『江戸川乱歩全集 第16巻 透明怪人』

「夕方の町には、ふしぎに人通りがありません。シーンとしずまりかえっています。そして、町ぜんたいにもやがかかったようで、うっかりしていると、蝋人形の怪紳士は、そのもやの中へ、スーッと消えてゆきそうでした。島田君は、ふと、ぼくはいま夢を見ているんじゃないかしらと、思ったほどです。」
(江戸川乱歩 「透明怪人」 より)


『江戸川乱歩全集 
第16巻 
透明怪人』

光文社文庫 え 6-10

光文社
2004年4月20日初版第1刷発行
638p+1p 口絵(カラー/モノクロ)2p
文庫判 並装 カバー
定価933円+税
カバーデザイン: 間村俊一
カバーオブジェ・コラージュ: 勝本みつる
オブジェ撮影: 松浦文生



第9回配本。
昭和26年から29年にかけて発表された少年探偵もの3篇と、連作小説の乱歩執筆分2篇、計5篇が収録されています。


江戸川乱歩全集16


目次:

透明怪人
 「透明怪人」について
怪奇四十面相
 親愛なる「少年」愛読者諸君
宇宙怪人
 「宇宙怪人」について
畸形の天女
 自作解説
女妖

解題 (新保博久)
註釈 (平山雄一)
解説 (新保博久)
私と乱歩 (井澤みよ子)




◆本書より◆


「透明怪人」より:

「「おや、へんだね。こんな町、ぼく一ども通ったことがないよ」
 島田君が、ふしぎそうに、あたりを見まわして、いいました。
 「ほんとだ。ぼくも通ったことがないよ。なんだか、さびしい町だね」
 木下君も、へんな顔をして、人っこひとりいない、広い大通りを見まわしました。
 夕方のうすぼんやりした光の中に、一ども見たことのない町が、ふたりのまえに、ひろがっていたのです。くだもの屋だとか、菓子屋だとか、牛肉屋などが、ずっとならんでいるのですが、どの店にも、人のすがたがなく、まるで、人間という人間が、この世からすっかりいなくなって、店屋(みせや)だけが、のこっているのではないかと、あやしまれるほどでした。」


















































































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ひとでなしの猫

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ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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