澁澤龍彦 『サド侯爵の手紙』 (ちくま文庫)

「そうとも、たとえこの鉄鎖が私を墓場へみちびくことになろうとも、つねに私は同じ人間でありつづけるだろう。私は幸か不幸か、永久に屈服することを知らぬ頑固な魂を天から授けられたのだ。」
(「サド夫人宛 一七八一年二月二十日」 より)


澁澤龍彦 
『サド侯爵の手紙』
 
ちくま文庫 し-2-1

筑摩書房 1988年1月26日第1刷発行
280p
文庫判 並装 カバー
定価490円(本体476円)
装幀: 安野光雅

「この作品は一九八〇年一二月一〇日、筑摩書房より刊行された。」



本書「あとがき」より:

「この手紙の翻訳は、当初から筑摩書房で単行本にするという予定で、雑誌「現代思想」の昭和五十年十月号から五十二年七月号までに、十三回にわたって飛び飛びに連載したものである。(中略)単行本にするに当っては、どういう叙述形式にしたらよかろうかと、(中略)ずいぶん頭を悩ませたものであるが、結局、一つ一つの手紙の末尾に註をつけるという、いちばん当り前な形式に落着いた。」


澁澤龍彦 サド侯爵の手紙


カバー裏文:

「フランス暗黒文学の巨星サド侯爵の、夫人宛の手紙を中心に編集した牢獄文学者の告白。特異な性的所業ゆえに、義母モントルイユ夫人によって投獄されたサドは、苦悩、怒り、嫉妬、時には最も秘密の欲望をも、躊躇なく夫人に打明ける。その赤裸々な表現は十八世紀においてその比を見ない自由さ、大胆さに達している。サド研究の泰斗である澁澤龍彦が「できるだけ具体的かつ詳細な」註解を付す。」


目次:

サド略年譜

I ヴァンセンヌにて
 1 モントルイユ夫人宛 一七七七年二月末
 2 サド夫人宛 一七七七年三月六日
 3 サド夫人宛 一七七七年四月十八日
 4 サド夫人宛 一七七九年二月十七日
 5 マリー=ドロテ・ド・ルーセ宛 一七七九年三月二十一日
 6 サド夫人宛 一七七九年五月十六日
 7 サド夫人宛 一七八〇年六月二十五日
 8 サド夫人宛 一七八一年二月二十日
 9 サド夫人宛 一七八一年七月から十月までの間
 10 マリー=ドロテ・ド・ルーセ宛 哲学的な贈物 一七八二年一月二十六日
 11 アンブレ師宛 一七八二年一月
 12 マリー=ドロテ・ド・ルーセ宛 一七八二年四月十七日
 13 サド夫人宛 一七八二年十月二十一日
 14 私を苦しめる愚鈍な悪党どもへ 一七八三年二月十日ごろ
 15 サド夫人宛 一七八三年二月十三日
 16 サド夫人宛 一七八三年三月十八日
 17 サド夫人宛 一七八三年七月三日―十一日
 18 サド夫人宛 一七八三年七月
 19 サド夫人宛 一七八三年七月
 20 サド夫人宛 一七八三年九月初旬
 21 サド夫人宛 一七八三年十一月初旬
 22 サド夫人宛 一七八三年十一月二十三、二十四日
 23 サド夫人宛 一七八四年一月初旬
 24 ルイ=マリー・ド・サド宛 一七八四年一月初旬
II バスティーユにて
 25 サド夫人宛 一七八四年三月八日
 26 アンブレ師宛 一七八四年四月(?)
 27 サド夫人宛 一七八四年六月八日
 28 サド夫人宛 一七八四年九月四日
 29 サド夫人宛 一七八六年十一月二十五日
 30 バスティーユ参謀部の将校各位へ 一七八七年(?)
 31 サド夫人宛 一七八七年八月二十四日

あとがき

解説 「サド学」の年季 (出口裕弘)




◆本書より◆


「手紙 19」より:

「ルソーはあなた方のような偏狭な心の人間には危険な著者かもしれないが、私にとっては、世にもすぐれた書物の著者なのだということを理解するだけの良識をもっていただきたい。ジャン=ジャックは私にとって、ちょうどあなた方にとっての『キリストのまねび』のような書物なのだ。ルソーの道徳と宗教は、私のためにはきびしいものだ。私は教化されたいと思うとき、ルソーの本を読む。もし私が現在以上の人間になることをあなた方が望まないなら、もっけの幸いだ! 善は私にとって辛く困難な状態なので、私は私の泥沼の中にとどまっていることより以上を望みはしない。泥沼の中が私は好きなのだ。しかしあなた方は、あなた方の誰にでもできることを万人に押しひろげ、万人に成就させなければならないと考える。それがあなた方の間違いなのだ。」


「手紙 21」より:

「私の考え方は認められない、とお前は言う。それが私にとってどうだというのか? 他人向きの考え方をえらぶ人間は気違いだ! 私の考え方は、私の熟慮の結果なのだ。それは私の生存、私の体質と切っても切れない関係にある。私が勝手に変えたりするわけにはいかないものなのだ。かりに変えられるとしても、変えようとは思うまい。(中略)私の不幸をつくったのは、私の考え方では毛頭なく、むしろ他人の考え方だろう。」

































































































































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尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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