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西岡千晶 『そっくり そらに』

西岡千晶 『そっくり そらに』
長崎出版 cub label シリーズ 2006年9月28日初版第1刷発行
頁数記載なし 26.5×21.5cm 定価1,500円+税

 
西岡兄妹の妹の方の西岡千晶氏の絵本。例の「こびとづかん」(よんだことないけど)で一山あてた長崎出版の絵本シリーズから出ています。
長崎出版からは他に、ダニイル・ハルムスの小品集に西岡千晶氏が絵をつけた『ハルムスの小さな船』(2007年4月)が出ています。
 
 
そっくりそらに1

「あおいめシシーと ちゃいろめスースー/やること なすこと おそろいなのに/見知らぬ同士の そっくりさん/窓から二人をのぞいてみよう!」
 
アマゾンマケプレで(株)かっぱ堂さんから購入。かわいいかっぱのイラスト入り厚紙封筒がツボでした。
 
 
そっくりそらに2
 
カバーをはずしてみた。
 
 
そっくりそらに3
 
カバーソデの小物イラストも和みます。
 
著者は西岡兄妹の妹のほうの人で、本書が「初のソロ作品」だそうです。大学で染色を学ぶ、とあるので、深みのある自然で繊細な色使いは染色の経験を通して身につけられたものなのでしょうか。ソロ活動にも力を入れてくださるとありがたいです。
 
本書は「トウィードルダムとトウィードルディー」の系列に属する「そっくりさん」モノですが、
 
「やねうらべやにすんでいる みずやりがかりのバラランサ
つたをつたって いったりきたり
ふたつきになるまどがある」

 
というわけで、見開きページいっぱいに、アパートの壁面に並んだいろんな形の窓が描かれていて、読者に「おそろいまど」を探させようという、絵本ならではの分りやすい配慮もあったりして、傍若無人アンファンテリブルな西岡兄妹の絵本とはだいぶ趣が異ります。
「みずやりががり」のバラランサが何者なのか、ものすごく気になりますが、それはともかく、おそろいの部屋に住んでいるのは「あおいめシシー」と「ちゃいろめスースー」。ふたりには同居人の「ちび」がいるのですが、シシーのところには「ちび」が一人、スースーのところには三人です。ちびの数がおそろいではないのが気になるところです。同じにしたいです。同じになるのでしょうか。
 
幼い女の子が両親を殺したり、アドレッサンスの男の子が学校で自殺したりする西岡兄妹の絵本を子供に読ませるのはちょっと勇気がいりますが、ソロ作品の本書なら親戚の子供にプレゼントしても人格を疑われることはないと思います。しかし内容的には江戸川乱歩(「屋根裏の散歩者」)だったりドッペルゲンガーの恐怖(ポー「ウィリアム・ウィルソン」)だったりパスカルの深淵(哲学者のパスカルは自分の左側に深淵が口を開けていると感じていたそうです)あるいはニーチェの深淵(「深淵を覗き込む者は、深淵によって覗き返される」)だったりするので、こうした絵本で育った子供たちの将来が楽しみです。
 
 
 
 
 
 
余白があるので
 
「ファビアン」 ゲルハルト・リューム
 
「ファビアンが
ファビアンに言った
ぼくはファビアンで
きみはファビアンだ
ぼくら二人ともファビアンだ
ファビアンが
ファビアンに言った
さてどちらがファビアンかな
とファビアンが
ファビアンに言った」
 
種村季弘『ナンセンス詩人の肖像』巻末「ナンセンス詩アンソロジー」より。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
 
うまれたときからひとでなし
なぜならわたしはねこだから
 
◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

Koro-pok-Guru
Away with the Fairies

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル、尾形亀之助、森田童子。

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