『南方熊楠全集 別巻第二 日記・年譜・著述目録・総索引』

「それより余又のみ、ハムかい帰り、へど吐き臥す。」
(南方熊楠 「ロンドン日記」 より)


『南方熊楠全集 別巻第二 
日記・年譜・著述目録・総索引』

監修: 岩村忍/入矢義高/岡本清造
校訂: 飯倉照平

平凡社 昭和50年8月30日初版第1刷発行
288p+235p v 口絵(モノクロ)4p
A5判 丸背布装上製本 貼函
定価3,800円
装幀: 原弘

月報 12(8p):
追想(岡本文枝)/「ロンドン日記」について(岩村忍)/校訂をおわって(飯倉照平)/多屋たか宛葉書解読(編集部)/書簡解題追補/訂正/南方熊楠全集正誤



本書「凡例」より:

「本全集は、南方熊楠が公表した論考、随筆、英文著述、ならびに未公表の論考、手稿類などを集大成することを期した。」
「国内で、著書として、あるいは雑誌に発表された文章は、内容がはなはだしく重複する一、二の例外を除き、すべて収録する。また新聞に掲載された文章も、主要なものは収録する。」
「外国の刊行物に発表された英文著述および未公表の英文論考は原文で収録する。」
「書簡は、学術的および伝記的に重要な内容をもつものを、入手しうる限り、完全な形で収録する。」
「その他、未公表の論考、手稿類、日記の一部、年譜、著述目録索引を付載する。」
「表記は原則として「現代かなづかい」に改め、送りがなも(中略)読解の便をはかって付加し、大部分の接続詞、副詞、助詞なども、漢字をかな書きに改めた。」
「漢字は、当用漢字、同補正案、人名用別表にある字体は、これを使用し、また一部の俗字、同字などで現在常用されないものは、通用のものに改めた。」
「引用文は、(中略)可能な限り原典と照合、校訂した。また漢文の引用文は「読み下し文」に改め(中略)た。読み下しには飯倉照平が当たり、(中略)入矢義高が校閲した。」

「本書(別巻第二)は、ロンドン日記・論考補遺のほか、年譜・著述目録・総索引(付 収録著述索引)を収録する。」
「総索引、著述目録ならびに論考補遺中の英文のページは、横組、左開きとした。」



目次:

凡例

ロンドン日記

論考補遺
 英国滞在中の徳川頼倫侯
 小篇
  鉄という名の古意
  自ら鳴る鐘
  箱根の幽霊屋
  ちかぼし
  童話桃太郎
  「むすび考」補
 The Traces of Cannibalism in the Japanese Records
 
年譜

総索引
 収録著述索引

著述目録




◆本書より◆


「ロンドン日記」より:

「新規という字を書写すに、不思(おもわず)親規とかく。」

「今日より以後決して茶を不用。」

「明日より厳に茶を止む。」

「今日より厳に厳に茶を飲むことを禁ず。」

「茶を不可飲。」

「茶二度のむ。」

「ライブニッツの如くなるべし。」

「ゲスネルの如くなるべし。」

「フェンチャール街よりカノン街に至る途上、女の嘲弄するにあい、予乱暴し、巡査四人来り最寄警署に拘さる。又乱暴数回。夜二時に至りかえる(巡査予の為に閉口す)。」

「夜、ハイドパークにて無神論演舌をきく。」

「午下、博物館にあり、ハイドパーク演舌家一人握手に来る。夕、ハイドパークに之き、其人の演説きく。一寸話しかえる。」

「歩してケンシングトン園に至り、五人斗りと打合い、帽砕かれ傘おられ鼻血出てかえる。」

「(朝、羽山蕃とやる夢を初て見る。)」

「午後、博物館書籍室に入りさま毛唐人一人ぶちのめす。これは積年予に軽侮を加しやつ也。」

「予ウェーターを叱り付、一同大あきれ。」

「近頃家に宿なしの猫来る。老婆及予、余食を与う。一昨日頃より家に宿せしめしに、昨夜近処の牡猫三疋よびに来り大にさわぎ、宿の悴眠られざりし由。」

「博物館に之。
帰途、ハイドパークにて演舌きく。ロシヤ人演舌、国状を述べ泣くに至る。又、別に耶蘇教演舌を無神論者打ち争闘。又、大酩酊のもの唄いおどけ演舌。巡査来り去しむ。帰れば十二時半。」

「此日、猫三疋見る。一はワラムグリーン停車場近処の酒屋のもの、(中略)二は博物館、これは往来の人を観ることを楽む。三はテンプラ屋の猫、甚大にして常に店に座す。」

「夕、パークにて演舌きく。ペック不相変(あいかわらず)滑稽、去る時鼻ごえの男に鼻声にて返事し、一同大笑い。」

「夜、帰途、レドクリフ辺の酒屋にて酒のみしに、dirty とよばる。盃打つけやらんと思しが、忍び帰る。」

「美術館に之。館の入口に十四才と十二才斗りの唖児、手まねにて咄しする見る。」

「クインス・ロードの酒店に、去年チェルセア・ステーション辺の酒店にありし女、羽山繁太郎によく似たるもの、予の声をきき知り声かくる。」

「近地の子供五才なるもの、川におちいり、去る金曜日死す。昨日葬式。」

「それよりハイドパークに歩、池に群児泳ぐを見る。女二人来り見、児共に詈(ののし)らる。」

「朝、早起。九時前、門辺へ楽人(女三人、男児二人)来り、ルート及鼓弓(こきゅう)ひく。内女一人、甚美人にて美声也。独逸人なりと。」

「帰途、彼酒店にてのむ。羽山に似たる別嬪来り、手握んとす。予不答、別嬪怒り去る。」

「タバコかいに行んとするに銭なく、ストーヴの隅より拾い、屑をのむ。」


































































































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ひとでなしの猫

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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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