『江戸川乱歩全集 第27巻 続・幻影城』

「ところが、カーは一向リアリズムを気にしないんだね。あくまでアンリアルで行こうという気概(きがい)が見える。この種のアンリアル小説は、文学上に於て、リアル小説に対抗して充分存在価値があると考えているようだね。私もこれには賛成なんだが。このカーの自信のうしろにはチェスタートンという守本尊(まもりほんぞん)が控えている。(中略)カーはチェスタートンの弟子だから、悠然としてたじろがないのだね」
(江戸川乱歩 「J・D・カー問答」 より)


『江戸川乱歩全集 
第27巻 
続・幻影城』

光文社文庫 え 6-9

光文社
2004年3月20日初版第1刷発行
707p+1p 口絵(カラー/モノクロ)2p 
表(折込)1葉
文庫判 並装 カバー
定価952円+税
カバーデザイン: 間村俊一
カバーオブジェ・コラージュ: 勝本みつる
オブジェ撮影: 松浦文生



本書「解題」より:

「【続・幻影城】
 昭和二十四(一九四九)年から二十八年にかけて、探偵小説専門誌「宝石」「別冊宝石」「探偵倶楽部」などに発表した、主に前著『幻影城』(昭和二十六年)以降の評論・研究をまとめ、昭和二十九年六月に早川書房より刊行された。」



第8回配本。


江戸川乱歩全集27


目次:


第一部
 英米の短篇探偵小説吟味
  1 百年間の傑作統計表
  2 ドイルとチェスタートン
  3 ポースト、ブラマ、ベイリー
  4 其他のトリッキイな諸作
 探偵小説に描かれた異様な犯罪動機
  1 感情の犯罪
  2 利慾の犯罪
  3 異常心理の犯罪
  4 信仰の犯罪
 類別トリック集成
  〔第一〕 犯人(又は被害者)の人間に関するトリック
  〔第二〕 犯人が現場に出入りした痕跡についてのトリック
  〔第三〕 犯行の時間に関するトリック
  〔第四〕 兇器と毒物に関するトリック
  〔第五〕 人及び物の隠し方トリック
  〔第六〕 其他の各種トリック
  〔第七〕 暗号記法の種類
  〔第八〕 異様な動機
  〔第九〕 トリッキイな犯罪発覚の手掛り
 兇器としての氷
 顔のない死体
 隠し方のトリック
 変身願望
第二部
 最近の英米探偵小説
 科学小説の鬼
 ディケンズの先鞭
 J・D・カー問答
 クリスティーに脱帽
 作家小記
  ウールリッチ=アイリッシュ雑記
  チャンドラー
  ワイルド
  クロフツ
  クリスティー
  黒岩涙香
 日本探偵小説の系譜
 原始法医学書と探偵小説
 明治の指紋小説
附録
 江戸川乱歩既刊随筆評論集目録
 類別トリック集成出典一覧
 戦後邦訳短篇探偵小説目録
 戦後邦訳長篇探偵小説目録
 索引

解題 (新保博久)
註釈 (新保博久)
解説 (新保博久)
私と乱歩 (都筑道夫)




◆本書より◆


「英米の短篇探偵小説吟味」より:

「次の「狐を撃った男」の方は、善人を悪人と思い込むような事情があり、彼の善意の発砲を悪意のものと錯覚するというだけで、チェスタートンにしては珍しくトリックのない作品。その悪人と誤解される男の性格が非常に面白い。好意でやったことが悪意にとられ、一生の大事になるような場合にも、一ことも弁解しないで運命に任せるという、不思議な人生観を持った男が描かれている。」


「変身願望」より:

「私は人間が書物、本ですね、本に化ける話を書きたいと思ったことがある。しかし、大人の読む短篇にならなくて、いつか少年読物の中へ、ちょっと使ったことがある。どういうことかというと、西洋の大きな辞典、ブリタニカとか、センチュリー、或いは、日本の平凡社の百科事典でもいい、あれの背表紙だけを、つなぎ合せたようなものを専門家に造らせて、それを亀の甲のように、背中につける。そして、大きな本棚の中に、背中をそとに向けて、手足をちぢめて、横たわる。そとからは、そこに大きな辞典が並んでいるように見えるが、実は人間が息を殺して隠れている。実にバカバカしい着想だが、怪奇小説というものは、こういうバカバカしい所から、だんだん物になって行くことがある。」












































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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