伊藤清司 『中国の神話・伝説』

「むかし、二儀(陰と陽)がまだ分離していなかったときのことを洪源(こうげん)、つまり始源と称した。それは茫漠(ぼうばく)としてつかみどころがなく、まるで鶏の卵のような状態であって、それを混沌(こんとん)といった。宇宙は光がなく、形がなく、音がなく、声がなかった。」
(伊藤清司 『中国の神話・伝説』 より)


伊藤清司 
『中国の神話・伝説』


東方書店 1996年9月30日初版第1刷発行
361p 目次xi 索引その他20p 
四六判 並装 カバー
定価2,400円(本体2,330円)
装幀: 戸田ツトム+岡孝治



本書「あとがき」より:

「これまでわが国において刊行された中国神話伝説関係の書籍としては、今次大戦前には松村武雄の著作と玄珠原著の訳書があり、戦後には聞一多および袁珂氏原著の翻訳書と君島久子氏の著作などがある。そのうち松村のものは、すでに七十年ほど前、近代社から比較的通俗な叢書として刊行された世界の神話伝説大系の一冊として編まれた「支那神話伝説集」である。(中略)「支那神話伝説集」は私が校訂や解説などを加え、『中国神話伝説集』と題して一九七二年に社会思想社の教養文庫の一冊として出版された。」
「本書は体裁からいえば松村のものに近い。ただし「中国神話・伝説集」の性格上、不可欠の資料は別として、松村の著作との内容上の重複を極力避け、中国古代の神話・伝説の特色を知るうえでもっとも基本的な資料を漢籍から撰輯し、原文の趣旨を損なわないように忠実にかつ平易な現代文に訳出した。」
「このように、本書は中国の神話・伝説のなんたるかを知るための至便な読物として広く一般の読者に提供するものであるが、それとともに掲載資料の原文の出所を明記し、かつ可能な限りそれぞれの異伝や類話をいちいち出典を挙げて付記し、かつ解説を加えた。その際、わが国の説話と関連のあるものについては、とくにその点にも言及して、比較研究上の便宜を図るなど、神話・伝説などに学術的な関心を寄せられている読者にとって有益なテキストとするように努めた。」



著者は1924年生、中国古代史、民族学。
本文中図版(モノクロ)多数。


伊藤清司 中国の神話伝説1


カバー文:

「この世界ができる以前は、
像だけあって形はなく
ただただ
深く暗く混沌としていて
つかみどころがなく、
どのようになるのか、
どのようにしたらようのか、まったくわからなかった。

そこに二柱の神が自然に出現して、
天地を創る事業をはじめたが、
天地はあまりにも広大で、
それはいつできあがるとも、
いつ終わるともなく続いた。
そうこうして、やがて混沌とした中から陰気と陽気が分離し、
四方と八方とが分かれ、
また、剛いものと柔らかいものとが生じて、
そこから万物が形づくられた。
不純な気は鳥獣虫魚の類となり、
純粋な気は人類となった。」

「すでに述べたように、中国の古代の神話は
支配階級や知識人たちによって
おおむね荒唐無稽なものとして扱われて本来の面目を失い、
その一部が時代時代の思潮の中で、
翻案され、脚色されて記録に残された。」

「しかし、その結果、
古い神話は衰退してまったく中国社会から
姿を消してしまったわけではなかった。
二千年以上もの間、
漢族の民間の一部では已然として語り伝えられていたのである。」



目次:

はじめに――中国の神話・伝説の特色
 「神話の不毛な国」
 諸子百家による神話の改変
 神々から古帝王へ
 『山海経』と『楚辞』
 神話から志怪小説へ
 神話伝承の系譜
 豊富な神話的伝説
 怪異な伝説
 神話の復元
 少数民族の神話・伝説
 神話・伝説の資料

1 創世神話
 (1)天地創造神話
  混沌
  天地開闢
  渾敦の神
  渾沌の死
  盤古の出現
  盤古の死(1)
  盤古の死(2)
  盤古の天地鏤造
  燭竜(1)
  燭竜(2)
  燭陰
  鍾山の神
  女媧の天地補修(1)
  女媧の天地補修(2)
  蹴裂き伝説
 (2)人類の起源神話
  人間の創造
  婚礼の習俗の由来

2 天体の神話・伝説
 (1)太陽の神話
  扶桑に棲む天鶏
  十個の太陽
  鴉に乗る太陽
  日月の出る山
  日月の入る山
  羿の射日
  羿の怪物退治
  太陽を追う夸父
  夸父の杖
  竈石の山
  太陽の中の三本足の鴉
 (2)月の神話
  月の産湯
  月に入った姮娥
  月の中の蟾蜍
  月の精
  月の中の桂を伐る男
 (3)星辰の神話・伝説
  牽牛・織女
  空に橋を架ける鵲
  生死を司る星

3 諸文化の起源神話
 (1)農耕起源の神話
  農耕のはじまり
  丹雀が落した穂
  天から降ってきた稲穂
  鵲の運ぶ粟
  農耕神・后稷
  后稷の墓と穀物
  神農
 (2)火・文字などの起源神話
  火の起源
  養蚕の由来
  養蚕の神・馬頭娘
  薬の発見
  文字のはじまり
  文字に泣く鬼神
  人類の堕落

4 習俗の由来伝説
  正月飾りの由来
  門神の由来(1)
  門神の由来(2)
  帝女の桑
  端午の節句の粽の由来
  重陽の節句の由来
  掃晴娘の由来(1)
  掃晴娘の由来(2)
  風見鶏のはじまり
  鬼やらいの由来
  門を白く塗るわけ
  年占いの弓の的
 
5 鬼・神(神と怪物)の神話・伝説
 (1)屋内の鬼・神
  屋敷神
  古い屋敷の精
  竈神(1)
  竈神(2)
  竈神(3)
  竈神(4)
  鬼神欒侯
  紫姑神
  廁神(1)
  廁神(2)
  廁の精
 (2)野の鬼・神
  道路の神
  旅の守護神
  陳宝の祠
  梓の樹の精
  木の精
  樹神
  神獣白沢
  山の峡の怪物
  兎の姿をした土地神
 (3)水の鬼・神
  水虎
  水怪・無支祁(1)
  水怪・無支祁(2)
  涸沢・涸川の精
  蚩尤
  馬に乗る水神
  馬を駆る水神
  人の血を吸う蛟
  井戸神の結婚
  醜い海神
  醜い水神
  海神の妻となった女
 (4)山の鬼・神
  山神兪児
  〓(漢字: 穴冠+契)窳
  山都神
  冶鳥
  木客
  山鬼
  山〓(漢字: 犭+喿)
  独足鬼
  〓(漢字: 犭+包)鶚
  精衛
  話しかけ蛇
 (5)雷神
  雷神
  怪獣・虁
  桑の木に降りた雷神
  牝鶏の姿をした雷神
  雷公墨
  雷神の車を押す娘
  雷車
  豚の頭の雷神
  雷神の嫁
  雷神の児
  雷神のくれた呪書
  雷神の股を斬り落した男
 
6 怪物退治
 娘の大蛇退治
 李冰の江神退治
 蛟退治(1)
 蛟退治(2)
 大鱔退治
 狗仙山
 針の呑み競べ

7 旱魃と長雨
 旱魃と長雨の由来
 雨の神・商羊
 戦争と旱魃を起こす神鳥
 雨乞いの呪い(1)
 雨乞いの呪い(2)
 雨乞いの石牛
 雨乞いの穴
 山を焼く雨乞い
 晴雨を予知する石
 陰陽の石
8 治水伝承
 鯀
 禹の治水(1)
 禹の治水(2)
 九頭の蛇
 禹の竜門開鑿(1)
 禹の竜門開鑿(2)
 治水の呪書
 豚の水利工事
 百年の河清を待つ巨人夫婦

9 湖底に沈んだ県城
 湖に沈んだ歴陽県城
 湖に沈んだ長水県城
 魚になった県知事
 蛇の復讐
 蛇が造った巨大な池

10 動物の築城
 馬の築いた城
 亀の築いた城
 亀化城の由来
 鵠の築いた城
 蛇の築いた城

11 異界訪問
 (1)理想郷
  漂う島
  昆侖の丘
  腐っていた斧の柄
  玉女山
  桃の実と時間
  仙郷に行った二人の男
  穴の底の仙郷
  水底の御殿
 (2)冥界
  地下世界の土伯
  泰山府君
  冥界から還された陳良
  冥界から戻された男
  生き返った蔡支の妻
  洞庭湖の宴

12 神の贈り物
 句芒神
 江神のくれた刀
 水神の贈り物
 乞食泉
 甕の上に坐る聖母
 瓢箪棗
 金牛岩
 敵を知らせる太鼓
 神のくれた唾
 鶴の眉毛
 黄金の帯留めに変わった鳩
 一日七百里を駆ける土馬
 薪舟を運ぶ風
 天帝の女使者
 
13 動物報恩
 蟻の恩返し
 亀の恩返し
 青蛙のくれた宝の盆
 象の恩返し(1)
 象の恩返し(2)

14 異類女房
 鬼車
 鳥女房
 天人女房
 天女と董永
 天女の児・董仲舒
 魚女房
 女は虹

15 人の運命
 生まれ児の運命(1)
 生まれ児の運命(2)
 男と女を繋ぐ赤い紐

16 英雄異常出生
 簡狄と契
 契の異常出生
 空桑からの誕生
 禹の異常出生
 女嬉の脇から生まれた禹
 女狄と禹
 姜嫄と棄
 太陽を呑んだ女
 月を呑んだ女
 卵から生まれた徐の偃王
 劉媼と高祖

17 名剣・名画の由来
 干将・莫邪
 名剣の宿命
 越王勾践の八振りの剣
 わが児の血で成った武器
 胆肝の宝剣
 画竜点睛
 画聖・呉道玄の絵(1)
 画聖・呉道玄の絵(2)
 足の趾で描いた怪獣
 絵から抜け出す馬

18 飢餓と疾病
 太乙余糧
 怪鳥の不死の薬
 避瘧鏡
 瘧の病いは鳥のしわざ
 老翁のくれた土塊
 赤熊の祟り

19 異族・異形民の起源
 盤瓠
 盤瓠と末裔
 廩君
 ほととぎす
 竹王
 竜の末裔
 毛民国
 首なし族
 落頭民
 飛頭獠子
 鬼姑神と防風神
 穿胸民
 父の脇から生まれた民
 契丹始祖伝説
 
20 地名などの由来
 鼎湖の由来
 女墳湖の由来
 銀湖
 黄金潭の金牛
 梓潭
 鶏山と娥潭
 妬婦津
 登竜門
 馬跑泉(1)
 馬跑泉(2)
 虎跑泉(1)
 虎跑泉(2)
 犬の発見した泉
 虎皮井の由来
 酒泉県の神泉
 馬穴山
 竜穴山
 貞女石
 望夫石
 望夫岡
 五羊石
 にせの米塚
 にせの酒宴
 染荘の村名由来
 轆角荘の由来
 仁鹿廟の縁起
 螺女廟
 石おばの廟

21 歴史伝説
 黄帝と炎帝の戦い
 舜の試練(1)
 舜の試練(2)
 鯀の反逆
 褒姒
 褒姒の笑い
 太公望、緯書を釣る
 太公望の弓
 太公望の慧眼
 劉邦を救った井戸
 墓から出てきた罪人

22 事物の由来伝説
 驪山温泉のはじまり
 相思樹
 楚魂鳥の由来
 官職名の由来
 法冠のはじまり
 乾物の由来
 銭塘江の大潮嘯
 傾いた井戸

23 奇妙な伝説
 駆け込み野
 楽奏する沈没船
 不思議な浄水槽
 腹中の応声虫
 体内を映す鏡
 宝の石のお椀

あとがき

索引
主な人名・地名・書名について


伊藤清司 中国の神話伝説2



◆本書より◆


「はじめに」より:


「中国の神話は記録の対象になった当時、すでに盛んになった現実主義の思潮の洗礼を受けて、その意味を変えられ、衰退の傾向にあった。こうした「無神話化」の風潮の裡(なか)にあって、ごく例外的に、神話本来の面目を比較的多く書きとどめた書物が遺されている。それは『山海経(せんがいきょう)』と『楚辞(そじ)』天問篇である。」
「古代に筆録された典籍類の尨大な数量を考慮すると、中国に神話らしい神話がないという表現はあながち誤りとはいえない。だが、その浩瀚な古文献の中には『山海経』や『楚辞』天問には比較すべくもないが、古い神話の断片やその面影を留めている伝承を捜し出すことができる。それらの書物の中には『史記』や『漢書』のような正史もあり、『書経』『左伝』『国語』、さらに『韓非子』『列子』『管子』のような諸思想家の書も含まれる。中でもさまざまな学派の学徒の協力を得たり、各種の学説を広範に採用して編録された一種の百科全書である『呂氏春秋』や『淮南子(えなんじ)』、あるいは地理誌類の『水経注』などには、性格上、神話的素材が比較的多く取りあげられている。本書はこれらの書物から神話の落ち穂を拾い集め、整理・分類して、中国古代神話の性格と輪郭を明らかにするように努めたが、おのずから資料的制約もあり、それだけでは十分な成果を挙げることができない。これを補うことのできるのが神仙家・方士の書や後世の志怪の書などである。」

「すでに述べたように、中国の古代の神話は支配階級や知識人たちによっておおむね荒唐無稽なものとして扱われて本来の面目を失い、その一部が時代時代の思潮の中で、翻案され、脚色されて記録に残された。しかし、その結果、古い神話が衰退してまったく中国社会から姿を消してしまったわけではなかった。二千年以上もの間、漢族の民間の一部では已然として語り伝えられていたのである。」



「醜い海神」より:

「秦の始皇帝(中略)が斉の国(山東省)の東海のほとりにやってきたとき、太陽の昇るところを見たいと思い、海上に石橋を造らせたという。一説には、海上に橋を架けるなどということはとうてい人間業ではない、それができたのは海神が始皇帝のために海上に杭を立ててくれたおかげであるといわれている。そのため、始皇帝はその恩恵に感謝し、一度お目にかかって敬意を表したいと面会を申し入れた。すると、海神は「わしの姿はたいへん醜い。会ったおりに、わしの姿を絶対に描き写さないと約束してくれるなら、皇帝にお会いしよう」と返事してきた。
 そこで始皇帝は海神のその条件を承知し、馬に乗り、お供の者を連れて橋を渡って海上へと進んだ。そして海岸から三十里ほどのところで海神と会見をした。そのとき、お供の家来の中の絵心のある者が、卓の下で、そしらぬふりをして、足の趾(ゆび)に挟んだ筆でこっそりと海神の醜い姿をスケッチしはじめた。しかし、海神はそれを眼ざとく見つけて激怒し、皇帝に向かって、「とっとと失(う)せろ!」と叫んだ。始皇帝は慌てて即座に馬にとびのり、橋伝いに逃げた。しかし、駈ける馬の後脚から橋がつぎつぎに崩れていき、始皇帝はほうほうの態(てい)で海岸に辿りつくことができた。」



「醜い水神」より:

「渭(い)水(陝西省)に架かる渭橋は水中に石を重ねて橋脚を造った橋で、石柱橋といわれている。むかし、この橋脚のところに忖留(そんりゅう)神の神像があった。この神は以前、魯班(ろはん)(古代の伝説上の名工)と会って話しあったことがある。そのとき、魯班が最初、顔を見せるように忖留神にいうと、神は「わしは顔がたいへん醜い。そなたは絵がたいそう巧いと聞いているので、顔を出すわけにはいかない」とことわった。そこで魯班が腕ぐみしたまま話しあいをして、「どうぞお顔を出してお見せください」と促すと、忖留神はやっと水面から顔を出した。魯班が足の趾(ゆび)で地面に忖留の顔をスケッチすると、神はそれを察知し、ただちに川の中に姿を消してしまった。
 このときの魯班の絵をもとに造った忖留神の像を渭水の中に置いたが、その神像が首から上だけであるのは、以上のような経緯があったからである。」



「足の趾で描いた怪獣」より:

「「張衡(ちょうこう)は字(あざな)を平子(へいし)といい、絵画にすぐれた腕の持ち主であった。
 むかし、建州の浦城県(福建省)の山中に異様な獣が棲んでいた。名を駭神豕(かいしんし)といい、肢体は豚で、人間の首をしているが、その名のとおり、鬼神も駭(おどろ)くような醜悪な容貌をしており、神々はこれをいたく嫌った。この怪獣は好んで水辺の石の上に姿を現わした。平子が出かけていってそれを写生しようとすると、たちまち淵に潜ってしまい、出てこない。ある人が平子に、「あの獣は画に描かれるのが大嫌いで、出てこないのだ。紙と筆を隠さなけりゃ駄目だ」と教えてくれた。そこで、いわれたとおりにしていると、果たしてまた姿を現わした。平子は今度は腕組みをしたまま手を動かさず、こっそり足の趾(ゆび)でその獣を描き写した。現在、その獣の棲んでいたという淵を巴獣潭(はじゅうたん)と呼んでいる。」



「落頭民」より:

「秦のころ、南方に「落頭民」という部族がいた。この部族の間では首が体から離れて飛びまわるのである。彼らには祭りがあり、それを「虫落」と呼んだ。そのため「落頭民」という名前がつけられた。
 三国の呉の時代(二二九~二八〇)、朱桓という将軍が一人の女中を雇った。ところが、その女は夜になって寝床につくと、たちまちその首が抜け出して飛んでいく。ときには犬くぐり(飼犬の出入りする穴)から、ときには天窓から出入りをするのであるが、耳を翼にして空中を飛んでいく。そして明け方になると戻ってきて、またもとどおりになる。こういうことがたびたびあったので、側に寝ていた者が気味悪がって夜中に灯をつけてその女の寝床をよく見ると、胴体だけあって首がなく、体にさわってみるといくらか冷たくなっており、やっと鼓動をしている程度であった。そこで蒲団をかぶせておくと、明け方になって首が戻ってきたものの、蒲団にじゃまされて胴体にくっつくことができない。二度三度、胴体に近づいたがどうにもならず地面に墜ちてしまった。そしていかにも悲しそうに溜息をつき、今にも死にそうに呼吸も絶え絶えになった。そこで蒲団をどけてやると、首はまた飛びあがって頸にくっつき、やがてスヤスヤと眠りについた。
 朱桓はこのことを知ると、これはたいへんな者を抱え込んだものだと考え、怖ろしくなって解雇した。その後になってくわしく調べてみると、首が胴体から抜け出て飛びまわるのは天性であることがわかった。
 そのころ南方に遠征した大将たちも、ときおりその類の人々を手に入れたという。また、ある人がその者の体に銅盤をかぶせておいたところ、戻ってきた首が中に入れず、とうとう死んでしまったという。」



「楽奏する沈没船」より:

「濡須(じゅしゅ)水(安徽省)の河口には大きな船が水中に顛覆して沈んでいて、水が引いたときには船体が現われる。古老の話によると、それは曹公(中略)の船だという。漁夫たちはふだん夜に船どまりするときは、船を寄せその船に繋留する。すると、夜中に笛や琴の音とそれに合わせて唄う歌声が聞こえ、また、えもいわれぬよい香りが漂ってくる。ただし、人影はまったくない。
 漁夫たちが眠りにつくと、夢の中に使いの者が慌しくやってきて、「官妓(宮仕えの歌舞をする女)に近づくなかれ」という。伝説によれば、曹公の舞姫(まいひめ)を乗せた船がここで顛覆したのだという。」




こちらもご参照ください:

伊藤清司 監修・解説 『怪奇鳥獣図巻』






























































































































































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プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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