康の性格を表わした句
  似た山

「なら」
 「春日神社釣燈籠の銘文」につちえ
 キリゴケについて

「土のいろ」
 『土のいろ』を読みて
 武光式部少輔のこと
 一言一話
  一の宮の南天
  蚊帳に雁の絵を描くこと

「紀伊郷土研究」
 根来のこみちゃ
 むつかしい熊野の方言

「紀伊史料」
 「田辺名物考」について
 加太の立て櫂

「グロテスク」
 尾崎君の「振鷺亭の怪談会本」を読む

「旅と伝説」
 桜を神木とすること
 馬角さん
 「釣狐」の狂言
 人に化けて人と交わった柳の精
 婦人の腹中の瘡を治した話
 驢の耳を持った皇帝
 兄弟契り
 贋孝行を褒賞した話
 太田君の「進軍中に見た支那習俗」(一)を読む
 小篇
  鷽替神事について
  刺なきイバラ
  イチハツを屋根に栽えること
  ナナカマドの木が雷を避けるということ
  えのこ草の歌
  胴あげについて
  酢と酒と醤油が湧き出る三つの壺
  シの字嫌い
  一休和尚長い字を書いた話

「民俗学」
 旗振通信の初まり
 ゴッサン
 邪視につちえ
 狐と雨
 庚申鳥とゴキトウ鳥
 七種の菜粥
 烏の金玉
 鮑が難船を救うた譚――鷸蚌の故事
 千疋狼
 「紀伊の国」の端唄
 易の占いして金取り出だしたること
 亀の甲
 往古通用日の初め
 催促する動物の譚
 泡んぶくの敵討
 太鼓の中に人
 美人の代りに猛獣
 鰹鳥――燕の継子殺し
 唖人が鳥を見て言い出す
 ドンコの類魚方言に関する藪君の疑問に答う
 ぬくめ鳥
 額より妙相を現ぜしこと
 足を薪とした怪婆
 源為朝一箭で船を射沈めたこと
 樟柳神とは何ぞ
 塩茄子の笑話
 余り茶を飲んで孕んだ話と手孕村の故事
 寄合咄
  移動する魚に関する俗伝
  刀剣吼えたこと
  虎が人に方術を教えたこと
  邪視という語が早く用いられた一例
  金剛石採取の咄
  大鼠
  日を負うて戦うこと
  毒が変じて薬となる
  シメナワについて
  蟷蜋
  「紀伊の国」の根本唄
  尻切れニナの話
  阿育王と蜂
 紙上問答
  質問
  応答
 余白録
  くどき節「兄妹しんじゅ」
  カシャンボ(河童)のこと
  百合若大臣の子孫
  秤り目をごまかす狐魅
  盥を敲いて急を報ず
  厠で唾はくを忌む
  人が虫になった話
  支那の初夜権
  一極めの詞

「あかほんや・末摘花通解」
 川柳句解二則
 「書を好む者の三病」について
 『末摘花通解』補説

「岡山文化資料」
 馬鹿婿
 アマンジャクが日を射落とした話

「芳賀郡土俗研究会報」
 『芳賀郡土俗資料第一編』を読む
 小篇
  一目の虫
  尻馬の尻馬のまた尻馬に乗る
  煉粉を塗る話

「俚俗と民譚」
 もぐらの嫁探し

地球志向の比較学 (鶴見和子)




◆本書より◆


「相似た東西笑話」より:

「一七三九年ロンドン板、『ジョー・ミラー戯語』一八八条に、一生かつて芝居を見ず、どんな物とも知らなんだ田舎者二人が、ロンドンの盛り場ズルーリー路の芝居を初めて見物した。まず音楽を奏すると、なかなか面白がった。第二、第三と演奏さるるを満悦して聴いた。いよいよ幕が揚がって、役者三、四輩、芝居を演じだすをみて、もう帰ろう、何か面倒臭い談判が始まったとて伴(つ)れ帰った、とある。」


「狐と雨」より:

「竹本氏の「石見通信」に、日当り雨の節、指を組んでその隙から遠く山際を覗けば、狐の嫁入がみえるという、と記されある。(中略)和歌山市では、予が若かった時までもっぱら、日当り雨の節、半ば地に埋まった瓦石を起こし、その裏に唾を吐きかけ凝視すれば、唾に狐婚の行列が映る、と言った。」


「太鼓の中に人」より:

「一八九七年板、マリ・ヘンリエッタ・キングスレイ女史の『西非(アフリカ)行記』五三四頁にいわく、売奴浜(スレイヴ・コースト)のある蛮族は、その大神が住むという太鼓の中に、小さい子供を一人入れおき、それが太鼓の中で住めないほど大きくなれば、神官どもこれを殺し、かねて教習し置いた小さい子をもってこれに替うる。それが大きくなれば、また小さいのに替うる、と聞いた。」


「虎が人に方術を教えたこと」より:

「マレー人やスマトラ人が信ずるは、人里遠い山林中に虎の町あり、人骨をタルキ、人皮を壁とし、人髪で屋根をふいた家に虎どもが棲み、生活万端人間に異ならず、と。」








































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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