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西岡兄妹 『地獄』

西岡兄妹 『西岡兄妹自選作品集 地獄』

青林工藝舎 2000年10月25日初版第1刷発行
178p 解説その他6p 口絵 定価1,500円+税
装幀: ミルキィ・イソベ/レイアウト: 安倍晴美

 
西岡兄妹のややくすんだレトロな色彩感覚。武井武雄と中村宏を綯い交ぜにしたような昭和感。やや東欧系の切ない無国籍感。母国語に対する根源的な違和感。そのへんの感じがわたしは好きです。
 
  
nishioka brosis jigoku
 
本の中から楽しい口絵がびろびろー。
 
 
nishioka brosis jigoku1
 
「わたしのいないところへ行きましょう」
 
 
nishioka brosis jigoku2
 
「臭いのが出ていた」 
 
 
目次および初出:
 
そうではないところへ (ガロ 97年6月号)
天使 (ガロ 95年4月号)
ぼくは虎のように走った (描き下ろし)
おでかけの日 (シュジェ 93年1月発行 火星書房)
顔のない女について (ガロ 92年6月号)
船 (ガロ 93年5月号)
私たちの群れ (ガロ 97年4月号)
夜 (ガロ 94年8月号)
鍵 (ガロ 96年1月号)
神 (ガロ 96年10月号)
地獄 (ガロ 94年11月号)
林檎売りの唄 (ガロ 96年9月号)
 
解説「西岡兄妹が見ているもの」 (大下さなえ)
初出誌一覧
 
 
これは、日々の出来事やそこからわれわれに兆す感覚をリアルに描いた、あるあるまんがですが、ふだん意味にとらわれて無意味を遮断して生活せざるを得ないわれわれにとって、ガムラン音楽のきこえない音のように、無意味ということの持つ大きくて重要な意味に、気付かせてくれるので、ありがたいです。
 
たとえば、胸をかきむしるような静寂の安らぎや、盲目の天使の巨大な羽根に抱き尽くされる心地良さ(※1)、なんだか裏切られたような気分になることの懐かしさ、なんなのかわからないものに囲繞される安心感、小石があれば躓いて転び(※2)、そしていつまでものっぺらぼうのように続く終わりの終わりをどこまでも落下してゆくことの甘酸っぱい郷愁。「地獄」というなつかしい響き。
 
頭が痛い。吐き気がする。だれかたすけてくださいと心の中で祈りつつ、薬なんか決して飲んだりするものか。
 

※1 「天使の序列につらなるひとりが/不意にわたしを抱きしめることがあろうとも」(リルケ) 
※2 「彼らは躓く石に躓きたり」(ロマ書 9:32)
「遠くのほうに小石がひとつ置かれていて/彼は躓いて/ころぶことになる」
(本書収録「神」より)
「つまづく石でもあれば私はそこでころびたい」
『尾形亀之助詩集』より)


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Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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