大貫隆 『グノーシス考』

大貫隆 
『グノーシス考』


岩波書店 
2000年1月26日 第1刷発行
xvii 390p 人名索引7p
A5判 丸背紙装上製本 カバー
定価7,600円+税
装丁: 高麗隆彦



本書「はしがき」より:

「荒井献氏と私との責任編集で一九九七年から九八年にかけて岩波書店から刊行されたナグ・ハマディ文書全四巻には、(中略)九文書の拙訳が収録されている。」
「本書に収めた計六篇の論考の内の四篇(Ⅰ―Ⅳ部)は、その試訳蓄積の過程で、特に最近の十年間に書き下したものであり、それぞれが扱う文書の試訳のために予め解決しておかなければならなかった問題、あるいは翻訳の途中で見えてきた問題を取り上げている。そのためにどの論考も文献学的研究となっており、内容的にはかなり専門的な議論も繰り広げているので、一般読者の方々には読みやすいものではないかも知れない。」



大貫隆 グノーシス考 01


帯文:

「異端、性的オルギア、カルト――
古代より、この宗教運動にまつわるイメージの被膜を裂いて、
グノーシス主義の本質に迫る
ナグ・ハマディ文書の日本語訳に結実した精密な文献研究を基礎に、宗教思想としてのグノーシスの可能性と限界を明らかにする。」



帯背:

「グノーシス主義
の実像」



カバーそで文:

「――グノーシスとは、古代末期の地中海世界に発生したもう一つの宗教運動の名であり、また中世からルネサンスへと諸教派の盛衰を閲して、精神史の太い流れをつくったある系譜の名称でもある。そして、神秘主義的思想と交差しながら伏流水となって近・現代に流れ込んだその水脈は、優に世界観上の代案と目されるようになる。
――宗教としてのグノーシスの本質に迫る四つの主題が、本書の構造を決定している。世界と向き合う実践的な態度を象徴する極端な禁欲の形、キリスト教正典との比較を通して鮮明に浮かび上がる独自の救済論・救済者論、至高の存在を指し示そうとする否定神学の思考構造とその限界、そしてそれらの神話と教説を統合する物語のユニークな戦略である。
――グノーシスとは何か。その緻密な神話・教義体系を組み上げる原理とスタイルは、ストアや中期プラトニズムなど、同時代の思潮とのどのような影響関係から生成したものか。宗教思想としてのポジとネガには、現代を考える上で参照されるべきヒントが果たして隠されているのだろうか――文献の精密な解読を基礎として、これらの問いに答えようとする、三十年におよぶグノーシス研究の集大成。」



目次:

はしがき
旧約・新約聖書 諸文書略号表

Ⅰ 古代キリスト教における禁欲主義の系譜
    ――グノーシス主義、外典使徒行伝、初期修道制
 はじめに
 第1章 子宮としての世界――グノーシス主義の性的自然観と禁欲主義
  一 グノーシス主義における「子宮」のイメージ
  二 子宮としての世界
   1 肉体の死、すなわち子宮からの脱出
   2 肉体の誕生、すなわち子宮への墜落
   3 実践的帰結――世界を破滅させるための禁欲
  三 「子宮としての世界」をめぐる思想的類例
 第2章 禁欲の闘技者――外典使徒行伝の性倫理
  一 性をめぐる葛藤の三つのパターン
  二 エンクラティズム
 第3章 「人類を神と和解させるために」――エジプトにおける独居型および共住型修道制の禁欲主義
  一 アントニウスとパコミオス
  二 禁欲の実践と神学
 結びにかえて 慎み深い結婚生活――正統主義の性倫理
 [補論] 狂犬病――悪霊と砂漠の媒介項
  一 犬のイメージとマタイ福音書一二章43―45節/ルカ福音書一一章24―26節
  二 ユダヤ教およびキリスト教文献の証言
  三 ヘレニズム文化圏の証言
  まとめ

Ⅱ ヨハネの第一の手紙序文とトマス福音書語録一七
    ――伝承史的関連から見たヨハネの第一の手紙の論敵の問題
 第1章 本文の分析・問題提起
 第2章 トマス福音書語録一七の伝承史的位置
  一 コリント人への第一の手紙二章9節との類似性
  二 伝承の起源
  三 伝承の経路
  四 礼典式文の系譜
  五 グノーシス主義の系譜
  六 「主の言葉」の系譜
  七 「手がまだ触れず」の問題
  八 コリント人への第一の手紙二章9節との伝承史的関係
 第3章 ヨハネの第一の手紙一章1節とトマス福音書語録一七の伝承史的相互関係

Ⅲ 女性的救済者バルベーロー・プロノイアの再来
    ――『ヨハネのアポクリュフォン』の文献学的研究
 はじめに――問題の所在
 第1章 バルベーローとプロノイアの同一視とその役割の拡大
  一 単語「プロノイア」の分布
  二 短写本の現況
  三 長写本の現況
 第2章 バルベーロー・プロノイアと世界史
 第3章 『ヨハネのアポクリュフォン』の枠場面におけるプロノイア

Ⅳ 三つのプロノイア
    ――グノーシス主義、ストア、中期プラトン主義の関係をめぐって
 はじめに
 第1章 グノーシス主義のプロノイア論
  一 『ヨハネのアポクリュフォン』
  二 『この世の起源について』
  三 その他のグノーシス主義文書
  まとめ
 第2章 中期プラトン主義のプロノイア論
  一 偽プルータルコス『宿命について』
  二 アプレイウス『プラトンの生涯と教説』
  三 アルキノス『プラトン哲学要綱』
  四 学派伝承の起源の問題
 結びにかえて――評価と展望

Ⅴ 否定神学の構造と系譜
    ――中期プラトン主義とナグ・ハマディ文書
 はじめに
 第1章 アルキノス『プラトン哲学要綱』(抜粋)
 第2章 『ヨハネのアポクリュフォン』との比較
  一 否定神学
  二 イデアとプレーローマの神々
  三 質料と「物質」
  四 「世界霊魂」とヤルダバオート、「他の神々」とアルコーンたち
  五 人間の魂
  六 人体解剖学
  七 魂の移住と人間の相異なる死後の運命
  八 宿命論
 結びにかえて――評価と展望

Ⅵ グノーシスと現代思想
 はじめに
 第1章 実存主義とグノーシス――寄る辺なき自己の神話
 第2章 深層心理学とグノーシス
  一 魂の内なる旅の神話
  二 「自己」の無限膨張と他者喪失
 第3章 新約聖書とグノーシス――結びにかえて
  一 神の到来と自己放棄
   1 イエス
   2 パウロ
   3 ユングへの答え
   4 ヨハネ
  二 強迫観念の体系――初期カトリシズム

初出一覧
人名索引



大貫隆 グノーシス考 02



本書からはとくに引用したい文章はないです。






































































































































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