アイリアノス 『ギリシア奇談集』 松平千秋・中務哲郎 訳 (岩波文庫)

「トラシュロスは前代未聞の奇妙な狂気にとりつかれた。町を捨て、ペイライエウスの港に下ってそこに住みついたかと思うと、港に入ってくる船はすべて自分のものだと思いこんで、帳面につけたり、見送ったり、無事に帰港してくる船に大喜びしたりするようになったのである。こんな病気に罹(かか)ったまま永い時が過ぎたが、やがてシケリアから兄弟が帰ってきて医者の治療に委ねたので、彼の病気も癒えた。しかし彼は、狂っていた頃の暮しを思い出しては、「自分のものでもない船の無事を見て喜んだあの時ほどの喜びはいまだかつて味わったことがなかった」とよく語ったものである。」
(アイリアノス 『ギリシア奇談集』 より 「トラシュロスの風変りな狂気」)


アイリアノス 
『ギリシア奇談集』 
松平千秋・中務哲郎 訳
 
岩波文庫 赤/32-121-1 

岩波書店 
1989年1月17日 第1刷発行
1989年3月20日 第3刷発行
461p 地図3p 索引33p
文庫判 並装 カバー
定価721円(本体700円)



本書「はしがき」より:

「本書は、西紀二〇〇年頃に活躍したローマ人クラウディウス・アエリアヌス(ギリシア風に表記すればクラウディオス・アイリアノス)がギリシア語で著わした書物 Poikile Historia(ラテン語形では Varia Historia)全一四巻の全訳である。」
「翻訳の分担は、第一―六巻および索引を中務が、第七―一四巻と解説を松平が担当した。」



アイリアノス ギリシア奇談集


カバー文:

「原題は「多彩な物語」。古代ローマの著述家アイリアノス(2世紀後半-3世紀)が、百花咲き乱れる牧場のように多彩絢爛な読み物を世に供せんと、先行群書からこれぞという話題を抜き出して編んだ一書である。古今の名士・名将の逸話をはじめ、大食漢や大酒呑み、愚物・悪人の話に各地の珍談・奇談など、460余話を収めた話の泉。」


目次:

はしがき

第一巻
 一 蛸(たこ)
 二 蜘蛛(くも)
 三 エジプトの蛙
 四 エジプトの犬
 五 海の狐
 六 海亀
 七 猪(いのしし)
 八 毒蜘蛛
 九 ライオンの病気
 一〇 クレタ島の山羊(やぎ)
 一一 鼠の予知能力
 一二 蟻(あり)
 一三 ゲロンと犬
 一四 白鳥
 一五 鳩
 一六 毒を仰ぐソクラテス
 一七 ミニアチュア作家
 一八 贅沢(ぜいたく)な女性
 一九 贅沢で滅びた国
 二〇 ディオニュシオスの神殿荒らし
 二一 イスメニアスの機知
 二二 ペルシア大王の贈物
 二三 ゴルギアスとプロタゴラス
 二四 ヘラクレスとレプレウス
 二五 アレクサンドロスとポキオンの雅量
 二六 アグライス
 二七 大食漢
 二八 ロドス人の魚好き
 二九 羊がライオンを生むこと
 三〇 プトレマイオスの美童
 三一 ペルシア大王への贈物
 三二 ペルシア大王に水を献上した男
 三三 同じく、大きな柘榴(ざくろ)を献上した男
 三四 息子の死刑を望んだ父親
第二巻
 一 ソクラテス、アルキビアデスを励ますこと
 二 絵の批評
 三 アレクサンドロス、アペレスの絵を褒めなかったこと
 四 恋する男たちと僭主のこと
 五 時間の節約、スパルタ人の散策禁止令
 六 大衆に喜ばれるようではいけないという例
 七 テーバイ人、捨子をせぬこと
 八 クセノクレスとエウリピデスの競演
 九 離反者に対するアテナイの決議
 一〇 ティモテオス、プラトンの議論に接したのち仕合わせを考え直す
 一一 三〇人政権の犠牲者についてのソクラテスの言葉
 一二 テミストクレス、浪費をやめること
 一三 アリストパネスによって喜劇に作られたソクラテス
 一四 クセルクセスの愛したプラタナス
 一五 監督官(エポロス)の椅子を煤(すす)で汚した男たちの話
 一六 ポキオンのこと
 一七 マゴス僧の知識とオコス
 一八 贅沢な食事
 一九 神と呼ばれたかったアレクサンドロス
 二〇 アンティゴノスの優しさ
 二一 アガトンを愛したパウサニアス
 二二 極めてよく法制の整ったマンティネイア
 二三 拳闘家ニコドロス、立法家となること
 二四 体は強いが心は弱いミロンのこと
 二五 タルゲリオン月の第六日は吉日
 二六 ピュタゴラスにまつわる奇談
 二七 馬術の名人アンニケリスのこと
 二八 闘鶏の起源
 二九 ピッタコスの運の寓意
 三〇 プラトン
 三一 夷狄に無神論者なきこと
 三二 ヘラクレスの改名、アポロンの託宣
 三三 河川の似姿のこと
 三四 老いについて
 三五 死と眠りと兄弟なること、ゴルギアスの死
 三六 老いて病むソクラテス
 三七 病人に飲酒を禁ずる法
 三八 禁酒法あれこれ
 三九 クレタ人の教育法
 四〇 動物と酒
 四一 酒豪列伝
 四二 プラトンと万民平等
 四三 徳と貧乏
 四四 画家テオンの絵の解説
第三巻
 一 テンペ峡谷
 二 アナクサゴラスの毅然たる態度
 三 クセノポンの毅然たる態度
 四 ディオンの不動心
 五 アンティゴノスの不動心
 六 クラテスの太っ腹
 七 大衆の悪口
 八 プリュニコス、詩の力で将軍に選ばれること
 九 愛について
 一〇 スパルタの同性愛
 一一 魂について
 一二 スパルタ人の愛について
 一三 酒びたりのタピュロイ族
 一四 ピュザンティオン市民の飲酒癖
 一五 その他の大酒呑みの人々
 一六 デメトリオスとティモテオスの比較
 一七 哲学と政治
 一八 ミダス王とセイレノスの対話
 一九 アリストテレス、プラトンと袂(たもと)を分かつこと
 二〇 リュサンドロスへの贈物
 二一 テミストクレスの心意気
 二二 アイネイアスの敬虔の念とギリシア人の憐憫の情
 二三 アレクサンドロス大王のこと
 二四 クセノポンの美しいもの好き
 二五 レオニダスと三〇〇人隊
 二六 僭主ピンダロス
 二七 プラトンの貧乏、哲学を志した事情
 二八 ソクラテス、アルキビアデスの慢心を諫(いさ)めること
 二九 ディオゲネスの貧乏と自負
 三〇 謹厳な人々
 三一 画家ニキアス
 三二 アレクサンドロスとヘラクレス、竪琴を学ぶこと
 三三 竪琴奏者サテュロス
 三四 スパルタとローマに共通の法律
 三五 アカデミアでは笑うことが禁じられていたこと
 三六 アリストテレスがアテナイを去った理由
 三七 ケオス島の老人法
 三八 アテナイ起源の事物
 三九 昔の人の食べた物
 四〇 サテュロス、ティテュロス、シレノス
 四一 ディオニュソスの別名
 四二 狂女のこと
 四三 シュバリス人に殺された竪琴弾きのこと
 四四 友を見捨てた男と友を殺(あや)めた男のこと
 四五 ピリッポスに下った神託
 四六 スタゲイラ人の法律
 四七 ティモテオスその他、功績が身を助けなかった人たちのこと
第四巻
 一 国柄あれこれ
 二 ニコストラトスとラオドコスの喧嘩
 三 画家ポリュグノトスとディオニュシオス
 四 芸術に関するテーバイの法
 五 恩義を忘れなかった人々
 六 アテナイを守る神託のこと
 七 悪人はよい死に方ができないこと、パウサニアスの場合
 八 運の転変について
 九 プラトンの謙譲とアリストテレスの忘恩
 一〇 ペリクレスがアテナイの民衆に臨んだ態度
 一一 ソクラテスの装飾好み
 一二 ゼウクシスのヘレネ像
 一三 エピクロスの幸福観
 一四 金の節約と金の見張り
 一五 病中に学問を修めた人、病気して強くなった人
 一六 代表的ギリシア人
 一七 ピュタゴラスの奇蹟とその教説
 一八 ディオニュシオスがプラトンに払った敬意
 一九 ピリッポスの学術尊重のこと
 二〇 デモクリトスのこと
 二一 ソクラテスとプラトンの愛した美少年
 二二 アテナイ人の贅沢
 二三 放蕩者のこと
 二四 友情を保つ秘訣
 二五 トラシュロスの風変りな狂気
 二六 エレクトラ
 二七 パンパエスの贈物、ディオティモスの贈物
 二八 不敬のペレキュデスが虱(しらみ)にたかられて死ぬこと
 二九 笑うべきアレクサンドロス
第五巻
 一 贅沢な生活で死んだタコスのこと
 二 ペレキュデスの死
 三 ヘラクレスの柱
 四 デロス島に生える木
 五 エパメイノンダスの貧乏と度量
 六 カラノスの自殺
 七 アナカルシスのこと
 八 嘲笑の対処法
 九 アリストテレス
 一〇 アテナイ人の失った船と兵の数
 一一 トラキア王が息子たちに加えた残虐行為
 一二 アレクサンドロス神格化の賛成投票をして罰せられたデマデス
 一三 アテナイ人の革新好き
 一四 死体の埋葬と牛の屠殺に関するアッティカの法
 一五 アテナイの殺人法廷
 一六 聖物窃盗の罪で死刑にされた少年のこと
 一七 アテナイ人の迷信
 一八 死刑を宣告された妊婦
 一九 アイスキュロスが不敬罪に問われ辛うじて助かったこと
 二〇 タラス人とレギオン人の断食
 二一 メデイアはわが子を殺さなかったということ
第六巻
 一 勝者の怒り、無慈悲、傲(おご)り、非道、無法
 二 ハルマティデスの息子の勇気
 三 イサダス少年のこと
 四 リュサンドロスの娘の婚約者
 五 アテナイの使節のこと
 六 スパルタの法
 七 スパルタを襲った地震のこと
 八 アルタクセルクセス弑逆のこと
 九 デルポイ人が探し求めた宝庫
 一〇 ペリクレスの定めた市民法
 一一 政権を返そうとしたゲロンのこと
 一二 ディオニュシオスの幸福とその末路
 一三 子孫にまで続いた僭主制の例
 一四 陰謀をしくまれたダレイオスのこと
第七巻
 一 セミラミスがアッシリアの王位を奪った話
 二 ストラトンとニコクレスの贅沢競べ
 三 アリスティッポスが友人の悩みを和らげた話
 四 ピッタコスの挽き臼頌
 五 オデュッセウスやアキレウスが様々な手仕事に練達であったこと
 六 雪の日に裸体の男が寒がらなかった話
 七 デモステネスの徹夜
 八 アレクサンドロスがヘパイスティオンの死を悲しんだ話
 九 婦徳高き女性の話
 一〇 ソクラテスの妻
 一一 ローマの女の履物(はきもの)
 一二 リュサンドロスまたはピリッポスの「人を騙す法」
 一三 アゲシラオスの忍耐心
 一四 軍事や政治においても有能であった哲学者たち
 一五 ミテュレネが離反した同盟国に課した罰
 一六 ローマの建国
 一七 エウドクソス、シケリアを訪問すること
 一八 エジプト人の我慢強さと、インド人の妻の殉死
 一九 対メガラ戦におけるソロンの戦略
 二〇 髪を染めたキオスの老人の話
 二一 カエサルとポンペイユス、善政を志して賢人の示教を乞うたこと
第八巻
 一 ソクラテスの「神霊の声(ダイモニオン)」について
 二 ヒッパルコスの文化政策について
 三 「牛殺し祭(ブーポニア)」のこと
 四 ポリアルコスの贅沢について
 五 ネレウスによるミレトス市創建のこと
 六 トラキア人の無学文盲について
 七 アレクサンドロスの結婚式
 八 画家キモンのこと
 九 僭主アルケラオス、寵愛の美少年に弑(しい)されること
 一〇 ソロンの立法について
 一一 万物衰滅の理(ことわり)について
 一二 デモステネス、アイスキネス、テオプラストスらのこと
 一三 笑わなかった人たち
 一四 ディオゲネスの死について
 一五 ピリッポス、勝利に驕(おご)らぬこと
 一六 ソロンとペイシストラトス
 一七 ザンクレの独裁者スキュテスのこと
 一八 剛力エウテュモスのこと
 一九 アナクサゴラスの墓碑銘
第九巻
 一 ヒエロンの向学心、雅量、兄弟愛について
 二 タウロステネス、オリュンピアにおいて優勝し、その勝利が国許へ速報されたこと
 三 アレクサンドロスとその配下の奢侈について
 四 ポリュクラテス、アナクレオンを寵愛すること
 五 ヒエロンとテミストクレス
 六 疫病蔓延の折のペリクレス
 七 ソクラテスの沈着ぶりについて
 八 小ディオニュシオスの淫乱ぶりについて
 九 デメトリオスの放埓ぶりについて
 一〇 プラトン、アカデミアから移転するのを肯(がえ)んじなかったこと
 一一 画家パラシオスのこと
 一二 ローマ人、エピクロス派の学者を追放のこと
 一三 ヘラクレイアの僭主ディオニュシオスの暴食と肥満について
 一四 ピリタスの痩身について
 一五 ホメロスのこと
 一六 イタリア最古の住民マレスについて
 一七 デモステネスの虚栄心について
 一八 テミストクレスのこと
 一九 デモステネスとディオゲネス
 二〇 アリスティッポス、嵐に遭って動揺すること
 二一 テラメネスの運命について
 二二 医学の研究に熱心であった人々
 二三 アリストテレスが病(やまい)に罹(かか)った時のこと
 二四 スミンデュリデスの遊惰
 二五 ペイシストラトスの遊民対策
 二六 ゼノンとアンティゴノス
 二七 天真爛漫について
 二八 ディオゲネスのこと
 二九 ソクラテスの豪胆と無欲
 三〇 アナクサルコスの先見の明
 三一 勝利の栄冠を受ける前に死んだ選手の話
 三二 遊女プリュネの黄金像と、キモンの持ち馬の銅像
 三三 ゼノンに学んだエレトリアの少年の話
 三三b 同じく
 三四 ディオゲネスの服装観
 三五 アンティステネス、衣服の破れを見せびらかすこと
 三六 アンティゴノスと竪琴弾き
 三七 アナクサルコス、自己の神格化を望むアレクサンドロスを笑うこと
 三八 アレクサンドロスとパリスの竪琴
 三九 笑うべき、かつ異常な恋について
 四〇 カルタゴ人が舵手を二人にした話
 四一 パウサニアスとシモニデス
 四二 アルタクセルクセスとダレイオス
第一〇巻
 一 ペレニケがオリュンピア競技を観覧したこと
 二 エウバタスの自制心について
 三 若干の動物の特性について
 四 アレクサンドロスの行動の迅速であったこと
 五 イソップ寓話の野豚と僭主
 六 痩人伝
 七 二人の天文学者と「大年」のこと
 八 恩恵について
 九 大食漢ピロクセノスのこと
 一〇 揺籃期の絵画
 一一 ディオゲネス、肩を病むこと
 一二 アルキュタスの警句
 一三 クリティアスのアルキロコス評
 一四 自由と怠惰
 一五 アリステイデスの娘の縁談
 一六 アンティステネスとディオゲネス
 一七 政界に入って金儲けをした男たち
 一八 シュラクサイの牛飼いダプニスと牧歌の起源について
 一九 自分の歯を呑みこんだ男の話
 二〇 アゲシラオスとペルシア王
 二一 幼いプラトンと蜜蜂
 二二 ディオクシッポスのこと
第一一巻
 一 オリカドモスと相撲道
 二 ホメロス以前の叙事詩作家
 三 レスリング力士イッコスのこと
 四 アガトクレスの禿頭について
 五 デルポイで参詣人が無実の罪で殺された話
 六 ある姦夫の話
 七 リュサンドロスとアルキビアデス
 八 ヒッパルコスの暗殺
 九 終生貧困であった名士たち
 一〇 ゾイロスのこと
 一一 シケリアの僭主ディオニュシオスのこと
 一二 アルキビアデス、ソクラテスに菓子を贈ること
 一三 遠目の利くシケリア人の話
第一二巻
 一 アスパシアのこと
 二 ムーサイ〔ミューズ〕について
 三 エパメイノンダスの死
 四 セソストリスのこと
 五 ライスの異名
 六 マリウスとカトーの父
 七 アレクサンドロスとヘパイスティオン
 八 クレオメネスとアルコニデス
 九 ティメシアスが自発的に亡命したこと
 一〇 アイギナの国勢が盛んであったこと
 一一 ローマに「熱」の神殿があったこと
 一二 クレタ島の姦夫の話
 一三 遊女グナタイナ、饒舌の客をたしなめること
 一四 美男の誉れの高かった英雄たち
 一五 子供好きの有名人
 一六 アレクサンドロスが戦友を嫌った理由について
 一七 デメトリオスと遊女ラミア
 一八 美男子パオンのこと
 一九 サッポーのこと
 二〇 鶯と燕
 二一 スパルタの母
 二二 ティトルモスの剛力にミロンが辟易した話
 二三 ケルト人が危険を冒すことを好むこと
 二四 スミンデュリデスの贅沢ぶりについて
 二五 名士たちが恩恵をこうむった人々
 二六 酒豪の話
 二七 ヘラクレスが敵に温情を示したこと
 二八 アテナイの聖地レオコレイオンについて
 二九 プラトンがアクラガス人の贅沢な暮しぶりを笑った話
 三〇 タラス人の飲酒癖とキュレネ人の遊惰について
 三一 ギリシアの葡萄酒さまざま
 三二 ピュタゴラスやその他の哲人の衣裳と履物について
 三三 ローマ人がピュロスの侍医の奸策を用いなかった話
 三四 二つの恋の物語
 三五 二人のペリアンドロス、三人のミルティアデス、その他
 三六 ニオベの子の数について
 三七 アレクサンドロスが糧食の窮乏に苦しんだ時のことなど
 三八 サカイ族の馬とその他の習俗について
 三九 ペルディッカスの豪胆と牝ライオン
 四〇 クセルクセスの旅支度
 四一 画家プロトゲネスのこと
 四二 動物に育てられた人たちの話
 四三 卑賤から身を立てた名士たち
 四四 シケリアの石切場
 四五 ミダス、プラトン、ピンダロスの幼時の出来事
 四六 ディオニュシオスが独裁者となることを示した予兆
 四七 アリストマケとディオンの妻
 四八 東方諸国でホメロスの詩がうたわれたこと
 四九 ポキオンが死に臨んで言った言葉
 五〇 スパルタ人が詩歌や学芸に疎(うと)かったこと
 五一 医師メネクラテスとピリッポス
 五二 イソクラテスのアテナイ評
 五三 大戦争の発端について
 五四 アリストテレスがアレクサンドロスの短気を諫めたこと
 五五 象に殺された者を厚く弔う話
 五六 ディオゲネスのメガラ人評
 五七 アレクサンドロス侵攻の折、テーバイに生じた異象
 五八 闘技士ディオクシッポスの恋
 五九 ピュタゴラスの言葉
 六〇 ディオニュシオスとピリッポス
 六一 北風(ボラース)を表彰した話
 六二 ペルシア王に建言する時の慣習
 六三 遊女アルケディケのこと
 六四 アレクサンドロスの遺体をめぐる抗争
第一三巻
 一 アタランテの伝説
 二 マカレウス、非道の行為により神罰をこうむること
 三 クセルクセス、バビロンのベロスの墓を暴(あば)き、来るべき非運を予告されたこと
 四 エウリピデスが酩酊した話
 五 美少年を愛した最初の人
 六 アルカディア、タソス、アカイアに産する酒の特質について
 七 アレクサンドロスがテーバイを攻略した折のこと
 八・九 リュサンドロスのこと
 一〇 ディオニュシオス、同じ日に二人の妻を娶(めと)ったこと
 一一 マケドニアのペルシア征服とイソクラテス
 一二 メトン、狂気をよそおって兵役を免れること
 一三 プトレマイオスの無欲
 一四 古人はホメロスの詩を分割して詠唱したこと
 一五 愚人伝
 一六 アポロニア付近でアスファルトやピッチを産すること、その他
 一七 プリュニコスと諺
 一八 ディオニュシオスの悲劇趣味
 一九 クレオメネスのホメロス観、ヘシオドス観
 二〇 死を喜んだ人の話
 二一 マルシュアスの生皮とプリュギアの旋律
 二二 ホメロスの聖堂と像
 二三 スパルタ人リュクルゴスのこと
 二四 自分が作った法律で災難に遭った人々
 二五 ピンダロスがコリンナに敗れた話
 二六 ディオゲネスが貧窮の中で元気を取り戻した話
 二七 ソクラテスの強健な肉体について
 二八 ディオゲネスの下僕が犬に咬み殺されたこと
 二九 希望(エルピス)について
 三〇 オリュンピアスの嘆き
 三一 クセノクラテスの慈悲心
 三二 ソクラテスと遊女
 三三 遊女ロドピスの幸運
 三四 ディオニュシオスとレオン
 三五 鹿の食事療法
 三六 ピリッポスの娘エウリュディケの死
 三七 ゲロンと叛逆者について
 三八 アルキビアデスのこと
 三九 エピアルテスの言葉
 四〇 テミストクレスのこと
 四一 ポキオンのこと
 四二 エパメイノンダスのこと
 四三 ティモテオスとテミストクレスのこと
 四四 テミストクレスとアリステイデス
 四五 ディオニュシオスの残忍性について
 四六 大蛇が恩を返した話
第一四巻
 一 アリストテレスの栄誉観
 二 アゲシラオス、ペルシア方の誓約破棄を喜ぶこと
 三 ティモテオス、濫費家を叱責すること
 四 鼬(いたち)に咬まれた男の話
 五 アテナイでは内政軍事に他国人も登用したこと
 六 アリスティッポスの言葉
 七 肌色、肉付きなどに関するスパルタの法律
 八 ポリュクレイトスおよびヒッポマコスが、俗衆の無知を嗤(わら)った話
 九 クセノクラテスの忍耐心について
 一〇 ポキオンがデマデスにしっぺ返しをした話
 一一 ピリスコス、アレクサンドロスに王道を説く
 一二 ペルシア王の旅行
 一三 アガトンの悲劇作品
 一四 竪琴弾きのストラトニコスのこと
 一五 ソクラテスの対話について
 一六 ヒッポニコスの名誉欲
 一七 アルケラオス、豪邸を構え、ゼウクシスの絵画で飾ること
 一八 立腹した主人が召使に加えようとした罰
 一九 アルキュタスが言葉を慎んだ話
 二〇 ある滑稽な話
 二一 詩人オイアグロスのこと
 二二 領民に会話を禁じた僭主の話
 二三 クレイニアスとアキレウスが音楽によって怒りを鎮めた話
 二四 金銭を顧みず、貧者を憐れんだ人のこと
 二五 国民の協調を説いた政治家の話
 二六 アルケシラオスと誹謗者
 二七 アゲシラオスのこと
 二八 弁論家ピュテアスのこと
 二九 リュサンドロス、金銀の貨幣をスパルタに導入せしこと
 三〇 カルタゴ人アンノンが、自分は神であると宣伝しようとした話
 三一 伊達者(トリュポーン)と綽名されたプトレマイオス
 三二 留守中に財産を太らせた息子を叱った男の話
 三三 プラトンとディオゲネス
 三四 エジプトの裁判と裁判官
 三五 遊女ライスのこと
 三六 父祖の名を鼻にかけていばる愚かさについて
 三七 彫像や画像について
 三八 エパメイノンダスとペロピダス
 三九 ペルシア王から花輪を贈られたアンタルキダス
 四〇 ペライの僭主アレクサンドロスの残虐性について
 四一 アポロドロスの酒乱
 四二 クセノクラテス言葉
 四三 プトレマイオス王と王妃ベレニケ
 四四 貪欲を禁ずるスパルタの法律
 四五 感嘆すべき女性たち
 四六 マグネシア人の戦術
 四六a クレタ島の姦夫の話
 四六b 遊女グナタイナ、饒舌の客をたしなめること
 四六c 美男の誉れの高かった英雄たち
 四六d 子供好きの有名人
 四七 ゼウクシスの描いたヘレネ像と画家ニコマコス
 四七a アレクサンドロスの嫉妬心
 四七b ティトルモスの剛力について
 四八 ピリッポス、マケドニアの名門の子弟を近習として勤務させたこと
 四八a プラトンがアクラガス人の贅沢な暮しぶりを笑った話

解説
邦訳案内
地図
索引




◆本書より◆


「ミニアチュア作家」より:

「ミレトスの人ミュルメキデスやスパルタ人カリクラテスの驚くべき細密工芸とは次のようなものだ。彼らは蠅の下に隠れるほどの四頭立て馬車を作り、胡麻(ごま)粒に金文字で二行詩を彫りつけた。」


「クセルクセスの愛したプラタナス」より:

「言い伝えによると、彼はリュディアの地でプラタナスの大樹を見て、何の用もないのに終日その場を去らず、この木のほとりの無人の荒野で宿営した。さらに、高価な飾りを木に懸け、首飾りや腕輪で枝々を荘厳(しょうごん)などして、世話係まで残していったのは、寵姫に見張りや警護をつけるのと変りがなかった。」


「放蕩者のこと」:

「ペリクレス、ヒッポニコスの子カリアス、ペルガセ区のニキアス、彼らは放蕩と快楽に溺れる生活のため極貧に陥った。この三人は財産が尽きてしまうと、最後の乾杯がわりに毒人参(どくにんじん)の盃を飲み交わし、まるで宴会から出て行くように人生から去っていった。」


「トラシュロスの風変りな狂気」:

「アイクソネ区のトラシュロスは前代未聞の奇妙な狂気にとりつかれた。町〔アテナイ〕を捨て、ペイライエウスの港に下ってそこに住みついたかと思うと、港に入ってくる船はすべて自分のものだと思いこんで、帳面につけたり、見送ったり、無事に帰港してくる船に大喜びしたりするようになったのである。こんな病気に罹(かか)ったまま永い時が過ぎたが、やがてシケリアから兄弟が帰ってきて医者の治療に委ねたので、彼の病気も癒えた。しかし彼は、狂っていた頃の暮しを思い出しては、「自分のものでもない船の無事を見て喜んだあの時ほどの喜びはいまだかつて味わったことがなかった」とよく語ったものである。」


「小ディオニュシオスの淫乱ぶりについて」:

「小ディオニュシオスはロクリスの町へ行くと――彼の母ドリスがロクリスの出身であった――町の有力者たちの屋敷を占拠して、床には薔薇(ばら)や逼麝香草(はいじゃこうそう)、その他の花を撒き、ロクリス人たちの娘を呼び寄せ、娘たちを相手に淫乱の限りを尽くした。
 しかし彼はやがてその報いを受けた。すなわち、ディオンによって彼の独裁制が倒されると、ロクリス人たちは、ディオニュシオスの妻と娘たちを売女として扱い、全市民――中でもディオニュシオスに犯された娘たちの近親の者たちが彼女らを容赦なく辱しめた。そして存分に陵辱した後、女たちの手の爪の下に針を刺して殺害した。骨は臼に入れて搗(つ)き潰し、肉は骨から剥がして、それを食わぬ者に呪いをかけた。それから遺体の残った部分は、海中に投じたのである。
 ディオニュシオスはコリントスの町で、極度の貧窮に陥ったため、日々の暮しは目まぐるしく変転したが、その果てはキュベレ教の乞食僧となり、小太鼓を叩き、笛に合わせて歌をうたいながらその生涯を閉じた。」



「スミンデュリデスの遊惰」より:

「シュバリスの住人スミンデュリデスの放蕩ぶりがはなはだしかったことは次に述べるとおりである。もともとシュバリスの住民たちはみな遊惰をこととし、放埓な生活を送っていたが、スミンデュリデスの場合はその度がさらにはなはだしかったのである。薔薇の花びらを敷いて寝床にし、その上で眠っていたが、起き上がる時の言いぐさが何と、寝床が硬くてたこができた、というものであった。」


「笑うべく、かつ異常な恋について」より:

「先ず、プラタナスに恋をしたというクセルクセスの例があるが、またアテナイでも、良家の生まれのさる若者が、市会堂(プリュタネイオン)の傍らに立っている「幸運の女神(アガテー・テュケー)」の像に熱烈な恋をしてしまった。初めは像に抱きついて接吻をしていたが、ついには思慕の情がつのって狂乱に陥り、評議会(ブーレー)へ駆けこんで請願し、自分は大金を積んでも像を買い受ける用意がある、と言った。請願が通らぬと見ると、神像に幾本ものリボンをかけて花輪で飾り、生贄を捧げ高価な装飾品を像にまとわせてから、さめざめと泣いた末自決してしまった。」


「自由と怠惰」:

「怠惰は自由のきょうだいであると、ソクラテスはいつも言っていた。その証拠には、インド人やペルシア人は非常に勇気もあり、自由を求める気持も強いが、どちらも仕事をすることにはすこぶる怠惰である。プリュギア人とリュディア人とは実に勤勉であるが、他人に隷従して召し使われるタイプである、と。」


「遊女ロドピスの幸運」:

「エジプトの伝承によれば、ロドピスという女は稀に見る美貌の遊女であったという。ある日彼女が入浴している時、珍奇なことや意外なことを起こすのが好きな「運(テュケー)」が彼女に、その心がけではなくその美貌にふさわしい賜物を与えて下さった。ロドピスが入浴し、召使いの小女(こおんな)たちがその衣裳の番をしていると、一羽の鷲が降りてきて彼女の靴の片方をつかんで飛び去った。鷲はそれをメンピスまで運んでゆき、裁きを下していたプサンメティコス王の懐にその靴を落とした。プサンメティコスは靴の形のよさや優美な仕上げを見て感心し、また鷲のしわざも異様なことに思って、靴の持主である女を求めてエジプト全土をくまなく捜索せよという命令を出した。そして見つけ出すと自分の妻にした。」


「大蛇が恩を返した話」:

「アカイア地方にパトライという町がある。この町のある少年が小蛇を買い、丹精こめて育てた。蛇は成長するにつれて、まるで言葉が通ずるかのように少年に向かって何か話しかけるふうをし、一緒に遊び一緒に寝たりもした。やがて巨大な大蛇(おろち)に成長したので、町の人々がそれを荒野に放してやった。
 それから後の話であるが、その子供も青年になり、何かの見物に行った帰りみちに、同じ年頃の友人たちと連れだっているところを山賊に襲われた。大声を上げて助けを呼ぶと、そこに例の大蛇が現われ、山賊たちを逐い散らし、そのいく人かは殺して青年を救った。」




































































































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

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