ヤン・ポトツキ 『サラゴサ手稿』 (工藤幸雄 訳/世界幻想文学大系)

「夜なか近く、わしは物の気配に目がさめた。気がつくと、わしの掛ぶとんの両側が同時に掲げられ、だれかがわしの体にすり寄ってくる。「やれやれ」とわしは自分に言った。「またもや、二人の首吊り男のあいだで目をさまさねばならぬのか」」
(ヤン・ポトツキ 『サラゴサ手稿』 より)


ヤン・ポトツキ 
『サラゴサ手稿』 
工藤幸雄 訳

世界幻想文学大系 19
責任編集: 紀田順一郎+荒俣宏

国書刊行会
昭和55年9月25日印刷
昭和55年9月30日初版第1刷発行
昭和61年8月15日初版第3刷発行
330p 口絵(折込)1葉
四六判 丸背紙装上製本 
貼函 函カバー
定価2,500円
造本: 杉浦康平+鈴木一誌
本文挿画: 渡辺冨士雄
本文地図: 志麻利希

月報28:
『サラゴサ手稿』の幻想(篠田知和基)/『サラゴサ手稿』とトドロフ(三好郁朗)/夢のボルヘス(斎藤博士)/次回配本



Jan Potocki "Manuscrit trouvé à Saragosse"


本書「ヤン・ポトツキについて」(工藤幸雄)より:

「この物語『サラゴサ手稿』はフランス語で書かれた。作者ヤン・ポトツキはポーランドの大貴族の生まれである。物語の初版が出たのは一八〇四年と一八〇五年、所はロシアの首都サンクト・ペテルブルグ、検閲の目をくぐる〈秘密出版〉であった。」
「ポトツキは作家が専業ではない、むしろ旅行家、考古学者、歴史家、民族学者、として知られていたのである。」
「『手稿』の原作は、延々と六十六日までつづく。ここに訳出したのは、そのうちの十四日までだから、単純計算でも全体の約五分の一にすぎない。ただ、作者の生前に発表された部分が、十三日どまりにすぎないので、この「日本語訳」はほぼそれに則ったものと読者の寛恕をまずお願いする。」
「翻訳を思い立ってから二十年あまり、(中略)今ようやく、拙訳ながら上梓できたのは、もともと訳者に予定されていた詩人、窪田般彌氏が小生の懇願を入れて、せっかくのお仕事を譲ってくださったという事情による。」

「〈ユーラシア〉の概念はポトツキが初めて示したものだとクラコフスキ(引用者注: 『ポトツキ伝』の著者)は指摘する。」
「幻想小説の形を借りてヤン・ポトツキは、囚われない自由な思考、偏見のない世界観を、またそれらを妨げるものとしての強権に対する批判を、強力にしかし洒脱に繰りひろげていると言ってよい。」
「ヤンの自殺についてクラコフスキは書く。ポトツキは五十四歳のなかばで命を絶った。「彼の最期は奇妙にロマンティックなものであった。ピストルを使おうにも弾丸がない、そこで彼は銀で一発の弾(たま)をこしらえた、バロック風のさとう入れの柄をとってつぶしたのだ、母親の形見の品である。彼は教区の司祭に、その弾を〈祝別〉してもらった。司祭はそのわけを訊ねなかった。ピストルに弾をこめると、独り書斎にこもり彼は脳髄を撃ちぬいた。」」



ポトツキ サラゴサ手稿1


函カバー文:

「戦後カイヨワにより再発見され、トドロフがその著『幻想文学』で
綿密な分析に付した、十九世紀ポーランドの大貴族による、エロスとオカルトにみちた長篇枠物語!

『千一夜』のごとく多彩に、『デカメロン』のごとく妖しく!

首吊り男の一人に、右足のくるぶしを掴まれたのを、わたしは感じた。恐ろしい目をむき、真っ赤な舌を突き出した。一方の手で、そいつはわたしの喉笛をひっつかみ、もう一方の手で、わたしの目玉を抉り出した。すっぽりと空いたその目に、やつは灼ける舌を突き入れ、わたしの脳髄をひと舐めした、わたしはその痛さに絶叫した。――『サラゴサ手稿』より」



函カバー裏文:

「わたしたちは大あわてで
一巻の小さな本を盗み出しました。
『メジェヌンとレイラの恋物語』と言い、
燃えるばかりの筆で藍の歓楽を
あまさず描いたこの神聖なる書物が、
年端もいかぬわたしたちの頭に
火を付けました。
二人はその本に書かれたとおりを
真似て見ました。
初め、わたしが妹に愛を打ち明けます。
妹のまえに跪き、膝もとに身を投げ、
両手に口づけしました。
妹は初めのうちこそ、
優しくあらがいましたが、
しまいにはわななく熱情に身をまかせ、
二人の魂はどちらがだれのものと
見分けさえつかぬほどでした。
――J・ポトツキ『サラゴサ手稿』より

ヤン・ポトツキは
一七六一年ポーランドのピクフに生まれ、
一八一五年ウワドゥフカで自殺した。
ポーランド屈指の大貴族に生まれ、
民族学・考古学・地理学・歴史学など
ひろく渉猟したこのディレッタントは、
幽霊・骸骨・吸血鬼が跳梁跋扈し、
妖しい回教徒姉妹のエロス溢れる幻想物語を
一八〇五年ロシアで〈秘密出版〉した。以後、
幻の原作者にカリオストロが擬せられるなど
数奇な運命をたどった本書は、
カイヨワが再発見し、
トドロフの手によって
〈幻想文学の古典〉とされた。
『千一夜』のごとく多彩に、
『デカメロン』のごとく妖しく繰り広げられる
本書こそ、古今の幻想文学最大の
傑作である。」



ポトツキ サラゴサ手稿2


目次:

サラゴサ手稿 (J・ポトツキ)
 緒言
 第一部
  第一日
   エミナとその妹ジベデの物語
   カサル・ゴメレスの物語
  第二日
   悪魔に憑(つ)かれたパシェコの物語
  第三日
   アルフォンス・ヴァン・ウォルデンの物語
   ラヴェンナのトリヴルチオの物語
   フェララのランドルフォの物語
  第四日
  第五日
   ゾトの物語
  第六日
   ゾトの物語――つづきの一
  第七日
   ゾトの物語――つづきの二
  第八日
   パシェコの話
  第九日
   カバラ修験者の物語
  第十日
   チボー・ド・ラ・ジャキエールの物語
   〈闇の岩(ソンブル・ロッシュ)〉城の令嬢ダリオレットの物語
 第二部
  第十一日
   リチアのメニペの物語
   哲学者アテナゴラスの物語
  第十二日
   ジプシーの酋長、パンデソウナの物語
   ジュリオ・ロマティの物語
  第十三日
   パンデソウナの物語――つづきの一
   続ジュリオ・ロマティの物語――つづきの一
   モンテ・サレルノ公女の物語
  第十四日
   レベッカの物語

ポトツキについて (工藤幸雄)



ポトツキ サラゴサ手稿3



◆本書より◆


「緒言」より:

「余、曽(カツ)テ仏国軍士官タリシ時、さらごさ包囲戦ニ加ハル。同都占領ノノチ過グルコト数日、多少僻遠ノ地ヘ向カフ途次、偶々、一小館ヲ見ル。」
「余、好奇ノ心ニ駆ラルル所アリ、之ヲ訪レンコトヲ欲ス。(中略)独リ余ガ関心ヲ惹キタルモノ、一隅ニ散乱セル数冊ノ肉筆ノ文字アル書冊ノミ。(中略)即チいすばにあ語ニテ記シタル手稿ノ書冊ナリ。余、ソノ言語ヲ知ルコト甚ダ尠シト雖(イヘド)も猶(ナホ)、之ガ痛快無類ノ書タルを測ルニ十分ナリキ。談ズル所ハ山賊盗賊、妖怪変化、更ニハ降神ノ術、魔術ニ長(タ)ケタルかばりすとノ輩ノ縦横無尽ノ所業ニ非ズヤ。」



「第一日」より:

「なんでおれはトリニダッドの修道僧(フラ)エロニモに言われたとおりにしなかったのか、説教師、聴罪僧、わが家の相談役たる彼の戒(いまし)めを。あれは、おれの義理の母親の義理の父親の義理の姉の義理の息子の義理の兄弟に当たる。こうして、おれの一族のなかでいちばんに近い身内だから、おれの家では何かにつけて、あの人の意見どおりにせねば事が運ばぬ。その意見に従わなんだおれに罰(ばち)が当たったわい。」


「第五日」より:

「ベネヴェントには二つの名門があった、一方はモンタルト伯爵と言い、もう一方はセラ侯爵だった。モンタルト伯爵はおやじを呼び寄せ、セラを殺してくれるなら五百ツェキノの謝礼をと約束した。おやじは引き受けたものの、暫く時間がほしいと返事した、二日後、セラ侯爵からお召しがかかり、人里離れた指定の場へ出かけたところ、話と言うのはこうだった。
「ゾト、ここに五百ツェキノ入りの財布がある。これをおまえに進ぜよう、ただしモンタルトのやつめを刺すと男の約束と引替えにだ」
おやじは財布を収めて言った。
「侯爵さま、しかとお約束致しましょう、モンタルトは必ず殺してさしあげます。その代り、はっきり申しあげておかねばなりません、実は、手まえは伯爵さまに確約致して参ってございます、あなたさまを討ち取ると」
侯爵は笑いながら言った。
「そいつばかりは、平にご容赦をと申したいところじゃな」
おやじは威儀を正して答えた。
「お許しを願いたく存じます、侯爵さま、約束は約束ゆえ、この場でやらせていただきます」
侯爵はあとずさるなり剣を抜き放った。が、そのとき遅く、腰にさげたおやじの短筒(たんづつ)が火を吹き、侯爵の頭をぶち割った。その足でおやじはモンタルトのもとへ馳せつけ、敵はもはやこの世のものではないと言上した。伯爵はおやじを抱き寄せ、約束の五百ツェキノを渡した。そのうえでおやじが、些か恐縮の色をなして、実は、生前、侯爵が五百ツェキノをくださり、伯爵さまを殺せとのご依頼で、と申しあげた。伯爵は、敵の先(せん)を越してめでたき限りじゃ、とお喜びであった。
「伯爵さま」おやじは、それに答えた。「そのかいはございません、男子に二言はない」
その瞬間、おやじの短剣が伯爵を突き貫いた。」



「第九日」より:

「不死身となれるうえ天上の二人の妻を娶るという希望に励まされ、わたしのカバラ研究にいちだんと熱が入ったことはご想像のとおりです。しかしながら、そのような天の高みへ舞い登る勇気の出ないまま数年の年月が過ぎました。そしてわたしは、せいぜいが第十八天界の精霊たちをわたしの呪文のままに動かす程度に甘んじておったのです。そのうちにも、わたしは次第に自らを鍛えあげていき、昨年は〈歌のなかなる歌〉の冒頭の唱句の研究に取りかかりました。その唱句をもとに最初の一行を書きあげたとたん、物すごい物音が起こり、わたしの館はその土台ごと揺れ動くかのようでした。わたしは微塵の恐れをも覚えず、却ってわたしの仕事の成功を告げるものと確信しました。わたしは二行目に移りました、それが出来あがると、机のうえのランプが床に跳び、いくどか跳(は)ねてゆくと、部屋の奥の大きな鏡のまえでとまりました。寄って見ると、鏡のなかに女の足が映し出されています、美しい足ですが、その先端しか見えません。それからもう一組の足が見えました。この惚れ惚れとする足はソロモン王の双子の娘の足に違いない、とわたしは敢て鼻をうごめかしました、しかし仕事の先を急ぐべきだとは考えなかったのです。
翌晩、さらに仕事にかかると、こんどは四つの足とも踝(くるぶし)まで見えた。そして次の晩には膝のところまで脚が現れた、しかし太陽が乙女座から出てしまったので、そこで仕事を中断せざるを得ませんでした。」
「ことしになって、わたしは作業再開の心づもりでいましたところ、さる有名な導師がコルドバに行脚されると聞いたのです。この人のことについて妹と議論し合ったすえ、わたしは彼に会いに出かける気になりました。少し遅く館を出たので、その日はベンタ・ケマダに着くのがやっとでした。幽霊が出るため棄てられたあの宿を見つけ、わたしは幽霊など怖くはないから食堂に腰を落ち着け、連れのネムラエルに夕食を仕入れて来るよう言いつけました。このネムラエルと言うのは身分の低い小妖精で、こうした用事によく使っていますが、先ほどプエルト・ラピチェから手紙を取って来たのも、この男妖精です。ネムラエルはアンドゥハルへ行き、泊まり客のベネディクト派僧院長の眠っている隙に苦もなく夕食を盗み出し、わたしのところへ運んで来ました。翌日、あなたと食べた山鶉のパテは、その夕食の残りです。(中略)さて、わたしはネムラエルを妹のもとへ返して、息(やす)みに行きました。
夜なか、わたしは十二時を告げる鐘の音に目がさめました。これを前奏として何か化物が現れるんだろうと覚悟して、もしも出て来たら追っ払ってやる気でいました、幽霊ってやつは邪魔くさいし、不愉快ですからね。そんなつもりでいると、部屋の真んなかの食卓のうえ一面がぱっと明るくなった、次には空色をした小人のラビが現れ、ふつうのラビがお祈りするときのように書見台のまえで小刻みに体を動かしていた。背の高さは一尺足らず、着ているものが青いだけでなく、顔もあごひげも書見台も本も、すべてが青い。間もなくわたしは、これは幽霊ではなく、第二十七天界の妖精だと気づいた。名まえも知らないし、だいいち、面識もない妖精です。ともかくも、わたしはどこの妖精にもある程度の効き目を現す呪文を唱えたのです。すると、小人の空色のラビは、わたしの方に顔を向けて言いました。
「おまえは仕事を逆(さか)さまから始めた、それゆえソロモンの娘らは足もとから先に、おまえに姿を見sた。終りの方の唱句から始めよ、そして、まず二人の天の美女の名を求めよ」
そう言い終ると、小人のラビは消えました。ラビの言は、カバラのすべての法則に反することでした。でも、わたしは弱気からその入れ智恵に従いました。〈歌のなかなる歌〉の最後の唱句に取りついて、二人の不死身の女の名を求めると、その答えがエミナとジペデと出ました。奇妙だな、と思いながらも、わたしは霊寄(たまよ)せの術を施し始めたのです。すると大地が恐ろしく揺れ動きました、頭上の天空が裂けたと見るや、わたしは意識を失って倒れました。」



「第十日」より:

「ようやく小さな黒人がテーブルを片付けて去った。するとオルランディーヌはチボーの手を取って言うのであった。
「ねえ、今夜はどうやってすごしましょうか」
チボーは答えにつまった。
「わたし、いい考えがあるの」オルランディーヌが、さらに言った。「ここに大きな姿見があります。あのまえで、いろんなふうに嬌態を演じてみましょうよ、わたしがソンブル・ロッシュの城でやったみたいに。あのころは養育係の体が、わたしの体と違うのを見て楽しんだのだけど。こんどは、わたしの体が、あなたの体と作りが違うのかどうか知りたくって」
オルランディーヌは姿見のまえに二人の椅子を移した、それからまずチボーの首もとの襞襟(ひだえり)の紐をといて言った。
「首のつくりは、わたしのとほとんど変らないのね。肩もそうだわ、でも、胸は、ずいぶんと違いますねえ。わたしの胸も一年まえには、こんなだったけど、すっかり膨んで来て、まるで昔と違うの。お取りになって、その帯。それからその下着も。なんのためなんですか、この総かざりは」
チボーは、もうとてもこらえられなくなり、オルランディーヌを抱きかかえてヴェネツィアのモワレ張りの寝椅子に横たえた、彼は思った――おれみたいに幸せな男はこの世におるまい……。
が、たちまち、その思いは消しとんだ、鋭い鉤爪が自分の背なかに食いこむのを感じたからである。
「オルランディーヌ、オルランディーヌ」彼は叫んだ。「これはどういうわけだ」
オルランディーヌは、もういなかった。チボーの目のまえには、彼女とは打って変った得体(えたい)の知れぬ醜怪な形の塊りがあった。
「あたしはオルランディーヌなんかじゃない」怪物は胆も潰れるような声で言った。「あたしゃベルゼブルさ」
チボーは、イエズスの名を呼ぼうとしたが、それと知ったサタンが彼ののど元に食らいつき、聖なる名を口にのぼすことを妨げた。
翌くる朝、リヨンの朝市へ野菜を売りに出かける途中のお百姓が、道ばたのごみ棄て場になっているあばら屋のなかから人のうめき声のするのを聞きつけた。行ってみると、そこにはチボーが半分くさった死体のうえに腹這いになって寝ていた。」



「第十三日」より:

「やがて彼女は一つのドアをあけた、そこは天井の高い地下室だった、その向こうには銀の湖のようなものが見えたが、それは銀ではなく水銀なのだった。公女が手を打ち鳴らした、すると一艘の小舟が黄色のこびとに漕がれてこちらへ滑って来るのが見えた。小舟に乗り込んでからよく見ると、そのこびとは、顔が金、目がダイヤモンド、口が珊瑚(さんご)で出来ていた。こびとと見えたのは、からくり人形にすぎず、小さな櫂(かい)をあやつって巧みに水銀の波を切り小舟を進めるように作られているのだった。この新奇な船頭は、われわれを岩の下へ導いた、岩がひらくと、もう一つの地下へとわれわれは入って行った、そこには無数の機械人形が世にも稀な光景を展開していた。孔雀たちが大きく扇のように羽を広げると、釉(うわぐすり)をかけ宝石をちらした尾羽が燦然と光った。鸚鵡(おうむ)たちはエメラルドの翼をひろげてわれわれの頭上に飛び交った。黒檀づくりの黒ん坊たちは金の盆(ぼん)にいっぱいのさくらんぼのルビーとぶどうのサファイアをわれわれに差し出した。そのほか数知れぬ驚嘆すべき品々が、その果てさえしかとは見えぬこの不思議な地下室を満たしていた。
そのとき、わたしは、もういちど、なぜともなく、天国というあの言葉を口にのぼしてみたい気持に誘われた、それが公女にどんな作用をするか見たかったのだろう。わたしは、運命を左右するその好奇心に負けて、王女に言った。
「まったく、これが地上の天国でなくて何でしょう」
公女はさも我が意を得たりと満足の微笑をわたしに向けて言った。
「この屋敷の魅力をいっそうわかっていただくために、わたくしの六人の侍女たちをご紹介しましょう」
彼女は帯に吊った金の鍵を手にして、大きな木箱の錠をあけた、箱にかかった黒いビロードの布地を取ると、金具の銀が見えた。木箱がひらかれ、見守るわたしの目に、そこから一体の骸骨が現れ出ると、挑みかからんばかりにわたしの方へ突き進んで来た。わたしは剣を抜いた。骸骨は自分の左腕をぐいと捥(も)ぎとるなり、そいつを剣のように右手に構えて、刃(やいば)も折れよとわたしに切ってかかった。わたしはうまくそれを躱(かわ)したが、見ると、もう一つの骸骨が箱を跳び出し、最初の骸骨の胸から肋骨を一本引き抜き、それを振るってわたしの脳天に一撃を食らわせた。わたしは、そいつの喉(のど)もとを締めあげた、やつは負けじと白骨の両腕でわたしを抱え、床(ゆか)へ投げ倒そうとかかった。その腕を振りほどいたとたん、三つ目の骸骨が箱を脱け出て、まえの二つの助太刀に回った。」




















































































































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プロフィール

ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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