ディオゲネス・ラエルティオス 『ギリシア哲学者列伝 (上)』 加来彰俊 訳 (岩波文庫)

「ある人が、「君は祖国のことが少しも気にならないのか」と訊ねたとき、「口を慎んでくれたまえ。わたしには祖国のことが大いに気がかりなのだ」と答えたが、その指は天をさしていたのである。」
(ディオゲネス・ラエルティオス 「アナクサゴラス」 より)


ディオゲネス・ラエルティオス 
『ギリシア哲学者列伝 (上)』 
加来彰俊 訳
 
岩波文庫 青/33-663-1

岩波書店 
1984年10月16日 第1刷発行
1990年3月7日 第5刷発行
419p
文庫判 並装 カバー
定価620円(本体602円)
カバー: 中野達彦


DIOGENIS LAERTII: VITAE PHILOSOPHORUM
全三冊。


ギリシア哲学者列伝 上


カバーそで文:

「原題は「哲学において著名な人々の生涯およびその学説」。タレスからエピクロスまで八十二人の哲学者をとり上げる。エピソードがふんだんにちりばめられた無類の読み物であり、また貴重な基本資料でもある。上巻にはソクラテス、プラトンが登場する。(全3冊)」


目次:

凡例

第一巻
 序章
 第一章 タレス
 第二章 ソロン
 第三章 キロン
 第四章 ピッタコス
 第五章 ビアス
 第六章 クレオブゥロス
 第七章 ペリアンドロス
 第八章 アナカルシス
 第九章 ミュソン
 第十章 エピメニデス
 第十一章 ペレキュデス
第二巻
 第一章 アナクシマンドロス
 第二章 アナクシメネス
 第三章 アナクサゴラス
 第四章 アルケラオス
 第五章 ソクラテス
 第六章 クセノポン
 第七章 アイスキネス
 第八章 アリスティッポス
 第九章 パイドン
 第十章 エウクレイデス
 第十一章 スティルポン
 第十二章 クリトン
 第十三章 シモン
 第十四章 グラウコン
 第十五章 シミアス
 第十六章 ケベス
 第十七章 メネデモス
第三巻
 第一章 プラトン
第四巻
 第一章 スペウシッポス
 第二章 クセノクラテス
 第三章 ポレモン
 第四章 クラテス(アテナイの)
 第五章 クラントル
 第六章 アルケシラオス
 第七章 ビオン
 第八章 ラキュデス
 第九章 カルネアデス
 第十章 クレイトマコス

訳注




◆本書より◆


「タレス」より:

「また、こんな話も伝えられている。彼はあるとき、星を観察するために、老婆を伴って家の外に出たが、溝に落ちてしまった。そこで大声で助けを求めたら、その老婆はこう答えたというのである。「タレスさま、あなたは足下にあるものさえ見ることがおできにならないのに、天上にあるものを知ることができるとお考えになっているのですか」と。」


「エピメニデス」より:

「彼はある日、父親の言いつけで羊を探すために原へやられたが、昼頃、道からそれてある洞穴のなかで眠りこみ、そのまま五十七年間眠りつづけた。そのあと、彼は起き上がって羊を探しに行ったが、自分ではほんの短時間眠ったつもりだった。しかし羊は見つからないままで原へ行ってみると、何もかもが変っており、その土地も他人の手にわたっているのを知った。そこで彼はすっかり困惑して町へ引き返した。そしてそれから自分の家へ入って行くと、彼が誰であるかを知りたがっている人たちに出会ったが、ついに彼は、いまはもう老人になっている弟を見つけて、その弟から事の真相をすべて知らされたのであった。
 しかし彼はギリシア人の間で評判となり、神に特別に愛されている者とみなされるようになったのである。」

「なお、彼は眠ったのではなくて、しばらくの間世間から身をかくして薬草の採集に専念していたのだと言っている人たちもいる。」

「ところでデメトリオスは、彼はニンフたちからある特別の食物を受けとり、それを牛の蹄のなかに保管しておいたとか、そしてその食物を彼は少しずつ摂ったから、排泄する必要は少しもなかったとか、また食べているところを人に見られたことは一度もなかったとか、そんなふうに記している人たちの話を伝えている。」
「テオポンポスは『奇談集』のなかに、エピメニデスがニンフたちの神殿を建てていたとき、「エピメニデスよ、ニンフたちの神殿ではなく、ゼウスの神殿を」という声が突如天から聞えてきたという話や、また上述のように、アルカディア人によってラケダイモン人は敗北するだろうと彼はクレタ人に予言していたが、事実そのとおりラケダイモン人はオルコメノスで打ち負かされたという話を記している。」
「またラケダイモン人たちは彼の身体(屍)をある神託に従って自分たちのところに保存しているのだと、ラコニアの人ソシビオスは伝えている。」



「アナクサゴラス」より:

「この人は生まれのよさでも財産の点でも抜きん出ていたが、さらに度量の大きさでも傑出していた。事実彼は、父親からの財産を身内の者たちに譲り渡したのであるから。
 つまり彼は、財産を顧みないといって身内の者たちから咎められたとき、「それなら、どうしてあなた方がその面倒をみないのか」と答えたのである。そして結局彼は世間から退いて、公的な事柄に思い煩うことなしに、自然の事物の研究に専念したのであった。
 ある人が、「君は祖国のことが少しも気にならないのか」と訊ねたとき、「口を慎んでくれたまえ。わたしには祖国のことが大いに気がかりなのだ」と答えたが、その指は天をさしていたのである。」

「いったい何のために生まれてきたのかと問われたときに彼は、「太陽と月と天とを観察するために」と答えた。
 「君はアテナイ人から見捨てられている」と言った人に対しては、「いや、わたしではなくて、彼らの方がわたしから見捨てられているのだ」とやり返した。」
「異国の地で死ぬことを嘆いていた人に対して彼は、「ハデス(あの世)へ下るのは、どこからであっても同じようなものだ」と言ってその人を慰めた。」

「アナクサゴラスはまた、図解入りの書物を公刊した最初の人であった。」



「クセノクラテス」より:

「またあるとき、一羽の小雀が鷹に追われて、彼の懐に飛びこんできたとき、保護を求めているものを引き渡してはならないからねと言って、彼はその小雀をやさしく撫でてから放してやったのである。」



こちらもご参照下さい:

ディオゲネス・ラエルティオス 『ギリシア哲学者列伝 (中)』 加来彰俊 訳 (岩波文庫)
ディオゲネス・ラエルティオス 『ギリシア哲学者列伝 (下)』 加来彰俊 訳 (岩波文庫)




































































































































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ひとでなしの猫

Author:ひとでなしの猫
ひ-2-改(ひとでなしの猫 2 改訂版)

◆「樽のなかのディオゲネス」から「ねこぢる」まで◆

難破した人々の為に。

分野: パタフィジック。

趣味: 図書館ごっこ。

好物: 鉱物。スカシカシパン。タコノマクラ。

将来の夢: 石ころ。

尊敬する人物: ジョゼフ・メリック、ジョゼフ・コーネル。

ハンス・アスペルガー・メモリアル・バーベキュー。

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