『シャルル・ノディエ選集 第二巻 幻想物語集』 (篠田知和基 訳)

「それに、結局のところ幻想は、どんなにそれを追放しようとする努力がなされても、よみがえってこなくてはならないだろう。」
(シャルル・ノディエ 「幻想文学論」 より)


『シャルル・ノディエ選集 
第二巻 幻想物語集』 
篠田知和基 訳


牧神社 1975年12月25日初版第1刷発行
314p 口絵(モノクロ)2p 
A5判 丸背布装上製本 機械函 
定価2,600円
装幀: 田辺輝男



本書「凡例」より:

「ここに紹介するものは、ノディエの幻想作品のなかでもっとも重要で、もっともよく知られたもの三篇と、それらの作品の理論的根拠となるべき幻想文学論一篇である。」


本文中挿絵図版(モノクロ)9点。

本書収録作のうち、「夜の悪霊 スマラ」と「アーガイルの小妖精トリルビー」は、岩波文庫版『ノディエ幻想短篇集』に改訳が収録されています。


ノディエ選集


帯文:

「フランス幻想文学の始祖として、ネルヴァルから現代文学まで測りしれぬ影響を与えつづけてきた彼は、自ら狂気と夢の暗夜をさまよい、その果ての美しい作品を残した。」


帯背:

「夢幻の惨劇」


目次:

口絵
 《アーガイルの小妖精トリルビー》口絵 (トニー・ジョアノ)
 《トリルビー》のための挿絵 (スタール)

夜の悪霊 スマラ
アーガイルの小妖精トリルビー
イネス・デ・ラス・シエラス
幻想文学論

ノディエの復権――無垢の夢から闇の夢へ (マンディアルグ/訳: 田中義広)
訳者あとがき

 
 

◆本書より◆


「夜の悪霊 スマラ」「新版序(1832)」より:

「わたしが不思議に思うのは、目覚めている詩人がその作品のなかで、めったに眠っている詩人の幻想を利用していないというか、少なくともそれを借用したとめったに白状しないことなのだ。というのは、天才の極めて大胆な着想のなかにその種の借用があることはだれにも否定できないことだからだ。オデュッセウスの地獄下りは夢だ。(中略)聖書のなかには夢が大きな位置を占めている。夢が思考の展開やその外的な働きに対して影響を持つという観念は、古典派の慎重な考えのなかでもひとつの奇妙な伝統として保持されていた。つい二十年ほど前までは、悲劇を書くのに夢がぜひとも必要であったのだ。わたしはそんな作品を百も見た。でも残念ながらそれを見ていて言えたことは、その作者たちがけっして夢を見たことがないのではないかということだった。
 わたしは、精神の想像力の一面、それもおそらくより大きな一面が、詩にふさわしい理想的な寓話の主題となることがかつて一度もないのに驚くあまり、ひとつ自分でそれを試みてみようと思ったのだ。」
「わたしはかなりありふれた体質の変調のために、一生こういった眠りの夢幻境に遊ぶこととなってしまったのだが、それはわたしにとっては愛や利益や野心などより百倍も明晰なものであり、それによってわたしはこのような主題に導びかれたというわけなのだ。(中略)わたしは古典文学の熱烈な愛読者であり、(中略)この作品は、アプレウスの最初の本の詩的なパラフレーズとして創作するのでなかったら、とてもつづけてゆくことはできなかったのだ。アプレウスの本からはさまざまな奇妙な夢が出てきた。そしてわたしの昼間の生活は、夜の思い出でいっぱいになるようにまでなってしまったものだった。」



マンディアルグ「ノディエの復権」より:

「それゆえ、ノディエにとって、物語ることもしくは論じることは共に、とりもなおさず創作することであり、白日夢を見ることである。(中略)ノディエの作品には、まるで作者自身の自画像のように、数多くの「無邪気な人物」が登場する。しかしこれらの人物は読者が信じるより以上に意図的なものである。(中略)無邪気の力によって鼓舞されたのでなければ、どんな精神の持主も「パン屑の妖精」のような天才的に子供じみたことを夢見て書くことはできなかったであろう。
 われわれの言語で創作したあらゆる作家達のうちでも、シャルル・ノディエに最高の地位を占めさせたいのだが、それを正当化するのは、「トリルビー」の心を奪うような物語やいくつかの詩的な中篇小説、短篇小説(中略)及び、私の知る限りフランス文学において最も重要な幻想小説である「パン屑の妖精」である。あまりにも閑却されている(多分そのいささか落胆させる題名のせいで)この小説は、まことに驚くべき空想と文体の魅力で、豊かすぎるあまり呆然自失させるような花火を打上げるのだ。初めてこの小説を読んだ晩は、偉大な天啓の一夜として私の記憶に残っている。(中略)この小説の中心および付随する事柄の秘教的伝統については、おそらく多くの示唆がなされるだろう。けれども私の見るところ、ノディエの無邪気さは、そこに深遠な意味を求めようとするには、あまりにもあっけらかんとしている。むしろ私は、自分達の画布に現われた奇蹟の原因を手に宿った精霊に帰した坑夫ルサージュやジョゼフ・クレパンのような〈素朴芸術〉の画家達にこの語り手を喩えたい。これらの画家達の場合と同じく、「パン屑の妖精」の発想と構造においても無意識が最高の役割を果している。」





































































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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