中野美代子 訳 『西遊記 (十)』 (岩波文庫 旧版)

「『あたくしは天竺国の国王の公主です。月の下で花を賞でておりましたら、風に吹き飛ばされて、ここまで来たのです』」
(中野美代子訳 『西遊記 (十)』 より)


中野美代子 訳 
『西遊記 (十)』
 
岩波文庫 赤 32-021-0

岩波書店 1998年4月16日第1刷発行
441p
文庫判 並装 カバー
定価700円+税
カバー: 杉松欅
カバー写真: 小笠原周



岩波文庫旧版『西遊記』全十冊。(一)~(三)が小野忍訳、(四)以降が中野美代子訳。
本文中挿絵(モノクロ)20点。「解説・補」中図版(モノクロ)4点。


西遊記 (十)


カバーそで文:

「西方み仏の地に足を踏み入れた一行、平穏無事の旅はまこと極楽の地を行くごとし。苦難の旅の終りも間近、大天竺国にさしかかる。国をあげて賑やかなその日、婿選びの綉球(まり)投げで三蔵を狙うのは、取経の聖僧を待ち受ける、国王のにせ公主であった。(全十冊完結)」


目次:

第九十一回 金平府(きんぺいふ)にて元宵(げんしょう) 観灯すること/玄英洞(げんえいどう)にて唐僧 白状すること
第九十二回 三僧 青龍山にて大いに戦うこと/四星 犀牛怪(さいのばけもの)をば挟(はさ)んで捕(めしと)ること
第九十三回 給狐園(ぎっこおん)にて古(いにしえ)を問い因(わけ)を談(かた)ること/天竺国にて王に朝(ちょう)し偶(つれあい)に遇うこと
第九十四回 四僧 宴(うたげ)して御苑(ぎょえん)に遊ぶこと/一怪 空(むな)しく情欲を懐(いだ)くこと
第九十五回 玉兎 形骸を仮(いつわ)り捕縛されること/真陰 霊元に会し帰正いたすこと
第九十六回 寇員外(こういんがい) 高僧を待(もてな)すこと/唐長老 挽留(ばんりゅう)を辞すこと
第九十七回 金(ごくう) 外護(げご)に報いて魔毒に遭うこと/聖(ひじり) 幽魂を顕わし本原を救うこと
第九十八回 猿馬が馴(な)れてこそ殻(から)を脱すること/功行が満ちたれば真(まこと)に見(まみ)ゆること
第九十九回 九九(くく)の数完(まっと)うし魔は尽(ことごと)く滅ぶこと/三三の行(ぎょう)満ちて道は根に帰(き)すこと
第百回 東土へ径(まっす)ぐ回(かえ)ること/五聖は真(まこと)と成ること

訳注
解説・補 (中野美代子)
あとがき (中野美代子)



西遊記 (十)1



◆本書より◆


「第九十一回」より:

「和尚はたまげて、
 「長老さまよ、お弟子さまたちがこんなに醜いなんて! いったい、どういうわけで?」
 三蔵、
 「醜いことは醜いですが、これでもなかなかの法力のもち主でしてな、わたしも道中、たっぷり世話になったのです」」



「第九十八回」より:

「それでもまだ、三蔵がぐずぐずしているものですから、悟空、両手をひろげて師匠を抱きかかえ、ぐいと舟に押しこみました。足の踏んばりようがないまま、水中にころがりこんだ三蔵を、船頭がさっと引っぱりあげ、舟の上に立たせました。三蔵は、水にぬれた衣服をパッパッと振り、足踏みして鞋(くつ)の水をはらい落としながらも、悟空への文句たらたらです。
 それにはかまわず、悟空は八戒と悟浄を引っぱります。かれらも、馬を引き、荷物をかついで舟に乗りこみますと、舟の両はじに立ちました。そこで仏祖が、いともかるがると棹(さお)さして漕ぎはじめました。
 すると、どうでしょう、上流から死体がひとつ、流れてくるではありませんか。それを見た三蔵、びっくりいたしましたが、悟空はにっこり笑って、
 「こわがることはありませんよ。あれは、お師匠さま、あなたなんです」
 八戒も、
 「そうだ、お師匠さまだ!」
 悟浄も手をたたいて、
 「そうだ、お師匠さまだ!」
 すると船頭も、はやしたてて、
 「そうだ、そなたじゃ! めでたやな、めでたやな!」
と、三人は声をそろえて唱和するのでした。
 舟はゆったりと進み、ほどなくして、凌雲渡の対岸に着きました。」








































































































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ひとでなしの猫

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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

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難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

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好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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