『南方熊楠全集 第六巻 新聞随筆・未発表手稿』

「さて学問は活物(いきもの)で書籍は糟粕だ。」
(南方熊楠 「田辺通信」 より)


『南方熊楠全集 第六巻 
新聞随筆・未発表手稿』

監修: 岩村忍/入矢義高/岡本清造
校訂: 飯倉照平

平凡社 1973年6月30日初版第1刷発行/1991年3月20日初版第11刷発行
606p x 口絵(モノクロ)4p
A5判 丸背布装上製本 貼函
定価6,000円(本体5,825円)
装幀: 原弘



本書「凡例」より:

「本全集は、南方熊楠が公表した論考、随筆、英文著述、ならびに未公表の論考、手稿類などを集大成することを期した。」
「国内で、著書として、あるいは雑誌に発表された文章は、内容がはなはだしく重複する一、二の例外を除き、すべて収録する。また新聞に掲載された文章も、主要なものは収録する。」
「外国の刊行物に発表された英文著述および未公表の英文論考は原文で収録する。」
「書簡は、学術的および伝記的に重要な内容をもつものを、入手しうる限り、完全な形で収録する。」
「その他、未公表の論考、手稿類、日記の一部、年譜、著述目録索引を付載する。」
「表記は原則として「現代かなづかい」に改め、送りがなも(中略)読解の便をはかって付加し、大部分の接続詞、副詞、助詞なども、漢字をかな書きに改めた。」
「漢字は、当用漢字、同補正案、人名用別表にある字体は、これを使用し、また一部の俗字、同字などで現在常用されないものは、通用のものに改めた。」
「引用文は、(中略)可能な限り原典と照合、校訂した。また漢文の引用文は「読み下し文」に改め(中略)た。読み下しには飯倉照平が当たり、(中略)入矢義高が校閲した。」

「本書(第六巻)は、『牟婁新報』以下八紙の新聞および『週刊朝日』に掲載された随筆と、未発表手稿とを収録する。」



目次:

凡例

新聞随筆
 田辺随筆
  白蟻
  千里眼
  同盟罷工のこと
  摩利支天
  ウイグルのこと
  食蛇鼠
  王陽明と平田篤胤
  神社合祀
 田辺通信
  オニゲナ菌
  煤煙の害
  蜻蛉の脚
  古社の減却
  毒虫問題
  蟻が陰嚢を咬む
  ダリヤの花
  天長節の花
  強姦されたと偽訴した婦人
  平家蟹の話
  同性の愛に耽る女性
  情事を好く植物
  瓦猴について
  鴫の羽掻
  桜島爆発の余響
 南方先生百話
  金屏風と米騒動の話
  南方先生自叙伝の二、三節
  鯰の話
 緊急広告
 緊急広告に酷似の表示
 菌学に関する南方先生の書簡
 自然保護に関する南方先生の書簡
  熊野三山と闘鶏社付記念植樹について南方先生の書簡
  奇絶峡と南部の神島、湊村横手八幡社趾保護に関する南方先生の書簡
 「万呂村天王池養殖談」を読む
 岩田村大字岡の田中神社について
 三郡製糸会社設立許可条件について
 三郡製糸会社に関し謹告
 田辺町湊村合併に関し池松本県知事に贈れる南方先生の意見書
 南方熊楠翁の書簡
 新庄村合併について
 オガタマの木について
 防火樹
 花さく庭木の話
  四月に花さく庭木
  五月に花さく庭木
  六月に花さく庭木
  七月に花さく庭木
 草花伝説
 草花の話
  五月の末に咲く草花
  きのうきょうの草花
  七月にさく草花
  このごろのくさ花
 紀州田辺湾の生物
 小篇
  周参見から贈られた植物について
  支那の鰐魚について
  鹿と緬羊
  トガサワラの産地と蟇岩について
  「谷ぐく」という古名
 人魚の話
 財産分けの話
 兎と亀との話
 鳥を食うて王になった話
 鼠一疋持って大いに富んだ話
 東牟婁郡請川村の須川氏について
 魚の口より銭を得た話
 小篇
  竹馬およびホニホロ
  法螺吹きを彦八と呼ぶこと
  馬子を救った河村瑞軒

未発表手稿
 大きな蟹の話
 安宅関の弁慶
 人死する前に葬送現わるること
 人死する前に哭く妖精
 自分を観音と信じた人
 巫が高処に上る
 神の男女を誤る
 俵の字
 仏が癩人と化現したこと
 吝嗇漢を放蕩に導いた神
 アンコルワットの戯書者について
 与次郎人形とお花独楽
 古谷氏の謝意に答え三たび火斉珠について述ぶ(上)
 春駒
 猫又
 穴一つで男と女を捕えた話
 釜煎りの刑
 坊主と御殿女中
 失うた帳面を記憶力で書き復した人
 筑摩の鍋かぶり
 夢違いの獏の札
 名古屋山三郎
 お万の方
 紙子について
 小篇
  無帽塔と浮島
  守宮もて女の貞を試む
  乞胸
  狼が人の子を育つること
  桃栗三年
  虎の子渡し
  蛙を用いて毒を試む
  読「夢想兵衛輪講」追加
  立小便と厠籌
  気合ということ
  「牛の神話伝説」について
  金札付きの鶴
  謎を解いて金を獲た話
  再び根来のこみちゃについて
  俳句と雅号のこと

南方翁と日照権 (杉村武)




◆本書より◆


「南方先生百話」より:

「さて魚を神や神使とすること、古バビロニア人に文字と学芸を教えたオア神やフィリスチンの神ダゴン、それから夏の禹王が見たという河精(すなわち黄河の神)、いずれも半人半魚の形で、古エジプト人は鰻その他の魚類を崇拝した。(中略)東インド諸島や太平洋諸島やアフリカで鮫を、マリアナ島等で鰻を尊崇し、カロリン島のマニ神は魚形という。古ペルーのインジアンは食用する諸魚の祖を神とし祭り、欧州に今も神魚が守るという井や泉多し。北米のアルゴンキン人は鯉や鰻やチョウザメや鯰を各族の祖神とす。」


「鳥を食うて王になった話」より:

「けだし未開の民が、睡眠中は人の魂身を離れて遠く遊ぶゆえ、あまり周章すれば本(もと)へ還り得ず、その人たちまち死すとの考えから、急に驚かし起こすを禁ずる風、今も欧亜諸国に少なからず。(中略)ビルマなどでは、税を官吏が集めに行くと、只今主人が眠っておりますと言われて起きるまで俟たねばならず、大閉口の由。」


「自分を観音と信じた人」より:

「東西人とも多分は、現代の世相人情を標準として、昔の譚を批判するから、少しも思いやりなく、一概に古伝旧説を、世にあり得べからざる仮托虚構でデッチ上げた物と断ずる。『今昔物語』一九巻一四語に讃岐多度郡の源大夫(げんたいふ)という悪人が、鹿狩の帰途で不慮に仏堂内の説法を冷やかし、すなわち平凡な講師の言に感じ、即座に剃髪して衣裳武具を僧衣と金鼓(こんぐ)に替え、西に向かって邁進して海浜に至り、阿弥陀仏何処(いずく)にあると呼ぶに、微妙(みみょう)の声ありて海中より、ここにありと答うるを聴き、そこで往生したとあるも、そのころそんな人が、その世態相応に往々あったので、虚誕でない。」

「また米国のインジアン中には、夢に感じてたちまちみずから女化するのが往々あり、アーヴィングの『印甸人(インジアン)記略』には、武名赫々たる勇士が一夕霊夢を感じ、全族にきわめて卑蔑さるるも厭わず、女装自化した由載せあるという。和漢にも夢や神の告げを感じて、直後女に化した例がある。」







































































































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◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

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将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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